有価証券報告書-第16期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)

【提出】
2019/06/27 13:15
【資料】
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【項目】
164項目

研究開発活動

当社グループは、効率化された研究開発体制による住宅の高品質化・高付加価値化及び低コストを実現するための固有技術開発と新素材・住宅部品等の開発を指向しており、効率的経営を推進すべく工業化技術・生産技術の合理化研究を進めるとともに、お客様に満足していただくための品質の向上及びコスト低減を研究しております。
現在の研究開発は、商品開発部及び技術部を中心に連結子会社の株式会社ミサワホーム総合研究所と共に推進しており、当連結会計年度における研究の目的、主要課題及び研究成果については次のとおりであります。
商品技術開発分野では、「環境を育む」「暮らしを育む」「家族を育む」「日本の心を育む」の「4つの育む」を支える住まいづくりを追求し、工業化住宅としてのデザイン性向上・高性能化・高品質化及び、施工性向上に向けた開発に取り組んでまいりました。
4月にはCENTURY Primore(プリモア)で展開しているセンチュリーモノコック構法(120mmパネル)を、都市部「準防火地域」を中心とした3階建市場に展開し、3階建ZEH提案など高付加価値提案と新インテリアスタイルを取り入れたCENTURY Primore(プリモア)3を発売しましました。
また、耐震木造住宅「MJ Wood(エムジェイウッド)」においては、都市部の防火地域にも対応可能となる「1時間耐火構造」を採用した住宅展示場を神戸市に建設し、都市部において快適に過ごす住まいの提案を行いました。
コンパクトシティ化の到来、資産価値の2極化に伴い、コンパクトで(100~110㎡)付加価値の高い「スキップ蔵」タイプのプラン追加行うとともに、エアコン・照明・カーテン・家具・外構等の生活提案を価格明快にパッケージ化した「MISAWA LIFESTYLE SELECTION」により一次取得層の受注強化、周辺工事の受注拡大の推進を図ってまいります。 また、各地域に合った「ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)」の積極的な展開をはかりました。サステナブル建築物等先導事業(省CO2 先導型)「LCCM 住宅部門」において、省CO2 だけでなく防災や健康にも配慮した住宅と、それを普及させるためのツールを提案し採択されました。これを機にミサワホームの環境配慮の設備やノウハウに基づいたエネルギーソリューションの提案「SMART AMENITY(スマートアメニティ)」を本格的に提唱していくとともにZEHロードマップの普及目標達成にむけて推進をはかってまいります。
また、独自の防災・減災ソリューションとして「MISAWA-LCP(MISAWA Life Continuity Performance)」を策定。平常時の「備え」、災害時の「守り」、災害後の「支え」のそれぞれの段階で防災・減災に貢献する技術や住まい方を提案して、安全・安心に一層貢献していく考えです。
すでにモデルハウス(高島平・錦糸町)で展開している耐火重量鉄骨造5階建については、都市部防火地域向けの店舗・賃貸併用の中層住宅を展開しております。設計・施工の標準化等によるコストダウンを行い価格競争力の強化を図りました。低層住宅にとどまらず、都市部の3階建以上のマーケットにも、これまで培ってきた工業化住宅技術をベースに更に推進してまいります。
品質性能向上技術面では、地震発生時にいち早く建物の被災度を判定してお知らせする被災度判定計「GAINET(ガイネット)」(KDDIと共同開発)を用いた、地域防災機能としての検証を行い、今後、各総合展示場に設置を進めることで、網羅的に地震の被害状況をいち早く把握することを目指します。また、安全性・居住性を向上する制震装置「MGEO(エムジオ)」の運用と共に、オーナーさまの安全確保と早期の建物復旧対応につながるサポートを住宅だけでなく地域全体に対しても展開してまいります。
