有価証券報告書-第1期(平成25年4月1日-平成26年3月31日)

【提出】
2014/06/27 16:10
【資料】
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【項目】
134項目

研究開発活動

当社グループは、常に「社会の一員としてひとりひとりの価値創造を活かし、豊かな未来の実現に貢献する」を基本理念として、土木・建築・環境分野を柱に、さらなる品質の安定と十分な顧客満足を確保するべく積極的に技術・研究開発活動を推進し、その成果の展開に取り組んでいる。
当連結会計年度における研究開発への投資総額は約19億円(消費税等抜き)である。
セグメントごとの内訳は、土木事業約5億円、建築事業約7億円及びその他社外からの受託研究約5億円であり、主な研究成果等は次のとおりである。
(土木事業)
三次元レーザースキャナトンネル変位計測システム「3D-ラスタム(3D-LSTM)」を開発
当社は、対象物の形状を詳細に測定できる三次元レーザースキャナを用いて、掘削中のトンネル壁面の変位挙動を詳細に計測する「三次元レーザースキャナトンネル変位計測システム 3D-ラスタム」を開発した。
山岳工法でトンネルを掘削する場合、周辺地山から地圧が作用し、トンネル壁面が変形します。変位が大きい場合には、トンネルが崩壊することもある。そのため、トンネル壁面の変位を計測し、計測結果に基づき、現場の実情にあった合理的かつ経済的な構造に変更していく。特に、都市部の地山が脆弱なトンネルや重要構造物に近接して施工するトンネルにおいては、トンネル掘削時の切羽の安定を図るとともに、周辺構造物に影響を与えないようトンネル壁面変位の発生状況を詳細に把握していくことが重要となる。
山岳工法の一般的な坑内変位計測では、トンネル進行方向10~30m間隔毎にトンネル壁面にターゲットを設置し、変位を計測する。この方法では、ターゲットを設置した位置の変位しか把握できない。変位を詳細に把握する必要があるトンネルでは、ターゲットの設置位置を増やして対応しているが、変位の発生箇所や範囲を詳細に把握するには不十分な状況である。
そこで当社では、短時間に大量の点を測定でき、対象物の形状を詳細に把握することができる三次元レーザースキャナに着目した。三次元レーザースキャナで測定した、変形前後のトンネル壁面形状を重ね合わせ、独自の技術で比較することにより、変位を詳細に把握することができる。
今後当社では、都市部の地山が脆弱なトンネルや重要構造物に近接して施工するトンネルなど、変位の発生状況を詳細に把握し管理する必要があるトンネルに加え、今後整備が進んでいくと予想される整備新幹線などの高速鉄道トンネルにも、本システムを適用していきたいと考えている。
(建築事業)
空間配慮型のRC造扁平梁構法『Wise-Beam(ワイズビーム)構法』を開発
当社は、通常の梁よりも部材せいが小さい梁を用いた鉄筋コンクリート造(RC造)の扁平梁構法「Wise-Beam構法(ワイズビーム構法)」を開発し、日本建築総合試験所による建築技術性能証明第13-13号を取得した。
Wise-Beam構法はRC造の梁の幅を、柱幅よりも広げることで梁せいを小さくした構法であり、限られた階高で開かれた空間を提供する。集合住宅ではバルコニー側にハイサッシを設けることで採光面積が大きくなる。また、各階の梁せいを小さくすることで建築物全体の高さを低く抑えたり、建築物の高さに制限がある地域においては各階の階高を抑えて1層増やしたりすることが可能となる。
Wise-Beam構法は直交する二方向の梁を扁平梁とすることも可能であるので、広く一般的なRC造にも適用させることが可能である。例えば医療施設や生産施設のように将来的に設備機器の変更が必要な建築物においても、梁せいが小さいため、配管等の取り回しが容易という利点もある。
当社は現在までに多くの躯体構法の開発を手掛けてきたが、このような空間に配慮した付加価値の高い躯体構法のメニューを揃えることで、お客様のニーズに応じた住環境空間を提供していく。
(グループ事業)
当連結会計年度は、研究開発活動は特段行われていない。
(その他)
当社が保有する高度技術ならびに研究所施設を活用し、社外からの受託研究業務を行っている。