有価証券報告書-第90期(平成26年4月1日-平成27年3月31日)

【提出】
2015/06/29 16:09
【資料】
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【項目】
137項目

業績等の概要

(1)業績
当連結会計年度の世界経済は、欧州でデフレ不況の様相が強まり、ロシアでは欧米による経済制裁に加え資源価格の下落による経済の低迷が見られましたが、米国は好調に推移し、中国は内需不振と不動産市況の落ち込みはあったものの引き続きプラス成長となったことから、総じて緩やかな回復基調となりました。国内経済は、消費税増税に伴う駆け込み需要の反動減は当初の想定より大きかったものの、金融緩和による円安が企業の好業績を誘引し、雇用・所得状況も改善したことから、景況感は上向きました。
非鉄金属業界におきましては、ニッケル価格は、インドネシアの鉱石輸出規制による供給面への懸念によりしばらく高値を維持したものの、需給に大きな影響が出なかったことから下落に転じ、当連結会計年度末にかけては在庫の余剰感から急落しました。銅価格は、上昇する局面も見受けられましたが、中国の需要鈍化懸念の再燃により下落傾向となり、当連結会計年度末まで低迷した状況が続きました。金価格は下落傾向が継続し、当連結会計年度末にかけても軟調に推移しました。
材料事業の関連業界におきましては、車載用電池向け部材の需要が増加し、高機能携帯端末向けなどの部材も好調な販売環境を維持しました。
以上より、当連結会計年度の売上高につきましては、円安による増収及び電気ニッケルの増販などにより、前連結会計年度に比べ907億88百万円増加の9,213億34百万円となりました。
営業利益は、ニッケル価格の上昇及び在庫評価影響の好転などから、前連結会計年度に比べ503億61百万円増加の1,257億79百万円となりました。経常利益は、持分法による投資利益が減少したものの、営業利益が好転したことに加え為替差益が増加したことなどから、前連結会計年度に比べ598億74百万円増加の1,742億26百万円となりました。当期純利益は、ヴァーレ ニューカレドニア社への投資に対する投資損失引当金を計上しましたが、連結経常利益が好転したことにより、前連結会計年度に比べ108億55百万円増加の911億13百万円となりました。
セグメントの業績は、次のとおりであります。
① 資源セグメント
菱刈鉱山につきましては、操業は順調に推移しました。
海外鉱山につきましては、当社グループが自ら操業を行うポゴ金鉱山(米国)では、前連結会計年度に比べて鉱石の品位は低下したものの、前連結会計年度並みの生産量となりました。当社が経営に参画しているモレンシー銅鉱山(米国)の銅精鉱及び電気銅の生産は順調に推移しましたが、カンデラリア銅鉱山(チリ)の銅精鉱の生産量は減少し、セロ・ベルデ銅鉱山(ペルー)は電気銅の生産量は増加したものの銅精鉱の生産量は減少しました。
売上高は、前連結会計年度に比べ1億5百万円減少し1,137億91百万円となり、セグメント利益は、前連結会計年度に比べ152億88百万円減少し537億75百万円となりました。
なお、当社における金銀鉱(菱刈鉱)の産出量は、前連結会計年度に比べ6千t減少し148千t(含有金量6,891kg)となりました。
② 製錬セグメント
ニッケルは、平成25年に電気ニッケル生産能力の6万5千t/年への増産起業が完成し生産量が増加したことから、前連結会計年度を上回る販売量となりました。フィリピンにおいて高圧硫酸浸出(HPAL:High Pressure Acid Leach)技術を用いて低品位酸化ニッケル鉱石の処理を行っているコーラルベイニッケル社は、操業が順調に推移し前連結会計年度並みの生産量となり、タガニートHPALニッケル社は、生産を本格的に開始し順調な操業を継続しました。
銅は、東予工場の定期炉修を実施した前連結会計年度と比べて生産量が増加し、販売量も前連結会計年度を上回りました。
売上高は、前連結会計年度に比べ784億49百万円増加し7,102億91百万円となり、セグメント利益は、前連結会計年度に比べ522億19百万円増加し813億23百万円となりました。
なお、当社における銅の生産量は、前連結会計年度に比べ28千t増加し、429千tとなりました。金の生産量は、前連結会計年度に比べ1,363kg減少し、19,009kgとなりました。また、ニッケル(フェロニッケルを含む)の生産量は、前連結会計年度に比べ9千t増加し、80千tとなりました。
③ 材料セグメント
車載用電池、高機能携帯端末などの市場の順調な拡大により、これらに関連する材料への需要が増加し、ニッケル酸リチウム、タンタル酸リチウム基板、リードフレームなどの販売が好調に推移し増収となりました。セグメント利益は増収により前連結会計年度を上回りました。
売上高は、前連結会計年度に比べ208億81百万円増加の1,742億6百万円となり、セグメント利益は、前連結会計年度に比べ18億42百万円増加の129億14百万円となりました。
(2)キャッシュ・フロー
当連結会計年度におきましては、前連結会計年度に比べて税金等調整前当期純利益は増加しましたが、シエラゴルダ鉱山等への貸付やタガニートプロジェクト等での有形固定資産の取得を継続しつつ、借入金を返済したことから、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、前連結会計年度末から248億63百万円減少し、1,777億20百万円となりました。
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、たな卸資産が増加した一方で、税金等調整前当期純利益が増加し、法人税等の支払額が減少したことなどから、前連結会計年度に比べ399億89百万円収入が増加し、1,200億3百万円の収入となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは、新規の貸付の減少等により、前連結会計年度に比べ219億13百万円支出が減少し、1,050億24百万円の支出となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の新規借入の減少及び返済の増加により、前連結会計年度に比べ391億28百万円支出が増加し、390億47百万円の支出となりました。
(注)「事業の状況」に記載している金額は、「1 業績等の概要 (2)キャッシュ・フロー」を除き、消費税等を除いた金額であります。