臨時報告書

【提出】
2022/02/07 9:01
【資料】
PDFをみる

提出理由

当社は、2022年2月7日開催の当社取締役会において、株式会社第四北越銀行(以下「第四北越銀行」といいます。)を割当予定先とする第三者割当による佐渡汽船株式会社B種種類株式(以下「本B種種類株式」といいます。)の発行(以下「本B種種類株式第三者割当」といいます。)を行うことを決議いたしましたので、金融商品取引法第24条の5第4項及び企業内容等の開示に関する内閣府令第19条第2項第2号の規定に基づき、本臨時報告書を提出するものであります。
なお、本B種種類株式第三者割当は、新潟県中小企業再生支援協議会が関与する当社の私的整理手続において、当社が策定し、2022年1月26日に当社の取引金融機関(個別に又は総称して以下「本対象債権者」といいます。)に対して提示した当社の再生計画案(以下「本再生計画案」といいます。)が、2022年3月15日までに本対象債権者全員の同意により成立すること、並びに2022年3月25日開催予定の当社定時株主総会(以下「本定時株主総会」といいます。)における、株式会社みちのりホールディングス(以下「みちのりホールディングス」といいます。)に対する第三者割当の方法による普通株式(以下「本普通株式」といいます。)の発行(以下「本普通株式第三者割当」といいます。)、佐渡汽船株式会社A種種類株式(以下「本A種種類株式」といいます。)の発行(以下「本A種種類株式第三者割当」といいます。)及び佐渡汽船株式会社第9回新株予約権(以下「本第9回新株予約権」といいます。)の発行(以下「本第9回新株予約権第三者割当」といい、本普通株式第三者割当及び本A種種類株式第三者割当と併せて、以下「みちのりホールディングス第三者割当」といいます。また、本B種種類株式第三者割当とみちのりホールディングス第三者割当を併せて以下「本第三者割当」といいます。)に関連する議案、発行可能株式総数の増加のための定款の一部変更に係る議案、並びに当社普通株式270,000株を1株に併合する株式併合(以下「本株式併合」といい、本第三者割当、その後の本株式併合を経て当社をみちのりホールディングスの子会社とすることを、以下「本子会社化取引」といいます。)及びそれに伴う普通株式に係る単元株式数の定めの廃止並びに発行可能種類株式総数の減少に関する定款の一部変更に係る議案、2022年6月28日を基準日とし、同月29日を効力発生日として、当該基準日の最終の株主名簿に記載又は記録された株主の保有する当社普通株式1株を270,000株に分割すること(以下「本株式分割」といいます。)後の普通株式に係る単元株式数の定めの新設並びに発行可能株式総数及び発行可能種類株式総数の増加に係る議案(以下「本定時株主総会付議議案」といいます。)の承認等、みちのりホールディングス第三者割当の実施が合理的に見込まれていること等(以下「本前提条件」といいます。)が全て満たされることを条件としています。

有価証券の私募等による発行

(1)有価証券の種類及び銘柄
佐渡汽船株式会社B種種類株式
(2)本B種種類株式に関する事項
a.発行数
1,500株
b.発行価格及び資本組入額
発行価格(払込金額) 1株につき1,000,000円
資本組入額 1株につき500,000円
c.発行価額の総額及び資本組入額の総額
発行価額の総額 1,500,000,000円
資本組入額の総額 750,000,000円
(注) 資本組入額の総額は、会社法上増加する資本金の額であり、増加する資本準備金の額は750,000,000円であります。
d.株式の内容
B種種類株式の内容は、以下のとおりです。
ア.剰余金の配当
(1)B種種類株式配当条件不充足時
当社は、ある事業年度中に属する日を基準日として剰余金の配当をするときであっても、株主総会その他の業務執行機関による剰余金の配当の決議時において、下記に定める条件(以下「B種種類株式配当条件」といいます。)が充足されていない場合、B種種類株式を有する株主(以下「B種種類株主」といいます。)及びB種種類株式の登録株式質権者(B種種類株主と併せて以下「B種種類株主等」といいます。)に対し、剰余金の配当を行わない。

下記(a)及び(b)の合計額に下記に定める算式により算出される調整割合(以下「本調整割合」といいます。)を乗じた額(1円未満の端数が生じるときは、当該端数は切り捨てる。)が1,466,887,380円(以下「本基準価額」といいます。但し、みちのりホールディングスが新株予約権を行使することにより又は当社が発行する株式を引き受けることにより、金銭の払込みを行った場合には、当該払込日以降、当該払込金額の総額は本基準価額に加算されるものとする。)以上となった場合。なお、みちのりホールディングスが、当社の普通株式又はA種種類株式を第三者に譲渡した場合又は当社がみちのりホールディングスが保有する株式について自己株式の取得をする場合、みちのりホールディングスが保有する当社の普通株式及びA種種類株式の合計数から当該譲渡された又は取得された普通株式又はA種種類株式の数を控除した数を、当該時点における発行済みの普通株式数及び発行済みのA種種類株式数の合計額で除した数を本基準価額に乗ずることにより、本基準価額は合理的に調整される。
(a)直前事業年度に係る当社の貸借対照表における利益剰余金(会社計算規則(平成18年法務省令第13号)第76条第5項に規定する利益剰余金をいいます。)の額
(b)2022年3月31日以降、普通株主及び普通株式の登録株式質権者に対して支払済みの剰余金の累計額(以下「普通株式既配当額」といいます。)及びA種種類株主及びA種種類株式の登録株式質権者に対して支払済みの剰余金の累計額(以下「A種種類株式既配当額」といいます。)の合計額
本調整割合は以下の算式により算定される。
なお、「発行済みの普通株式数」とは、株主総会その他の業務執行機関による剰余金の配当の決議時点における普通株式の発行済株式総数(当社が保有するものを除く。)をいい、「発行済みのA種種類株式数」とは、株主総会その他の業務執行機関による剰余金の配当の決議時点におけるA種種類株式の発行済株式総数(当社が保有するものを除く。)をいう。
本調整割合=みちのりホールディングスが保有する普通株式数及びA種種類株式数の合計数
発行済みの普通株式数+発行済みのA種種類株式数

(2)B種種類株式配当条件充足時
当社は、ある事業年度中に属する日を基準日として剰余金の配当をするときであって、株主総会その他の業務執行機関による剰余金の配当の決議時において、B種種類株式配当条件が充足されている場合には、(ア)当該事業年度におけるB種種類株主等に対する配当金の合計額がB種種類株式払込総額(以下に定義します。)に2.0%を乗じた額に達するまでの範囲において、当該剰余金の配当の基準日の最終の株主名簿に記載又は記録されたB種種類株主等に対して、当該基準日の最終の株主名簿に記載又は記録された普通株式を有する株主又は普通株式の登録株式質権者(以下、総称して「普通株主等」といいます。)及びA種種類株式を有する株主又はA種種類株式の登録株式質権者(以下、総称して「A種種類株主等」といいます。)と同順位にて、B種種類株式1株につき、下記に定める算式により算出される額(かかる配当によりB種種類株式1株当たりに支払われる金銭を、以下「B種種類株式配当金」といいます。)の金銭を支払い、(イ)当該事業年度におけるB種種類株式配当金がB種種類株式払込金額相当額に2.0%を乗じた額に達した後は、普通株主等及びA種種類株主等に対してのみ剰余金の配当を行う。なお、B種種類株式配当金にB種種類株主等が権利を有するB種種類株式の数を乗じた金額に1円未満の端数が生じるときは、当該端数は切り捨てる。

B種種類株式配当金は以下の算式により算定される。
同順位
配当金総額
×B種種類株式払込総額
B種種類
株式配当金
=(普通株式払込総額+A種種類株式払込総額+B種種類株式払込総額)
(発行済みのB種種類株式数-当社が保有するB種種類株式)

「同順位配当金総額」とは、ある事業年度において、普通株主等、A種種類株主等及びB種種類株主等に対して同順位で支払われる剰余金の配当額の総額をいう。
「普通株式払込総額」とは、当初1,122,069,705円(但し、剰余金の配当の決議時の前日までに本第9回新株予約権及び本第10回新株予約権(以下に定義します。)の保有者が当該新株予約権を行使し、行使価額の払込みを行った場合には、当該払込金額の総額が加算されるものとする。)とする。但し、2022年7月1日以降、普通株式若しくは普通株式を目的とする新株予約権の発行又は行使、普通株式の併合に伴う端数相当株式の処理、当社による普通株式の取得、合併、株式交換、株式移転、株式交付若しくは会社分割、その他これらに類する事由の発生により調整を必要とする場合には、合理的に調整される。
「A種種類株式払込総額」とは、当初523,900,000円とする。但し、A種種類株式若しくはA種種類株式を目的とする新株予約権の発行又は行使、当社によるA種種類株式の取得、合併、株式交換、株式移転、株式交付若しくは会社分割、その他これらに類する事由の発生により調整を必要とする場合には、合理的に調整される。
「B種種類株式払込総額」とは、当初1,500,000,000円とする。但し、B種種類株式若しくはB種種類株式を目的とする新株予約権の発行又は行使、当社によるB種種類株式の取得、合併、株式交換、株式移転、株式交付若しくは会社分割、その他これらに類する事由の発生により調整を必要とする場合には、合理的に調整される。
イ.残余財産の分配
(1)当社は、残余財産を分配するときは、普通株主等及びA種種類株主等に対し、B種種類株主等に先立ち、普通株式1株及びA種種類株式1株につき、普通株式払込総額及びA種種類株式払込総額の合計から普通株式既配当額及びA種種類株式既配当額を控除した額を普通株式及びA種種類株式の発行済株式の総数(但し、当社が保有する普通株式及びA種種類株式の数を除く。)で除した額の金銭をそれぞれ支払う。なお、当該残余財産の分配額に各普通株主等が権利を有する普通株式の数を乗じた金額又は当該残余財産の分配額に各A種種類株主等が権利を有するA種種類株式の数を乗じた金額に、1円未満の端数が生じるときは、当該端数は切り捨てる。
(2)上記(1)に従い残余財産の分配を行った後になお残余財産がある場合、B種種類株主等に対し、全てのB種種類株主等に対して支払われる残余財産分配額の合計額がB種種類株式払込総額からB種種類株式既配当額(以下に定義します。)を控除した額に達するまでの範囲において、普通株主等及びA種種類株主等と同順位にて、B種種類株式1株につき、下記に定める算式により算出される額(かかる残余財産の分配によりB種種類株式1株当たりに支払われる金額を、以下「B種残余財産分配額」といいます。)の金銭を支払う。なお、B種残余財産分配額に、B種種類株主等が権利を有するB種種類株式の数を乗じた金額に1円未満の端数が生じるときは、当該端数は切り捨てる。
同順位残余財産分配額総額×(B種種類株式払込総額-B種種類株式既配当額)
B種残余
財産分配額
={(普通株式払込総額-普通株式既配当額)+(A種種類株式払込総額-A種種類株式既配当額)+(B種種類株式払込総額-B種種類株式既配当額)}
(発行済みのB種種類株式数-当社が保有するB種種類株式)

「同順位残余財産分配額総額」とは、普通株主等、A種種類株主等及びB種種類株主等に対して同順位で支払われる残余財産分配額の総額をいう。
「B種種類株式既配当額」とは、2022年3月31日以降、全てのB種種類株主等に対して支払済みの剰余金の累計額をいう。
(3)B種種類株主等に対しては、上記(2)の他、残余財産の分配は行わない。
ウ.議決権
B種種類株主は、法令に別段の定めのある場合を除き、株主総会において議決権を有しない。
エ.金銭を対価とする取得条項
当社は、当社の取締役会が別に定める日(以下「金銭対価償還日」といいます。)が到来することをもって、B種種類株主等に対して、金銭対価償還日の20営業日前までに書面による通知(撤回不能とする。)を行った上で、法令の許容する範囲内において、金銭を対価として、B種種類株式の全部又は一部を取得することができる(以下「金銭対価償還」といいます。)ものとし、当社は、当該金銭対価償還に係るB種種類株式を取得するのと引換えに、当該金銭対価償還に係るB種種類株式の数に払込金額相当額を乗じて得られる額の金銭を、B種種類株主に対して交付するものとする。金銭対価償還に係るB種種類株式の取得と引換えに交付する金銭に1円未満の端数が生じるときは、これを切り捨てるものとする。なお、B種種類株式の一部を取得するときは、取得するB種種類株式は、比例按分その他の方法により当社の取締役会において決定する。
オ.譲渡制限
B種種類株式を譲渡により取得するには、当社の取締役会の承認を受けなければならない。
カ.単元株式数
B種種類株式の単元株式数は100株とする。
キ.株式の併合又は分割、募集株式の割当て等
(1)当社は、B種種類株式について株式の分割又は併合を行わない。
(2)当社は、B種種類株主には、募集株式の割当てを受ける権利又は募集新株予約権の割当てを受ける権利を与えない。
(3)当社は、B種種類株主には、株式無償割当又は新株予約権無償割当を行わない。
ク.種類株主総会における決議
当社が会社法第322条第1項各号に掲げる行為をする場合においては、法令に別段の定めのある場合を除き、B種種類株主を構成員とする種類株主総会の決議を要しない。
ケ.自己株式の取得に際しての売主追加請求権の排除
当社が株主総会の決議によってB種種類株主との合意により当該B種種類株主の有するB種種類株式の全部又は一部を取得する旨を決定する場合には、会社法第160条第2項及び第3項の規定を適用しないものとする。
(3)発行方法
第三者割当の方法により第四北越銀行に対して本B種種類株式の全てを割り当てます。
(4)提出会社が取得する手取金の総額並びに使途ごとの内容、金額及び支出予定時期
a.手取金の総額
払込金額の総額(円)発行諸費用の概算額(円)差引手取概算額(円)
1,500,000,00019,250,0001,480,750,000

(注)1.発行諸費用の概算額の内訳は、フィナンシャル・アドバイザー費用の他、弁護士費用、登記関連費用及び株式価値算定費用等であります。
2.発行諸費用の概算額には、消費税等は含まれていません。
b.手取金の使途ごとの内容、金額及び支出予定時期
具体的な使途金 額支出予定時期
借入金の返済1,480,750千円2022年3月31日

(注)1.調達した資金については、実際に支出するまでは、安全性の高い預金口座にて管理いたします。
2.上記の資金については、本B種種類株式第三者割当に係る払込み後、当該払込金全額を、手元現預金と併せて、直ちに第四北越銀行に対する借入金15億円の弁済に充てる予定です。
(5)新規発行年月日
2022年3月31日
(6)当該有価証券を金融商品取引所に上場しようとする場合における当該金融商品取引所の名称
該当事項はありません。
(7)引受人の氏名又は名称に準ずる事項
該当事項はありません。
(8)募集を行う地域に準ずる事項
日本国内
(9)金融商品取引法施行令第1条の7に規定する譲渡に関する制限その他の制限
本B種種類株式を譲渡により取得するには、当社の取締役会の承認を要します。
(10)保有期間その他の当該株券の保有に関する事項についての取得者と当社の間の取決めの内容
該当事項はありません。
第四北越銀行の本B種種類株式の保有方針については、下記「(11)第三者割当の場合の特記事項 a.割当予定先の状況 (d)株券等の保有方針」をご参照ください。
(11)第三者割当の場合の特記事項
a.割当予定先の状況
(a)割当予定先の概要、及び提出者と割当予定先との間の関係
a.割当予定先の概要名称株式会社第四北越銀行
本店の所在地新潟県新潟市中央区東堀前通七番町1071番地1
代表者の役職及び氏名取締役頭取 殖栗 道郎
資本金32,776百万円
事業の内容銀行業
主たる出資者及びその出資比率株式会社第四北越フィナンシャルグループ 100%
b.提出者と割当予定先との間の関係出資関係提出者が保有している割当予定先の株式の数該当事項はありません。
割当予定先が保有している提出者の株式の数当社普通株式671,400株を所有しております(2021年12月31日現在)。また、当社の関係者及び関係会社と当該会社の関係者及び関係会社との間には、特筆すべき資本関係はありません。
人事関係該当事項はありません。
資金関係当社は当該会社より4,931百万円の借入れ(2021年12月31日現在)を行っています。
技術又は取引等の関係上記の他、該当事項はありません。

