四半期報告書-第53期第2四半期(平成27年7月1日-平成27年9月30日)

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2015/11/13 9:18
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財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。
なお、第1四半期連結累計期間より、「企業結合に関する会計基準」(企業会計基準第21号 平成25年9月13日)等を適用し、「四半期純損失」を「親会社株主に帰属する四半期純損失」としております。
(1)業績の状況
当第2四半期連結累計期間におけるわが国経済は、円安の継続に伴う企業業績の回復から、雇用・所得環境に改善傾向が続いておりますが、中国経済の減速等による海外景気の下振れリスクの影響が懸念される等、先行きは不透明な状況となっており、当社を取り巻く環境は厳しい状況となっております。
このような経済環境の中、当社グループは引き続き、きのこ事業を中心として、健康食材の王様「きのこ」の研究開発、生産、販売を通してより多くの皆さまへ、おいしさと健康をお届けできるよう事業活動を行ってまいりました。また、当期は、中期的な事業展開に向けた新たな課題に対応するため、「お客様のニーズにお応えした商品戦略、事業戦略の構築」を主眼に置いた経営戦略を実践し、市況に左右されない強靭な企業体質を構築するべく、事業活動を推進してまいりました。
その結果、当第2四半期連結累計期間の当社グループの業績は、売上高271億65百万円(前年同四半期比5.8%増)、営業損失9億75百万円(同営業損失金額17億12百万円)、経常損失7億86百万円(同経常損失金額10億30百万円)、親会社株主に帰属する四半期純損失は8億56百万円(同親会社株主に帰属する四半期純損失金額8億29百万円)となりました。
なお、当第2四半期連結累計期間の生産量は、ブナピーを含めブナシメジ19,326t(同3.6%減)、エリンギ9,259t(同0.1%減)、マイタケ6,461t(同1.3%増)となりました。
当第2四半期連結累計期間の各セグメントの概況は次のとおりであります。
なお、第1四半期連結会計期間より、報告セグメントの区分を変更しており、以下の前年同四半期比較については、前年同四半期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しております。
「国内きのこ事業」
生産部門におきましては、清潔第一をモットーに日々の清掃と衛生管理を徹底し、安定栽培と品質の向上に努めてまいりました。八女第二きのこセンターが、平成26年9月よりブナシメジの出荷を開始しましたが、平成26年9月より新潟第二きのこセンターをブナシメジから「霜降りひらたけ」の生産に変更したこと、本年4月に発生いたしました火災により苫小牧第一きのこセンターでのブナシメジの出荷が出来なくなったこと及び平成27年5月より富山きのこセンターをカットブナシメジの生産に変更したこと等により、国内のブナシメジの生産量は減少いたしました。老朽化のために一時生産を休止しておりました八女東きのこセンターは、平成27年8月からエリンギの出荷を開始いたしました。
研究部門におきましては、品質管理体制の強化と付加価値の高い新製品の開発に取り組んでまいりました。平成26年12月より建設に着手いたしましたシイタケ栽培技術研究施設は平成27年7月に完成し、10月に初収穫となりました。
販売部門におきましては、引き続き「菌活」を合言葉に菌類の摂取を推進し、消費者の皆様の健康づくりに寄与できるよう働きかけるとともに、鮮度に拘った営業活動を行ってまいりました。個人消費の回復の遅れなど厳しい販売環境にありましたが、天候不順で他の野菜が品薄になったことにより価格が上昇する中、きのこの引き合いが強まったこともあり、きのこの価格は堅調に推移いたしました。
以上の結果、国内きのこ事業全体の売上高は174億24百万円(同6.9%増)となりました。
[海外きのこ事業]
海外きのこ事業におきましては、米国と台湾の子会社が稼働率を高めたことや、マレーシアの子会社が平成27年2月よりブナシメジの生産を開始したことにより生産量は増加いたしました。台湾の現地法人「台灣北斗生技股份有限公司」におきましては、きのこの需要の拡大が期待できる中国での販売を念頭においたマーケットリサーチを行いながら、ブランドの構築、販促提案などに力を入れ販売活動を行ってまいりました。米国の現地法人「HOKTO KINOKO COMPANY」におきましては、非アジア系顧客の新規開拓に注力し、販売の拡大を目指してまいりました。また、マレーシアの現地法人「HOKTO MALAYSIA SDN. BHD.」におきましては、マレーシア国内に限らず、広く東南アジアのマーケットでの販売を展開してまいりました。
以上の結果、海外きのこ事業全体の売上高は21億26百万円(同21.4%増)となりました。
[加工品事業]
