有価証券報告書-第107期(平成29年4月1日-平成30年3月31日)

【提出】
2018/06/28 14:40
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【項目】
122項目

事業等のリスク

以下において、当社グループの事業、その他においてリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しております。また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項についても、投資者に対する積極的な情報開示の観点から開示しております。当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避および発生した場合の対応に努める所存であります。
なお、記載中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。また、以下の記載事項は投資判断に関連するリスクすべてを網羅するものではありませんのでご留意下さい。
(1) 消費者の嗜好及び需要動向の変化について
宝酒造の売上高の大部分は、日本国内のものであり、その市場は、消費者の嗜好の変化の影響を受けやすいものであります。同社は、消費者の嗜好の変化を捉えた商品の開発や、他社商品と差異化を図った独創的な商品の開発に注力しておりますが、消費者の嗜好の多様化が進み、消費動向の変化が加速しております。そのため、今後同社が消費者の嗜好や市場の変化を捉えた魅力的な商品を提供できない場合は、将来の成長性や収益性を低下させ、業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。また日本国内の人口減少や、少子化、高齢化の進行が酒類の需要の減少を招いた場合には、当社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 競合について
①宝酒造
日本国内の酒類・調味料市場では、商品開発やマーケティング戦略など、競合各社との競争が激化しております。同社は、独自の技術で差異化された商品の開発・育成や、ブランド力強化、流通業態の変化に対応した販売活動を行っていますが、競争力強化のためのマーケティング費用の増加を、売上高の増加やコストダウンの施策等で吸収できない場合には、当社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
②宝酒造インターナショナルグループ
海外酒類事業では、ウイスキー市場においては世界中に多くの強豪メーカーが存在するほか、清酒をはじめとする和酒市場においても、海外現地生産および日本生産の輸出メーカーなど多くの競合各社との競争が激化しております。また、海外日本食材卸事業においても、海外での和酒・和食市場が拡大を続けている一方で、同事業への参入障壁が低いことから競合の状況は激化しております。同社グループでは、魅力的な商品の開発・育成やブランド力の強化、流通業態の変化に対応した製造・販売活動に努めていますが、競合各社に勝る競争力を維持できない場合には、当社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
③タカラバイオグループ
収益基盤であるバイオ産業支援事業においては、試薬や理化学機器の製造・販売には医療機器のような許可や承認を必要としないことから、特許等による障壁がない場合、参入は比較的容易であり、多数の競合企業が存在しております。
遺伝子医療事業においては、技術的進展により安全性が高く治療成績に優れる治療薬が開発され、海外で製造販売承認が得られはじめています。実際に大きな市場が望めるようになったことから、欧米の大手製薬会社やベンチャー企業を含め多数の企業が遺伝子治療の研究開発に取り組み始めております。
医食品バイオ事業においては、健康食品ブームでもあり、その急拡大している市場を目指し、食品企業のみならず製薬企業まで多数の企業が参入しており、競合が激化しております。
このような環境の中、同グループは、独自もしくは大学等の外部団体と協力して、技術や製品を開発し、可能な限り知的財産化することにより、独占化あるいは差異化を図っておりますが、このような開発戦略が必ずしも成功するとは限らず、他社が類似の製品や技術分野で先行した場合、当社グループの製品開発や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(3) 製造に関する依存について
①宝酒造
同社の酒類製品の大部分は、伏見工場(京都市伏見区)および松戸工場(千葉県松戸市)で製造され、また同社は、必要に応じ、それらの工場における製造ラインの維持、更新を行っております。従いまして、これらの地域において大規模な地震やその他の操業を中断する事象が発生した場合、同社の商品の生産、供給能力が著しく低下し、当社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。また、同社の主要な原材料であるエタノールは、消防法において第4類危険物(火災発生、拡大の危険性が大きく、消火の困難性が高いなどの性状を有する引火性液体)として指定されております。
②宝酒造インターナショナルグループ
海外酒類事業において、The Tomatin Distillery Co.Ltd(英国スコットランド)でウイスキーを、またTakara Sake USA Inc.(米国カリフォルニア州)および宝酒造食品有限公司(中国北京市)で清酒やみりん等の製造・供給を行っております。従いまして、これらの地域において大規模な地震やその他の操業を中断する事象が発生した場合、同事業の商品の生産、供給能力が著しく低下し、当社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
③タカラバイオグループ
タカラバイオグループでは、バイオ産業支援事業における主力の研究用試薬を、中国の子会社である宝生物工程(大連)有限公司でその殆どを生産しております。同グループでは生産拠点の集約により、価格競争力の強い製品の製造を実現しており、また、同グループの規模では製造拠点の分散化は得策ではないと考えておりますが、当該子会社の収益動向の変化や、何らかの理由による事業活動の停止などにより、当社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(4) 原材料価格の変動について
