有価証券報告書-第72期(平成26年4月1日-平成27年3月31日)

【提出】
2015/06/25 13:03
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【項目】
115項目

業績等の概要

(1) 業績
当期におけるわが国の経済は、公共投資は弱めの動きとなったものの、企業収益や雇用情勢に改善の動きが見られ、個人消費も総じて底堅い動きを示すなど、景気は緩やかな回復基調が続きました。
建設業界におきましては、政府建設投資が前年度実績を下回り、民間住宅投資においても消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動減や建築費上昇等による減少がみられるなど前年度比減少基調にありましたが、民間非住宅建設投資は企業の設備投資意欲を背景に緩やかな回復が継続するなど、建設投資全体としては堅調を維持しました。一方、技能労働者不足や、労務・資材費上昇など、建設業界全体の経営環境は引き続き厳しい状況にありました。
このような状況のなかで、当社グループにおきましては、3ヵ年中期経営計画(2012~2015)の最終年度にあたり、基本方針、及びその基本戦略である『3D戦略』(スリーディ戦略)に基づき諸施策の推進を図ってまいりました。
「顧客層」のウイング拡大を図る《Ⅹ軸戦略》につきましては、最大最重要顧客である東日本旅客鉄道㈱からの受注工事の安全遂行を当社の社会的使命と捉え、経営資源を重点投下し、その最も重要なプロジェクトの一つである首都直下地震に備えた耐震補強対策工事では、御茶ノ水の盛土耐震補強をはじめ、高架橋・橋脚耐震補強、駅舎等の天井・壁耐震補強、脱線防止ガード敷設など数々の工事に取り組んでまいりました。また、東北縦貫線軌道工事、常磐線利根川橋りょう改良工事、山手線ホームドア設置工事、長浦駅をはじめとする駅舎橋上化工事など、様々な鉄道関連工事の安全施工に努めるとともに、八王子新総合現業事務所をはじめ4件のWTO案件の施工にも取り組みました。また、北海道旅客鉄道㈱からはJR江差線軌道整備工事を受注いたしました。
一般民間部門の多方面にわたるお客様に対しては、提案型・ソリューション型営業展開を強化し、「上信電鉄管内レール交換他工事(上信電鉄㈱)」「KS新川プロジェクト(剣菱酒造㈱)」「大田区蒲田3丁目新築工事(新日鉄興和不動産㈱/双日新都市開発㈱)」「すみれ幼稚園南棟新築工事(学校法人旭学園)」「JAなめがた貯蔵施設新築工事(全国農業協同組合連合会茨城県本部)」など、幅広いお客様から多数の受注を獲得いたしました。また、官公庁部門におきましても、「都電荒川線軌道移設工事(東京都交通局)」「横浜市営地下鉄軌道改良工事(横浜市交通局)」「北陸新幹線/九州新幹線トンネル新設工事(鉄道・運輸機構)」「しばた千桜橋建設工事(宮城県柴田町)」など様々な受注・施工実績をあげることができました。
「業域」の深掘りを図る《Y軸戦略》につきましては、当社の強みである鉄道関連工事、防災・耐震・メンテナンス関連工事などの業務分野を徹底的に強化したうえで、お客様や社会の新しいニーズに応じた業務・業域の拡大に努めてまいりました。「仙台市地下鉄東西線軌道工事(仙台市)」などにおける新しい技術を応用した取り組みや、大型保線機械の稼働力と技術を駆使した「北陸新幹線/北海道新幹線レール削正工事(鉄道・運輸機構)」、一般民間鉄道の保守管理業務では「軌道保守管理業務(埼玉高速鉄道㈱)」、また、大震災復興関連では「常磐線富岡駅被災鉄道設備撤去工事(東日本旅客鉄道㈱)」「新蛇田地区宅地造成工事(石巻市)」、さらに設計施工プロポーザル方式で受注した「桐生市三ツ堀団地耐震改修工事(桐生市)」など、新しい業域での受注・施工実績をあげることができました。
また、当社では環境事業を第4の事業の柱として育成することを目的に「東鉄ECO2プロジェクト」を推進中でありますが、太陽光発電においては「タテノソーラーファーム印西(㈱タテノコーポレーション)」の施工に取組んだほか、自社においても、メガソーラー規模である「TOTETSU鹿島ソーラーステーション」を大震災復興特別区域法で茨城県産業再生特区に指定された地域に設置、平成26年11月より当社2件目となる太陽光発電の運用を開始いたしました。当社自ら売電プロジェクトに取り組むとともに、ノウハウを蓄積しお客様のプロジェクトに活用してまいります。また、環境に配慮した駅の実現に向けた「エコステ」化工事では、四ツ谷駅(中央線)・海浜幕張駅(京葉線)に続き、湯本駅(常磐線)の施工に取り組んだほか、当社工事現場において、周辺の街並みや景観との調和を図るため「仮囲いの緑化」の推進も図ってまいりました。
「安全」「品質・技術力」「企業力」の一層の強化を図る《Z軸戦略》につきましても、様々な取組みを実施してまいりました。
「安全」においては、経営の最重要事項に掲げている「安全はすべてに優先する」という経営理念のもと、お客様・地域社会・従業員の「究極の安全と安心」を徹底的に追求し、「東鉄グループ方式」による的確な「作業毎のリスク把握」と、危険なポイントを「見える化」した安全ビジュアル教材(「要注カード」など)の徹底活用など、全社をあげて重大事故、致命的労働災害の防止に努めてまいりました。
