有価証券報告書-第89期(平成25年4月1日-平成26年3月31日)

【提出】
2014/06/23 15:53
【資料】
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【項目】
138項目

研究開発活動

当社グループでは資源、製錬及び材料をコアビジネスとして選択と集中を進めるなか、研究開発においても研究開発費の重点配分を行い、「分離精製・結晶化技術」、「微粉末技術」、「表面処理技術」、「有機樹脂技術」、「評価解析技術」の5つからなるコア技術を定め、技術ドメインを明確にして重点的な開発を実行しております。具体的には、資源開発及び非鉄製錬分野におけるさらなる技術開発、また、材料分野では、最近社会的に関心が高いエネルギー環境関連の材料・新技術開発を中心に取り組んでおります。研究開発は新商品の売上目標規模を明確にした上で実施しており成果を挙げつつあります。
なお、当連結会計年度に投入した研究開発費は66億48百万円であり、各セグメントに配分できない基礎研究費用16億75百万円が含まれております。
セグメント毎の研究開発活動の状況は次のとおりであります。
(1)資源セグメント
非鉄原料鉱石の処理に関して、精鉱の品質及び実収率の改善ための浮遊選鉱、リーチング等の選鉱技術開発や、菱刈鉱山や国内の休廃止鉱山から排出される坑廃水の処理に関する技術開発を行っております。その他、探査技術や鉱石採掘法の効率化の技術開発等を行っております。
当セグメントに係る研究開発費は3億43百万円であります。
(2)製錬セグメント
非鉄金属事業において、原料対応力、コスト競争力強化に繋がる製錬技術の開発や新プロセス技術の開発を行っております。新たにHPAL法の原料となるニッケル鉱石からクロム分をクロマイトとして分離・回収する技術や、浸出残渣から鉄を資源化する技術を開発しパイロットプラントの建設を進めています。さらに、HPALプロセスからのスカンジウム回収の技術開発も進めておりパイロットプラントを建設し、操業試験を行う予定にしております。また、ハイブリッド自動車の二次電池からニッケルをはじめとするレアメタルなどのリサイクル・プロセスの開発も進めております。
当セグメントに係る研究開発費は9億40百万円であります。
資源・精錬分野における技術・設備面での競争力を一層強化するため、「資源・精錬開発センター」を新設することとし、当面の重要課題であるニッケル生産量15万t/年体制の構築にむけて、既存製造プロセスの効率化を図るとともに、新プロセスの研究開発を推進いたします。
また、「資源・精錬開発センター」の設置に合わせ、拠点となる研究棟を新たに建設し、新研究棟には、資源・精錬に関する研究設備を常設し、研究テーマに応じて設備をフレキシブルに組み合わせて活用できる体制を整備します。さらに、工場、研究所及び工務部門に分散していた資源・精錬関係の技術者を集結させることで、研究開発のスピードアップとレベルアップを図るとともに、将来に向けた人材を育成してまいります。
平成22年より九州大学と組織対応型連携契約を締結し、共同研究と人材育成を継続してきております。選鉱技術の改善やニッケルやコバルトの分離精製技術の開発などに取り組んでいるほか、九州大学全体のシーズを活用して資源・製錬分野を中心にさまざまなテーマでの連携を進めています。
(3)材料セグメント
エネルギー環境関連分野で注目されている、二次電池、太陽電池、燃料電池、及び省エネ照明、省エネ製品に関連した機能性材料、配線材料の開発を中心に進めております。
二次電池関連では、リチウム二次電池の正極材料であるニッケル酸リチウムについて、コスト・容量・安全性確保などの機能向上を図り、ハイブリッド自動車、電気自動車やパソコン用電源への積極的な展開に取り組んでおります。太陽電池、省エネ製品に関連した機能性材料、配線材では、銅両面めっきポリイミド基板、配線用途向け導電性ペースト・インク、希土類磁石材料、赤外線及び紫外線を遮断する塗布材料、スパッタリングターゲット材料及び各種金属微粉末に関する開発を行っております。
主な研究成果としては、ハイブリッド自動車や電気自動車に搭載される二次電池用正極材料、省エネ照明用白色LEDに使われるサファイア基板を結晶育成から加工まで一貫して製造することができる量産技術、さらに、太陽光から放射される赤外線をカットする材料及びそれを使ったインク、太陽電池やタッチパネルなどに使われる新規透明導電膜用のターゲットなどの更なる特徴ある製品や量産技術の開発を実現しました。
また、東北大学と包括的な共同研究と人材教育を進める組織連携協力協定を締結し、同校の広範囲にわたる研究機能を活用して、新素材の開発、評価技術の開発及び人材育成を進める体制を整備しております。
当セグメントに係る研究開発費は36億58百万円であります。
(4)その他
非鉄金属製錬技術で培った環境保全技術をベースに、排ガス浄化のための高性能電気集塵機の開発及び水を再生するための高度水処理システムの研究開発及び装置開発を進めています。
当セグメントに係る研究開発費は32百万円であります。