宝酒造の原材料の調達については、調達先の国又は地域の天候や経済状況の影響を間接的に受ける可能性があります。焼酎等の原料である粗留アルコールは主に南米やアジア地域の、また清酒等の原料米は主に日本の天候、原料相場の影響を受けます。原材料の調達価格の高騰は製造コストの上昇に繋がり、また市場の状況等により販売価格に転嫁できない場合には、当社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(5) 特有の法的規制について
①宝酒造
宝酒造は、日本国内において酒類の製造免許、販売業免許、酒税等を定める酒税法の規制を受けております。同社は酒税法に基づき、販売業免許のほか、種類別、製造場ごとに所轄税務署長の製造免許を取得しております。今後の事業展開においても酒税法の規制を受けるほか、酒税の税率の変更によって酒類の販売価格、販売動向等に影響を受ける可能性があります。
②宝酒造インターナショナルグループ
宝酒造インターナショナルグループでは、事業を展開する各国において、事業・投資の許可、国家安全保障又はその他の理由による輸出制限、関税をはじめとするその他の輸出入規制等、様々な政府規制の適用を受けております。また、通商、独占禁止、特許、消費者、租税、為替管制、運輸、環境・リサイクル関連の法規制の適用も受けております。これらの規制を遵守できなかった場合、当社グループの活動が制限される可能性があり、またコストの増加につながる可能性があります。
③タカラバイオグループ
バイオ産業支援事業における研究開発を進めるにあたっては、放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律や遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律(以下、「カルタヘナ法」という。)等の関連法規の規制を受けており、同グループは当該法規制を遵守していく方針であります。また、試薬類の製造・販売および貿易にあたっては、毒物および劇物取締法や検疫法等関連法規を遵守する必要がありますが、医薬品、医療機器等の品質、有効性および安全性の確保等に関する法律(以下、「医薬品医療機器等法」という。)に定める医薬品や再生医療等製品ではないことから、医薬品医療機器等法の適用および規制は受けておりません。しかしながら、研究支援産業の拡大等に伴い、このような規制が強化されたり、新たな規制が導入された場合等においては、当社グループの事業戦略や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
また、同グループがその開発を目指す遺伝子治療や細胞医療の商業化は、医薬品医療機器等法、再生医療等の安全性の確保等に関する法律、カルタヘナ法等関連法規の規制を受けており、同グループは当該法規制を遵守していく方針であります。これらの関連法規は、医薬品、再生医療等製品、医薬部外品、特定細胞加工物、化粧品および医療機器の品質、有効性および安全性の確保を目的としており、商業活動のためには所轄官公庁の承認又は許可が必要になります。同グループが遺伝子医療事業で研究開発を進めている個々のプロジェクトについて、かかる許認可が得られなかった場合には、当社グループの事業戦略に影響を及ぼす可能性があります。
上記のほか、当社グループは食品を扱う会社として、食品衛生法に基づいた営業施設の整備、器具・容器包装の管理やその他の製造工程および販売などの管理運営を行っております。当社グループでは、食品衛生法を遵守し、食品衛生管理には万全の注意を払っておりますが、食品衛生問題や故意の妨害も含め食品の安全問題は不可避の問題でもあり、これらに関する問題が発生した場合は、当社グループの事業に影響を及ぼす可能性があります。
さらに、健康食品の販売にあたっては、薬事法に基づいた効能効果や用法用量などの表示や広告についても遵守するよう努めておりますが、一般的に健康食品の性質上、いわゆる表示義務違反となる可能性は完全には否定しがたく、そのような場合には当社グループへの信頼の低下等により、当社グループの事業に影響を及ぼす可能性があります。
また、一部の商品の販売では、インターネットによる通信販売を展開しており、特定商取引に関する法律に基づいた表示規制などについても遵守する必要があります。
(6) 飲酒に対する社会的規制について
酒類は人々の生活に豊かさと潤いを与えるものであるとともに、酒類に関する伝統と文化が人々の生活に深く浸透している一方で、不適切な飲酒はアルコール健康障害の原因となり、アルコール健康障害は、本人の健康の問題であるのみならず、その家族への深刻な影響や重大な社会問題を生じさせる危険性が高いことが指摘されております。宝酒造および宝酒造インターナショナルグループでは、これらの指摘を認識したうえで、酒類の製造、販売を行う企業として、人々の健康を維持増進し、社会的責任を果たす観点から「節度ある適度な飲酒」を普及啓発する様々な取り組みを行っておりますが、これらのアルコールに関連する諸問題が社会的に一層深刻となった場合には、酒類の製造、販売に何らかの影響、規制が及ぶ可能性があり、当社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(7) 研究開発活動について
タカラバイオグループにおいては、多岐にわたるバイオテクノロジー関連産業分野において広範囲にわたる研究開発活動を行っており、同グループは、競争優位性を維持していくためにも、研究開発活動を非常に重要であると考え、積極的に研究開発費を投下しております。しかしながら、研究開発活動は計画通りに進む保証はなく、特に遺伝子医療事業における臨床開発については長期間を要しますので、十分な研究開発活動の成果が適時にあがる保証はないことから、研究開発活動の遅延により、同グループの事業戦略や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、現在推進している研究開発活動から必ずしも期待した効果を得られる保証はなく、その結果、当社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(8) 知的財産権について