(b)割当予定先の選定理由
ア.本第三者割当に至る経緯及び目的
(ア)当社の財務状況及び大規模な資本性資金の調達の必要性
当社グループ(当社及び当社の連結子会社11社で構成されます。)は佐渡島と本土を船で結ぶ、一般旅客定期航路事業及び内航海運業を営んでおり、島民の生活航路として、また、観光客やビジネス関係の足として、さらには佐渡島・本土間で唯一の定期物流の手段として高い公共性を有する海上交通機関であります。このため、安全で安定した運航を提供することは、当社グループにとって重要な使命であると同時に、企業経営の根幹と捉えております。
当社は、1913年(大正2年)に創業して以来、長年に亘り佐渡島と本土を船で結ぶ唯一の交通・物流機関として事業を継続してまいりました。しかしながら、近年は徐々に輸送量が減少しつつあったところに、新型コロナウイルス感染症の拡大が襲い、2020年4月に緊急事態宣言が全都道府県を対象に発出されたことにより、人流は大きな制約を受けております。当社グループでは、輸送人員数は2019年12月期の1,467千人から2020年12月期は760千人(前年比51.81%)まで落ち込み、これにより売上高も2019年12月期の11,477,011千円から2020年12月期は7,690,806千円(同67.01%)と著しく減少し、その後の感染者数の増減に伴う変動はあるものの、回復の基調が本格化しないまま現在に至っております。
当社グループでは、近年の船舶投資により債務負担が増加していたことに加え、2019年連結会計年度において重要な営業損失、経常損失、親会社株主に帰属する当期純損失を計上したこと、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により2020年12月期第1四半期連結累計期間においても重要な営業損失、経常損失、親会社株主に帰属する四半期純損失を計上したこと、さらには新型コロナウイルス感染症の収束が見えないことから、営業債務の支払及び借入金の返済等の資金繰りに懸念が生じる状況になるとともに、継続企業の前提に重要な疑義が生じる状況となり、2020年12月期第2四半期連結累計期間末には56,807千円の債務超過となりました。
このような状況の中、当社グループでは、まずは手元資金を厚くし財務基盤の安定性を維持することを目的に、2020年連結会計年度において新型コロナウイルス感染症対応資金として取引金融機関から約40億円の借入れを行いました。また、これと合わせて収益基盤の改善及び債務超過解消のための対応策を柱とする経営改善計画を2020年10月に策定いたしました。
当社グループでは、この経営改善計画に基づき取組みを行い、2020年連結会計年度においては常勤取締役の報酬月額を25~30%減額するとともに、部長、課長以上の管理職の給与及び賞与を5~10%減額しました。また、運航ダイヤの見直しにより諸経費を削減するとともに、資本強化を目的に経営成績の優良な連結子会社である佐渡汽船運輸株式会社を株式交換(効力発生日:2020年12月29日)により完全子会社化した他、含み益のある資産の売却等を行いました。また、2020年連結会計年度末において債務超過額の拡大が見込まれたことから、国や地元自治体に経済的な支援を要請し、新潟県からは佐渡航路事業継続支援事業として補助金交付決定を受けました。
しかしながら、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、観光客の予約キャンセル、ビジネス客及び佐渡市民の移動自粛による輸送量の大幅な低迷が継続し、売上高が著しく減少したことを主たる要因として、2020年連結会計年度において重要な営業損失2,676,543千円、経常損失2,755,220千円、親会社株主に帰属する当期純損失2,547,349千円を計上したことから、2020年連結会計年度末において876,922千円の債務超過となりました。
2021年連結会計年度においても、新型コロナウイルス感染症拡大の影響継続により輸送量が大幅に減少していることから、収益基盤の改善策として、輸送量に鑑みたダイヤ編成による運航コストの削減や燃料油の上昇を十分に回収できていない状況となっている燃料油価格変動調整金の改定に取り組んでまいりました。加えて、長期間に亘り据え置いてきた貨物運賃を同年4月より10%改定し、また、同年4月に慢性的な赤字を計上している小木直江津航路の就航船舶を高速カーフェリーからジェットフォイルに変更することにより運航コストを削減するとともに、高速カーフェリーを同年7月に売却し船舶保有コストの削減を行うなどの収益基盤の改善に取り組んでまいりました。その上で、資本施策としては、地元自治体である佐渡市を割当先とする総額357,981千円の第三者割当増資(同年2月に払込み完了)を行った他、取引金融機関から劣後ローンを総額1,140,000千円調達しております。
このように当社グループでは、2020年10月に策定した経営改善計画を着実に実行してまいりましたが、新型コロナウイルス感染症の収束は見えず、断続的な緊急事態宣言の発出及びまん延防止等重点措置の実施により2021年連結会計年度においても業績の著しい低迷が続き、債務超過額が拡大する状況となっております。当社グループでは、このような状況に対応するため、関係者と協議を重ねた結果、さらなる収益基盤の改善を目的に旅客運賃及び航送運賃の各種割引施策の休廃止や見直しを中心に経営改善計画の修正を行い、順次、実行に移しておりますが、修正された計画の本格的な効果の実現は2022年度以降となる見込みであり、新型コロナウイルス感染症の影響の長期化により、2021年12月期第3四半期連結累計期間における重要な営業損失1,642,067千円、経常損失1,766,352千円、親会社株主に帰属する四半期純損失1,776,445千円を計上し、2021年12月期第3四半期連結累計期間末は2,299,571千円の債務超過となっており、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況に至っております。
また、当社グループは、業績の急激な落込みへの対応及び債務超過解消のための資本増強を図り、上記のとおり、2021年2月には佐渡市を割当先とする357,981千円の第三者割当増資を実施し、同年3月以降には、国及び新潟県より補助金の交付を受けるとともに、取引金融機関より劣後ローンの調達等を行いましたが、2020年12月末時点で2,910,454千円であった当社グループの現預金額は、2021年6月末時点において2,907,902千円を維持するに留まりました。また、同年7月に、小木直江津航路の就航船舶を高速カーフェリーからジェットフォイルに変更したことにより余剰船舶となっていた高速カーフェリー「あかね」を3,050,000千円で売却し(それに伴い補助金の一部である676,704千円の返還を実施)、建造時の借入金2,495,975千円の期限前弁済により有利子負債の圧縮を図っておりますが、資金繰りが改善するには至っておりません。
この間においても、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により旅客、航送、貨物の主要三部門の輸送量が大幅に減少している状況が継続し、キャッシュ・フローがマイナスの状態が続きました。さらに同年7月半ば頃から新型コロナウイルスの変異株による感染者数が急拡大し、同年8月に入ると大都市圏を中心に4度目の緊急事態宣言が発出されたことによる感染症拡大地域との往来や旅行・帰省の自粛等により、当社グループにとって最盛期である夏季の輸送量回復は到底見込めない状況となりました。
このため、同年8月時点において、当社は、取引金融機関に対する借入金の約定弁済を継続した場合には2022年1月以降に資金不足が生じることが見込まれる事態に陥ったことから、同月に実施された本対象債権者で構成される債権者会議において、本対象債権者への借入金及び保証債務の元金の返済について、2022年3月末までの猶予を依頼し、当面の資金繰り懸念を解消いたしました。
しかしながら、当社グループにとって最盛期である夏季の業績が著しく落ち込んだ影響は大きく、2021年9月末に4度目の緊急事態宣言が解除されて以降、徐々に需要の回復は見られたものの、閑散期となる冬季に向かっては当社グループのキャッシュ・フローの改善は見込めず、当社グループの現預金残高は、同年12月末時点で約2,020,974千円までに減少しました。
これにより、足元の状況においては、2022年3月末日に返済猶予の期間が満了する借入金6,833,120千円を含む当社の借入金合計8,770,800千円について、同年4月以降、約定通りに弁済することが困難になるだけでなく、同年4月以降の資金繰りを維持することも困難となっております。
このような状況に照らすと、安全で安定した運航を実現するために必要な設備やサービスを維持した上で、早急に当社グループのキャッシュ・フローや財務基盤を立て直せる実効性のある追加施策の余地に乏しい状況にあります。そのため、大規模な資金調達を早期に実現できない場合には、当社グループの足元の資金繰りは困窮し、株式価値が著しく毀損する状況となっております。
(イ)スポンサー選定の経緯
上記のとおり、2019年連結会計年度における重要な営業損失、経常損失、親会社株主に帰属する当期純損失の計上、及び新型コロナウイルス感染症拡大による悪影響と不確実性や当社グループをとりまく厳しい経営環境によるさらなる財務基盤の悪化を踏まえ、当社グループは、2020年連結会計年度において新型コロナウイルス感染症対応資金として取引金融機関から約40億円の借入れを行うとともに、自力再生を目指す「経営改善計画」を策定し、経営状況改善のための各種施策を実行してきました。しかしながら、2021年4月段階において二度目の緊急事態宣言が明けてもなお、新型コロナウイルス感染症収束の見通しが立たず、首都圏を中心に行われたまん延防止等重点措置により旅客輸送量が回復しない状況において、当社グループにとって特に重要な夏場の旅客需要の回復が見込めない状況となったことから、自力での債務超過解消は困難であり、早急に資本増強を行う必要があると判断いたしました。そこで、当社は、同月末から、2021年第1四半期連結累計期間末時点で1,644,644千円の債務超過であったこと及びその後に見込まれる財務状況の悪化に対処するため、総額2,000百万円規模の増資の引受けに関しスポンサー候補へのコンタクトを開始することとしました。
しかし、当社グループは2020年12月末時点以降大幅な債務超過に陥っており、かつ、厳しい経営環境下においてフリー・キャッシュ・フローがマイナスとなっている中で、当社グループが希望する時間軸で出資に応じられるスポンサーの選定は相当程度困難であると見込まれました。そのため、当社グループは、フィナンシャル・アドバイザーとしてフロンティア・マネジメント株式会社(以下「フロンティア・マネジメント」といいます。)を起用し、同社を通じて、2021年4月末以降、再生型案件に実績を有するファンドや事業会社を中心とした14社に当社グループへのスポンサー支援を打診しました。なお、当社は、かかるスポンサー支援の打診に当たり、当社グループと同業の事業を営み、当社グループの事業に関して理解を有する事業会社等への打診も検討しましたが、新型コロナウイルス感染症の影響により交通事業者の各社が大幅な業績の悪化となる中で、当社グループが希望する規模での出資は難しく、かつ当社グループが希望する時間軸で応じられる候補先は存在しないと判断したため、比較的短い時間軸で検討が可能であり、当社グループが直面していた危機的状況における資金提供のノウハウを有するファンド及び事業会社への打診に限定しました。しかし、そのような打診先であっても、上記のとおり当社の厳しい財務状況に加え、第三セクターに所属し、地域の将来を担う公共交通機関である当社グループの事業運営の難しさ等が要因となり、2021年6月30日を期限とする一次意向表明に至ったスポンサー候補先は2社のみに留まりました。また、そのうち1社については、スポンサー支援の前提条件として求める取引金融機関からの支援の条件が取引金融機関にとって非常に厳しいものであったため、取引金融機関との合意形成の観点から継続検討が困難と判断し、一次意向表明に至ったもう一方のスポンサー候補先である株式会社日本共創プラットフォーム(以下「JPiX」といいます。)及びそのグループ会社であるみちのりホールディングスをスポンサー候補先として協議を進めることとしました。その後、当社グループはJPiX及びみちのりホールディングスからのデュー・ディリジェンスを受けつつ、各ステークホルダーと当社グループに対するスポンサー支援の具体的な内容についての協議を続け、2021年10月25日付でJPiX及びみちのりホールディングスより連名で最終意向表明書(以下「本当初最終意向表明書」といいます。)を受領しました。なお、本当初最終意向表明書で示されたスポンサー支援の金額及び想定支援スキームは以下のとおりでした。
・総額15億円の普通株式発行による第三者割当増資、及び非公開化に伴う既存株主からの株式取得(なお新潟県、佐渡市、第四北越銀行及び佐渡農業協同組合については非公開化後も普通株式を継続保有)
・当該スポンサー支援の前提としての、金融機関による15億円の債務の株式化、並びに、既存借入金の元本返済猶予及びその後15年間での分割返済とする金融支援
JPiXは、投資先の生産性向上によって創出したキャッシュ・フローを必要な設備投資や人材投資につなげ、ひいては地域経済の活性化を目指す投資・事業経営会社であり、株式会社経営共創基盤(以下「IGPI」といいます。)が100%の議決権を保有し、政府系金融機関、地域金融機関及び事業会社等が種類株式を保有しております。また、みちのりホールディングスは、関東自動車グループや福島交通グループなど地域交通事業者を傘下に収める持株会社で、長期持続的な交通ネットワークの構築を目指す企業であり、同様にIGPIが100%の議決権を保有しております。
当社は、JPiX及びみちのりホールディングスが、本当初最終意向表明書において、JPiX又はみちのりホールディングスによる普通株式の第三者割当による当社への出資を通じて総額15億円という規模の資金提供を実施する意向を表明するとともに、佐渡島と本土をつなぐ唯一の公共交通機関である当社グループの事業運営の難しさを理解した上で、新型コロナウイルス感染症の影響が継続し、当社グループをとりまく経営環境が厳しい中、JPiX又はみちのりホールディングスによる資金面の支援について具体的な提案をしたこと、及び、JPiX及びみちのりホールディングスが、主にみちのりホールディングス及びその傘下の交通事業会社で構成する「みちのりグループ」の公共交通事業の経営を通じて得た、ノウハウを活かした早期の経営改善及び中長期的な視野に立った成長の実現に向けて協力して取り組む強い意向を表明したこと等、当社グループをとりまく状況を踏まえたスポンサー選定において重要と考えられる考慮要素を充足していることから、JPiX及びみちのりホールディングスが最適のスポンサー候補であると考えるに至りました。
なお、上記のスポンサー候補先に対するスポンサー支援の打診の過程において、JPiX及びみちのりホールディングス以外の事業会社又はファンドなどの金融投資家からは、①新型コロナウイルス感染症の拡大の状況下における旅客需要の回復の不透明性や、②当社グループが必要とする時間軸での事業継続に必要な規模での資金支援を行うことは困難であること、及び、③多額の債務超過に陥っている中で地方公共交通機関として株主でもある地方自治体と協調した支援を行うことに一定の複雑性があることなどを理由として、取引金融機関や関係自治体からの当社グループ支援に対する合意形成が実現可能と判断できるだけの具体的な提案は得られませんでした。
上記のとおり、当社は、資金・資本面の支援についての具体的な提案をし、当社グループをとりまく状況を踏まえたスポンサー選定において重要と考えられる考慮要素を充足するJPiX及びみちのりホールディングスが最適のスポンサー候補であると考えられ、また、JPiX及びみちのりホールディングスの他に、当社グループが希望する短い時間軸での資本増強を実現可能とするスポンサー支援について、具体性を伴った提案を行った候補者はなかったことから、JPiX及びみちのりホールディングスを最終的なスポンサーとして選定いたしました。なお、本当初最終意向表明書の受領時点においては、第三者割当の割当先がJPiX又はみちのりホールディングスのいずれとなるかについては未定でしたが、下記「(ウ)みちのりホールディングス第三者割当、本株式併合及び本第10回新株予約権無償割当を実施することを決定した経緯及び理由」に記載のとおり、最終的にみちのりホールディングスが第三者割当の割当先に決定いたしました。
(ウ)みちのりホールディングス第三者割当、本株式併合及び本第10回新株予約権無償割当を実施することを決定した経緯及び理由
(本当初最終意向表明書に係るスキームの決定に至る経緯及び理由)
当社は、本当初最終意向表明書の提出に至るまでのスポンサー選定の過程においてJPiX及びみちのりホールディングスとの間で、当社グループに対するスポンサー支援の具体的な内容についての協議を行い、JPiX及びみちのりホールディングスには、当社グループの事業の継続のために必要な資金を供給しつつ、当社の株主の皆様にもご納得いただける方法であり、また、取引金融機関の理解を得られる条件となることを前提に本当初最終意向表明書の内容を検討していただきました。
本当初最終意向表明書の提出に際して、JPiX及びみちのりホールディングスとしては、当社グループに対して実施したデュー・ディリジェンスの結果として、足元の新型コロナウイルス感染症による緊急事態宣言の断続的な発出等の影響を受けた移動制限による利用客の減少や中長期的に見た地域の人口減少など不透明かつ厳しい事業環境が続き、債務超過額が拡大するとともにキャッシュ・フローが悪化する中で、中長期的な視点で安定的に生活航路を営む事業者として事業を継続するためには、当社グループへの大規模な資本注入を行うとともに、主要株主である地方自治体や第四北越銀行等とともに当社グループの事業及び組織の構造改革を行うことが必須であるとの認識を持つに至ったとのことです。
そのような前提に基づき、JPiX及びみちのりホールディングスは、本当初最終意向表明書において、取引金融機関が当社に対して有する債権の株式化等を前提として、総額15億円の普通株式発行とその後の当社の非公開化取引に関する一連の取引を提案したとのことです。
JPiX及びみちのりホールディングスによれば、本当初最終意向表明書において当社の非公開化取引を提案した理由としては、総額15億円の第三者割当を行う場合には希薄化率が300%を超えて上場廃止となり得ること、また、当社グループが既に大幅な債務超過に陥っておりやはり上場廃止基準に抵触し得ることから、大規模な資本増強を早期に実施した後に、当社の現在の株主のうち新潟県、佐渡市、第四北越銀行及び佐渡農業協同組合以外の少数株主(以下「少数株主」といいます。なお、本株式併合の効力発生時点までに、270,000株以上の当社普通株式を所有する株主が存在することとなる場合には、本株式併合後に当社の株主となる株主に変更が生じる可能性がありますが、以下の記載はこのような株主が存在しないことを前提としています。)の利益保護を勘案して合理的な対価を支払った上で、当社を非公開化することが当社の少数株主の利益にも資すると考えたからであるとのことです。また、本当初最終意向表明書における当該非公開化取引の方法としては、類似の事例でも採用されている株式併合を前提としつつも、公開買付けの方法によることも検討されておりました。
また、本当初最終意向表明書の受領時点においては、第三者割当の割当先がJPiX又はみちのりホールディングスのいずれとなるかについては未定でしたが、最終的にみちのりホールディングスが第三者割当の割当先に決定いたしました。これは、みちのりホールディングスとの協議により、みちのりホールディングス傘下の公共交通事業との「横串」を通した経営によってより当社の効率的な事業運営を実現し、事業構造改革等の効果を発現させることができると考えられたためです。
(みちのりホールディングス第三者割当、本株式併合及び本第10回新株予約権無償割当へのスキームの変更の経緯及び理由)
当社は、本当初最終意向表明書を受領した後、当社の意思決定の過程の公正性、透明性及び客観性を確保すべく、2021年10月29日に開催した当社取締役会において、本特別委員会(下記「f.大規模な第三者割当の必要性 (c)大規模な第三者割当を行うことについての判断の過程」に定義します。)を設置する旨の決議をし、本特別委員会において本当初最終意向表明書の内容について検討を行うこととしました。
また、みちのりホールディングス、当社のメインバンクである第四北越銀行及び公共交通機関としての当社をご支援いただいている新潟県等の地方自治体との間で、協議・対話を継続し、少数株主の皆様の利益保護の観点から、非公開化を前提とすることの是非も含め、様々な選択肢について慎重に検討を重ねました。
当該協議及び検討の過程において、①本当初最終意向表明書の前提においては、第三者割当の結果、みちのりホールディングスが所有することになる議決権が相応の比率に高まることが想定されることから、急激な希薄化が直ちに生ずることに対する配慮をすべきではないかとの指摘を受け、また、②株式併合のみを実施する場合、少数株主の皆様をさらなるリスクにさらす事態を避けることが可能であるものの、当社においては、厳しい経営環境の中で、長きに亘り当社をご支援いただいている少数株主の皆様が多く存在し、そのようなリスクを前提としても、当該第三者割当増資後も当社の株式を継続して保有したいとのご意向を有する少数株主の皆様が一定程度存在する可能性があり、そのような少数株主の皆様の意向に配慮する必要があるのではないかとの指摘がなされました。
そこで、改めて、当社及びみちのりホールディングスにおいて、当社を非公開化する一連の取引のスキームについて検討し、その内容について第四北越銀行及び新潟県等の地方自治体と協議をいたしました。
まず、上記①の指摘については、直ちに資金需要があるわけではない範囲について本第9回新株予約権第三者割当を行うこととし、また、割当予定先であるみちのりホールディングスの保有する議決権割合について66.67%を下回らない範囲で低く押さえるべく本A種種類株式第三者割当を組み合わせることで、急激な希薄化が直ちに生ずることに対する配慮をすることも可能であるとの結論に至りました。
次に、上記②の指摘については、本株式併合を実施せず、本第三者割当のみを実施する方法や本第三者割当の後に、本株式併合ではなく公開買付けを実施する方法などについて検討いたしました。もっとも、本株式併合を実施せず、本第三者割当のみを実施する方法については、本第三者割当を実施した場合、希薄化率が300%を超えて上場廃止基準に抵触し得ること、また、当社グループが既に大幅な債務超過に陥っておりやはり上場廃止基準に抵触し得ることからすると、本株式併合を実施することで少数株主の皆様に上場廃止前に当社株式の売却の機会を与えることが望ましいと判断いたしました。また、本第三者割当の後に、本株式併合ではなく公開買付けを実施する方法については、当社の株式の保有を継続したいとの既存株主の皆様のご意向を尊重することができるものの、公開買付けの開始を認識できなかった、又は応募手続を失念し、スクイーズアウトの機会を失してしまう株主の皆様が相当数生じることが懸念されるとともに、上記のとおり、複数の上場廃止基準に抵触し得る状況にあることから応募への圧力がかかり強圧性が生じるリスクが否定できず、かえって少数株主の皆様に不利益を与えかねないこと等を考慮し、最良の手段ではないと判断いたしました。
他方で、本株式併合と併せて佐渡汽船株式会社第10回新株予約権(以下「本第10回新株予約権」といいます。)を割り当てる(以下「本第10回新株予約権無償割当」といいます。)方法によれば、本普通株式第三者割当に係る払込金額に一定の金額を上乗せした金額を支払って少数株主の皆様を一律にスクイーズアウトすることで、合理的な退出の機会を与え、さらなるリスクにさらす事態を避けることが可能であるとともに、本株式併合効力発生時の全ての株主の皆様に対して本第10回新株予約権を無償で割り当てることで、そのような既存株主の中で当社の株式を継続して保有したいとのご意向を有している株主様は、当該ご意向に沿って本株式併合において交付される金銭を当社への再出資(以下「本再出資」といいます。)を実施していただき、本株式併合前の保有株数で当社の株式を継続して保有することが可能になることから、最も適切な方法であると判断いたしました。
以上の検討を経て、当社は、(ⅰ)上記「(ア)当社の財務状況及び大規模な資本性資金の調達の必要性」に記載のとおり、資金繰りの懸念により大規模な資金調達の早期の実現が不可欠となっている状況において、急激な希薄化が直ちに生ずることに対して配慮しつつも、当社が、安全で安定した運航を実現するために必要な設備やサービスを維持した上で、当面の事業継続に最低限必要と見込まれるキャッシュ・フローを確保し、大幅な債務超過額を可及的に圧縮し財務基盤の回復を図るため、本普通株式第三者割当、本A種種類株式第三者割当及び本第9回新株予約権第三者割当を実施し、併せて、(ⅱ)「g.株式併合等の予定の有無及び内容」に記載のとおり、当社とみちのりホールディングス、新潟県、佐渡市、第四北越銀行及び佐渡農業協同組合が一体となって、地域交通事業者として航路の存続が可能となるように構造改革を推し進めるとともに、少数株主の皆様をさらなるリスクにさらす事態を避けるために、本株式併合を実施し、(ⅲ)長きに亘り当社をご支援いただいております少数株主の皆様が本子会社化取引後も当社の株式を継続して保有していただく機会を確保するため、本第10回新株予約権無償割当を実施することが最も適切であると判断しました。
(エ)本B種種類株式第三者割当を実施することを決定した経緯及び理由
当社は、上記の2021年4月末からのスポンサー支援の打診に際しては、スポンサー出資により債務超過額全額を解消することを念頭に、金融支援を前提としないスポンサー支援の実現可能性についても各打診先と交渉を行いました。しかし、当社は2020年12月末時点で大幅な債務超過に陥り、その後の債務超過額が拡大し、かつ、厳しい経営環境下においてフリー・キャッシュ・フローがマイナスとなっている当社グループに対して、金融支援を前提としないスポンサー出資の実現は難しく、一次意向表明に至った2社については、両社とも、取引金融機関が当社に対して有する債権を株式化することによる既存の有利子負債の圧縮及び資本の増強を前提とする提案でした。そこで、当社は、メインバンクである第四北越銀行と協議を重ね、スポンサーによる出資を実現し、佐渡島と本土を繋ぐ唯一の公共交通機関として早期の財務体質の改善を目指すためには、スポンサーによる出資による資本の増強と同時に第四北越銀行が当社に対して有する債権を株式化することで、有利子負債の圧縮及び資本の増強を行う必要があると判断いたしました。
