有価証券報告書-第142期(平成25年4月1日-平成26年3月31日)

【提出】
2014/06/25 14:12
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141項目

業績等の概要

(1) 業績
当連結会計年度における日本経済は、政府の経済政策や日銀の金融緩和策によって、輸出企業を中心に企業業績が改善するなど、ゆるやかな回復傾向が続いておりますが、新興国不安やウクライナ情勢への警戒感を背景とした景気後退懸念や、円安・国際商品市況高に伴うエネルギー関連コストの大幅上昇など、企業の経営環境においては依然厳しい要因を含んでおります。
このような環境下において、当社グループでは、中期経営計画「GROWTH 10 フェーズⅡ」の最終年度として、「成長戦略」と「構造改革戦略」を実行し、安定した収益基盤の確立と確かな成長の実現に向けて、「事業構造改革」の完遂に取り組んでまいりました。
当連結会計年度の業績としましては、売上高は前期に比べ8.8%増加の3,371億48百万円となりました。また、利益面では、営業利益が51億3百万円と前期に比べ20.7%、経常利益が50億58百万円と前期に比べ13.1%、当期純利益が22億76百万円と前期に比べ50.9%、それぞれ増加しました。
セグメントの業績を示すと、次のとおりであります。
[油脂・油糧事業]
油脂・油糧事業につきましては、引き続き厳しい環境となっております。大豆相場は、春先には南米の豊作や米国産新穀の生産量が史上最高を見込んでいたにもかかわらず、米国産旧穀の需給のタイト感やブラジルにおける物流インフラへの懸念、米国産新穀の生育遅れなどを背景に騰勢を示し、7月には1ブッシェルあたり16米ドルを超えました。その後、米国産の生産量見通しの上方修正や、南米の豊作への期待により価格は多少軟化する局面もありましたが、中国を中心とした米国産に対する旺盛な需要やブラジルの乾燥懸念から再び上昇に転じるなど、当連結会計年度において総じて高値圏で推移しました。また、為替につきましては、日銀の金融緩和策や米国に景気回復の兆しが見え始めてきたことから、前期に比べ円安水準で推移しました。これらにより、大豆・菜種などの原料価格は、円安の影響を強く受けたこともあり、前期に比べて大幅に上昇しました。
家庭用食用油につきましては、原料コストに見合う適正な販売価格の形成に注力したことにより上期の販売数量は減少しましたが、下期は消費税増税前の仮需による影響もあり、通期の販売数量は前期に比べ若干増加いたしました。また、フルライン戦略に基づき、付加価値の高い商品群を中心とした提案型販売を展開した結果、ごま油やオリーブ油の売上が増加したとともに、当期にリニューアルして発売した「日清ヘルシーベジオイル」の拡販なども寄与し、売上高についても家庭用食用油全体で前期を上回りました。贈答用詰合セットにつきましては、食用油調味料ギフトの市場規模がギフト市場全体の対前期比以上に減少する厳しい市場環境の中、BOSCOオリーブオイル入りのギフトセットなどを新たに発売し拡販に努めましたが、販売数量、売上高ともに前期を下回る結果となりました。
業務用食用油につきましては、プレミアム油・パーム油・ごま油・オリーブ油などの販売数量が前期を上回り、業務用食用油全体としても前期を上回りました。売上高につきましては、上期に価格改定を実施したものの、下期にかけて相場が下落し販売市況が悪化しましたが、原料コストに見合う適正な販売価格の形成に努めた結果、前期を若干上回りました。
加工用油脂につきましては、大手食品ユーザーや工業用大豆油ユーザーとの取組みを積極的に推進するとともに、原料コストに見合った適正な販売価格の形成に努めた結果、販売数量、売上高ともに前期を上回りました。
油粕につきましては、大豆搾油量の増加に伴い、大豆粕の販売数量が増加しました。加えて、大豆粕の国際市場価格の上昇と円安により販売価格が上昇したことから、売上高は前期を上回りました。菜種粕においては、販売数量は前期に比べ減少しましたが、大豆粕同様、販売価格が上昇したことから売上高は前期を上回りました。