タカラバイオグループは、研究開発の成否がそのまま事業開発の成否につながるバイオテクノロジー関連産業において、特許その他の知的財産権の確保は非常に重要であると認識しており、競合他社を排除するため自らの技術を特許で保護しております。同グループは今後も研究開発を進めていくにあたり、特許出願を第一に考え対応していく方針でありますが、出願した特許すべてが登録されるとは限らず、また、登録特許が何らかの理由で無効となったり、期間満了などにより消滅した場合には、同グループの業績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
なお、バイオテクノロジー関連産業においては、日々研究開発競争が繰り広げられており、同グループが自らの技術を特許権により保護したとしても、同グループの研究開発を超える優れた開発力により、同グループの特許技術が淘汰される可能性は常に存在していると考えております。さらに、同グループは今後の事業展開の中で、有望な他者特許については取得又はライセンスを受ける方針でありますが、このために多大な費用が発生したり、必要な他者特許が生じてもそのライセンスが受けられない可能性があります。
(9) 投資有価証券の減損処理について
当社グループでは、時価のある有価証券を保有しておりますが、時価が著しく下落した場合には、取得原価と時価との差額を当該期の損失とすることとなり、当社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(10)固定資産の減損処理について
当社グループでは、固定資産を保有しておりますが、固定資産の減損に係る会計基準の対象となる資産又は資産グループについて減損損失を認識すべきであると判定した場合には、当該資産又は資産グループの帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として当該期の損失とすることとなり、当社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(11)退職給付債務について
当社グループの従業員退職給付費用および債務は、割引率等数理計算上で設定される前提条件や年金資産の期待収益率に基づいて算出されております。実際の結果が前提条件と異なる場合又は前提条件が変更された場合、あるいは年金資産運用で利回りが悪化した場合には当社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(12)事業・資本提携について
当社グループは、成長戦略の一環として、主に海外の他社との事業・資本提携を推進しています。しかしながら、提携先および出資先を取り巻く事業環境の変化等の影響により、提携先および出資先の事業、経営および財務状況の悪化等が生じた場合、当社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
また、出資に伴い、「のれん」の償却が多額に発生した場合、あるいは出資先の業績不振等により多額の減損損失を計上する必要が生じた場合、当社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(13)海外展開について
当社グループは、北米、欧州、中国を中心とするアジア、豪州などにおいても、生産、販売など事業活動を展開しております。これらの国又は地域で、経済状況、政治、社会体制等が著しく変化したり、地震など自然災害の発生によって需要の減少や生産施設における操業の中断などを引き起こした場合や、移転価格税制等の国際税務問題による影響を受けた場合は、当社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(14)為替レートの変動について
当社グループが事業を展開する日本国外の各地域における売上高、費用、資産を含む現地通貨建ての項目は、連結財務諸表の作成のために円換算されております。これらの項目は、換算時の為替レートにより円換算後の価値が影響を受ける可能性があります。
当社グループは、為替予約取引など為替ヘッジ取引を行い、為替レートの短期的な変動による影響を最小限に止める努力をしておりますが、中長期的には為替変動により計画的な調達および販売活動を確実に実行できない場合があるため、為替レートの変動は当社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(15)製造物責任について
当社グループが開発、製造する全ての商品について製造物責任賠償のリスクが内在しています。特に、酒類、食品、医薬品、医療機器などについては、製造、販売、臨床試験において瑕疵が発見され、健康障害等を引き起こしたりした場合には製造物責任を負う可能性があります。また、製造物責任賠償については保険に加入しておりますが、この保険が最終的に負担する賠償額を十分にカバーできるという保証はありません。大規模なリコールや製造物責任賠償につながるような商品の欠陥は、多額のコストが発生するうえに、当社グループの評価に重大な影響を与え、当社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(16)情報の管理について
当社グループは、販促キャンペーンや通信販売等により、多数の個人情報を保持しており、個人情報の管理に関しては、管理体制の構築、責任者の設置、従業員に対する継続的な研修会の実施等、個人情報の漏洩を防ぐための万全の努力をしております。しかしながら、予期し得ない事象により、個人情報に限らず社内情報の紛失、漏洩、改ざんなどのリスクがあり、このような事態が発生した場合には、当社グループへの信頼の低下等により、当社グループの事業に影響を及ぼす可能性があります。
(17)訴訟について
当社グループでは、事業の遂行にあたり各種法令および規制等に違反しないようコンプライアンス活動を強化するなど最善の努力をしております。しかしながら、国内外において事業活動を遂行していくうえで、当社グループおよびその従業員が法令等に対する違反の有無にかかわらず、製造物責任法や知的財産権、発明対価請求などの問題において訴訟提起される可能性を抱えています。万が一当社グループが訴訟を提起された場合、また不利な判決結果が生じた場合は、当社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。