有価証券報告書-第40期(平成26年11月1日-平成27年10月31日)

【提出】
2016/01/28 14:07
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【項目】
111項目

研究開発活動

当社グループでは、いかなる社会情勢、経済環境においても一貫して「お客様の豊かさの人生を創造する」を不変の理念として、高性能、高耐久、高品質な住宅造りに取り組んでおります。建築基準法、建設業法等に関わる法令順守を最優先として、お客様が永く安心して過ごすことのできる住宅造りを行うことにより、お客様の財産はもとより社会資産の充実をもたらす「もの造り」を実践してまいります。
当事業年度は地盤データ偽装、免震ゴムデータの偽装等、建物の構造根幹に関わる問題も発生し、建築業界に対する不信感も高まっております。すべては施工する側の都合で発生した問題であり、特に住宅においてはお客様の生命、財産を守るうえであってはならない事だと考えます。土屋グループにおいて法令順守はもとより、設計部門、施工部門、及びメンテナンス部門の全ての社員が創業以来一貫して「我が家を建てるつもり」で業務に取り組むことを基本理念とし、これを実践することでお客様に安心・快適な住宅を提供してまいりました。特に平成28年10月期においては、施工会社である株式会社アーキテクノと株式会社土屋ホームを合併することにより、更にこれらの理念を実践できる体制を強固とすることで、正しいデータに裏打ちされた商品開発、お客様目線での設計対応、そして間違いのない施工など、「お客様の豊かさの人生」を創造してまいります。
当社グループにおける研究開発活動の総額は19,393千円であり、住宅事業においての主な活動は次のとおりであります。
(1) 前事業年度より販売しておりました制振装置につきまして、在来工法において採用したBES-T X(ベストクロス)は全棟標準採用となっておりますが、ツーバイ工法で採用したTOWBY A(ツーバイエース)の仕様を変更するべく、現在新たな制振装置の採用にむけデータの収集、施工性の確認等を行っております。制振装置は繰り返しの地震に対して建物の安全を確保するうえで有効とされておりますが、今後も性能、コスト、施工性等を考慮し必要に応じて新しい商品に切り替えてまいります。
(2) 北広島工場において、在来工法の大型パネル商品化に向け試作を含めた対応を進めております。これまでは構造材のプレカット、羽柄材の加工を自社工場で行うことで工期の短縮、現場でのゴミの削減、そして騒音低減による近隣配慮等に寄与しておりましたが、パネル化を推進することにより更なる効果が見込まれるものと考えております。今後工場における加工日数、手間を含めた効率、パネル配送、設計マニュアルを整備し実用化してまいります。
(3) 平成17年より採用しておりました在来工法の構造用接合金物を変更することとしました。特に梁受け金物については従来の出幅100㎜に対して60㎜となることからスリット加工による断面欠損が約17%軽減されます。また、これまで構造金物は現場で取り付けておりましたが、出幅が少なくなったことにより効率よく運搬が可能となり、工場で取り付けてからの出荷としました。金物を変更することによるお客様対応、現場対応についてはほぼ完了しておりますが、前述のパネル化同様、工期短縮、品質向上、騒音軽減等の効果も見込まれております。
増改築事業においての主な活動は次のとおりであります。
(1) 当事業年度においてもサッシ部分が換気口の役目をしながら断熱する画期的な取り組み「ダイナミックインシュレーション技術を活用する住宅の断熱改修に関する技術開発」に関して、継続的に取り組んでおります。
当事業年度は窓の断熱性能が約4倍に向上したDI(ダイナミックインシュレーション)ウィンドウを標準装備したマンション用の新商品「エア・エステ」を開発、販売をいたしました。これは「ダイナミックインシュレーション技術」を適用した高い断熱性能を有する先進的なDI窓枠を通気部分として新鮮外気を導入し、逃げる熱を熱交換換気により室内に引き戻す、窓と熱交換換気機能を一体化したシステムであります。既存サッシと比べ熱損失を最大1/4に抑えます。構造を変えられないマンションにおいて、窓の交換だけで住宅性能を高め、一定した温度環境を実現し、結露やカビといったマンション特有の問題を軽減します。
さらにDIウィンドウの性能を効果的に発揮させるため、省エネ性能の高い24時間換気システムを採用し、心地よい室内環境を維持します。今後はこの実証研究をさらに推し進め、断熱性能を大幅に向上させ、暖冷房費の削減も実現し、これから求められる長寿命化リフォームに対応し、既存住宅の超高性能化が可能となる快適な住空間を創造すべく、新しい技術開発を継続して行います。
(2) 平成27年10月30日、一般社団法人日本建築防災協会より当社が継続開発してまいりました「shake block(シェイクブロック)」が技術評価を取得いたしました。
「shake block(シェイクブロック)」は耐力壁両端の引抜き力に抵抗する柱脚専用金物として柱、土台、基礎に留めつけて耐震補強する工法です。耐震補強計画は、日本建築防災協会発行の「木造住宅の耐震診断と補強方法」に示される一般診断法及び精密診断法1(保有体力診断法)を用いて行われ、その場合の「shake block(シェイクブロック)」の短期許容応力は15.4kN、平成12年度建設省告示第1460号の表3(と)同等、N値は2.9として各施工仕様に応じて適切に設定しております。
商品の概要は土台および柱の仕口に、三角形の形状をしたTT3と呼ばれる金物を配し、柱に対して角カットビス(TBA-65D)を13本用いて留めつけ、L型の形状をしたTT2という金物をラグスクリューボルトで土台に留めつけます。TT2はコンクリート強度13.5㎏/m㎡以上の基礎に対して、接着系アンカー又は金属系アンカーのいずれか2本のあと施工アンカーを用いて留めつける工法であります。