当該債権の株式化の具体的な手法に関しては、当社、みちのりホールディングス及び第四北越銀行との協議により、手続的負担及び税務上の観点から、金銭債権を現物出資する方法ではなく、第四北越銀行に本B種種類株式を引き受けていただき、本B種種類株式第三者割当により調達する資金を、当社の第四北越銀行からの借入金の弁済に充当することといたしました。
(オ)本対象債権者との協議について
上記のとおり、当社グループは2020年12月末時点で債務超過に陥っており、かつ、新型コロナウイルス感染症の影響により、キャッシュ・フローの改善が不透明な状況となる中で経営改善計画を策定し、2021年からの一定の旅客需要の回復、特に夏季の旅客需要の回復を見込んでおりました。しかしながら新型コロナウイルス感染症の再拡大により、当該計画を大幅に下方修正する必要が生じ、取引金融機関に対する借入金の約定弁済を継続した場合、2022年1月以降に資金不足が生じる状況にあり、スポンサー出資を得るための各種手続(スポンサー探索、スポンサーによるデュー・ディリジェンス、既存株主・取引金融機関・地方自治体等のステークホルダーとの折衝、契約条件の交渉等を含みます。)が完了した後の出資の実行が最も早くとも2022年3月末以降と予想され、2022年1月以降の事業継続が困難となる可能性が出てきました。そこで当社は、速やかにスポンサー探索を開始して支援の提供可能な候補先の探索を開始すると同時に、2021年7月下旬より新潟県中小企業再生支援協議会による再生計画策定支援(第二次対応)の開始を受け、スポンサーによる出資を前提とする事業再生計画案の策定を開始し、同年8月には、本対象債権者に対し、2021年8月20日から2022年3月31日までの間、本対象債権者による借入金及び保証債務の元金の返済の猶予をいただきました。
その後、当社は本対象債権者との間で協議を重ね、本第三者割当の実施を内容とする本再生計画案を策定し、2022年1月26日の債権者会議において、本再生計画案の提示を行いました。当社の2021年11月30日時点の借入金残高は合計8,770,800千円であるところ、本再生計画案において、当社は、(ⅰ)本B種種類株式第三者割当により調達した資金による第四北越銀行に対する既存借入金債務1,500,000千円の弁済、(ⅱ)本対象債権者に対する既存借入金5,830,800千円についての借換え又は条件変更による1年9か月間の元本返済の猶予及びその後15年間での分割返済とする金融支援(うち4,216,114千円についてはシンジケートローンの方法による借換え)、並びに(ⅲ)本対象債権者に対する既存借入金1,440,000千円(劣後ローン)についての返済条件の維持を要請しております。今後、本再生計画案について、本対象債権者に説明を尽くしてご理解をいただき、本対象債権者から本再生計画案に同意いただくことで、本再生計画案の成立を目指してまいります。
なお、本再生計画案は、本対象債権者全ての同意により成立するものであり、本第三者割当は、本再生計画案の成立を条件としています。
(カ)第四北越銀行と締結する出資契約の概要
当社と第四北越銀行との間では、2022年2月7日付で、本B種種類株式第三者割当の実施に際して、出資契約を締結する予定であり、その概要は以下のとおりであります。
a.当社の主な遵守事項
・B種種類株式引受契約の締結日以降本B種種類株式第三者割当の実行までの間、B種種類株式引受契約及び本再生計画案において企図される事項、第四北越銀行が事前に承諾した事項並びに法令等により要請される事項を除き、善良なる管理者の注意をもって、その事業の遂行及び財産の管理・運営を行うこと。
・クロージング日の前日までに、本B種種類株式第三者割当及びみちのりホールディングス第三者割当を行うために法令等又は定款その他内部規程に基づき当社において必要な一切の手続を適法かつ有効に完了させるために合理的な範囲で最大限努力すること。
・クロージング日の前日までに、本定時株主総会付議議案を目的事項に含む本定時株主総会を招集し、開催すること。
・下記d.に定める各前提条件の充足に向けて合理的な範囲で最大限の努力を行うこと。
・本再生計画案が本対象債権者の同意により成立するよう合理的な範囲で最大限努力すること。
b.第四北越銀行の主な遵守事項
・クロージング日の前日までに、本B種種類株式第三者割当を行うために法令等又は定款その他内部規程に基づき第四北越銀行において必要な一切の手続を適法かつ有効に完了させるために合理的な範囲で最大限努力すること。
・下記c.に定める各前提条件の充足に向けて合理的な範囲で最大限の努力を行うこと。
c.当社による本B種種類株式第三者割当の実施の主な前提条件
・第四北越銀行において、本B種種類株式第三者割当の実行のために必要な法令等及び定款その他の内部規程上必要な手続が適法かつ有効に完了していること。
・本再生計画案が本対象債権者全員の同意により成立していること。
・本定時株主総会において、本定時株主総会付議議案が適法に原案どおり承認されていること。
d.第四北越銀行による第四北越銀行に係る引受け及び払込義務の主な前提条件
・当社において、本B種種類株式第三者割当の実行のために必要な法令等及び定款その他の内部規程上必要な手続が適法かつ有効に完了していること。
・本再生計画案が本対象債権者全員の同意により成立していること。
・本定時株主総会において、本定時株主総会付議議案が適法に原案どおり承認されており、本定時株主総会付議議案の実行がいずれも合理的に見込まれていること。
・クロージング日に本普通株式及び本A種種類株式のみちのりホールディングスによる引受けの履践及びこれに基づく発行が完了することが合理的に見込まれていること。
イ.本第三者割当を選択した理由
当社は、本第三者割当の実施を決定するまでに、様々な資金調達のための手法について比較検討を行いましたが、その際、上記「ア. 本第三者割当に至る経緯及び目的」に記載の当社グループの資金需要を踏まえれば、当社グループが希望する時間軸での必要金額の調達が確実に見込まれることが最も重要な考慮要素と考えました。
この点、例えば、公募増資による普通株式の発行を行う場合、2021年2月19日付「2020年12月期決算短信[日本基準](連結)」(2021年3月25日付「(訂正・数値データ訂正)「2020年12月期 決算短信[日本基準](連結)」の一部訂正について」により訂正された事項を含みます。)にて公表のとおり、当社グループの2020年12月期連結財務諸表の注記には「継続企業の前提に関する事項」の注記を記載しており、証券会社の引受けにより行われる公募増資の実施はそもそも困難と判断しました。また、ライツオファリング・株主割当についても、株価動向等を踏まえた割当株主の判断により、新株予約権が必ずしも全て行使されるとは限らず、また、株主割当に全て応じていただけるとも限らないため、最終的な資金調達金額が不確実であり、確実性をもって必要金額を調達する必要がある当社グループにとっては現時点における適切な選択肢ではないと判断しました。
これに対して、第三者割当増資は、必要金額の調達の確実性が最も高く、適切なスポンサーが選定できれば、当社グループにとって適切な選択肢になり得ると考え、上記「ア. 本第三者割当に至る経緯及び目的」に記載のとおり、みちのりホールディングスを割当予定先とするみちのりホールディングス第三者割当を実施すること、及び、その前提条件として提示された第四北越銀行が当社に対して有する債権の株式化を実施することが、現時点で当社グループがとり得る最良の選択肢であるとの判断に至りました。なお、上記「ア. 本第三者割当に至る経緯及び目的 (イ)スポンサー選定の経緯」記載のスポンサー候補先に対するスポンサー支援の打診の過程において、同じく第三者割当である無議決権の転換型優先株式による資金調達を検討していた候補者もいたものの、新型コロナウイルス感染症の長期化により、具体的な提案には至りませんでした。
当社は、第三者割当の他にも、金融機関からの追加借入による資金調達の可能性も検討しましたが、既に当社グループが債務超過に陥っており、今後も多額の損失計上が継続することが予想され、かつ、2021年8月以降、取引金融機関より既に借入金及び保証債務の元金の返済の猶予をいただき、2022年4月以降の取引条件についても見直し等が必要な状況の中で、スポンサーからの資金提供等により当社グループが抱える事業・財務面での課題の早期かつ抜本的な解決を図り、本対象債権者より本再生計画案にご同意いただくことを最優先すべきであり、現時点では、金融機関からの追加借入による資金調達は当社グループにとって現実的又は利用可能な選択肢ではなく、当社グループをとりまく状況の解決につながるものではないと判断しました。
また、航路関係者である地方自治体による資金調達の可能性も検討しましたが、既に2021年2月に佐渡市から第三者割当増資の引受けによる357,981千円の支援を、2020年12月に新潟県から「地域公共交通感染症拡大防止対策事業」として88,782千円の補助金及び「佐渡航路事業継続支援事業」として715,802千円の補助金の支援を、それぞれ実施いただいており、追加的な支援を受けることは困難と判断いたしました。なお、当社と新潟県、佐渡市、上越市、みちのりホールディングスは、佐渡航路の維持・発展のために、連携協定を結ぶことを予定しているとともに、上越市からは今後の追加の支援が予定されており、上記三自治体からは、みちのりホールディングスによる出資後も、より強固な関係を築きたいとの意向を示していただいております。
(c)割り当てようとする株式の数
B種種類株式1,500株
(d)株券等の保有方針
第四北越銀行は当社のメインバンクとして、当社グループを引き続き支援する立場から、本B種種類株式第三者割当により割り当てる本B種種類株式を中長期的に保有する意向である旨を口頭で確認しております。
(e)払込みに要する資金等の状況
また、第四北越銀行については、同社から自己資金(手元現預金)を本B種種類株式の引受けに充当する旨の報告を受けております。当社は、第四北越銀行の2021年12月31日現在の財務諸表を入手し、払込金額に相当する額以上の現金が流動資産として計上されており、払込期日までに割当予定株式を引き受けるのに十分な資金を保有していることを確認しております。
(f)割当予定先の実態
第四北越銀行の完全親会社である株式会社第四北越フィナンシャルグループは、株式会社東京証券取引所(以下「東京証券取引所」といいます。)の上場会社であって、会社の履歴、役員、主要株主等について広く公表している企業であり、東京証券取引所に提出したコーポレート・ガバナンスに関する報告書の「反社会的勢力排除に向けた基本的な考え方及びその整備状況」において、「当社では、『反社会的勢力に対する基本方針』を制定しており、反社会的勢力との関係遮断のための当社及びグループ会社の体制を整備しております。」と述べており、その具体的な内容として「当社グループは、暴力、威力と詐欺的手法を駆使して経済的利益を追求する集団または個人、いわゆる反社会的勢力に対する基本方針を以下の通り定め、業務の適切性及び健全性の確保に努めます。1.社会の秩序や安全に脅威を与える反社会的勢力に対しては組織全体で対応し、毅然とした態度で関係を遮断します。2.反社会的勢力からの不当要求に対しては、民事と刑事の両面から法的措置を講じる等、断固たる態度で対応します。また、反社会的勢力に対する裏取引、不適切な便宜提供および資金提供は行いません。3.反社会的勢力との関係遮断および不当要求の排除等にあたっては、警察、暴力追放運動推進センター、弁護士等の外部専門機関と緊密な連携強化を図ります。」と具体的な反社会的勢力排除に向けた整備状況を説明しております。当社は当該内容を確認し、株式会社第四北越フィナンシャルグループの完全子会社である株式会社第四北越銀行が反社会的勢力とは一切関係がないと判断しております。
当社は、以上のとおり、第四北越銀行が反社会的勢力とは一切関係がないと判断するとともに、第四北越銀行と面談及びヒアリングを実施し、反社会的勢力でない旨を直接確認し、その旨の確認書を東京証券取引所に提出しています。
b.株券等の譲渡制限
本B種種類株式を譲渡により取得するには、当社の取締役会の承認を要します。
c.発行条件に関する事項
(a)発行価格の算定根拠及び発行条件の合理性に関する考え方
当社は、本B種種類株式の発行条件の決定に当たっては、公平性を期すため、当社から独立した第三者算定機関(株式会社赤坂国際会計、代表者:黒崎 知岳、住所:東京都港区元赤坂一丁目1番8号、以下「赤坂国際会計」といいます。)に対して本B種種類株式の株式価値の算定と、本B種種類株式第三者割当における払込金額が、少数株主の皆様にとって財務的見地から妥当である旨の意見書(フェアネス・オピニオン)(以下「本B種種類株式フェアネス・オピニオン」といいます。)の提出を依頼しました。
当社は、2022年2月4日付で、本B種種類株式の株式価値算定書(以下「本B種種類株式価値算定書」といいます。)を受領しております。また、当社は、2022年2月4日付で、赤坂国際会計から本B種種類株式第三者割当の払込金額について、当社及び第四北越銀行を除く当社株主にとって、財務的見地から妥当である旨の本B種種類株式フェアネス・オピニオンを取得しました。本B種種類株式価値算定書においては、本B種種類株式の評価額は払込金額1,000,000円当たり376,265円~479,376円とされております。
赤坂国際会計は、本B種種類株式の評価に当たっては、配当割引モデルに基づき本B種種類株式を評価するものとしたとのことです。
赤坂国際会計がかかる評価の方法を採用した理由は、①本B種種類株式は、当社普通株式を対価とする取得条項又は取得請求条項といった本B種種類株式の株主に当社普通株式が交付されるという、いわゆる普通株式への転換条項が付帯していないこと、②本B種種類株式の株主は、期中においては額面金額に対して一定比率を乗じた非累積型・非参加型の配当金を受領するものとされていること、③本B種種類株式の株主は金銭を対価とする取得条項に基づき、本B種種類株式の発行から一定期間経過後に、本B種種類株式を発行価額相当の金額で取得される可能性があることから、このような本B種種類株式の有する、金銭を対価とする取得条項や、非累積型・非参加型種類配当といった権利内容は、配当や残余財産分配の弁済順位を除いて、その経済実態は永久劣後債等の債券に類似するものであると考えたためとのことです。
当社は、赤坂国際会計による本B種種類株式価値算定書における上記算定結果や当社の置かれた事業環境や財務状況を考慮した上で、割当予定先である第四北越銀行との協議を経て、本B種種類株式の払込金額を1株当たり1,000,000円とし、その他の発行条件を決定しております。
しかしながら、本B種種類株式には客観的な市場価格がなく、また、種類株式の評価は非常に高度かつ複雑であり、その評価については様々な見解があり得ることから、会社法上、本B種種類株式の払込金額が第四北越銀行に特に有利な金額であると判断される可能性は否定できないため、株主の皆様の意思を確認することが適切であると考え、念のため、本定時株主総会での会社法第199条第2項に基づく有利発行に係る株主総会の特別決議による承認を得ることを条件として本B種種類株式を発行することといたしました。
(b)発行数量及び株式の希薄化の規模が合理的であると判断した根拠
本B種種類株式は、普通株式を対価とする取得請求権又は取得条項が付与されておらず、また当社株主総会における議決権も付与されないため、本B種種類株式の発行によって普通株式の希薄化は生じないものの、本普通株式第三者割当により発行される本普通株式は33,805,000株(議決権数は338,050個)であり、2021年12月31日現在の当社の発行済株式総数17,006,947株に対する比率は198.77%(2021年12月31日現在の当社議決権総数168,861個に対する比率は200.19%)、本A種種類株式の全てが当初の条件で普通株式に転換された場合に交付される株式数は26,195,000株(議決権数261,950個)であり、2021年12月31日現在の当社の発行済株式総数17,006,947株に対し154.03%(2021年12月31日現在の当社議決権数168,861個に対しては155.13%)、本第9回新株予約権の全てが行使された場合に交付される普通株式数は15,000,000株(議決権数150,000個)であり、2021年12月31日現在の当社の発行済株式総数17,006,947株に対する比率は88.20%(2021年12月31日現在の当社議決権総数168,861個に対する比率は88.83%)であります。これらを合計した、みちのりホールディングス第三者割当による普通株式に係る潜在株式数を含む発行株式数は75,000,000株(議決権数は750,000個)であり、2021年12月31日現在の当社の発行済株式総数17,006,947株に対し、441.00%(2021年12月31日現在の当社議決権総数168,861個に対しては444.15%)の割合で希薄化が生じることとなります。本B種種類株式は、普通株式を対価とする取得請求権又は取得条項が付与されておらず、また当社株主総会における議決権も付与されないため、本B種種類株式の発行によって普通株式の希薄化は生じません。なお、本第9回新株予約権は、本株式併合、本子会社化取引及び本株式分割の完了後に行使がなされることを想定し、行使期間の始期を本株式併合、本子会社化取引及び本株式分割の完了が見込まれている2022年7月1日に設定しているとともに当社とみちのりホールディングスとの間で2022年2月7日付で締結予定の出資契約(以下「本出資契約(みちのりホールディングス)」といいます。)上、当社において本第9回新株予約権の行使に伴う払込みを受ける合理的な必要性が認められるとみちのりホールディングスが判断した場合には、みちのりホールディングスは、本第9回新株予約権を行使する旨合意する予定であるところ、みちのりホールディングス第三者割当による普通株式に係る潜在株式数を含む発行株式数75,000,000株(議決権数は750,000個)の、本株式併合、本子会社化取引及び本株式分割の完了後の当社の発行済株式総数50,760,000株に対する比率は147.75%(本株式併合、本子会社化取引及び本株式分割の完了後の当社議決権総数507,600個に対する比率は147.75%)となります。
このように本第三者割当により極めて大規模な希薄化が生じることが見込まれます。他方、上記のとおり、①当社は、2021年12月期第3四半期連結累計期間末で2,299,571千円の債務超過となっており、2022年3月末日に返済猶予の期間が満了する6,833,120千円を含む当社の借入金合計8,770,800千円を同年4月以降に約定通りに弁済すること及び同年4月以降の資金繰りを維持することが困難となっている状況にあるところ、本第三者割当の発行規模は、当社が、そのような状況において、安全で安定した運航を実現するために必要な設備やサービスを維持しつつも、当面の事業継続に最低限必要と見込まれるキャッシュ・フローを確保することに加えて、大幅な債務超過額を可及的に圧縮し財務基盤の回復を図るために必要最低限の規模に設定されていること(なお、当社は、2022年3月末日に返済猶予の期間が満了する6,833,120千円を含む当社の借入金合計8,770,800千円については、(ⅰ)そのうち15億円については本B種種類株式第三者割当による手取金を第四北越銀行に対する既存借入金の弁済に充てる他、(ⅱ)5,830,800千円については、借換え又は条件変更による2023年12月末までの元本返済猶予及びその後15年間での分割返済へ変更する内容の金融支援、(ⅲ)劣後ローン1,440,000千円については返済条件の維持を内容とする金融支援を受ける予定であり、金融支援実施後の条件に従い返済することを想定しております。)、②本第三者割当は、他の資金調達方法との比較においても、最も適切な資金調達手法と考えられること、③本普通株式、本A種種類株式、本第9回新株予約権及び本B種種類株式の払込金額その他の発行条件についても、当社をとりまく厳しい財務状況並びに取引金融機関の意見や、大株主である地方自治体との間で継続的に実施した協議も踏まえつつ、大幅な債務超過に陥っている財務状況を考慮の上で、本普通株式の株式価値算定書(以下「本普通株式価値算定書」といいます。)で示されたディスカウンテッド・キャッシュ・フロー法(以下「DCF法」といいます。)による算定結果(0円から21円)を参照しながら、みちのりホールディングスとの協議及び交渉を重ねた結果、決定された当社にとって現時点で最善の条件であり、本普通株式価値算定書、本A種種類株式の株式価値算定書(以下「本A種種類株式価値算定書」といいます。)、本第9回新株予約権の価値算定書(以下「本第9回新株予約権価値算定書」といいます。)及び本B種種類株式価値算定書で示された算定結果に照らしても公正性及び妥当性が認められると判断できること、④本A種種類株式に与えられた普通株式を対価とする取得請求権は発行要項上はいつでも行使することができることとされているものの、当社は、みちのりホールディングスから、当面の間、本A種種類株式に係る普通株式を対価とする取得請求権を行使しない旨の意向を口頭で確認しており、本第三者割当により直ちに全ての希薄化が生じるものではないこと、⑤実際には、本普通株式、本A種種類株式、本第9回新株予約権及び本B種種類株式が発行された場合においても、本普通株式以外は議決権がないため、本第三者割当発行の時点では、現在の普通株式の保有者の有する議決権についての即時の希薄化は一定程度抑制されていることといった事情を踏まえれば、本第三者割当によって生じる大規模な希薄化を考慮してもなお、本第三者割当を実行することには合理性が認められると考えております。
なお、希薄化率が300%を超える第三者割当に係る決議又は決定は、当該第三者割当の目的、割当対象者の属性、発行可能株式総数の変更に係る手続の実施状況その他の条件を総合的に勘案し、株主及び投資者の利益を侵害するおそれが少ないと東京証券取引所が認める場合を除き、上場廃止基準に該当するとされております(東京証券取引所の定める有価証券上場規程第601条第1項第17号、有価証券上場規程施行規則第601条第15項第6号、上場管理等に関するガイドラインⅣ.10)。当社としては、上記①から⑤の理由により、本第三者割当によって生じる大規模な希薄化を考慮してもなお、本第三者割当を実行することには合理性が認められると考えております。また、本第三者割当に関連する議案と併せて、発行可能株式総数の増加に係る定款の一部変更及び株式併合についても、本定時株主総会へ付議するため株主の承認を得た上で適法に手続が遂行されること、さらに、本株式併合に伴い、株式の数に1株に満たない端数が生じた当社の株主の皆様に対しては裁判所からの許可を得て最終的に本第三者割当における本普通株式の払込金額(20円)に対して50%のプレミアムを付した額の金銭(30円)が支払われる予定であって、かかる金額は、取引金融機関の意見や、大株主である地方自治体との間で継続的に実施した協議も踏まえつつ、大幅な債務超過に陥っている財務状況を考慮の上で、本普通株式価値算定書で示されたDCF法による算定結果(0円から21円)を参照しながら、少数株主の皆様にお支払いする金額を可及的に最大化すべくみちのりホールディングスとの協議及び交渉を重ねた結果、決定された金額であり、本普通株式価値算定書の評価額の上限21円を9円上回り、かつ、本普通株式の払込金額に50%のプレミアムを付した金額となっていること、並びに、本子会社化取引後の再出資により、株主が本株式併合前の保有株数で当社の株式を保有いただく機会が確保されていることから、当社が当社の株主の皆様に提供できる最善の条件であり、本第三者割当は株主及び投資者の利益を侵害するおそれの少ない場合に該当し、上場廃止基準には該当しないものと考えております。
d.大規模な第三者割当に関する事項
本B種種類株式は、普通株式を対価とする取得請求権又は取得条項が付与されておらず、また当社株主総会における議決権も付与されないため、本B種種類株式の発行によって普通株式の希薄化は生じないものの、本B種種類株式第三者割当と併せて実施される本普通株式第三者割当により発行される本普通株式33,805,000株(議決権数338,050個)、本A種種類株式第三者割当により発行される本A種種類株式の全てが当初の条件で普通株式に転換された場合に交付される普通株式26,195,000株(議決権数261,950個)、本第9回新株予約権第三者割当により発行される本第9回新株予約権の全てが行使された場合に交付される普通株式15,000,000株に係る議決権数(議決権数150,000個)の合計75,000,000株(議決権数750,000個)は、2021年12月31日現在の当社の発行済株式総数17,006,947株(2021年12月31日現在の総議決権数168,861個)の約441.00%(議決権における割合444.15%)に相当します。このように、みちのりホールディングス第三者割当に伴う希薄化率は25%以上になり、また、支配株主の異動を伴うこととなります。
したがって、本第三者割当は、「企業内容等の開示に関する内閣府令 第二号様式 記載上の注意(23‐6)」に規定する大規模な第三者割当に該当します。
さらに、みちのりホールディングス第三者割当により、みちのりホールディングスは特定引受人に該当することとなります。
e.第三者割当後の大株主の状況
(a)普通株式
氏名又は名称住所所有株式数
(株)
総議決権数に対する所有議決権数の割合割当後の所有株式数
(株)
割当後の総議決権数に対する所有議決権数の割合
株式会社みちのりホールディングス東京都千代田区丸の内一丁目9番2号グラントウキョウサウスタワー8階--33,805,00066.69%
新潟県新潟市中央区新光町4番地15,454,50032.30%5,454,50010.76%
佐渡市新潟県佐渡市千種232番地1,787,40010.59%1,787,4003.53%
株式会社第四北越銀行新潟市中央区東堀前通7番町1071番地1671,4003.98%671,4001.32%
佐渡農業協同組合新潟県佐渡市原黒300番地1606,4463.59%606,4461.20%
古川 茂代新潟県上越市257,8681.53%257,8680.51%
株式会社神田造船所広島県呉市吉浦新町1丁目6番21号254,5001.51%254,5000.50%
川重ジェイ・ピイ・エス株式会社神戸市中央区東川崎町3丁目1-1227,2001.35%227,2000.45%
株式会社和田商会新潟市中央区礎町通3ノ町2128212,7001.26%212,7000.42%
新潟県観光物産株式会社新潟市江南区亀田工業団地2丁目2-3207,9271.23%207,9270.41%
9,679,94157.32%43,484,94185.78%

