有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2019/01/29 15:01
【資料】
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【項目】
167項目

事業等のリスク

有価証券届出書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 震災復興関連工事
当社グループでは東北地方において、東日本大震災直後から現在にかけて、被災地域での除染作業やがれきの廃棄物処理及び収集運搬、減容化処理施設の建設・解体等の震災復興関連工事を数多く手掛けており、連結売上総利益に占める震災復興関連工事の売上直接利益(注)の割合は、平成29年5月期が44.3%、平成30年5月期が54.4%、平成31年5月期(予想)が58.4%となっております。
当社グループでは、早期復興支援のため、被災地域に注力する受注及び施工体制を敷いておりますが、震災から年月が経つとともに当該地域における復興事業は縮減傾向にあります。係る状況を踏まえ、今後の工事高の見通しに応じて受注体制を見直すことにより震災復興関連工事への依存度を引き下げつつ業績の維持伸長を図る事が必要となっております。
したがって、今後震災復興関連工事の縮減が進行した場合及び受注体制の見直しによる震災復興関連工事以外への工事獲得が当社グループの意図どおりに図れなかった場合には、業績に影響を与える可能性があります。
(注)震災復興関連工事の売上直接利益とは、個々の工事に直接配布することができない間接費用を売上原価に反映せずに計算したものです。よって、上記割合は売上総利益を使用した場合と比して高めの数値となっております。
(2) 事業環境
① 建設市場の動向
国内外の景気後退や国及び地方公共団体の公共投資予算の削減等により、建設市場が著しく縮小した場合や今後競合他社との競争が激化し、民間工事における受注価格が下落する場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
② 人材確保に係るリスク
建設業界においては、建設技術者・技能労働者の高齢化が進み、計画的な人員確保の重要性が高まってきております。当社グループでは、計画的な人員確保に向けて採用の強化に努めておりますが、需給関係の急激な逼迫により人員確保が困難となった場合には、受注機会の喪失や納期遅延等の問題が発生する恐れがあり、業績に影響を与える可能性があります。
③ 労務単価及び資材価格の高騰
建設工事の施工は長期間に及ぶものが多いことから、契約期間中に想定外に労務単価や工事用資材の価格が高騰する可能性があります。単価の高騰分について請負金額に反映できない場合には、業績に影響を与える可能性があります。
(3) 取引先の信用リスク
建設業は、一取引における請負金額が多額であり、また、支払条件によっては、工事代金の回収に期間を要する場合があります。このような状況において、取引先に関する厳格な審査の実施や信用不安情報の早期収集など、可能な限り信用リスク回避の方策を講じておりますが、万一、発注者、協力会社、共同施工会社の信用不安などが顕在化した場合、資金の回収不能や施工遅延を引き起こし、業績に影響を及ぼす可能性があります。
(4) 施工物の瑕疵
継続的な施工教育の実施や、ISOなどの品質管理手法を活用した施工管理の徹底により、品質管理には万全を期しておりますが、万一施工物に関する重大な瑕疵があった場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。
(5) 建設活動に伴う事故
建設事業は、作業環境や作業方法の特性から危険を伴うことも多く、他の産業に比べ事故発生率が高くなっております。工事着手にあたり施工計画を策定し、安全な作業環境を整え施工しております。また、徹底した安全教育の実施、危険予知活動や安全パトロールなどの災害を撲滅するための活動を実施しております。しかしながら、万一、人身や施工物などに関わる重大な事故が発生した場合、業績や企業評価に影響を及ぼす可能性があります。
(6) 資産保有リスク
営業活動の必要性から、有価証券・不動産等の資産を保有しておりますが、時価の変動により、業績に影響を及ぼす可能性があります。
(7) 繰延税金資産
当社グループの繰延税金資産は、将来の課税所得を合理的に見積り、回収可能性を判断して計上していますが、今後将来の課税所得の見積り等に大きな変動が生じ、繰延税金資産の取崩が発生した場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(8) 開発事業に係るリスク
不動産開発
当社グループは関連事業として主力事業である土木事業及び建築事業とは求められるノウハウが異なる不動産開発事業を展開しております。当該事業に係るプロジェクトは事業期間が長期間にわたることから、事業環境に著しい変化が生じた場合や開発が想定通りに進捗しない場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
太陽光発電
当社グループは、太陽光発電による売電事業にも取り組んでおり、宇都宮・宮古等に発電施設を展開しております。当社グループでは、トラブル発生時の迅速な復旧体制を整えるとともに、保守契約の締結・保険の加入により被害を最小限に収める対策をしております。
また太陽光パネルの発電効率低下のリスクについては、適切なメンテナンス、モニタリングを実施する対策を取っておりますが、自然災害や事故等が起こった場合、発電所修復のための休業中に発電量が予定より大幅に減少した場合は、業績に影響を及ぼす可能性があります。
(9) 海外事業に伴うリスク
海外工事について、予期しない法律、規制、政策の変更、テロ紛争、伝染病等が発生した場合や、経済情勢の変化に伴う工事の縮小、延期等が行われた場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。また、外貨建ての資産・負債を有しているため、為替レートの変動により為替差損が発生した場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。
(10) 法的規制
建設事業の遂行は、建設業法、建築基準法、宅地建物取引業法、国土利用計画法、都市計画法、独占禁止法等により多数の法的規制を受けております。当社では、特定建設業許可、一級建築士事務所登録、宅地建物取引業の許認可等を受けております。現時点において、当該許認可等の取消となる事由に抵触する事象は発生しておりませんが、将来、何らかの理由により、当該許認可等が取消され又はそれらの更新が認められない場合、もしくはこれらの法律等の改廃又は新たな法的規制の新設、適用基準の変更によっては、業績に影響を及ぼす可能性があります。
許認可の名称特定建設業許可一級建築士事務所登録宅地建物取引業者免許
所管官庁国土交通省①東京都
②大阪府
③愛知県
国土交通省
登録番号等国土交通大臣許可
(特-29)第1000号
①東京都知事第4070号
②大阪府知事(ロ)第24408号
③愛知県知事(い-27)第12217号
国土交通大臣(13)第1756号
取得日平成29年5月14日①平成28年4月15日
②平成30年11月22日
③平成28年1月7日
平成30年1月25日
有効期限平成34年5月13日①平成33年4月14日
②平成35年11月21日
③平成33年1月6日
平成35年1月24日

