訂正有価証券報告書-第111期(平成25年4月1日-平成26年3月31日)

【提出】
2014/11/26 9:19
【資料】
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【項目】
124項目

業績等の概要

(1) 業績
当連結会計年度におけるわが国の経済は、極端な円高水準の是正により輸出環境が好転したことや、政府の経済政策効果などで設備投資が上向き、回復基調にありました。世界経済は、米国については住宅投資や自動車販売が堅調に推移し、雇用改善など景気回復の動きが継続しました。景気停滞が長期化している欧州についても、債務問題が徐々に落ち着く中で、プラス成長に転じるなど持ち直しの動きが見られました。一方、中国やインドなどの新興国については、引き続き経済成長は続けているものの、成長率は鈍化しました。
当社グループの事業環境については、需要面では、自動車向け製品が上期から比較的堅調に推移しました。また、多機能携帯端末や新エネルギー向けの需要が着実に伸長しました。相場環境は、貴金属の価格が上期に下落するなど、金属価格は総じて弱含みで推移しました。為替は円安基調が継続しました。
当社グループは、このような状況の中、中期計画Ⅴに沿って、市場・ユーザーの状況や変化に対応し、生産性向上・受注拡大に向けた施策を実行していきました。
これらの結果、当期の連結売上高は前期比6%増の443,985百万円となり、連結営業利益は同29%増の31,794百万円、連結経常利益は、同29%増の35,055百万円、連結当期純利益は同53%増の23,310百万円となりました。
なお、当社は、株主の皆様への配当を経営における最重要課題の一つと位置付けており、企業体質強化と将来の事業展開に備えた内部留保の充実を勘案のうえ、業績に応じて配当を行う方針としています。
当期の配当金については、当期の業績、今後の事業展開、財務体質の強化などを総合的に勘案し、前期比3円増配の1株当たり15円としています。
主要セグメントの状況は、次のとおりです。
環境・リサイクル部門
廃棄物処理は、国内の産業廃棄物発生量が横這いの中、集荷ネットワークを活かした受注増や処理拠点の操業度の向上により、処理量を増やしました。土壌浄化は、不動産市況が緩やかに回復する中で、受注の拡大を図りました。リサイクルでは、国内スクラップ市場の縮小に伴い国内の原料集荷は減少しましたが、電子部品スクラップの海外集荷を拡大し、増集荷を図りました。海外事業においては、インドネシアをはじめ東南アジアにおける廃棄物処理事業を拡大しました。
これらの結果、当部門の売上高は貴金属などの地金価格が下落した影響で前期比2%減の101,429百万円となりましたが、営業利益は同47%増の9,493百万円となりました。
製錬部門
金属価格については、総じて弱含みでしたが、特に貴金属の価格が上期に下落し、その後も価格低迷が継続しました。為替については、前年度末からの円安基調が継続しました。このような中、各製錬所の稼動は順調に推移し、重点施策であるスズ・アンチモンなど新金属の回収強化を進めました。販売面では銅・亜鉛製品とも自動車向けが好調に推移し、建設向けについても堅調でした。コスト面では電力代値上げの影響を受けましたが、電力原単位や物品費の削減に努めました。
これらの結果、当部門の売上高は前期比6%増の217,614百万円、営業利益は同51%増の7,058百万円となりました。
電子材料部門
多機能携帯端末などIT関連製品について市場ニーズに応える製品開発に加えて、新製品の拡販や新規顧客の獲得に努めました。半導体材料製品は、パソコンやTV向けなどの販売は低迷しましたが、多機能携帯端末向けの需要が伸び、販売を伸ばしました。導電材料製品は、銀粉の販売が大きく伸びました。機能材料製品は、自動車用途での市場拡大や新規拡販で販売を伸ばした反面、情報通信用途では、在庫調整等の影響を大きく受けました。
これらの結果、当部門の売上高は前期比17%増の83,246百万円、営業利益は同16%増の6,715百万円となりました。
金属加工部門
自動車向けなどの端子やコネクタに使われる伸銅品やめっき品は、国内外の自動車生産が比較的堅調に推移する中で、特にハイブリッド車向けなどを中心に販売を伸ばしました。民生用途の伸銅品は、パソコン関連の需要減が続いていますが、多機能携帯端末関連の需要獲得に注力しました。回路基板は、電鉄向けの拡販に取り組み、また、産業機械向けについても、設備投資の回復などにより販売を増やしました。
これらの結果、当部門の売上高は前期比11%増の82,204百万円、営業利益は同10%増の5,392百万円となりました。
熱処理部門
熱処理加工では、インドネシア拠点の立ち上げや海外の各拠点の設備増強を進め、拡大する海外の自動車市場での受注増に取り組みました。国内についても、自動車生産が比較的堅調に推移する中で、拡販と生産性改善による収益力強化に取り組みました。工業炉は、海外の市場拡大に合わせて新炉の拡販を進めるとともに、メンテナンス拠点の拡充により受注獲得に努めました。
これらの結果、当部門の売上高は前期並みの24,635百万円、営業利益は同45%増の2,262百万円となりました。
その他部門
その他部門では、売上高は前期比2%増の10,042百万円、営業利益は同14%減の195百万円となりました。
(注) 当該項目に記載の売上高には消費税等を含めていません。
(2) キャッシュ・フローの状況
前連結会計年度当連結会計年度比較増減
百万円百万円百万円
営業活動によるキャッシュ・フロー34,97030,189△4,780
投資活動によるキャッシュ・フロー△19,354△18,689664
財務活動によるキャッシュ・フロー△14,982△12,3412,641
換算差額261433171
増減894△408△1,302
現金及び現金同等物の期首残高4,7886,1291,341
新規連結による現金及び現金同等物の増加446102△344
現金及び現金同等物の期末残高6,1295,823△306

当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末より306百万円減少し、5,823百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動による資金の増加は30,189百万円(前年度比4,780百万円減)となりました。これは、税金等調整前当期純利益32,989百万円(前年度比9,139百万円増)や非資金的費用である減価償却費の計上16,205百万円があった一方で、仕入債務の減少8,729百万円や法人税等の支払い9,133百万円などがあったことによります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動による資金は18,689百万円の支出(前年度比664百万円支出減)となりました。これは、環境・リサイクル事業を中心とした設備投資16,330百万円、事業拡大のための株式取得2,367百万円があったことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動による資金は12,341百万円の支出(前年度比2,641百万円支出減)となりました。これは、有利子負債の返済8,264百万円や、配当金の支払い3,754百万円によるものです。