有価証券報告書-第107期(平成29年4月1日-平成30年3月31日)

【提出】
2018/06/28 14:40
【資料】
PDFをみる
【項目】
122項目

研究開発活動

当社グループは蓄積された発酵技術を基礎に、バイオテクノロジーの技術を応用し、主に宝酒造、タカラバイオグループの各部門で幅広い研究活動を展開しております。
当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は5,063百万円(セグメント間の取引消去後)であり、各セグメントにおける研究内容等は次のとおりであります。
(宝酒造)
宝酒造においては、宝酒造㈱の蒸留技術部、醸造技術部および研究開発センターを中心に、機能や成分で差異化された付加価値の高い製品の開発を目的に、微生物の育種、原料・素材の探索、生産技術の研究開発を行っております。
焼酎では、昨今のレモンサワーブームを活性化すべく、レモン系の香り成分を含むハーブと樽貯蔵熟成酒を原材料に用い、味わいのあるレモンサワーに最適な宝焼酎「タカラリッチ」を開発いたしました。また、本格焼酎よかいち<麦><米>では、当社グループ独自の焼酎原酒の配合を見直すことで、より飲みやすい酒質にリニューアルいたしました。
清酒では、松竹梅「天」シリーズの新製品として、香りと旨み豊かな松竹梅「天」極上プレミアムを発売いたしました。また、松竹梅ブランドの拡大を目指し、伸長著しい山田錦パック市場向けに山田錦を100%使用した松竹梅「山田錦」<特別純米>辛口を、季節感を訴求した春季向けに限定出荷の松竹梅「うすにごり」を発売いたしました。
ソフトアルコール関連では、選びぬいた樽貯蔵熟成酒を用いることで、“樽熟成”ならではの深いコクと、“焼酎”ならではの食事に合うすっきりとした味わいをあわせ持つ「樽熟成焼酎ハイボール」を発売いたしました。また、日本各地の素材を使用し、果実の風味を引き立てる独自素材を開発するなど、手間をかけた「ひとてま造り」製法で仕上げた「寶CRAFT」を発売いたしました。
調味料では、家庭用商品として、あめ色加熱製法による“しっかりとしたコクとうまみ”を特長としたタカラ「あめ色のコク」本みりんを発売いたしました。また加工業務用に、クローブ由来の抗酸化成分と香気成分により畜肉原料由来の臭気をマスキングする調味料として、「味しるべマスキング-5<クローブ>」を開発いたしました。
なお、当セグメントに係る研究開発費は370百万円であります。
(タカラバイオグループ)
タカラバイオグループにおいては、研究用試薬をはじめ、遺伝子解析、遺伝子治療、機能性食品素材ならびにキノコなど、広範囲の分野における幅広い研究開発活動を、タカラバイオ㈱のCDMセンター、バイオメディカルセンター、米国のTakara Bio USA, Inc.、中国の宝生物工程(大連)有限公司を中心に展開しております。
バイオ産業支援事業においては、日本国内でトップシェアを有する遺伝子増幅法関連試薬などの遺伝子工学研究用試薬をはじめ、ゲノム解析、遺伝子機能解析および遺伝子検査などに関する研究開発やiPS細胞などの幹細胞および再生・細胞医療などの研究分野に向けた新製品・新サービスの研究開発を行っております。
当連結会計年度においては、シングルセル(1細胞)解析システム「SmarTerTM ICELL8® cx」をはじめ、次世代シーケンサー向け超微量RNA解析試薬・キット、再生医療に適した安全性の高いヒト間葉系幹細胞培養用培地、免疫細胞受容体解析用試薬・キット等を開発いたしました。
遺伝子医療事業においては、がんなどを対象にした遺伝子治療の臨床開発を進めております。
当連結会計年度においては、腫瘍溶解性ウイルスHF10について、国内で、悪性黒色腫を対象とした第Ⅱ相臨床試験および膵がんを対象とした第Ⅰ相臨床試験をそれぞれ推進しました。また、同じく国内で、NY-ESO-1・siTCRTM遺伝子治療においては滑膜肉腫を対象とした国内第Ⅰ/Ⅱ相臨床試験、CD19・CAR遺伝子治療では、急性リンパ芽球性白血病を対象とした国内第Ⅰ/Ⅱ相臨床試験を進めました。
医食品バイオ事業においては、当社グループ独自の先端バイオテクノロジーを駆使して、ガゴメ昆布フコイダン、ボタンボウフウイソサミジン、明日葉カルコン、寒天アガフィトース、ヤムイモヤムスゲニン®、きのこテルペン等の生理活性物質の探索・評価を行っており、これらの研究成果をもとに健康食品分野での事業展開を積極的に推進しております。
当連結会計年度においては、屋久島原産ボタンボウフウ由来のイソサミジンが排尿障害改善作用を持つことをヒト試験と基礎実験においてを明らかにいたしました。
また、上記の3事業に分類しきれない事業横断的な研究、あるいは、どの事業の研究開発の推進にもその成果が利用できる基礎的な研究も推進しております。同グループとしては、各研究開発プロジェクトの相互作用・フィードバック効果を利用して、戦略的な研究開発の推進を目指しております。
なお、当セグメントに係る研究開発費は4,653百万円であります。