有価証券報告書-第50期(平成26年4月1日-平成27年3月31日)

【提出】
2015/06/26 16:23
【資料】
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【項目】
107項目

研究開発活動

当社グループは、当社の技術研究所(髙松コンストラクショングループ技術研究所)のもと、中核子会社の髙松建設㈱および青木あすなろ建設㈱にそれぞれ研究所を設け、各社が得意とする技術分野において、研究開発活動をおこなっております。その主なものは次のとおりであり、当連結会計年度における研究開発費の総額は260百万円であります。なお、研究開発費につきましては各セグメントに配分しておりません。
(1)髙松建設㈱
中断熱工法壁の開発
中断熱工法は、壁式鉄筋コンクリート造住宅の新しい外壁構法であり、壁厚310mmの中央に厚さ50mmの押出法ポリスチレンフォーム保温板を設置し、コンクリートを打設するもので打ち放しやコンクリートに直接仕上げをしても結露の心配がありません。また、壁厚を厚め、構造規定の壁量を減らすことができ、工期短縮やコストダウンを図れるほか、通常の構造計算と確認申請が可能です。この壁の耐力性能は、実物大の実験で従来の壁と比較実験を行い、終局せん断耐力や変形性能、せん断力による剛性低下率等が同等であることを今期の実験で確認しています。
(2)青木あすなろ建設㈱
①制震ブレースを用いた耐震補強工法
日本大学と共同開発した摩擦ダンパーを用いた既存建物の制震補強工法で、高性能・居ながら補強・短工期・低コストが特長です。制震補強工法として我が国初の日本建築防災協会技術評価を取得しました。今期は摩擦ダンパーの適用容量の拡大の実験を行いました。
②折返しブレースを用いた耐震補強工法
本工法は、断面の違う3本の鋼材を一筆書きの要領で折返し接合させた形状を有し、優れた変形性能により、経済的で耐震性の高い鉄骨造建物を建設できます。今期から運用段階に入り、非住宅案件2件に適用しました。
③既設橋梁の耐震性向上技術に関する研究
2013年6月に首都高速道路株式会社が公募した共同研究テーマ「既設橋梁の耐震性向上技術に関する研究」を摩擦ダンパーを既設橋梁に応用し実施し、前期に引き続き振動解析、試作品の製作等を行うとともに、特許3件の出願をおこないました。
④既存構造物の調査・診断・耐震リニューアルシステムの開発に関する研究および長寿命化に関する研究
国土交通省では2014年度を「社会インフラのメンテナンス元年」と位置付け、社会インフラの老朽化対策および国土強靭化対策に取り組んでいます。この動向に対応し、設計・施工・調査・診断・維持管理・長寿命化について研究開発を推進し、この成果を高速道路の老朽化や積載荷重の増加にともなう大規模更新・修繕にも反映させ、道路・トンネルなどの工種別技術マニュアルを作成しました。
⑤技術提案力のアップを目的とした施工合理化・品質確保の要素技術開発
官庁発注工事は、総合評価型技術提案方式によりおこなわれ、技術提案力と積算技術力が受注に大きく影響します。そこで、施工合理化や品質確保に向けて情報化施工を組み入れた施工要素技術の開発を実施しました。
⑥高濃度・大水深薄層真空吸引底泥浚渫工法の開発
高濃度・高揚程で、連続的に浚渫送泥排土を可能とする浚渫工法で、漁港、港湾、ダム湖、湾奥部等の底泥を効率的に浚渫することができます。浚渫による汚濁拡散が極端に少なく環境にも配慮した工法です。今期は実用新案登録済の先端吸引アタッチメントを用いて、気仙沼にて海域実証試験を実施しました。
⑦汚染土壌浄化技術
土壌汚染対策法と廃棄物処理法が適用される処分場跡地での清掃工場新設のPFI事業について、大手プラントメーカーと協力し、施工リスクの最小化と性能水準の最大化に向け、最適工法を検討しました。また、ため池での放射性物質の汚染拡散防止対策の技術開発に取り組み、福島県南相馬市の実証工事受注に貢献しました。
⑧オーリス(非破壊探査システム)
コンクリート構造物や鋼構造物・岩盤を対象とした非破壊探査システムで、基礎杭の損傷,形状・寸法の探査や岩盤・転石等の内部亀裂・根入れ長の探査等が可能です。今期は、探査技術の改良をはかり、岸壁基礎の調査、橋脚の根入寸法調査、ダムクラックの調査等を実施しました。
⑨流起式(可動)防波構造体
通常時、海底に横たわっている扉体が、津波発生時に津波の流れにより、動力を使わずに起き上がる可動式の防波堤です。人為的な操作や動力源が不要なことから地震発生後にライフラインが遮断されても可動するのが特徴の1つです。今期は、京都大学防災研究所の水路を用いて1/50モデルの実験をおこないました。