その他にも、微気候デザイン設計を応用した技術開発(室内空気環境ソリューション「エアテリア」)、4VOCなどの化学物質抑制技術、スマート&ウェルネス住宅技術の研究、遮音、子育て、防犯住宅等様々な分野での要素技術開発を進めてまいります。
意匠開発部門では、住宅の基本部品開発に力を注いでおり、今年度は29年連続となるグッドデザイン賞を受賞いたしました。ミサワホーム創立50周年記念商品第2弾として開発した都市型3階建て住宅「CENTURY Primore3」、障がい者グループホームを核としたコミュニティ「cha-cha town(チャチャタウン)」、個人邸「KAMAKURA SOU」そのほか、構造体と内外装材や設備、間仕切り壁を完全に分離した木質スケルトン・インフィル構造「木質組立通し柱連結構造」と、築36年の専門学校の校舎を賃貸共同住宅へ用途変更したリファイニング建築「ASPRIME(アスプライム)千代田富士見」計5点が受賞し、優れたデザインの訴求をしてまいりました。(受賞内容は以下の5点:「CENTURY Primore3」、「cha-cha town(チャチャタウン)」、「KAMAKURA SOU」「木質組立通し柱連結構造」「ASPRIME(アスプライム)千代田富士見」)
生産施工技術面では、工場及び現場での建設品質に繋がる、部材・および性能改善技術開発、防火・防水性能を確保するための技術開発、基礎・地盤関連技術開発等、工業化及び生産性向上の品質向上を目指した研究開発を推進してまいりました。
リフォーム技術開発としては、オーナーサポートとしての木質・ハイブリッド等既存住宅の再生や再保証・保証延長のためのリフォーム技術、更には付加価値を向上するための断熱改修・インフィル技術の開発などに取り組んでまいりました。今年度より健康をテーマとした「カラダとココロのウェルネスリフォーム」を新ソリューションとして展開し、更なる技術・商品の充実をはかってまいります。更に、一般工法向けリフォームやマンション向けリフォーム商品「Marm(マルム)」等も推進するほか、エネルギー施策と連動した断熱性能向上改修を加えたエコリフォームパック運用を拡大してまいります。
これらの技術開発を進めていくにあたり、大学や研究開発機関等との共同研究を積極的に進めております。
蒸暑地や寒冷地におけるエネルギー技術の効率利用や微気候技術開発、長寿命化のための耐久技術開発、木材資源減少に対応した技術開発、施工性向上・工場生産性向上の工業化技術などの検証を進め、各種基礎データの取得と分析をそれぞれ共同で行っております。
今年度も、国立極地研究所から発注された、南極地域の観測活動に貢献すると共に、弊社より隊員を現地に派遣して、南極に建つ既存建物のメンテナンス活動も行っております。 また、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の共同研究に採択され、「宇宙探査イノベーションハブ」に参画することとなりました。月面基地建設につながる住宅の建設技術・センサー技術・メンテナンス技術等様々な技術を検証し、今後の未来の住宅につながる開発を行っていきます。
更には各自治体と協力し、スマートハウス技術をベースとした、地域のエネルギー連携・最適化を目指すスマートコミュニティ構想をまちづくり提案に生かしてまいります。国土交通省の省CO2先導事業及び埼玉県熊谷市の熊谷スマートタウン整備事業に採択された分譲地「エムスマートシティ熊谷」での実邸環境データを計測しながら、地域特性を踏まえた街区全体でのパッシブデザインとゼロエネルギー住宅の効果も検証しております。その後「オナーズヒル戸田 緑テラス」が埼玉県の「先導的ヒートアイランド対策住宅街モデル事業」に採択され、継続した取り組みを行っております。
引き続き、これらの住性能の向上と品質改善を目指した研究開発並びに、CSRレポートやホームページ等を通じた社内外への情報発信を推進してまいります。
当連結会計年度における研究開発活費の総額は1,473百万円であります。
なお、当社グループの事業は、住宅事業及びこれらに付随する事業がほとんどを占めており、実質的に単一セグメントであるため事業の区分表示は行なっておりません。