有価証券報告書-第68期(平成25年4月1日-平成26年3月31日)

【提出】
2014/06/25 17:12
【資料】
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【項目】
125項目

研究開発活動

当社グループは、独自の技術とノウハウを有する地盤改良分野及びブロック分野を中心に、研究開発活動を行っている。
なお、当社グループの研究開発費は特定の事業に区分することが困難なため、土木事業、地盤改良事業及びブロック事業ごとの研究開発費を記載していない。当連結会計年度における研究開発費の総額は347百万円であり、活動の主な成果は次のとおりである。
(1) 土木事業
当分野では、環境修復技術、陸上土木、海洋土木について研究開発活動を行っている。
環境修復技術においては、新日鐵住金エンジニアリング株式会社他とシアン汚染土壌の汚染対策工の開発や、ダイキン工業株式会社とフッ素含有土壌・地下水に対する浄化工法の開発を継続して行っている。
陸上土木においては、盛土の品質向上を目的として開発した施工手法及び品質管理手法について実際の工事に適用した。また、市街地工事での重機騒音対策として、防音パネルとアクティブノイズコンロール(ANC)装置を施工機械に装着し、効果を確認するとともに、騒音の予測法を検証した。
海洋土木においては、GPS測量及びカメラ映像を利用したリアルタイム情報により消波・根固ブロックを正確な据付位置に誘導する「ブロック誘導位置イメージングシステム」を開発し堤防工事に適用した。
(2) 地盤改良事業
当分野では、砂杭系及び固化処理系等の地盤改良工法を中心に研究開発活動を行っている。
砂杭系の工法では、液状化対策の新工法となる「SAVE-SP工法」について、河川堤防の耐震対策等を中心として着実に施工実績を積み重ねているが、適用域の拡大を図るため空港の既設滑走路や誘導路に有効であることを実証する試験工事を行い効果を確認した。
また、既存工法(SCP工法、SAVEコンポーザー)について、使用材料の選択肢を広げる目的で「トータルリソイルシステム」の開発を進めている。これは、砂杭材料に掘削土・残土及び石炭灰等を用いることで、環境負荷を低減させたうえ経済的にも優れた工法となり、当連結会計年度では、室内実験に加え、石炭火力発電所で焼却灰の減溶化を目的とした施工を行った。
固化処理系では、既存構造物直下の地盤を改良したいというニーズに応えるため「FTJ工法」を改良した「FTJ-FAN工法」を本格的に営業展開した。本工法は、従来のジェット方式に揺動機能を付加することで扇形の大径杭での施工を可能にする。当連結会計年度では、新潟県の阿賀野川河口にある既設の特殊堤直下の工事等に採用された。今後は、既設構造物直下等を対象とした地盤改良工事への採用を目指す。
(3) ブロック事業
当分野では、東日本大震災を踏まえた「津波に対する防災・減災」及び、大型港湾等で課題となっている「港内長周期波対策」を中心とした研究開発活動を行っている。
津波に対する防災・減災においては、国土交通省の提唱する津波の越流があっても倒壊しにくい「粘り強い構造」に使われる防波堤ケーソン背後のマウンド被覆用ブロックについて、越流する津波に対する安定性の研究を実施し、エックスブロック及びテトラポッドについて、安定性検討図を作成するなど、有効であることを確認した。
港湾内の航行・係留に支障を及ぼす港内長周期波対策においては、当社で開発した「没水型長周期波対策工」に使われるテトラポッドの越波に対する安定性の検討を行い、防波堤ケーソンの天端高や、対策工天端幅等の違いによる、安定性への影響について明らかにした。