(注)1.2021年12月31日現在の株主名簿を基準として記載しております。
2.「総議決権数に対する所有議決権数の割合」及び「割当後の総議決権数に対する所有議決権数の割合」は、小数点以下第三位を四捨五入し、表示しております。
3.「総議決権数に対する所有議決権数の割合」は、2021年12月31日現在の所有株式に係る議決権の数を2021年12月31日現在の総議決権数168,861個で除した数値です。
4.「割当後の所有株式数」は本普通株式の数に「所有株式数」に記載した株式数を加算した数を記載しております。また、「割当後の総議決権数に対する所有議決権数の割合」は、「割当後の所有株式数」に係る議決権の数を、2021年12月31日現在の総議決権数168,861個に本普通株式に係る議決権の数338,050個を加えた数で除した数値です。
5.みちのりホールディングス以外の株主(本第三者割当前からの株主)の総議決権数に対する所有議決権数の割合については、2021年12月31日より保有株式数に変更がないとの前提で計算したものであります。
(b)B種種類株式
氏名又は名称住所所有株式数
(株)
総議決権数に対する所有議決権数の割合割当後の所有株式数
(株)
割当後の総議決権数に対する所有議決権数の割合
株式会社第四北越銀行新潟市中央区東堀前通7番町1071番地1--1,500-

