有価証券報告書-第53期(平成25年4月1日-平成26年3月31日)

【提出】
2014/06/25 14:57
【資料】
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【項目】
78項目

財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社が判断したものであります。
(1)財政状態の分析
(流動資産)
当事業年度末における流動資産の残高は1,859百万円で、前事業年度末に比べ255百万円増加しております。その主な要因としましては、受取手形が前事業年度に比べ173百万円減少しましたが、現金預金が158百万円、完成工事未収入金が271百万円それぞれ前事業年度末に比べ増加したことなどによるものであります。
(固定資産)
当事業年度末における固定資産の残高は1,432百万円で、前事業年度末に比べ43百万円増加しております。その要因としましては、設備投資により前事業年度末に比べ有形固定資産が50百万円増加したことなどによるものであります。
(流動負債)
当事業年度末における流動負債の残高は1,469百万円で、前事業年度末に比べ135百万円増加しております。その主な要因としましては、前事業年度末に比べ支払手形が23百万円、1年内償還予定の社債が20百万円減少しましたが、工事未払金が122百万円、1年内返済予定の長期借入金が50百万円増加したことなどによるものであります。
(固定負債)
当事業年度末における固定負債の残高は627百万円で、前事業年度末に比べ110百万円増加しております。その主な要因としましては、前事業年度末に比べ長期借入金が65百万円、リース債務が29百万円増加したことなどによるものであります。
(純資産)
当事業年度末における純資産の残高は1,195百万円で、前事業年度末に比べ53百万円増加しております。その主な要因としましては、前事業年度末に比べ当期純利益の計上により利益剰余金が56百万円増加したことなどによるものであります。
(2)資本の財源及び資金の流動性についての分析
(キャッシュ・フローの分析)
当事業年度における「現金及び現金同等物の期末残高」は、前事業年度の期末残高382百万円から158百万円増加(前事業年度は203百万円の増加)して541百万円(41.5%増)となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、前事業年度より82百万円増加し、103百万円(前事業年度は20百万円)となりました。これは主に、前事業年度末より売上債権が102百万円増加しましたが、税引前当期純利益58百万円(前事業年度は税引前当期純利益24百万円)を計上し、また前事業年度末より仕入債務が88百万円増加したことなどによるものであります。
投資活動によるキャッシュ・フローは、前事業年度より支出が16百万円増加し、23百万円の資金の減少となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出によるものであります。
財務活動によるキャッシュ・フローは、前事業年度より収入が110百万円減少し、79百万円の資金の増加となりました。これは主に、長期借入れによる収入などによるものであります。
(資金需要)
当社の運転資金需要のうち主なものは、当社の工事施工のための材料費、労務費、外注費、経費のほか販売費及び一般管理費によるものです。
販売費及び一般管理費の主なものは、人件費及び営業活動のための通信交通費等であります。
(財務政策)
当社は現在、運転資金及び設備投資資金につきましては、内部資金または銀行借入れによる資金調達のほか、借入条件等を勘案し社債による調達も行うこととしております。
銀行借入れによる運転資金につきましては、主に短期借入金で調達しており、平成26年3月31日現在、短期借入金の残高は108百万円であります。
生産設備等への設備投資資金につきましては、原則として固定金利の長期借入金で調達しておりますが、社債による調達も行っております。平成26年3月31日現在、長期借入金の残高は555百万円であります。
(3)経営成績の分析
(受注高)
当事業年度における受注高は、3,590百万円(前事業年度比0.9%増)となりました。地盤改良工事におきましては需要は多くありましたが、受注価格競争が激しく不採算工事になるものを見送ったことや、需要増に対し業界全体的な施工機械や外注業者の調達難もあり受注高が伸びず、地盤改良工事の受注高は、前事業年度に比べ1.2%減の756百万円となりました。当社主力の気泡コンクリート工事におきましては、気泡コンクリート工事市場の中で市場規模が大きい軽量盛土工事の受注高が、需要に対し工期の重複から現場責任者不足や労務人員の確保難により受注を見送ったこともあり、前事業年度に比べ16.7%減の1,399百万円となりましたが、管路中詰工事の受注高が、見込んでいたガスパイプライン関係の大型中詰工事をはじめ順調に受注出来たことで、前事業年度に比べ39.5%増の952百万円となったことや、空洞充填工事の受注高も、見込んでいたトンネル補修工事を順調に受注出来、前事業年度に比べ11.5%増の479百万円となったことで、気泡コンクリート工事全体の受注高は前事業年度に比べ1.4%増の2,831百万円となり、工事全体の受注高も前事業年度に比べ30百万円増加いたしました。
(売上高)
当事業年度における売上高は、3,334百万円(前事業年度比0.8%減)となりました。地盤改良工事の完成工事高が、前事業年度からの繰越工事が少なかったことや、2月の大雪の影響から一部工事の工期が翌事業年度にずれ込んだこともあり、前事業年度に比べ5.5%減の759百万円に、軽量盛土工事の完成工事高も受注高の減少や前事業年度からの繰越工事の減少、また2月の大雪の影響により一部工事の工期の翌事業年度へのずれ込みなどから、前事業年度に比べ20.4%減の1,382百万円となりましたが、管路中詰工事が、一部工事において前工事の進捗の遅れから見込んでいた完成工事高を計上出来なかったものの、受注高の増加や前事業年度からの繰越工事も多かったことなどから、完成工事高が前事業年度に比べ85.1%増の666百万円と大幅に増加し、また空洞充填工事も受注高の増加や工事進捗も順調だったこともあり、前事業年度に比べ7.4%増の470百万円と増加したことから、工事全体の完成工事高は前事業年度に比べ1.7%減の3,281百万円となりました。また商品販売の売上高52百万円(前事業年度比145.4%増)を含めた全体売上高も、前事業年度に比べ27百万円の微減となりました。
(売上総利益)
当事業年度における売上総利益は、574百万円(前事業年度比13.4%増)となりました。施工効率に注力し工期短縮に努めたこと、また資材価格や外注労務費の上昇を抑えられたことなどで、完成工事総利益率が前事業年度に比べ1.9ポイント改善し、商品販売を加えた全体の売上総利益は前事業年度に比べ68百万円増加いたしました。
(販売費及び一般管理費)
当事業年度における販売費及び一般管理費は、524百万円(前事業年度比8.7%増)と前事業年度に比べ42百万円増加いたしました。増加した主な要因は、前事業年度に業績を鑑みて行った人件費対策による人件費の低減を解除したことによるものであります。
(営業利益)
当事業年度におきましては、営業利益50百万円(前事業年度比106.1%増)となりました。完成工事総利益率の改善により完成工事総利益が増加したことによるものであります。
(経常利益)
当事業年度におきましては、経常利益58百万円(前事業年度比133.4%増)となりました。前事業年度に比べ配当金収入や技術料収入が増加したことなどから営業外収益が6百万円弱増加したことなどによるものであります
(当期純利益)
当事業年度は、新たに1年内で解消予定の一時差異である退職給付引当金等について繰延税金資産を計上したため、法人税等調整額が△5百万円となり、当期純利益56百万円(前事業年度比657.3%増)となりました。
(4) 経営成績に重要な影響を与える要因について
当社の主な工事は、建設業者から下請けとして受注したもので、主力の気泡コンクリート工事の施主としましては官公庁の比率が以下のとおり高くなっております。
当社の気泡コンクリート工事におきましては、専門工事会社という特性から競合する施工業者数は限られており、また、今後の当社工法の採用状況によっては、必ずしも公共投資の動向に連動しない場合もありますが、全体として当社の経営成績は公共投資の動向に影響を受ける傾向があります。
(最近2期間における受注高のうち官公庁が占める比率)
期別工事別官公庁受注高
(千円)
構成比
(%)
民間受注高
(千円)
構成比
(%)