「品質・技術力」では、「品質管理」「技術力」「施工力」のたゆまざる維持・強化に努め、当社の最大の強みである鉄道を軸とした施工技術の向上・研究開発に注力し、耐震補強工事やホームドア設置工事における各種特許取得などに積極的に取り組んでまいりました。
さらに、品質管理力強化のための「見える化」や総合評価方式に対応する高度な技術提案力・施工力の強化に努めてまいりました。なお、当社が構造設計及び施工を担当した長期優良住宅認定マンションである「ライオンズ立川グランフォート(㈱大京)」が「2014年度グッドデザイン賞」を、また、施工を担当した「石の百年館(笠間市)」が「まちづくりグリーンリボン賞」を受賞いたしました。
「現場力」の継続的強化につきましては、タブレット端末の導入により現場状況をリアルタイムで把握するなど業務の一層の効率化を推進しました。また、協力会社やその社員の方々をご紹介する「プロフェッショナル」誌を四半期毎に発行し、webサイトでも開示するなど、協力会社とのパートナーシップ強化に取り組んでまいりました。
「企業力」においては、コーポレートガバナンス/コンプライアンス/リスク管理体制のさらなる強化を図るとともに、IR活動においては、継続的に適時適切な情報開示に努め、当社初のCSR報告書を開示するなど、「誠実なCSR経営」の推進に取り組みました。
また、人事制度のさらなる充実に取り組んだほか、グループ会社各社との連携を強め、当社グループ全体の企業力の一層の強化を図りました。
以上のとおり、中期経営計画(2012~2015)におきましては、各分野において基本戦略である『3D戦略』が定着し、様々な成果が結実し始めるとともに、次なる成長機会への確かな道筋をつけることができました。
当社グループは、上記諸施策を着実に実施した結果、当期の業績につきましては、首都直下地震対策関連工事の受注をはじめ、『3D戦略』の推進により公共・一般民間など、幅広いお客様からの受注も大幅に増加したことなどから、受注高は前期比8,739百万円増加の125,458百万円となりました。
売上高は、前期からの繰越工事高が高水準でスタートしたことや、上記の受注増加に加え、工事の進捗も順調に進んだことから、前期比6,718百万円増加の116,106百万円となりました。
利益につきましては、従来から粘り強く取り組んできた不採算工事の徹底排除、原価管理の強化、種々のコストダウンなどの努力とも相まって、売上総利益は前期比1,082百万円増加の15,753百万円、営業利益は前期比709百万円増加の9,205百万円、経常利益は前期比707百万円増加の9,581百万円、当期純利益は前期比1,221百万円増加の6,533百万円となりました。
以上のとおり、中期経営計画最終年度である2015年3月期の連結数値目標として当初設定した、売上高「1,100億円以上」、営業利益「80億円以上」、及び経常利益率「7.3%以上」のすべての項目において、目標を達成することができました。
セグメントの業績は、次のとおりです。なお、セグメントの売上高につきましては、外部顧客への売上高を記載しております。
(土木事業)
受注高は90,464百万円(前期比9.4%増)、売上高は79,154百万円(前期比9.6%増)となりました。
売上高のうち工事進行基準による計上額は41,082百万円であり、次期繰越高は53,876百万円となりました。
セグメント利益は6,496百万円の利益となりました。
(建築事業)
受注高は34,993百万円(前期比2.8%増)、売上高は29,813百万円(前期比7.0%増)となりました。
売上高のうち工事進行基準による計上額は20,634百万円であり、次期繰越高は21,445百万円となりました。
セグメント利益は2,019百万円の利益となりました。
(その他)
売上高は7,137百万円で、その主なものは鉄道関連製品の製造及び販売収入であります。
セグメント利益は666百万円の利益となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況
当期末における現金及び現金同等物は、前期比1,884百万円増加し18,706百万円となりました。
当期における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
税金等調整前当期純利益等の増加により、営業活動におけるキャッシュ・フローは前期比964百万円収入が増加し3,470百万円の収入となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
有形固定資産の取得による支出の増加等により、投資活動におけるキャッシュ・フローは前期比252百万円支出が減少し444百万円の支出となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
配当金の支払等により、財務活動におけるキャッシュ・フローは前期比296百万円支出が増加し1,141百万円の支出となりました。