f.大規模な第三者割当の必要性
(a)大規模な第三者割当を行うこととした理由
上記「a.割当予定先の状況 (b)割当予定先の選定理由 ア.本第三者割当に至る経緯及び目的」に記載のとおり、足元の状況においては、2022年3月末日に返済猶予の期間が満了する借入金6,833,120千円を含む当社の借入金合計8,770,800千円について、同年4月以降、約定通りに弁済することが困難になるだけでなく、同年4月以降の資金繰りを維持することも困難となっております。
このような状況に照らすと、安全で安定した運航を実現するために必要な設備やサービスを維持した上で、早急に当社グループのキャッシュ・フローや財務基盤を立て直せる実効性のある追加施策の余地に乏しい状況にあります。そのため、当社グループの足元の資金繰りを改善し、株式価値が著しく毀損する事態となることを避けるために、本第三者割当を実施する必要があります。
(b)大規模な第三者割当による既存株主への影響についての取締役会の判断の内容
本B種種類株式は、普通株式を対価とする取得請求権又は取得条項が付与されておらず、また当社株主総会における議決権も付与されないため、本B種種類株式の発行によって普通株式の希薄化は生じないものの、本B種種類株式第三者割当と併せて実施される本普通株式第三者割当により発行される本普通株式は33,805,000株(議決権数は338,050個)であり、2021年12月31日現在の当社の発行済株式総数17,006,947株に対する比率は198.77%(2021年12月31日現在の当社議決権総数168,861個に対する比率は200.19%)、本A種種類株式の全てが当初の条件で普通株式に転換された場合に交付される株式数は26,195,000株(議決権数261,950個)であり、2021年12月31日現在の当社の発行済株式総数17,006,947株に対し154.03%(2021年12月31日現在の当社議決権数168,861個に対しては155.13%)、本第9回新株予約権の全てが行使された場合に交付される普通株式数は15,000,000株(議決権数150,000個)であり、2021年12月31日現在の当社の発行済株式総数17,006,947株に対する比率は88.20%(2021年12月31日現在の当社議決権総数168,861個に対する比率は88.83%)であります。これらを合計した、みちのりホールディングス第三者割当による普通株式に係る潜在株式数を含む発行株式数は75,000,000株(議決権数は750,000個)であり、2021年12月31日現在の当社の発行済株式総数17,006,947株に対し、441.00%(2021年12月31日現在の当社議決権総数168,861個に対しては444.15%)の割合で希薄化が生じることとなります。本B種種類株式は、普通株式を対価とする取得請求権又は取得条項が付与されておらず、また当社株主総会における議決権も付与されないため、本B種種類株式の発行によって普通株式の希薄化は生じません。なお、本第9回新株予約権は、本株式併合、本子会社化取引及び本株式分割の完了後に行使がなされることを想定し、行使期間の始期を本株式併合、本子会社化取引及び本株式分割の完了が見込まれている2022年7月1日に設定しているとともに、本出資契約(みちのりホールディングス)上、当社において本第9回新株予約権の行使に伴う払込みを受ける合理的な必要性が認められるとみちのりホールディングスが判断した場合には、みちのりホールディングスは、本第9回新株予約権を行使する旨を合意する予定であるところ、みちのりホールディングス第三者割当による普通株式に係る潜在株式数を含む発行株式数75,000,000株(議決権数は750,000個)の、本株式併合、本子会社化取引及び本株式分割の完了後の当社の発行済株式総数50,760,000株に対する比率は147.75%(本株式併合、本子会社化取引及び本株式分割の完了後の当社議決権総数507,600個に対する比率は147.75%)となります。
他方、上記のとおり、①当社は、2021年12月期第3四半期連結累計期間末で2,299,571千円の債務超過となっており、2022年3月末日に返済猶予の期間が満了する6,833,120千円を含む当社の借入金合計8,770,800千円を同年4月以降に約定通りに弁済すること及び同年4月以降の資金繰りを維持することが困難となっている状況にあるところ、本第三者割当の発行規模は、当社が、そのような状況において、安全で安定した運航を実現するために必要な設備やサービスを維持しつつも、当面の事業継続に最低限必要と見込まれるキャッシュ・フローを確保することに加えて、大幅な債務超過額を可及的に圧縮し財務基盤の回復を図るために必要最低限の規模に設定されていること(なお、当社は、2022年3月末日に返済猶予の期間が満了する6,833,120千円を含む当社の借入金合計8,770,800千円については、「(4)提出会社が取得する手取金の総額並びに使途ごとの内容、金額及び支出予定時期 b.手取金の使途ごとの内容、金額及び支出予定時期」に記載のとおり、(ⅰ)そのうち15億円については本B種種類株式第三者割当による手取金を第四北越銀行に対する既存借入金の弁済に充てる他、(ⅱ)5,830,800千円については、借換え又は条件変更による2023年12月末までの元本返済猶予及びその後15年間での分割返済へ変更する内容の金融支援、(ⅲ)劣後ローン1,440,000千円については返済条件の維持を内容とする金融支援を受ける予定であり、金融支援実施後の条件に従い返済することを想定しております。)、②本第三者割当は上記「a.割当予定先の状況 (b)割当予定先の選定理由 イ.本第三者割当を選択した理由」に記載のとおり、他の資金調達方法との比較においても、最も適切な資金調達手法と考えられること、③本普通株式、本A種種類株式、本第9回新株予約権及び本B種種類株式の払込金額その他の発行条件についても、当社をとりまく厳しい財務状況並びに取引金融機関の意見や、大株主である地方自治体との間で継続的に実施した協議も踏まえつつ、大幅な債務超過に陥っている財務状況を考慮の上で、本普通株式価値算定書で示されたDCF法による算定結果(0円から21円)を参照しながら、みちのりホールディングスとの協議及び交渉を重ねた結果、決定された当社にとって現時点で最善の条件であり、本普通株式価値算定書、本A種種類株式価値算定書、本第9回新株予約権価値算定書及び本B種種類株式価値算定書で示された算定結果に照らしても公正性及び妥当性が認められると判断できること、④本A種種類株式に与えられた普通株式を対価とする取得請求権は発行要項上はいつでも行使することができることとされているものの、当社は、みちのりホールディングスから、当面の間、本A種種類株式に係る普通株式を対価とする取得請求権を行使しない旨の意向を口頭で確認しており、本第三者割当により直ちに全ての希薄化が生じるものではないこと、⑤実際には、本普通株式、本A種種類株式、本第9回新株予約権及び本B種種類株式が発行された場合においても、本普通株式以外は議決権がないため、本第三者割当発行の時点では、現在の普通株式の保有者の有する議決権についての即時の希薄化は一定程度抑制されていることといった事情を踏まえれば、本第三者割当によって生じる大規模な希薄化を考慮してもなお、本第三者割当を実行することには合理性が認められると考えております。
(c)大規模な第三者割当を行うことについての判断の過程
上記「d.大規模な第三者割当に関する事項」に記載のとおり、本第三者割当に伴う希薄化率は25%以上になり、また、支配株主の異動を伴うことから、東京証券取引所の定める有価証券上場規程第432条に定める独立第三者からの意見入手又は株主の意思確認手続が必要となります。そこで、当社は、本定時株主総会において、特別決議をもって本第三者割当について株主の皆様の意思確認手続を行う予定です。
さらに、本第三者割当は、大規模な希薄化と支配株主の異動を伴うのみならず、本第三者割当の発行条件が、みちのりホールディングスに特に有利なものであり、また、その後に当社株式の上場廃止が予定されていることから、少数株主の皆様へ与える影響の大きさを踏まえて、当社の意思決定の過程の公正性、透明性及び客観性を確保すべく、2021年10月29日付の当社取締役会決議に基づき、当社の経営者から一定程度独立し、本当初最終意向表明書に係る取引に関与する他の当事者からの独立性及び当該取引の成否からの独立性(当該取引の成否に関して一般株主とは異なる重要な利害関係を有していないこと)が認められる、当社の取締役である遠藤達雄氏(当社の独立役員として東京証券取引所に届け出ている社外取締役です。)並びに当社の監査役である金子英明氏(当社の独立役員として東京証券取引所に届け出ている社外監査役です。)及び平島健氏(当社の社外監査役です。)で構成される特別委員会(以下「本特別委員会」といいます。)を設置しました。本特別委員会の各委員に対しては、その職務の対価として、答申内容にかかわらず固定額の報酬を支払うものとされ、当該報酬には、本子会社化取引の全部又は一部の成立を条件とする成功報酬は含まれておりません。
そして、当社は、2021年10月29日付で、本特別委員会に対して、本当初最終意向表明書に係る①第三者割当増資に係る資金調達の必要性、②第三者割当増資に係る手段の相当性、③第三者割当増資に係る発行条件の相当性、④株式併合の実施によるスクイーズアウト及びこれに引き続いて行われる当社株式の上場廃止に関して、当社が本当初最終意向表明書に係る取引に関する決定をすることが当社の少数株主にとって不利益なものではないかについて諮問しました。なお、当社は、上記「a.割当予定先の状況 (b)割当予定先の選定理由 ア.本第三者割当に至る経緯及び目的 (ウ)みちのりホールディングス第三者割当、本株式併合及び本第10回新株予約権無償割当を実施することを決定した経緯及び理由」のとおり、本子会社化取引について検討を行うこととしたことから、2022年1月14日付の当社取締役会において、諮問の対象となる取引の内容及び諮問事項の内容を変更し、本特別委員会に対する諮問事項を①本第三者割当に係る資金調達の必要性、②本第三者割当に係る手段の相当性、③本第三者割当に係る発行条件の相当性、④本子会社化取引及びこれに引き続いて行われる当社株式の上場廃止に関して、当社が本子会社化取引に係る取引に関する決定をすることが当社の少数株主にとって不利益なものではないか(以下、かかる①乃至④の事項を総称して「本諮問事項」といいます。)について諮問するよう諮問事項の変更に関する決議をしております。
本特別委員会は、2021年11月5日より、合計10回(合計約18時間)に亘り開催され、各回に提出された資料を検討の上で、本特別委員会への出席を求めた者への意見聴取、書面又は口頭での質疑を行うことにより、本諮問事項について慎重に協議・検討を行ったほか、各会日間においても電子メールを通じて報告・情報共有、審議及び意思決定等を行う等して、本諮問事項について、慎重に検討及び協議を実施しております。なお、本特別委員会は、当社の第三者算定機関である赤坂国際会計、フィナンシャル・アドバイザーであるフロンティア・マネジメント及び当社のリーガル・アドバイザーである西村あさひ法律事務所について、専門性及び実績等を確認した上で、これらの選任を承認するとともに、フィナンシャル・アドバイザーとしてフロンティア・マネジメントを、リーガル・アドバイザーとして西村あさひ法律事務所を、本特別委員会のアドバイザーとして選任することを決議しており、本特別委員会においては、各アドバイザーから適宜助言を受けて協議・検討を行っております。
本特別委員会は、このように本諮問事項について慎重に協議・検討した結果、2022年2月5日付で、当社取締役会に対し、委員全員の一致で、大要以下の内容の答申書を提出しております。
(1)答申内容
ⅰ 本第三者割当に係る資金調達の必要性は認められると考えられる。
ⅱ 本第三者割当に係る手段は相当であると考えられる。
ⅲ 本第三者割当に係る発行条件は相当であると考えられる。
ⅳ 本子会社化取引及びこれに引き続いて行われる当社株式の上場廃止に関して、当社が本子会社化取引に係る取引に関する決定をすることは、当社の少数株主にとって不利益なものではないと考えられる。
(2)答申理由
(ア)本第三者割当に係る資金調達の必要性
・当社グループ(当社及び当社の連結子会社11社)は、佐渡島と本土を船で結ぶ、一般旅客定期航路事業及び内航海運業等を営んでおり、島民の生活航路として、また、観光客やビジネス関係の足として、さらには佐渡島・本土間で唯一の定期物流の手段として高い公共性を有する海上交通機関であるが、近年は徐々に輸送量が減少しつつあったところに、新型コロナウイルス感染症の拡大が襲い、2020年4月に緊急事態宣言が全都道府県を対象に発出されたことにより、人流は大きな制約を受けている。当社グループでは、輸送人員数は2019年12月期の1,467千人から2020年12月期は760千人(前年比51.81%)まで落ち込み、これにより売上高も2019年12月期の11,477,011千円から2020年12月期は7,690,806千円(同67.01%)と著しく減少し、その後の感染者数の増減に伴う変動はあるものの、回復の基調が本格化しないまま現在に至っている。
・そして、当社グループでは、近年の船舶投資により債務負担が増加していたことに加え、2019年連結会計年度において重要な営業損失、経常損失、親会社株主に帰属する当期純損失を計上したこと、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により2020年12月期第1四半期連結累計期間においても重要な営業損失、経常損失、親会社株主に帰属する四半期純損失を計上したこと、さらには新型コロナウイルス感染症の収束が見えないことから、営業債務の支払及び借入金の返済等の資金繰りに懸念が生じる状況になるとともに、継続企業の前提に重要な疑義が生じる状況となり、2020年12月期第2四半期連結累計期間末には56,807千円の債務超過となった。
・このような状況の中、当社グループでは、まずは手元資金を厚くし財務基盤の安定性を維持することを目的に、2020年連結会計年度において新型コロナウイルス感染症対応資金として取引金融機関から約40億円の借入れを行い、これと合わせて収益基盤の改善及び債務超過解消のための対応策を柱とする経営改善計画を2020年10月に策定し、同計画に基づき、2020年連結会計年度において、常勤取締役の月額報酬の25~30%の削減、部長、課長以上の給与及び賞与の5~10%の削減を実施したほか、運航ダイヤの見直しによる諸経費の削減、経営成績が優良な連結子会社である佐渡汽船運輸株式会社の完全子会社化、含み益のある資産の売却等の取り組みを行った。
・しかしながら、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、観光客の予約キャンセル、ビジネス客及び佐渡市民の移動自粛による輸送量の大幅な低迷が継続し、売上高が著しく減少したことを主たる要因として、2020年連結会計年度において重要な営業損失2,676,543千円、経常損失2,755,220千円、親会社株主に帰属する当期純損失2,547,349千円を計上したことから、2020年連結会計年度末において876,922千円の債務超過となった。2021年連結会計年度においても、新型コロナウイルス感染症拡大の影響継続により輸送量が大幅に減少していることから、燃料油価格変動調整金の改定、長期間に亘り据え置いてきた貨物運賃の改定、赤字計上路線(小木直江津航路)の就航船舶の変更による運航コストの削減、高速カーフェリーの売却による船舶保有コストの削減を行った。また、資本施策としては、地元自治体である佐渡市を割当先とする総額357,981千円の第三者割当増資(同年2月に払込み完了)を行った他、取引金融機関から劣後ローンを総額1,140,000千円調達した。
・このように当社グループでは、2020年10月に策定した経営改善計画を着実に実行してきたが、新型コロナウイルス感染症の収束は見えず、断続的な緊急事態宣言の発出及びまん延防止等重点措置の実施により2021年連結会計年度においても業績の著しい低迷が続き、債務超過額が拡大する状況となっている。具体的には、2021年12月期第3四半期連結累計期間における重要な営業損失1,642,067千円、経常損失1,766,352千円、親会社株主に帰属する四半期純損失1,776,445千円を計上し、2021年12月期第3四半期連結累計期間末は2,299,571千円の債務超過となっており、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況に至っている。
・また、上記の資本増強や国及び新潟県からの補助金の交付、取引金融機関からの劣後ローンの調達等を実施したものの、2020年12月末時点で2,910,454千円であった当社グループの現預金額は、2021年6月末時点において2,907,902千円を維持するに留まった。また、余剰船舶となっていた高速カーフェリー「あかね」を3,050,000千円で売却し(それに伴い補助金の一部である676,704千円の返還を実施)、建造時の借入金2,495,975千円の期限前弁済により有利子負債の圧縮を図っておりますが、資金繰りが改善するには至っていない。さらに2021年7月半ば頃から新型コロナウイルスの変異株による感染者数が急拡大し、同年8月に入ると大都市圏を中心に4度目の緊急事態宣言が発出されたことによる感染症拡大地域との往来や旅行・帰省の自粛等により、当社グループにとって最盛期である夏季の輸送量回復は到底見込めない状況となったため、同年8月時点において、当社は、取引金融機関に対する借入金の約定弁済を継続した場合には2022年1月以降に資金不足が生じることが見込まれる事態に陥った。
・かかる状況を踏まえ、当社は、2021年8月に、当社の取引金融機関に対し、借入金及び保証債務の元本について、2022年3月末日までの返済猶予を依頼し、当面の資金繰りの懸念を解消した。
・しかしながら、当社グループにとって最盛期である夏季の業績が著しく落ち込んだ影響は大きく、2021年9月末に4度目の緊急事態宣言が解除されて以降、徐々に需要の回復は見られたものの、閑散期となる冬季に向かっては当社グループのキャッシュ・フローの改善は見込めず、当社グループの現預金残高は、同年12月末時点で約2,020,974千円までに減少した。これにより、足元の状況においては、2022年3月末日に返済猶予の期間が満了する借入金6,833,120千円を含む当社の借入金合計8,770,800千円について、同年4月以降、約定通りに弁済することが困難になるだけでなく、同年4月以降の資金繰りを維持することも困難となっている。
