有価証券報告書-第76期(平成27年4月1日-平成28年3月31日)

【提出】
2016/06/15 11:48
【資料】
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【項目】
132項目

業績等の概要

(1)業績
当連結会計年度におけるわが国経済は、企業収益や雇用環境の好転を背景に緩やかな景気回復の動きが見られたものの、一方では中国の景気減速などにより先行きは依然として不透明な状況が続いております。
当業界におきましては、食料品等の日常生活品に対する低価格志向が続く中で、WHO傘下のIARC(国際がん研究機関)による発表を受けた消費者の買い控えの影響が歳暮商戦と重なり厳しい事業環境となりました。
このような状況の下、当社グループは、中期経営計画「CNV2015」の最終年度にあたり、これまで取り組んでまいりました施策にさらに磨きをかけ、企業ブランド・商品ブランドの価値を高め、コスト競争力を強化しナショナルブランドメーカーとしての地位向上に向けてグループ一丸となって取り組んでまいりました。
当連結会計年度の連結業績につきましては、売上高は、ハム・ソーセージでは歳暮ギフトがWHO報道の影響により減少しましたが、「The GRAND アルトバイエルン」や「朝のフレッシュシリーズ」等の主力商品が順調に推移したことやコンビニエンスストア向けの商品が大きく伸びた結果、前年同期に比べて3.6%増となりました。また、調理加工食品ほかにつきましても、ハンバーグ類、ピザ・スナック類が好調に推移し前年同期に比べて17.8%増となりました。食肉につきましては、アンズコフーズ社の連結による売上増加等により前年同期に比べて49.8%増と大幅に増加した結果、売上高全体としては前年同期より1,576億4千8百万円増加して6,387億7千9百万円(前年同期比32.8%増)となりました。利益面につきましては、売上総利益は、ハム・ソーセージの売上が順調に回復したことや、調理加工食品ほか及び食肉の売上が大きく伸びたこと、また原材料価格が安定的に推移したこと等から前年同期に比べて141億3千万円増加して952億2千8百万円(前年同期比17.4%増)となりました。営業利益は、アンズコフーズ社の連結に伴い販売費及び一般管理費が増加したものの、前年同期に比べて64億3千9百万円増加して102億3百万円(前年同期比171.0%増)の大幅な増益となりました。また経常利益につきましても、前年同期に比べて43億8百万円と大幅に増加して108億8千万円(前年同期比65.6%増)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、前期特別利益に計上した「段階取得に係る差益」60億5百万円がなくなったことから、前年同期に比べて37億2千8百万円減少して77億9千4百万円(前年同期比32.4%減)となりましたが、この特殊要因を除くと22億7千7百万円の実質増益となります。
[セグメント別の概況]
セグメントの業績を示すと、次のとおりであります。
(加工食品事業本部)
ハム・ソーセージにつきましては、WHO傘下のIARCによる発表を受けた消費者の買い控えの影響により、歳暮ギフトをはじめとする一部商品において売上が減少いたしましたが、当社の主力商品である 「The GRAND アルトバイエルン」や「PRIME あらびきグルメポークウィンナー」「朝のフレッシュシリーズ」等が順調に推移したことや、コンビニエンスストア向け商品が大きく伸びた結果、前年同期に比べて増収となりました。
また、調理加工食品ほかにつきましても、「旨包シリーズ」のハンバーグ類やピザ・スナック類が好調に推移し、前年同期に比べて大幅に売上が増加しました。
この結果、加工食品事業本部の売上高は3,231億5千1百万円(前年同期比6.2%増)となりました。また営業利益につきましては、ハム・ソーセージや調理加工食品ほかの売上増加に加えて、原料価格が安定的に推移したこと等から、56億1千5百万円(前年同期は7千7百万円の損失)となり、前年同期に比べて大幅な増益となりました。
(食肉事業本部)
食肉事業につきましては、輸入食肉は中国や新興国等の需要動向と為替相場変動により、輸入コストが大きく変化しました。また、国内食肉も相場は前年を上回って推移し、国内の需要が大きく伸びる環境にはありませんでした。
国産牛肉につきましては全国的に出荷頭数が減少している中、和牛の扱い数量を維持しました。今後も主要な和牛生産事業者と協力して、拡販に努めてまいります。国産豚肉につきましては前年度から続いたPEDの影響により出荷頭数が減少し、枝肉相場が高値で推移しましたが、順調に数量を確保しました。
輸入豚肉につきましては、原産国の価格が比較的安定していたこと、また、国産枝豚相場が高値で推移したことを背景に前年に比べ販売数量を大きく伸ばしました。北米、欧州の特定のパッカーとの結びつきを強め、特にオリジナルブランド商品であるスペイン産「アルティシモ・リバサム」、フランス産「フランス麦の穂豚」、及びカナダ産三元豚「麦の誉」を拡販いたしました。
羊肉は子会社化したアンズコフーズ社のニュージーランド産チルドラムの拡販により扱い数量を伸ばしました。
鶏肉につきましては、数量は伸ばしたものの、輸入鶏肉に関しては昨年後半からの相場下落により厳しい販売環境となりました。
輸出事業につきましては、アンズコフーズ社が持つ海外販売ネットワークを活用し、和牛は欧州、米国を重要輸出先として取組み、香港、シンガポール、タイ、ベトナム等にオリジナルブランドである「ITO WAGYU」を拡販しました。
この結果、食肉事業本部の売上高は、アンズコフーズ社の連結による売上増加もあり4,220億5千2百万円(前年同期比46.1%増)、営業利益は48億4千9百万円(前年同期比25.9%増)となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末の現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、前連結会計年度末に比べ157億1千7百万円増加し、304億5千9百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において営業活動の結果得られた資金は、186億1千9百万円(前連結会計年度は97億1千6百万円の収入)となりました。主な増加要因は、非資金項目の減価償却費63億7千3百万円、たな卸資産の減少28億9千7百万円、仕入債務の増加16億円によるものであり、主な減少要因は、売上債権の増加9億1千1百万円、未払消費税等の減少11億4千1百万円などによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において投資活動の結果支出した資金は、19億5千万円(前連結会計年度は55億6千万円の支出)となりました。主な減少要因は、既設工場の設備更新等の有形固定資産の取得による支出43億3千7百万円であり、主な増加要因は、投資有価証券の売却及び償還による収入27億2千6百万円などによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において財務活動の結果支出した資金は、6億2千7百万円(前連結会計年度は84億2千7百万円の支出)となりました。これは主に、配当金の支払額16億3千2百万円などによるものであります。