有価証券報告書-第90期(平成26年4月1日-平成27年3月31日)

【提出】
2015/06/29 16:09
【資料】
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【項目】
137項目

研究開発活動

当社グループでは資源、製錬及び材料をコアビジネスとして選択と集中を進めるなか、研究開発においても研究開発費の重点配分を行い、「分離精製・結晶化技術」、「微粉末技術」、「表面処理技術」、「有機樹脂技術」、「評価解析技術」の5つからなるコア技術を定め、技術ドメインを明確にして重点的な開発を実行しております。具体的には、資源開発及び非鉄製錬分野におけるさらなる技術開発、また、材料分野では、最近社会的に関心が高い環境・エネルギー分野及び情報通信分野の材料・新技術開発を中心に取り組んでおります。研究開発は新商品の売上目標規模を明確にした上で実施しており成果を挙げつつあります。
なお、当連結会計年度に投入した研究開発費は58億65百万円であり、各セグメントに配分できない基礎研究費用2億28百万円が含まれております。
セグメントごとの研究開発活動の状況は次のとおりであります。
(1)資源セグメント
非鉄原料鉱石の処理に関して、精鉱の品質及び実収率の改善のための浮遊選鉱、リーチング等の選鉱技術開発や、菱刈鉱山や国内の休廃止鉱山から排出される坑廃水の処理に関する技術開発を行っております。その他、探査技術や鉱石採掘法の効率化の技術開発等を行っております。
当セグメントに係る研究開発費は3億87百万円であります。
(2)製錬セグメント
非鉄金属事業において、原料対応力、コスト競争力強化に繋がる製錬技術の開発や新プロセス技術の開発を行っております。新たにHPAL法の原料となるニッケル鉱石からクロム分をクロマイトとして分離・回収する技術や、浸出残渣から鉄を資源化する技術を開発しパイロットプラントを建設しました。現在、本パイロット設備を用いたサンプルの試作を進めております。さらに、HPALプロセスからスカンジウムを回収する技術の開発も進めております。また、ハイブリッド自動車の二次電池からニッケルをはじめとするレアメタルなどのリサイクル・プロセスの開発も進めております。
当セグメントに係る研究開発費は12億37百万円であります。
資源・精錬分野における技術・設備面での競争力を一層強化するため、「資源・精錬開発センター」を新設し、当センターにおいて、当面の重要課題であるニッケル生産量15万t/年体制の構築にむけて、既存製造プロセスの効率化を図るとともに、新プロセスの研究開発を推進いたします。
また、「資源・精錬開発センター」では資源・精錬に関する研究設備を常設し、研究テーマに応じて設備をフレキシブルに組み合わせて活用できる体制を整備します。さらに、工場、研究所及び工務部門に分散していた資源・精錬関係の技術者を集結させることで、研究開発のスピードアップとレベルアップを図るとともに、将来に向けた人材を育成してまいります。
産学連携では、九州大学と組織対応型連携契約を締結し、共同研究と人材育成を継続してきております。選鉱技術の改善やスカンジウムの分離精製技術の開発などに取り組んでいるほか、九州大学全体のシーズを活用して資源・製錬分野を中心にさまざまなテーマでの連携を進めています。
(3)材料セグメント
環境・エネルギー分野及び情報通信分野で注目されている、二次電池及び情報通信端末用のSAWフィルターに関連した機能性材料を中心に研究開発を進めております。
二次電池関連では、リチウム二次電池の正極材料であるニッケル酸リチウムについて、コスト・容量・安全性確保などの機能向上を図り、ハイブリッド自動車、電気自動車用電池への積極的な展開に取り組んでおります。また、情報通信端末用SAWフィルターのチップに用いられるタンタル酸リチウム基板の増産のため、タンタル酸リチウム結晶の育成技術や加工技術の開発に取り組んでいます。
産学連携では、東北大学と包括的な共同研究と人材教育を進める組織連携協力協定を締結し、同校の広範囲にわたる研究機能を活用して、新素材の開発、評価技術の開発及び人材育成を進める体制を整備しております。
当セグメントに係る研究開発費は39億73百万円であります。
(4)その他
非鉄金属製錬技術で培った環境保全技術をベースに、排ガス浄化をさらに向上させるための集塵速度の高速化によるコンパクトな高性能電気集塵機の開発及び水を再生するための高度水処理システムの研究開発及び装置開発を進めています。
当セグメントに係る研究開発費は40百万円であります。