・このような状況に照らすと、安全で安定した運航を実現するために必要な設備やサービスを維持した上で、早急に当社グループのキャッシュ・フローや財務基盤を立て直せる実効性のある追加施策の余地に乏しい状況にある。そのため、大規模な資金調達を早期に実現できない場合には、当社グループの足元の資金繰りは困窮し、株式価値が著しく毀損する状況となっている。
・以上の事実関係を踏まえると、一刻も早い資本性の資金調達と財務状態の抜本的な改善がなされない場合には、当社の事業継続が困難になるおそれがある。
以上の点より、本第三者割当による資金調達の必要性が認められると考えられる。
(イ)本第三者割当に係る手段の相当性
a.本普通株式第三者割当の手段の相当性
・当社は既に債務超過状態にあり、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況にあることからすれば、証券会社による引受けを伴う公募増資の実施は困難であり、その確実性も高くないと考えられる。また、新株予約権の発行・ライツオファリングや株主割当といった手法も想定されるところ、これらの手法は調達金額に不確実性が伴うことから、当社が必要とする資金の全てを調達する方法としては適切ではないと考えられる。そのほか、既に佐渡市による第三者割当増資の引受けや新潟県からの補助金等による資金支援を受けている状況を踏まえると、地方自治体からの追加的な支援を受けることは困難な状況であると考えられる。そのため、特定の第三者を引受人とする新株の発行を含むスキームを採用することは、確実かつ合理的な資金調達方法であると考えられる。
・当該前提において、当社に対する出資後、みちのりホールディングスにおいて当社の事業運営に深く関与し、主体的かつ機動的な当社の経営を行うことで、当社の経営を改善し、中長期的な企業価値向上を図るためには、単なる金銭支援に留まらず、みちのりホールディングスにおいて当社の経営権を取得するに足りる規模の議決権を取得する必要があるとのことであり、当該説明に不合理な点はない。そして、本普通株式第三者割当の方法によれば、みちのりホールディングスは本普通株式第三者割当を通じて66.69%の議決権比率となり、当該比率は当社の株主総会における普通決議事項及び特別決議事項について単独で決議できる水準であることから、当社の経営権を取得するための手段として合理的な手段であるといえる。
以上の点より、本普通株式第三者割当は、厳しい資金調達環境に置かれている当社において、確実かつ合理的な資金調達方法であり、みちのりホールディングスが当社の経営権を取得するための手段として合理的な手段であることから当該手段を用いることには相当性が認められる。
b.本A種種類株式第三者割当及び本第9回新株予約権第三者割当の手段の相当性
・当社の経営においては、メインバンクである第四北越銀行や地方自治体の関係者のサポートが不可欠であるところ、本A種種類株式第三者割当及び本第9回新株予約権第三者割当は、これらの関係者との協議の過程において、急激な希薄化が直ちに生じることに配慮すべきではないかとの指摘を受けたことを踏まえて、改めて、当社及びみちのりホールディングスにおいて、当社を非公開化する一連の取引のスキームについて検討し、決定された取引である。
・本A種種類株式は無議決権株式であるところ、無議決権の種類株式を用いる資金調達は、確実な資金調達が実現できる一方、即時の希薄化を防止することができることから、既存株主にとってメリットのある手法であるといえる。
・特に、本子会社化取引においては、本普通株式と本A種種類株式の発行を組み合わせることによりみちのりホールディングスが取得する当社の議決権割合を低く押さえることで、みちのりホールディングス、新潟県、佐渡市、第四北越銀行及び佐渡農業協同組合が一体となって、地域交通事業者として航路の存続が可能となるように構造改革を推し進めることに一定程度寄与すると考えられる。すなわち、本株式併合の効力発生時点までに、270,000株以上の当社普通株式を所有する株主が存在することとならない場合で、且つ、本A種種類株式を発行せず、同額の資金をみちのりホールディングスから普通株式で調達すると仮定した場合、本株式併合後に当社の株主に残存する新潟県、佐渡市、第四北越銀行及び佐渡農業協同組合の議決権割合は、それぞれ7.02%、2.11%、0.70%及び0.70%に留まるのに対して、本A種種類株式を発行する場合の本株式併合後の新潟県、佐渡市、第四北越銀行及び佐渡農業協同組合の議決権割合はそれぞれ10.64%、3.19%、1.06%及び1.06%まで上昇する。これにより、本株式併合後にこれらの株主が保有することになる議決権の水準は、新潟県については会社の解散の訴えの提起等に必要となる総株主の議決権の10分の1を、佐渡市については株主総会招集権や会計帳簿閲覧等請求権の行使に必要となる総株主の議決権の100分の3を、第四北越銀行及び佐渡農業協同組合については株主の議題提案権等の行使に必要な総株主の議決権の100分の1を超えることとなり、資金調達の一部を本A種種類株式第三者割当を組み合わせることによって実施することは、これらの株主が当社に対して少数株主権を行使し、当社の経営に一定程度関与できる状況を確保するものであると評価することもできる。一方、本普通株式の発行により、本第三者割当後にみちのりホールディングスは会社法上の重要な意思決定に必要な総議決権の3分の2を超える議決権を取得することが可能であるから、本A種種類株式の発行は、みちのりホールディングスによる当社の経営権の取得を阻害するものではない。
・また、本第9回新株予約権は無償でみちのりホールディングスに割り当てられるため、当該割当による資金調達は生じないものの、本第9回新株予約権の行使価額は1個当たり20円とされており、全ての本第9回新株予約権が行使された場合、資金調達の額は総額3億円となる。
・みちのりホールディングスによれば、本第9回新株予約権は、今後の新型コロナウイルス感染症の拡大状況等に伴う資金繰り状況に応じて行使を行うことで、必要な時期に即時性をもって資金投入が可能となる手段として想定しているとのことであり、当社の資金繰りの状況や現在の新型コロナウイルス感染症のオミクロン株の拡大等の状況を踏まえても本第9回新株予約権を発行することの合理性は認められると考えられる。そして、本出資契約(みちのりホールディングス)におけるみちのりホールディングスの遵守事項として、当社において本第9回新株予約権の行使に伴う払込みを受ける合理的な必要性が認められるとみちのりホールディングスが判断した場合には、みちのりホールディングスは、本第9回新株予約権を行使することが定められる予定であり、当該説明と矛盾又は抵触するものではない。
・なお、本A種種類株主は、当社に対しいつでも、取得請求権の行使により、本A種種類株式1株に対し普通株式1株の比率で、本A種種類株式を当社普通株式へ転換することができることとされており、当該普通株式への転換請求権又は本第9回新株予約権若しくは本第10回新株予約権が行使された場合には、新潟県、佐渡市、第四北越銀行及び佐渡農業協同組合の議決権割合は低下することになる。もっとも、割当先となるみちのりホールディングスからは、当面の間、本A種種類株式に係る普通株式を対価とする取得請求権を行使しない旨の口頭での回答が得られていることや、本第9回新株予約権及び本第10回新株予約権が行使される時期又は行使される具体的な数は現時点では明らかではないことを踏まえると、上記の点が本A種種類株式第三者割当及び本第9回新株予約権第三者割当を組み合わせて資金を調達することの合理性を直ちに否定することにはならないと評価することも不可能ではないと考えられる。
以上の点より、本A種種類株式の発行及び本第9回新株予約権の無償割当は、即時の希薄化による既存株主への影響を防止しつつ、当社が必要とする資金又は当社に将来的に追加で必要となる可能性のある資金を即時性をもって又は当社の資金需要に応じて調達することを可能とするものであるから、これらの手段を用いることには相当性が認められる。
c.上記を踏まえたみちのりホールディングス第三者割当の手段の相当性
・以上のとおり、みちのりホールディングス第三者割当は、当社の事業に深く関与して経営を行う必要性を踏まえて普通株式の発行を行うことに加えて、無議決権型の本A種種類株式の発行及び本第9回新株予約権の無償割当を組み合わせるスキームであり、当社の資金需要に合致した形で一定額を確実に調達できるのみならず、既存株主に対する希薄化や資金需要の変動にも配慮したものであると考えられる。
・また、新型コロナウイルス感染症拡大からの輸送需要の回復期間と位置づけている2022年4月から2023年12月における当社の資金繰りは、上記の取引金融機関との取引条件の見直しを含めてもなお相当程度厳しい状況になることが予想されるところ、当社のキャッシュ・フロー計画においては、当該期間の運転資金、船舶の老朽化設備等の更新投資及び船舶以外の老朽化設備等の更新投資に要する支出を踏まえた資金繰りを維持するのに必要な資金として、当社において合計1,133百万円という金額を設定しており、当該金額は本普通株式第三者割当及び本A種種類株式第三者割当によって調達されることが見込まれる金額(1,200百万円)に概ね合致する。また、当社は、取引金融機関から2023年12月末までの元本返済猶予及びその後15年間の分割返済等を内容とする金融支援を受ける前提として、債務超過の解消に向けた本再生計画案を策定している。具体的には、当社グループは2024年12月期に実質的な債務超過を解消することが見込まれている。これは、5年以内に実質的な債務超過を解消することを要件とする、中小企業再生支援協議会事業実施基本要領にも適合するものである。さらに、本第9回新株予約権の行使により調達できる最大額である3億円は、今後の新型コロナウイルス感染症の拡大状況等に伴う資金繰り状況に応じて即時に調達すべき金額として、合理的な金額といえる。
・加えて、本特別委員会によるヒアリング結果によれば、みちのりホールディングスは、これまでに複数の地場のバス会社の経営改善に取り組んでいるほか、南紀白浜空港での経営参画の実績を有しており、周辺施設や二次交通との連携を行うといった同空港での取り組みを当社においても活用することを検討しているとのことであった。加えて、みちのりホールディングスの傘下に東北地方を拠点とするバス会社もあることを活かし、東北地方から新潟県への送客による観光業の活性化や、デジタル投資等にも取り組んでいくとのことであり、割当先としても適格性を有していると考えられる。
以上の点より、みちのりホールディングス第三者割当を上記の方法により実施することには相当性が認められる。
d.本B種種類株式第三者割当の手段の相当性
・本B種種類株式第三者割当は、取引金融機関が当社に対して有する債権の株式化による既存の有利子負債の圧縮及び資本の増強がみちのりホールディングス第三者割当の前提となっていることを踏まえて、当社、第四北越銀行及びみちのりホールディングスにおける協議を経て決定されたものである。
・本B種種類株式は無議決権であり、本B種種類株式は配当において普通株式に劣後し、普通株式を対価とする転換権も付されていないことからすれば、当社の既存株主への影響は限定的といえ、本B種種類株式第三者割当により調達する資金を当社の第四北越銀行からの借入金に充当することで、有利子負債の圧縮及び資本の増強が可能となるものである。
以上の点より、みちのりホールディングスから示された条件及び当社の置かれた財務状況、並びに本B種種類株式の内容が普通株式に劣後するものであることを考慮すれば、本B種種類株式を発行することによる当社の既存株主への影響は限定的であると考えられることから、有利子負債の圧縮及び資本の増強を図ることを目的として本B種種類株式第三者割当を、本B種種類株式を発行する方法により実施することには相当性が認められる。
e.他の手段の利用可能性
・本普通株式第三者割当は大幅なディスカウント及び大規模な希薄化、並びに、本株式併合を通じた既存株主のスクイーズアウトが伴い、既存株主に与える影響が極めて大きいところ、他の手段の利用可能性がないかが問題となるが、当社は、既に新型コロナウイルス感染症対応資金として取引金融機関から借入れを行い、政府系金融機関より劣後ローンの調達を実施していることに加えて、既に当社グループが債務超過にあり、今後も多額の損失計上が継続することが予想され、かつ、2021年8月以降、取引金融機関より借入金及び保証債務の元本の返済の猶予を受けており、2022年4月以降の取引条件についても見直し等が必要な状況にある。そのため、当社においては、これ以上負債性の資金調達を行う余力はないと考えられる。
・地方自治体からの資金調達についても、既に2021年2月に佐渡市から第三者割当増資の引受けによる357,981千円の支援を、2020年12月に新潟県から「地域公共交通感染症拡大防止対策事業」として88,782千円の補助金及び「佐渡航路事業継続支援事業」として715,802千円の支援金による支援をそれぞれ受けており、追加的な支援を受けることは困難と判断している。
・このような状況において、当社は14社に対してスポンサー支援を打診し、その結果、一次意向表明に至ったのは2社に留まり、最終意向表明に至ったのはJPiX及びみちのりホールディングスのみであり、これに伴い提案を受けた本当初最終意向表明書に係る取引の内容を踏まえて当社にとって最適な取引内容について協議を重ねた結果、本子会社化取引の実施について合意に至ったものである。
以上の点を踏まえると、本子会社化取引は、当社の公共交通機関としての航路維持と企業の存続の観点から現時点で取り得る唯一かつ最善の策であり、相当な手段であると考えられる。
上記a.乃至e.の点より、本第三者割当に係る手段は相当であると考えられる。
(ウ)本第三者割当に係る取引条件の相当性
a.払込金額、発行条件及びスクイーズアウト価格の相当性
・本普通株式の払込金額、本A種種類株式の払込金額、本第9回新株予約権の行使条件及び本株式併合交付見込金額は、当社が大幅な債務超過であり、今後も追加的な損失計上を継続することを踏まえ、かつ、弁済期限が到来する借入金について返済猶予を受けている中で、スポンサー支援の前提でもある取引金融機関からの債務の株式化を含む金融支援に同意を得る必要がある状況下において、当社の大株主である地方自治体との間で継続的に実施した協議も踏まえつつ、みちのりホールディングスとの協議及び交渉を経た結果として最終的に合意したものであることが認められる。
・また、そのような観点から、本B種種類株式第三者割当における払込金額についても、同様に、第四北越銀行との真摯な交渉の結果決定された条件であると認められる。なお、これらの決定過程において、不合理な点は認められない。
・加えて、これらの価格については、本子会社化取引について重要な利害関係を有しない第三者算定機関である赤坂国際会計から取得した本普通株式、本A種種類株式、本第9回新株予約権及び本B種種類株式の価値算定結果の範囲内又はそれ以上に位置しており、また、本株式併合交付見込金額についても、本普通株式価値算定書の評価額の上限21円を9円上回り、かつ、本普通株式の払込金額に50%のプレミアムを付した金額となっているところ、当該算定結果において採用されたとされる各算定方法及び内容についても不合理な点は認められない。
・また、当社は赤坂国際会計より、本普通株式第三者割当の払込金額、本A種種類株式第三者割当の払込金額及び本第9回新株予約権の発行条件が、それぞれ、当社及びみちのりホールディングスを除く当社株主にとって、財務的見地から妥当である旨のフェアネス・オピニオン、本B種種類株式第三者割当の払込金額が、当社及び第四北越銀行を除く当社株主にとって、財務的見地から妥当である旨のフェアネス・オピニオン、並びに、本株式併合交付見込金額が、当社、みちのりホールディングス及び第四北越銀行を除く当社株主にとって、財務的見地から妥当である旨のフェアネス・オピニオンをそれぞれ取得している。
以上の点より、本普通株式の払込金額、本A種種類株式の払込金額、本第9回新株予約権の行使条件、本B種種類株式の払込金額及び本株式併合交付見込金額は、いずれも相当なものと認められる。
b.希薄化の相当性
・本普通株式第三者割当により発行される本普通株式は33,805,000株(議決権数は338,050個)であり、2021年12月31日現在の当社発行済株式総数17,006,947株に対する比率は198.77%(2021年12月31日現在の当社議決権総数168,861個に対する比率は200.19%)、本A種種類株式の全てが当初の条件で普通株式に転換された場合に交付される株式数は26,195,000株(議決権数261,950個)であり、2021年12月31日現在の当社発行済株式総数17,006,947株に対し154.03%(2021年12月31日現在の当社議決権数168,861個に対しては155.13%)、本第9回新株予約権の全てが行使された場合に交付される普通株式数は15,000,000株(議決権数150,000個)であり、2021年12月31日現在の当社発行済株式総数17,006,947株に対する比率は88.20%(2021年12月31日現在の当社議決権総数168,861個に対する比率は88.83%)である。これらを合計した、みちのりホールディングス第三者割当による普通株式に係る潜在株式数を含む発行株式数は75,000,000株(議決権数は750,000個)であり、2021年12月31日現在の当社発行済株式総数17,006,947株に対し、441.00%(2021年12月31日現在の当社議決権総数168,861個に対しては444.15%)の割合で希薄化が生じることとなる。なお、本第9回新株予約権は、本株式併合、本子会社化取引及び本株式分割の完了後に行使がなされることを想定し、行使期間の始期を本株式併合、本子会社化取引及び本株式分割の完了が見込まれている2022年7月1日に設定しているとともに、本出資契約(みちのりホールディングス)上、当社において本第9回新株予約権の行使に伴う払込みを受ける合理的な必要性が認められるとみちのりホールディングスが判断した場合には、みちのりホールディングスは、本第9回新株予約権を行使する旨合意する予定であるところ、みちのりホールディングス第三者割当による普通株式に係る潜在株式数を含む発行株式数75,000,000株(議決権数は750,000個)の、本株式併合、本子会社化取引及び本株式分割の完了後の当社発行済株式総数50,760,000株に対する比率は147.75%(本株式併合、本子会社化取引及び本株式分割の完了後の当社議決権総数507,600個に対する比率は147.75%)となる。なお、本B種種類株式は、普通株式を対価とする取得請求権又は取得条項が付与されておらず、また当社株主総会における議決権も付与されないため、本B種種類株式の発行によって普通株式の希薄化は生じない。
