有価証券報告書-第72期(平成27年4月1日-平成28年3月31日)

【提出】
2016/06/24 13:00
【資料】
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【項目】
113項目

事業等のリスク

有価証券報告書に記載した当社グループの事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性がある事項には、以下のようなものがあります。
なお、以下の項目には、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。
① 特有な経営方針について
当社グループは、「変化する時代・社会の中にあっても、常に顧客から選択してもらえる企業を目指し、もって安定した収益基盤を築くことにより、社会(顧客)・株主・社員の期待に応える」ことを経営の基本的考え方としております。
特にこの間、発生した東日本大震災による地震・津波そして「原子力災害」の複合災害から、地域の再生・復興に貢献すべく、生活環境基盤・産業インフラ整備・除染等放射線関連・防災事業に積極的に取り組んでおります。
この復旧・復興需要に支えられ当面の受注・売上は堅調に推移するものと予測される一方、技術職員や労務不足及び資機材の高騰などにも晒されていくものと思われます。そのことにより、安全・品質・工程・コストなど施工管理面でのリスク、営業面では、施工体制が整わないことにより、顧客からの受注要請に応えられないことでの信用失墜のリスクなどが生じる可能性があります。また、復旧・復興後の受注・売上確保の展望が確立できない場合の中長期的な経営基盤の不安定リスクも潜在するものと思われます。
② 財政状態について
経営環境を含めた当社グループが係わる市場の急激な変動はもちろんのこと、当社グループは主たる事業である建設事業を取り巻く環境を前提とした財政計画を立てております。
公共事業においては工事発注の平準化の施策が推進されておりますが、依然として工事量は年間を通して最大月と最小月での差があり、建設業の年間売上動向として第3四半期及び第4四半期、特に第4四半期に集中する傾向にあり財政状態に偏重が生じることが実態であります。
また、完成工事物件の欠陥・瑕疵等による補償問題や災害の発生など予想を超える事態が生じた場合、更には、販売用不動産の地価下落や投資有価証券の株価下落により、財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
③ 特定の取引先・技術等について
当社と関わりの深い建設業界におきましては、被災地ということもあり、一定期間復興需要が見込まれるものの、引き続き熾烈な受注競争は続くものと思われます。
当社の建設事業において、これまで国土交通省・福島県・いわき市などからの公共工事受注が、当社安定経営の基盤になって参りましたが、将来の受注状況、公共工事の発注状況によっては、経営成績に影響を及ぼすものと思われます。
また、当社が保有する独自の水処理技術(ACA法)については、これまで多くの施工実績を積んでおりますが、処理対象排水によりその効果の範囲が限定される場合があります。当社は、処理対象物件の特性を十分配慮して対応しておりますが、万が一、顧客の品質保証基準が確保できなければ、引渡し等が滞り経営成績に影響を与える可能性も生じるものと思われます。
④ 特有の取引慣行などについて
公共建設工事等については、前払金の制度を含め工事などの進捗に応じた契約金の決済が実施されておりますが、民間建設工事等は、竣工一括支払かつ長期に亘る約束手形での決済が行なわれる場合があることから、契約相手先に対する債権回収不能のリスクが増大する場合もあり、万が一、多額の債権が回収不能となった場合は、経営成績に影響を与える可能性も生じるものと思われます。
⑤ 特有の法的規制などについて
当社グループの展開する事業においては、建設工事の受発注では独占禁止法、下請法などの規制により取引先との公正な取引が強く要請されており、各事業に関する各種業法(建設業法ほか)に基づく規制を受けるなど、コンプライアンス経営が強く求められております。特に、建設事業の施工形態に鑑み、現下の経済状況のもと、建設業法における元請責任として下請負人の事故、賃金未払い、違法行為等の問題について対応を迫られることが発生することも想定されます。
また、当社においては、コンプライアンス意識の啓蒙活動とコンプライアンスに関わる事項の徹底にあたっておりますが、内部統制システムの充実を図ったにもかかわらず、万が一、監督官庁から違法性を指摘されるような事態となった場合には、社会的信用を傷つけ、当社グループの活動が制限されることなどにより、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 災害発生等のリスク
当社グループは、各社において防災対策を行っており、東日本大震災発生時にも、風評被害によるガソリン・資材の不足等はあったものの、いち早く事業を再開することが出来ました。しかし、原発事故を含む予想を超える大規模な災害が発生した場合には、工事の中断や手直しの発生、顧客の減少、設備投資手控えによる受注減少、社有地崩落等による損害賠償請求を受ける可能性等、経営成績及び財政状態に重大な影響を与える可能性が生じるものと思われます。
⑦ その他の投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性がある事項
当社は、安全は全てに優先するとの考え方のもと、労働安全衛生マネジメントシステムを構築・実行して無事故無災害の達成を目指しております。しかしながら、万が一、建設工事等で人身・物損事故等が発生した場合は、公共工事の入札参加停止処分などによって受注機会が失われたり、損害賠償請求を受ける等、経営に影響を及ぼす可能性があります。
また、受注機会の増大のため、首都圏を始め遠隔地における建設事業の施工に積極的に取り組む方針を掲げて推進しておりますが、工事施工にあたっては、下請協力会社の経営の健全性や技術等の信用力・施工能力によって工事成績、ひいては、経営成績に影響を及ぼす可能性も予想されます。
採用・人材関係については、経営環境に鑑み、過去の採用抑制が経営及び業務執行体制に徐々にその影響を及ぼし始めており、将来を展望した会社の継続性・永続性を勘案すればその是正策を講じる必要性が提起されているものと考えます。
尚、現時点では重要な訴訟事件はありませんが、今後、当社が展開する事業において重大な訴訟が起こった場合は、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。