加工品事業におきましては、健康食品分野への参入や、加工用としての市場開拓、健康食品・レトルト食品を中心とした通販事業など、幅広い事業を展開すべく準備を進めてまいりました。また、自社きのこを活用した新商品の開発に着手いたしました。子会社の株式会社アーデンにおきましては、OEMを中心とした製造に加えて、自社きのこを活用したオリジナリティ溢れるレトルト食品の開発も始めました。
以上の結果、加工品事業の売上高は28億50百万円(同4.8%増)となりました。
[化成品事業]
化成品事業におきましては、製品原価の高止まりから引き続き厳しい販売環境にありましたが、中核であります包装資材部門におきまして、効率化や利益率の改善を図るため営業戦略を見直し、販売強化に注力してまいりました。また、本年4月より、新規戦略本部を立ち上げ、自社製品への取り組みを強化してまいりました。農業資材部門におきましては、資材の提供だけではなくきめ細やかなサポートを強化してまいりました。
以上の結果、化成品事業の売上高は47億63百万円(同3.1%減)となりました。

(2)財政状態の分析
当第2四半期連結会計期間末における資産、負債、純資産の状況とそれらの要因は次のとおりであります。
①資産の部
資産の部は862億42百万円となり、前連結会計年度末より44億49百万円増加いたしました。流動資産は190億70百万円となり、前連結会計年度末より32億37百万円の増加となりました。これは主に現金及び預金10億14百万円、受取手形及び売掛金10億8百万円、商品及び製品3億56百万円及び仕掛品3億18百万円の増加によるものであります。固定資産は671億71百万円となり、前連結会計年度末より12億12百万円の増加となりました。これは主に有形固定資産19億49百万円の増加と投資その他の資産6億4百万円の減少によるものであります。
②負債の部
負債の部は390億19百万円となり、前連結会計年度末より73億16百万円増加いたしました。流動負債は319億95百万円となり、前連結会計年度末より63億4百万円の増加となりました。これは主に短期借入金65億80百万円の増加によるものであります。固定負債は70億23百万円となり、前連結会計年度末より10億11百万円の増加となりました。これは主に長期借入金11億79百万円の増加によるものであります。
③純資産の部
純資産の部は、472億23百万円となり、前連結会計年度末より28億66百万円の減少となりました。これは主に配当金15億66百万円の支払と親会社株主に帰属する四半期純損失8億56百万円の計上による利益剰余金24億22百万円の減少及びその他の包括利益累計額5億34百万円の減少によるものであります。
(3)キャッシュ・フローの状況
当第2四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は51億14百万円となり、前連結会計年度末より9億66百万円増加いたしました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
①営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動により減少した資金は16億76百万円となりました。これは主に税金等調整前四半期純損失9億50百万円および減価償却費25億77百万円の計上、売上債権の増加10億36百万円及び法人税等の支払額21億18百万円によるものであります。
また、前年同四半期連結累計期間と比較して14億84百万円の支出の減少となりました。これは主に減価償却費の増加3億29百万円、為替による影響額5億74百万円の増加及び法人税等の支払の減少4億65百万円によるものであります。
②投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動により減少した資金は40億49百万円となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出41億9百万円によるものであります。
また、前年同四半期連結累計期間と比較して38百万円の支出の増加となりました。
③財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動により増加した資金は67億14百万円となりました。これは主に短期借入れによる収入85億80百万円及び配当金の支払額15億64百万円によるものであります。
また、前年同四半期連結累計期間と比較して3億8百万円の収入の増加となりました。これは主に長期借入れによる収入の増加12億51百万円及び短期借入金の返済による支出の増加10億円によるものであります。
(4)事業上及び財政上の対処すべき課題
当第2四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
(5)研究開発活動
きのこ研究開発活動につきましては、当社「きのこ総合研究所」におきまして、バイオテクノロジーを駆使し、新品種の開発、既存品種の改良、栽培方法の研究等きのこ全般に関する研究活動につとめております。