・しかしながら、①当社は、2021年12月期第3四半期連結累計期間末で2,299,571千円の債務超過となっており、2022年3月末日に返済猶予の期間が満了する6,833,120千円を含む当社の借入金合計8,770,800千円を同年4月以降に約定通りに弁済すること及び同月以降の資金繰りを維持することが困難となっている状況にあるところ、本第三者割当の発行規模は、当社が、そのような状況において、安全で安定した運航を実現するために必要な設備やサービスを維持しつつも、当面の事業継続に最低限必要と見込まれるキャッシュ・フローを確保することに加えて、大幅な債務超過額を可及的に圧縮し財務基盤の回復を図るために必要最低限の規模に設定されていること(なお、当社は、2022年3月末日に返済猶予の期間が満了する6,833,120千円を含む当社の借入金合計8,770,800千円については、(a)そのうち15億円については本B種種類株式第三者割当による手取金を第四北越銀行に対する既存借入金の弁済に充てる他、(b)5,830,800千円については、2023年12月末までの元本返済猶予及びその後15年間の分割返済とする借換え及び条件変更、(c)劣後ローン1,440,000千円については返済条件の維持を内容とする金融支援を受ける予定であり、金融支援実施後の条件に従い返済することを想定している。)、②本第三者割当は、他の資金調達方法との比較においても、最も適切な資金調達手法と考えられること、③本普通株式、本A種種類株式、本第9回新株予約権及び本B種種類株式の払込金額その他の発行条件についても、当社をとりまく厳しい財務状況並びに取引金融機関の意見や、大株主である地方自治体との間で継続的に実施した協議も踏まえつつ、大幅な債務超過に陥っている財務状況を考慮の上で、本普通株式価値算定書で示されたDCF法による算定結果(0円から21円)を参照しながら、みちのりホールディングスとの協議及び交渉を重ねた結果、決定された当社にとって現時点で最善の条件であり、本普通株式価値算定書、本A種種類株式価値算定書、本第9回新株予約権価値算定書及び本B種種類株式価値算定書で示された算定結果に照らしても公正性及び妥当性が認められると判断できること、④本A種種類株式に与えられた普通株式を対価とする取得請求権は発行要項上はいつでも行使することができるとされているものの、当社は、本特別委員会による質問に対し、割当予定先となるみちのりホールディングスから、当面の間、本A種種類株式に係る普通株式を対価とする取得請求権を行使しない旨の口頭での回答を得ており、本第三者割当により直ちに全ての希薄化が生じるものではないと考えられること、⑤実際には、本普通株式、本A種種類株式、本第9回新株予約権及び本B種種類株式が発行された場合においても、本普通株式以外は議決権がないため、本第三者割当発行の時点では、現在の普通株式の保有者の有する議決権についての即時の希薄化は一定程度抑制されていることといった事情を踏まえれば、本第三者割当によって生じる大規模な希薄化を考慮してもなお、本第三者割当を実行することには合理性が認められると考えられる。
・また、本当初最終意向表明書に係る取引を実行した場合において想定される大規模な希薄化を回避するために、当社とみちのりホールディングスとの協議の結果、本A種種類株式第三者割当及び本第9回新株予約権第三者割当を行うことで、大規模かつ急激な希薄化が生じることに配慮しているものであり、この点でも相当性を有するものといえる。
以上の点より、本第三者割当に係る取引条件は相当であると考えられる。
(エ)本子会社化取引及びこれに引き続いて行われる当社株式の上場廃止に関して、当社が本子会社化取引に係る取引に関する決定をすることは、当社の少数株主にとって不利益なものではないか
・当社の足元の状況において、2022年3月末日に返済猶予の期間が満了する借入金6,833,120千円を含む当社の借入金合計8,770,800千円について、同年4月以降、約定通りに弁済することが困難になるだけでなく、同月以降の資金繰りを維持することも困難となっている状況にあり、スポンサー支援を受けられない場合、早期に資金繰りはショートし、事業運営の継続が困難になり、法的整理手続に至る可能性がある。そして、法的整理手続に至った場合、様々な混乱が生じて公共交通機関としての役割を果たせなくなるおそれがあるだけでなく、株式価値も著しく毀損されるおそれがある。このような状況下において、当社の少数株主をスクイーズアウトし、当社の株式を上場廃止するとの方策は、当社のスポンサー選定の過程において唯一提出を受けたJPiX及びみちのりホールディングスによる本当初最終意向表明書における提案内容に含まれていたものである。
・当社は、JPiX及びみちのりホールディングスとの間で当社に対するスポンサー支援の具体的な内容についての協議を続けてきたが、JPiX及びみちのりホールディングスとしては、デュー・ディリジェンスの結果として、足元の新型コロナウイルス感染症による緊急事態宣言の断続的な発出等の影響を受けた移動制限による利用客の減少や中長期的に見た地域の人口減少など不透明かつ厳しい事業環境が続く中で、中長期的な視点で安定的に生活航路を営む事業者として事業を継続するためには、主要株主である地方自治体や第四北越銀行等とともに当社の事業及び組織の構造改革を強力に進めることが必須であるとの認識を持つに至ったとのことである。そのような認識のもとで、みちのりホールディングスとしては、当社へ必要となる大規模な資本注入を行った場合、希薄化率が300%を超えるため上場廃止基準に抵触し得ること、また、仮に本子会社化取引を実施しない場合でも、当社は2期連続の債務超過となり、上場廃止基準に抵触することが予想されるとのことから、もし仮に当社が本株式併合等の方策を講じないままこれらの上場廃止に至った場合には、株式の流動性が失われることとなるため、本株式併合を通じて、少数株主から既存株式を取得することが、少数株主保護にも資すると考えているとのことである。
・さらに、当社は、本特別委員会からの意見も踏まえ、少数株主の利益保護の観点から、本株式併合に加えて、本第10回新株予約権無償割当を予定している。この点、当社及びみちのりホールディングスは、少数株主の利益保護の方法として、本第三者割当のみを実施することや本第三者割当の後に、本株式併合ではなく公開買付けを実施する方法等についても検討を行っている。もっとも、本第三者割当のみを実施した場合には、希薄化率が300%を超えて上場廃止基準に抵触し得ること、また、当社グループが既に大幅な債務超過に陥っており、やはり上場廃止基準に抵触し得ることからすると、本株式併合を実施することで、少数株主に対し上場廃止前に当社株式の売却の機会を与えることが望ましいと判断したとのことである。また、本第三者割当の後に、本株式併合ではなく公開買付けを実施する方法については、当社の株式の保有を継続したいとの既存株主の意向を尊重できるものの、公開買付けの開始を認識できなかった、又は応募手続を失念し、スクイーズアウトの機会を失してしまう株主が相当数生じることが懸念されるとともに、上記のとおり、複数の上場廃止基準に抵触し得る状況にあることから強圧性が生じるリスクが否定できず、かえって少数株主に不利益を与えかねないことが懸念されたことから最良の手段ではないと判断し、最終的に本株式併合に加えて本第10回新株予約権無償割当の方法によることにしたとのことである。
・かかる検討の経過に不合理な点は特段見当たらず、本株式併合は、本普通株式第三者割当に係る払込金額に一定の金額を上乗せした金額を支払って少数株主を一律にスクイーズアウトすることで、少数株主に対して合理的かつ平等な退出の機会を与え、さらなるリスクにさらす事態を避けることを可能にするとともに、本株式併合後も当社の株式を保有したいとの意向を有している既存株主は、本第10回新株予約権を行使することによって、本株式併合前の保有株数で当社の株式を継続して保有することが可能になることから、当社の少数株主保護の観点から最も適切な方法であると考えられる。
・また、当社としても、既に債務超過に陥っており、2021年8月以降、取引金融機関に対して、2022年3月末までの借入金及び保証債務の元本返済猶予を依頼し、2022年3月末日に弁済猶予の期限が到来する借入金について、同年4月以降、約定通りに弁済することが困難な状況の中、当社の現在及び将来のキャッシュ・フローや足元の資金繰りの状況を踏まえると、当社の実勢の株式価値は市場価格に比して著しく低く、かつ仮に大規模な資本増強が早期に実行されなければ、当社グループの足元の資金繰りが滞り、事業継続が困難な状況であると考えられる。
・このような状況において、2021年4月にスポンサー候補者の選定を開始して以降、当社株式の上場を維持した形でのスポンサー支援の可能性についても複数の候補先と繰り返し協議を行ったものの、結果的に、当社の上場を維持することを前提とした提案を行った候補先は存在しない中で、上場を維持する形でのスポンサー支援の取得、ひいては債務超過の解消は期待できないと考えていること、少数株主をさらなるリスクにさらすこととなるおそれがあり、株式価値がさらに毀損する前に、少数株主に対して、引き続き当社の株式を継続して保有する方法を与えつつ、合理的な対価を支払った上で、当社を非公開化することが少数株主の利益にも資すると判断しており、その判断には不合理な点は認められない。
・そして、当社の現在及び将来のキャッシュ・フローや足元の資金繰りの状況を踏まえると、株式価値算定結果にも表れているとおり、当社の実質的な株式価値は市場価格に比して著しく低いと考えられる。したがって、この段階で、既存株主に対して上記のとおり公正かつ妥当と認められる本株式併合交付見込金額を支払うことは、少数株主に対しても合理的な救済策となると考えられる。
・また、以下の点により本子会社化取引の手続は公正であると考えられる。
a.①本当初最終意向表明書の提出を受けてから本特別委員会が速やかに設置されており、取引条件の形成過程の初期段階から、本特別委員会が当社とみちのりホールディングスとの間の交渉に関与する状態が確保されていたことが認められること、②本特別委員会の委員は、それぞれ独立性を有することが確認されており、専門性・属性にも十分配慮して選定されたことが認められること、③本特別委員会は、みちのりホールディングスに対し、みちのりホールディングス第三者割当における払込金額及び本株式併合交付見込金額について、引き上げの打診や再検討を要請するなど、複数回にわたって交渉を続けてきており、みちのりホールディングスとの間の取引条件に関する交渉過程に、具体的かつ実質的に関与してきたこと、④本子会社化取引の検討に際しては、本特別委員会は、当社の第三者算定機関である赤坂国際会計、財務(フィナンシャル)アドバイザーであるフロンティア・マネジメント、並びに法務(リーガル)アドバイザーである西村あさひ法律事務所について、それぞれ、独立性及び専門性に問題がないことを確認の上、取引における手続の公正性等について慎重に検討及び協議を行っていることが認められること、⑤本特別委員会においては、非公開情報も含めて重要な情報を入手し、これを踏まえて検討・判断を行うことのできる体制が整備されていること、⑥本特別委員会の各委員の報酬については、役員報酬とは別に、本子会社化取引の全部若しくは一部の成否又は答申内容にかかわらず、固定の報酬額が支払われることとなっていることを踏まえると、本特別委員会の委員が時間的・労力的なコミットメントを行いやすく、かつ本子会社化取引の成否から独立した立場から判断を行うための環境が整えられていること、⑦本子会社化取引の検討・交渉に際しては、適切な社内検討体制、及び利害関係を有する取締役を本子会社化取引の検討・交渉に関与させない体制が整備されていたことが認められることから、本子会社化取引の検討に際して、本特別委員会が有効に機能していたことが認められる。
b.本子会社化取引に係る当社取締役会の意思決定の過程における公正性及び適正性を確保するために、当社及びみちのりホールディングスから独立したリーガル・アドバイザーとして西村あさひ法律事務所を選任し、同事務所から、本子会社化取引に関する諸手続を含む当社取締役会の意思決定の方法及び過程その他の留意点について、適切な専門的助言を得ていたことが認められる。
c.財務(フィナンシャル)アドバイザーであるフロンティア・マネジメントに加えて、当社、みちのりホールディングス及び第四北越銀行から独立した第三者算定機関として、赤坂国際会計を選定し、同社に当社の株式及び新株予約権の価値の算定を依頼し、2021年2月4日付で本普通株式価値算定書、本A種種類株式価値算定書、本第9回新株予約権価値算定書及び本B種種類株式価値算定書並びにフェアネス・オピニオンを取得している。
d.JPiXを含む14社の候補者に対してスポンサー支援を打診し、各社との協議を経て最終的にJPiX及びみちのりホールディングスのみから最終意向表明書の提出を受けており、スポンサー候補の選定過程にあたり他の潜在的な買収者による対抗的な買収提案が行われる機会を十分に確保していたことが認められる。
e.本子会社化取引においては、本特別委員会に関する情報、上記各価値算定書及びフェアネス・オピニオンに関する情報といったオピニオンに関する情報等が十分に開示される予定であるものと認められる。
以上の点より、株式併合の実施によるスクイーズアウト及び当社の上場廃止に至るまでの判断に不合理な点は認められず、当社の現状を踏まえれば、本第三者割当に係る取引条件は相当であり、現段階で既存株主に対して公正かつ妥当と認められる本株式併合交付見込金額を支払うことは、少数株主に対しても合理的な救済策となると考えられる一方で、本株式併合後も当社の株式を保有したいとの意向を有している既存株主は、本第10回新株予約権を行使することによって、本株式併合前の保有株数で当社の株式を継続して保有することが可能になるように配慮がなされていること、及び、本子会社化取引における手続の公正性は確保されていると考えられ、本特別委員会において、本子会社化取引による当社の子会社化が当社の少数株主にとって不利益なものであると考える事情等は特に見当たらなかったことからすれば、当社が本子会社化取引に係る取引に関する決定をすることは、当社の少数株主にとって不利益なものではないと考えられる。
以上のとおり、本特別委員会からは、本第三者割当には必要性及び相当性が認められ、当社の少数株主にとって不利益とは認められないとの意見が得られております。そして、本日付の取締役会において、本特別委員会の上記意見を踏まえた結果、少数株主への影響を勘案しましても、本第三者割当に係る発行数量及び株式の希薄化の規模は、合理的であると判断いたしました。
g.株式併合等の予定の有無及び内容
(a)株式併合の目的及び理由
上記「a.割当予定先の状況 (b)割当予定先の選定理由 ア.本第三者割当に至る経緯及び目的 (ウ)みちのりホールディングス第三者割当、本株式併合及び本第10回新株予約権無償割当を実施することを決定した経緯及び理由」に記載のとおり、(ⅰ)上記「a. 割当予定先の状況 (b)割当予定先の選定理由 ア.本第三者割当に至る経緯及び目的 (ア)当社の財務状況及び大規模な資本性資金の調達の必要性」に記載の通り、資金繰りの懸念により大規模な資金調達の早期の実現が不可欠となっている状況において、急激な希薄化が直ちに生ずることに対して配慮しつつも、当社が、安全で安定した運航を実現するために必要な設備やサービスを維持した上で、当面の事業継続に最低限必要と見込まれるキャッシュ・フローを確保し、大幅な債務超過額を可及的に圧縮し財務基盤の回復を図るため、本普通株式第三者割当、本A種種類株式第三者割当、本第9回新株予約権第三者割当を実施し、併せて、(ⅱ)当社とみちのりホールディングス、新潟県、佐渡市、第四北越銀行及び佐渡農業協同組合が一体となって、地域交通事業者として航路の存続が可能となるように構造改革を推し進めるとともに、少数株主の皆様をさらなるリスクにさらす事態を避けるために、本株式併合を実施し、(ⅲ)長きに亘り当社をご支援いただいております少数株主の皆様が本子会社化取引後も当社の株式を継続して保有していただく機会を確保するため、本第10回新株予約権無償割当を実施することが最も適切であると判断いたしました。
そこで、当社は、上記のとおり、本日開催の当社取締役会において本第三者割当を決議し、本定時株主総会において株主の皆様のご承認をいただくことを前提に、本株式併合を実施することといたしました。
本株式併合により、株式の数に1株に満たない端数が生じた当社の株主の皆様の保有する当社株式の数は、1株に満たない端数となる予定です。
(注)本株式併合の効力発生時点までに、270,000株以上の当社普通株式を所有する株主が存在することとなる場合には、本株式併合後に当社の株主となる株主に変更が生じる可能性があります。もっとも、その場合であっても、本株式併合の割合の変更等の当社の株主構成を調整するための手続は実施しない予定です。
(b)株式併合の要旨
① 株式併合の日程
本第三者割当、本株式併合等に関する取締役会決議日2022年2月7日
本定時株主総会に関する取締役会決議日2022年2月25日(予定)
本定時株主総会開催日2022年3月25日(予定)
本第三者割当に係る本普通株式、本A種種類株式、第9回新株予約権及び本B種種類株式の発行日2022年3月31日(予定)
当社普通株式の東京証券取引所における整理銘柄への指定日2022年3月31日(予定)
当社普通株式の東京証券取引所における売買最終日2022年5月2日(予定)
当社普通株式の東京証券取引所における上場廃止日2022年5月6日(予定)
自己株式の消却2022年5月9日(予定)
本株式併合効力発生日2022年5月10日(予定)