(千円)
構成比
(%)
前事業年度
(自 平成24年4月1日
至 平成25年3月31日)
気泡コンクリート工事1,831,45965.6961,25734.42,792,716100.0
地盤改良工事321,10441.9444,88558.1765,989100.0
その他工事14213.095087.01,092100.0
2,152,70660.51,407,09239.53,559,798100.0
当事業年度
(自 平成25年4月1日
至 平成26年3月31日)
気泡コンクリート工事1,418,24250.11,412,88849.92,831,130100.0
地盤改良工事145,72119.3611,16080.7756,881100.0
その他工事60022.62,06077.42,660100.0
1,564,56343.62,026,10856.43,590,672100.0

(注) 官公庁には、当社が建設業者から下請として受注したものも記載しております。
(5) 戦略的現状と見通し
東日本大震災からの復旧・復興、国土強靭化のための減災・防災対策や2020年開催決定の東京オリンピックのための社会資本整備など、国主導の政策によりようやく建設投資が底を打ち、建設業界にとって明るい兆しが出てきております。一方で、長引いた建設不況や競争激化等の影響により、建設業界の利益率は低水準で推移してきたことから、技能労働者の処遇が悪化し建設業離れが進み、また技能労働者の高齢化も加わり、需要増加に伴う人手不足が常態化してきております。
当社はこうした経営環境の変化に対し、適宜対応するため柔軟な組織の変更を行うとともに、受注力の強化、施工力の進化をはかるため研究開発活動を活性化させ、新しい価値の創造に取組んでまいります。また技術向上をはかるため人材育成に注力してまいります。
取組みの第一段階としまして、平成26年4月より業務執行の強化をはかるため事業本部制を導入するとともに、研究開発活動の強化や人材育成をはかるため施工開発部を新設いたしました。また、現在中期経営計画を策定中であります。