主な許認可取消事由不正な手段による許可の取得や役員等の欠格条項違反等に該当した場合は許可の取消(建設業法第29条)
不正入札等不誠実な行為があった場合は業務停止等の処分(同法第28条)
虚偽または不正の事実に基づく免許取得や当該資格合格の取消を受けた場合は免許の取消(建築士法第9条)不正な手段により当該登録を受けた場合や役員等の欠格条項違反等に該当した場合は免許の取消(宅地建物取引業法第66条)
不正または著しく不当な行為があった場合は業務停止(同法第65条2)

(11) 災害リスク
地震等の天災、人災等が発生したことにより、事業継続に深刻な支障をきたした場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。
(12) 情報セキュリティ
事業活動を通して得た取引先の情報や、営業上・技術上の機密情報などの管理については、情報の取扱い等に関する規程類の整備・充実や従業員等への周知・徹底を図るなど、情報セキュリティを強化しております。しかしながら、サイバー攻撃、不正アクセス、コンピューターウィルスの侵入等による情報流出、重要データの破壊、改ざん、システム停止等が生じた場合には、信用が低下し、業績に影響を及ぼす可能性があります。
(13) 一般財団法人日本国土開発未来研究財団との関係について
一般財団法人日本国土開発未来研究財団は、当社経営理念である「もっと豊かな社会づくりに貢献する」に則
り、これに資する学術研究への助成、研究者の派遣、受入れ等に対する研究者交流援助、国際研究集会の開催、国
際共同研究等に対する交際学術交流援助、学生などに対する学資金の給与、学校教育設備の助成、若手・女性技能
者・外国人技能実習生の育成等に係る助成事業等を目的に平成30年12月13日に設立した財団法人であります。
当社は、本財団の活動を遂行するため、みずほ信託銀行㈱を受託者、本財団を受益者とする他益信託を設定し、本信託に対して第三者割当の方法により自己株式を処分しております。本財団の活動原資として、本信託は当社株
式の配当による信託収益を本財団に交付します。なお、信託契約による株式の議決権の取り扱いについては、不行
使としております。
(14) 係争・紛争リスク
国内外の事業等に関連しての訴訟、紛争、その他法的手続きにおいて、当社グループの主張や予測と相違する結果となった場合は、業績に影響を及ぼす可能性があります。
(15) 会社更生手続について
当社はバブル経済の破綻とその後の経済低迷に伴い受注の大幅な減少、工事採算の悪化、工事代金債権の回収困難に加えて自社事業として行ったリゾート、ゴルフ場開発事業資金の不良債権化が経営の悪化を招き最終的には、社債償還資金の調達が困難となったことを起因として平成10年12月に会社更生法適用の申請を行い、平成11年1月に会社更生法の適用を受け、同年3月には東京証券取引所及び大阪証券取引所において上場廃止となりました。その後、債権者等からの支援を受けて、早期の事業再開やグループの再編を図り、自主再建により平成15年9月に会社更生手続を終結しております。
現在は会社更生法適用当時から、与信リスク等を防止する目的で工事受注に関する審査委員会を設置、利益責任体制の明確化を目的として支店制から事業本部制に変更するなど、体制を一新することで財務体質の改善を図り、土木事業・建築事業を中核事業とする総合建設請負業者として、事業展開を図っております。