有価証券報告書-第67期(平成25年4月1日-平成26年3月31日)

【提出】
2014/06/27 13:48
【資料】
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【項目】
128項目

研究開発活動

当社グループは、当社の基礎研究所、生産技術開発部およびグループ会社であるプライムテック株式会社において、食肉加工あるいは食肉生産に関する先端的な基礎研究から、それらを活用した商品開発、生産技術開発に至るまで、精力的な研究開発活動を行っております。
基礎研究所では、先端的な食肉加工技術の開発に重点をおき、特に当連結会計年度は、安全・安心、おいしさ、環境保全などに係わる研究開発や知財管理の強化を図るとともに、開発技術の外販活動を推進してまいりました。
安全・安心に係わる研究開発では、食物アレルギー物質検査用の「簡易キット(13種類)」や2010年に公定法として消費者庁より認められました「定量ELISA法(5種類)」などを独自に開発し、拡販してまいりました。また、当連結会計年度に世界に先駆けて開発を終えたキウイフルーツ検出用ELISAキットは、その学術的成果を国立医薬品食品衛生研究所と共同で国際学会(於:シカゴ)にて発表いたしました。さらに、簡易キットと併せて新たに販売を開始いたしました。また、国立研究機関から要請のあった毒物不含の新抽出液に対応したELISAキットの開発も終え、本年4月より販売を開始いたします。独立行政法人農研機構食品総合研究所と共同開発しました3種の病原菌を同時にかつ迅速に検出する検査キットでは、第三者による性能や利便性に関する評価が学会や論文で発表されるなど、食品産業での活用が少しずつ広がっております。また新たに、病原菌を精度よく短時間で検出する簡易キットも開発しております。一方、工場の衛生管理用として普及しつつある乳酸菌検出培地については、この研究論文に対し、本年8月公益社団法人日本食品科学工学会より論文賞が授与されました。有害化学物質検査法の研究では、グループ会社である株式会社つくば食品評価センターで行われる農薬・動物薬の検査や食品中の放射性物質測定などの技術支援を行い、検査精度の維持管理を行ってまいりました。また、顕微FT-IRの導入による異物検査の充実を図るとともに、株式会社つくば食品評価センターのISO17025認定への支援も行ってまいりました。
おいしさの研究では、食肉加工品の品質向上に係わる新製法や新たな風味解析手法などの研究を推進し、さまざまな科学的解析に基づいたおいしさなどの品質に係わる情報の提供を行い、関連部門とともに商品開発、品質改善や販促活動の一翼を担ってまいりました。
環境保全に係わる研究では、工場での余剰汚泥の肥料化およびその販売を支援するとともに、排水からのリン回収に関する研究を行い、豚舎糞尿からリンを回収する技術を関連施設へ設置し、運用しております。また、独自に発見した動物性残渣を効果的に処理できる有用菌や油脂分解菌などの応用研究と拡販活動を行ってまいりました。
知財管理に関しては、2006年度よりその機能を基礎研究所へ移し、知財の適正管理の強化を図りつつ、権利の保護および事業化に向けた積極的な取り組みと全社の技術ノウハウなどの技術情報の保全と有効活用を推進しております。また、調査、事務作業の内製化を推進し、大幅なコスト削減も図ってきております。
生産技術開発部では、生産工程の省人省力化および生産性向上を目指した生産設備の開発を中心とした取組みに加え、製造方法そのものにもメス入れし製造技術や商品の差別化を目指した取り組みも行っております。当連結会計年度では、主力商品であるコンシューマパック包装ラインにおいて当社独自の技術により生産性向上を図り、またロボット技術を応用した自動化ラインの展開により省人省力化を推進するなど、製造コスト削減に寄与してまいりました。また、安全・安心をより高めるべく自社開発の各種検査機器の開発導入や工程内のマテハンおよびサニテーションに係わる改善も細部にわたり実施し、効果を上げております。
プライムテック株式会社は、“マイクロマニピュレーションおよび受精・発生のプロ集団”として活動しており、ユニークな精密駆動技術を利用し独自に開発したマイクロマニピュレータの専門メーカーとして、装置開発、製造および販売、研究開発活動を行っております。世界初のマウス体細胞クローンの作出にも貢献した、主要機器ピエゾマイクロマニピュレータ(PMM)は広く海外でも活用され当該分野での標準機となっております。当連結会計年度は、昨年度から本格的に拡販を開始した次世代ピエゾマイクロマニピュレータ”PIEZO pmm4G”が引き続き国内外で好評で、主に男性側不妊治療法としてのヒト顕微授精市場への販売強化商品として売上げに貢献しました。海外メーカーとも積極的に連携し、受精・発生に関連する欧米の国際学会での共同展示を行いました。また、海外へのPMM技術の普及のため、ベトナムでの国際学会でPMMを使った顕微授精ワークショップを共催しました。一方、保有する高度なマイクロマニピュレーション技術を活用し、体細胞クローン豚作出技術と遺伝子導入技術をキーワードに、産官学の共同研究により高度な医学・医療分野や受精発生に関わる基礎的なバイオテクノロジーの研究開発も推進しております。既に多種類の医用モデル豚の作出に成功しており、利用に向けて評価の段階に入ってきています。
なお、当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は、4億53百万円です。