② 株式併合の内容
(ⅰ)併合する株式の種類
普通株式
(ⅱ)併合比率
本株式併合効力発生日をもって、その前日の最終の株主名簿に記載又は記録された株主の所有する当社株式について、270,000株を1株に併合いたします。
(ⅲ)減少する発行済株式総数
普通株式 50,801,058株
(ⅳ)効力発生前における発行済株式総数
普通株式 50,801,246株
(注) 効力発生前における発行済株式総数は、本第三者割当後の発行済株式総数(50,811,947株)から、当社が本日開催の当社取締役会においてその消却を決議し、2022年5月9日付で消却される予定の本日現在当社が所有する自己株式の数(10,701株)を除いた株式数です。
A種種類株式 26,195,000株
B種種類株式 1,500株
(ⅴ)効力発生後における発行済株式総数
普通株式 188株
A種種類株式 26,195,000株
B種種類株式 1,500株
(ⅵ)効力発生日における発行可能株式総数
26,197,000株
(ⅶ)1株未満の端数が生じる場合の処理の方法及び当該処理により株主に交付されることが見込まれる金銭の額
上記「(a)株式併合の目的及び理由」に記載のとおり、本株式併合により、少数株主の皆様が所有する当社株式の数は、1株に満たない端数となる予定です。
本株式併合の結果生じる1株に満たない端数の処理の方法については、その合計数(会社法第235条第1項の規定により、その合計数に1株に満たない端数がある場合には、当該端数は切り捨てられます。)に相当する数の株式を、同法第235条第2項その他の関係法令の規定に従って売却し、その端数に応じて、その売却によって得られた代金を株主の皆様に交付いたします。当該売却については、当社は、会社法第235条第2項の準用する同法第234条第2項の規定に基づき、裁判所の許可を得て、当該端数の合計数に相当する当社株式をみちのりホールディングスに売却することを予定しております。
この場合の売却価格につきましては、上記裁判所の許可が予定通り得られた場合は、本株式併合前に株主の皆様が所有する当社株式の数に、30円を乗じた金額に相当する金銭が交付されるような価格に設定することを予定しております。
h.その他参考になる事項
該当事項はありません。
(12)その他の事項
a.提出日現在の資本金の額及び発行済株式総数
資本金の額 1,028,184,056円
発行済株式総数 普通株式 17,006,947株
b.本B種種類株式第三者割当は、本前提条件が全て満たされることを条件としています。
c.本第10回新株予約権無償割当に関する事項
長きに亘り当社をご支援いただいております少数株主の皆様が、本子会社化取引後も、当社の株式を保有していただく機会を確保するため、本株式併合において交付される金銭を当社へ再出資することで本株式併合前の保有株数で当社の株式を保有できるよう、2022年5月9日を基準日として、当該基準日の最終の株主名簿に記載又は記録された株主の皆様に対して、同年6月30日を効力発生日として、会社法第277条に規定される新株予約権無償割当の方法により、本第10回新株予約権を割り当てることを決議いたしました。なお、当社は、本出資契約(みちのりホールディングス)において、みちのりホールディングスが本第10回新株予約権無償割当により割当てを受ける本第10回新株予約権の全てを、割当日である2022年6月30日付で放棄する旨を合意する予定です。
なお、当社は、本再出資を実施する株主が本株式併合前の保有株数で当社の株式を継続して保有していただく機会を確保するという観点から、本株式併合後、当社普通株式の1株当たりの価値を本株式併合前と同水準とするため、2022年6月28日を基準日とし、同月29日を効力発生日として、当該基準日の最終の株主名簿に記載又は記録された株主の保有する当社普通株式1株を270,000株に分割することも併せて決議しております。
詳細については、2022年2月7日付で当社が提出した本第10回新株予約権に係る有価証券届出書をご参照ください。
以 上