有価証券報告書-第15期(平成29年4月1日-平成30年3月31日)

【提出】
2018/06/28 14:41
【資料】
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【項目】
133項目

研究開発活動

当社グループは、土木・建築・環境分野を柱に、さらなる品質の安定と十分な顧客満足を確保するべく積極的に技術・研究開発活動を推進し、その成果の展開に取り組んでいる。
当連結会計年度における研究開発への投資総額は約36億円(消費税等抜き)である。
セグメントごとの内訳は、土木事業約10億円、建築事業約14億円及びその他社外からの受託研究約11億円であり、主な研究成果等は次のとおりである。
(土木事業)
スマートシールド® ~ICTの活用による洗練したシールド工法~
「スマートシールド®」は、シールドの掘進情報や機械設備の稼働状況とともに、シールド現在位置、地盤や近接構造物の情報をコンピュータに一元集約、可視化する。これにより、状況判断の迅速化、管理の省力化を実現した。さらに、大断面、長距離シールド工事で、半同時掘進組立、MSV(多目的運搬車両)などの新技術の導入とともに、シールド掘進・セグメント組立のサイクルタイムを最適化し、従来の2倍の速度でのシールド施工を実現、生産性向上を図っている。
急峻な地形に対応した高品質で大容量の堤体材料運搬設備の開発
ダム工事などで、急勾配地で製造設備から打設箇所まで材料を運搬する場合は、傾斜による材料の品質低下を生じさせないことが重要となる。さらに、台形CSGダム(注)の建設では、打設速度が速いため、それに対応できる高速かつ大容量の運搬設備が必要となる。急傾斜ベルトコンベヤ「ハコブノサウルス」は、運搬能力の増大、運搬材料の落下および品質低下の防止を目的として、ベルト上に横桟および波桟でバケット(箱状の運搬部)を設ける構造であり、箱詰めされた材料を、一定の速度で滑らかに運搬することで、材料分離を起こさずに流動性の高い材料を運搬することができる。また、動力が一方向だけであるため省エネルギーで大きな運搬能力を発揮する。
(注)台形CSGダム:砂礫などの原材料に水とセメントを混合したCSG(Cemented Sand and Gravel、セメントで固めた砂礫)を堤体材料として、表面に耐久性の確保を目的とした保護コンクリートを配置した台形状のダム
(建築事業)
先端医療施設における放射化対策材料の開発
先端医療施設の中でも中性子が発生する施設では、コンクリート等の放射化が問題となる。放射化とは、元々放射性のない物質が中性子を受けることで放射性となる物理現象である。コンクリートが放射化し、そこから発生するガンマ線により医療従事者や患者が無用な放射線を浴びる等の問題が生じる。当社では建物躯体の放射化量を下げる対策として中性子吸収機能を持つ放射化抑制樹脂板を開発し、これを内装材とする施工法の特許を取得している。
(グループ事業)
当連結会計年度は、研究開発活動は特段行われていない。
(その他)
当社が保有する高度技術ならびに研究所施設を活用し、社外からの受託研究業務を行っている。