なお、当第2四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は120百万円であり、その主な成果は次の通りです。
[きのこ事業]
学会発表(口頭)
演 題 ラットのD-ガラクトサミン肝炎に及ぼす各種きのこの影響
発表日 2015年8月29日
学 会 日本食品科学工学会 第62回大会
千葉大学との共同研究
演 題 次世代シーケンサーを用いたマイタケ品種識別用SSRマーカーの開発
発表日 2015年9月5日
学 会 日本きのこ学会 第19回大会
演 題 純粋培養におけるススケヤマドリタケの子実体形成
発表日 2015年9月5日
学 会 日本きのこ学会 第19回大会
品種登録
登録品種の名称 HOKSY3号菌
品種登録の番号 第24526号
品種登録の年月日 2015年9月30日
登録品種の名称 HOKSY5号菌
品種登録の番号 第24527号
品種登録の年月日 2015年9月30日
特許関係
発明の名称 ヒラタケ属の新種及びその作出方法
登録日 2015年8月21日
特許番号 発明第Ⅰ 496885号
助成金採択
農林水産省の平成27年度知的財産を活用した国際展開の推進事業(品種保護に向けたDNA品種識別技術実用化事業)におけるDNA品種識別技術の妥当性の確認(エリンギ及びマイタケ)が採択された。
承認日 2015年5月18日
(6)経営成績に重要な影響を与える要因及び経営戦略の現状と見通し
①単価、気候変動リスク
元来、当きのこ業界は、きのこの特性からくる季節的要因により、きのこ単価、販売量とも春から夏にかけては不需要期で低迷し、秋から冬に最需要期を迎え上昇に転じる傾向にあります。このような要因により、通常上半期の業績は厳しい状況となり、需要期となる下半期は業績も堅調に推移いたします。しかしながら、最需要期である秋から冬にかけて、暖冬等による気候の変化やきのこの安定供給により市場が供給過剰気味に推移することなどから発生する価格変動等によって、需要期であるにも関わらず、消費が伸び悩み販売量の減少や単価の低迷に繋がり当事業の業績に影響を及ぼす可能性があります。
②安全性に係るリスク
食品の品質や安全性に対する消費者の意識は依然として高く、異物混入はもとより、生産及び製造過程における衛生面や使用原材料等についても消費者の関心は集められております。当社といたしましては、これら生産、製造、販売においては万全の管理体制で臨んでおりますが、衛生面や使用原材料等に予期せぬ問題が発生した場合、経営成績に多大な影響を与える可能性があります。
③海外事業に関するリスク
当社は現在、米国、台湾及びマレーシアにおきまして子会社を設置し、それぞれきのこセンターで生産・出荷を行っております。海外事業におきましては、現地の政治、経済情勢や法律、税制の問題、また公衆衛生、テロ等紛争など予期せぬ事態により当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。
(7)経営者の問題認識と今後の方針について
国内きのこ事業におきましては、消費者の食の安全、安心に対する意識の高まりはもとより、健康への寄与に対する注目も高まってきております。生産国、産地、使用原材料等についてだけでなく、成分や効能とその認知につきましても注意を払うところとなりました。このような状況において、当社も予期せぬ食品衛生上の問題等が発生し、経営成績に影響を受ける可能性があります。当社といたしましては、このような事態にならぬよう万全の管理体制のもと、研究、生産、販売を行なう所存であります。
現在、当社のきのこの製品は、ブナシメジをはじめ、エリンギ、マイタケ、ブナピーの4製品でありますが、全国的に試験販売を行っております新製品の霜降りひらたけ、一部地域において試験販売を行っております新製品ホンシメジ及び量産化に向けて栽培技術の開発中でありますシイタケの本格的な販売開始など、今後の新製品開発及び市場投入のピッチを速めることや、健康志向に合わせてこれらの持つ生理活性機能についての研究を強化することも欠かせないと考えております。また、多様化する消費者の商品選択志向や企業間競争の激化に対応するために、消費者のニーズを的確に捉えた臨機応変な販売戦略を展開していく所存であります。
一方、海外きのこ事業につきましては、米国・台湾・マレーシアに子会社を設置し、きのこの生産、販売を行っております。生産面におきましては、販売状況を勘案しながら徐々に稼働率を上げ、また販売面におきましては、販売力をより一層強化し、海外市場の拡大を進めていくことが不可欠であると考えております。台湾の子会社におきましては中国、マレーシアの子会社におきましては東南アジアを中心とした市場の開拓を進め、また米国の子会社におきましては、非アジア系顧客の新規開拓に注力し、さらなる販売の拡大に努めてまいります。
加工品事業につきましては、自社きのこを活用した新商品の開発、冷凍・乾燥アイテムの開発に注力し、健康食品、レトルト食品の販売を中心に、通販事業を合わせて営業力を強化しながら業務を拡大してまいります。
化成品事業につきましては、自社製品分野の拡大に取り組み販売活動を強化していくと共に、医療、介護分野など新たな分野に進出してまいります。