有価証券報告書-第92期(平成27年4月1日-平成28年3月31日)

【提出】
2016/06/29 14:19
【資料】
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【項目】
127項目

研究開発活動

当社で行っている研究開発は、建築設備(空調・換気・給排水衛生・電気・情報)としてのエネルギー・居住環境・生産環境・高度情報処理システム並びにプラント設備としての環境保全に関する上下水処理・ごみ処理、産業設備に関する搬送システム・機器などの事業領域を基盤とし、CO2排出量削減と省エネルギーを中心とした新技術の研究開発、保有技術の改良、高品位化を推進しております。
また、子会社においては、特記すべき重要な研究開発活動は行われておりません。
当連結会計年度における研究開発費は1,091百万円であります。なお、研究開発費は主に研究開発部門に係る費用であり、当部門は複数のセグメントにわたって活動しております。このため、セグメント別の研究開発費を明確に区分することが困難であるため、研究開発費は総額で記載しております。
主な研究開発成果は以下のとおりであります。
(建築設備事業)
(1) 空調気流・温度シミュレーション3D体感システムの開発
空調設備を施工前に数値によるシミュレーションによってその効果を検証する場合、従来は、3次元の数値によるシミュレーション結果はディスプレイや紙などの2次元表示しかできなかったため、施工後に発注者のイメージと実感が食い違うことがありました。
今回、空調気流や温度分布などの数値によるシミュレーションデータと設備施工の3次元CADデータを合わせた3DCG映像を、実際の空間上に視覚化し、目の前に空調気流や温度分布が実在するかのように体感できる独自のシステムを構築しました。これにより発注者とのイメージと実感の共有化が可能となり、早期の合意形成に効果を発揮します。
今後、施工物件に当システムを適用し、顧客サービスや品質による差別化を図るとともに、社内外のプレゼンテーションにも広く活用してまいります。
(2) 熱源リアルタイム最適化システム「EcoSearcher®」の開発
電気やガスなどを動力源とする空調設備の熱源システムにおいて、従来は、事前に外気条件や空調負荷条件を想定し、最適化演算を行う方式が一般的でした。この方式では、事前の想定と運用時の差が大きいと、期待した省エネルギー効果が得られない場合があるという課題がございました。
この課題を克服するため、事前の想定値でなく運用時の実測値を使用し、リアルタイムで最適化演算を行う独自の計算手法(特許出願中)を用いた「EcoSearcher®」を開発いたしました。各熱源機本体及び補機の温度と流量など4種類の制御を同時に最適化することが可能となり、最適化しない場合と比較して最大約30%、事前に条件を想定して最適化する従来の方式と比較して約10%の省エネルギー効果があるという試算結果が得られました。
今後は、実証試験を行い、更に改良を加え、大型オフィスビルや工場における熱源システムの新設・リニューアルをターゲットに、当社独自の省エネ技術として積極的に提案する予定であります。
(3) 熱輸送設備「簡易移送型トランスヒートコンテナ」の開発と導入
昨年度、環境省の委託事業として開発した「簡易移送型トランスヒートコンテナ」を、農林水産省の次世代施設園芸導入加速化支援事業として、焼却施設の余剰熱を1.5km離れた施設園芸設備へ供給するために導入いたしました。この熱輸送により、冬期の暖房に加えて、熱駆動式の冷凍機(吸収式冷凍機)を用いて夏期の冷房需要の一部をまかなうことで、省エネ効果を上げております。
(機械システム事業)
(1) ベルト洗浄コンベヤの開発
食品製造・加工等で使われるベルトコンベヤにおいて、使用後にベルト表面についた油脂等の汚れを、ベルトを装着したまま自動で洗浄できるベルトコンベヤを開発いたしました。
ベルトを低速で運転させながら、まず、水と揺動式スクレーパ(特許出願中)で汚れを掻き落とします。次に、洗浄液を噴射して洗浄し、再び水を噴射して洗浄液をすすぎ落とします。最後にエアーブローで水滴を吹き飛ばす方式です。
なお、洗浄剤はベルト専用に開発したもので、環境中で分解されやすく、油脂等の洗浄に優れたアルカリ洗浄剤です。
衛生状態を維持しながら、作業者の負担を減らし、環境にも配慮したコンベヤであります。
(2) 高照度マルチカラーLEDコンベヤの開発
ベルト上の搬送物にベルト裏面から照明を当てて、異物混入やキズ等の検査ができる照明付きベルトコンベヤにおいて、従来にない明るさ(高照度)と、多彩な色調(マルチカラー)の出力ができるLEDを搭載したコンベヤを開発いたしました。
ベルト上面における照度は、最大、約20,000ルクスで、一般的な白色光LED(1,500~5,000ルクス)に比べて明るく、また、対象物に合わせて、見分けたい異物やキズを検出しやすい光を(R/G/B)ボリューム調整で自由に作り出すことができます。
このLEDコンベヤを導入することにより、検品の精度を向上させることができます。
(環境システム事業)
下水処理場内における省エネルギー製品・システムの開発
下水処理場においては、処理水質を維持しながら消費電力量を削減する技術が求められております。
当社では継続して下水処理場内の省エネルギー製品・システムの開発に取り組んでおり、本年度は下記2件を実施しております。
・低圧損型メンブレンパネル式散気装置「エアロウイングⅡ」
超微細気泡散気装置「エアロウイング」の特徴である高い酸素移動効率を維持しながら圧力損失を一段と低く抑えることで、省エネルギーを実現いたしました。現在、納入後の追跡調査等を実施しており、本製品の更なる改良開発及び次世代散気装置開発のための知見収集等を実施しております。
・省エネ型遠心脱水機「SANDEC G3」
SANDEC G3は独自の設計思想により、高性能でありながら省エネルギー、省スペース、維持管理の容易性を実現した新型遠心脱水機であります。
現在、様々な汚泥性状に対する最適な適用性調査を実施しております。
(不動産事業)
研究開発活動は特段行われておりません。