大連日清製油有限公司につきましては、中国国内で採算の厳しい環境が継続し、販売先を絞り込んだため、販売数量、売上高ともに前期に比べ減少しました。利益面においても年間を通して厳しい状況が続きました。
これらの結果、当セグメントの売上高は前期に比べ8.2%増加の2,238億88百万円となりましたが、営業利益は25億41百万円と前期に比べ26.1%減少しました。
なお、当社は、平成25年9月27日に公表の通り、中国糧油控股有限公司との業務提携契約の締結と大連日清製油有限公司の出資持分の51%を中国糧油控股有限公司の100%子会社COFCO Oils & Fats Holdings Limitedに譲渡の上、大連日清製油有限公司を当社グループとCOFCO Oils & Fats Holdings Limitedの合弁会社とすることを決定し、平成26年3月13日に営業許可書の発行を受け、「中糧日清(大連)有限公司」と社名変更して再スタートしました。中国事業の収益回復に向けて搾油事業の再生を進めるとともに、新資源食品(MLCT油)の製造・販売を主軸とした事業を新たに展開してまいります。
[加工油脂事業]
国内の加工油脂事業につきましては、ショートニングやチョコレート用油脂が販売数量、売上高ともに増加し、利益面でも前期を上回りました。子会社の大東カカオ株式会社につきましても、コンビニエンスストア向けや冷菓業界向けで新規開拓ができたほか、既存市場向け販売も堅調に推移し、販売数量、売上高ともに前期に比べ増加し、利益面でも前期を上回りました。
Intercontinental Specialty Fats Sdn. Bhd.につきましては、マレーシア国内主要取引先向けの販売が好調に推移しました。また、欧州向け付加価値品の拡販やパーム核油製品の新規開拓なども寄与し、販売数量は前期を上回りましたが、パーム油相場の影響により販売価格が下落したことから現地通貨ベースの売上高は減少しました。なお、為替の要因により円ベースの売上高につきましては、前期を上回っております。また、利益面でも前期を上回りました。
シンガポールの子会社であるT. & C. Manufacturing Co., Pte. Ltd.につきましては、新工場の稼働後、新規取引を含めて安定的に生産・販売できたことなどにより、販売数量、売上高、利益ともに前期を大きく上回りました。
これらの結果、当セグメントの売上高は前期に比べ10.5%増加の827億71百万円となり、営業利益も20億38百万円と前期に比べ151.7%増加しました。
[ヘルシーフーズ事業]
ドレッシングにつきましては、積極的な販売活動を展開したことにより、販売数量は前期に比べ増加しましたが、当期からリベート・販売費の体系を見直したこともあり、売上高は前期を下回りました。一方で、マヨネーズ類につきましては好調に販売が推移し、販売数量、売上高ともに前期を上回りました。また、治療食品・高齢者食品につきましても、販売が好調に推移したとともに、通信販売の運営方法見直しに伴う販売増加なども寄与し、販売数量、売上高ともに前期を上回りました。
子会社のもぎ豆腐店株式会社につきましては、売上高・利益面ともに前期を上回りました。
これらの結果、当セグメントの売上高は前期に比べ2.3%増加の72億41百万円となり、営業損失は25百万円と前期に比べ2億47百万円改善しました。
[ファインケミカル事業]
化粧品原料につきましては、国内向け販売は汎用品の原価上昇に伴う価格改定により、一部の顧客で販売量が減少しましたが、高付加価値品の拡販などに努めた結果、売上高は前期を上回りました。また、海外向け販売についても、一部地域で汎用品の販売数量が減少しましたが、中国をはじめとしたアジア圏成長市場への拡販効果や、米国の景気が好転したことなどにより売上高は前期を上回る結果となりました。また、中鎖脂肪酸油につきましても、市場拡大に注力した結果、新規開拓および既存顧客に対する販売増が寄与し、販売数量、売上高ともに前期を上回りました。
Industrial Quimica Lasem,S.A.U.につきましては、欧州経済の低迷の影響を受け、厳しい環境が続いておりますが、新分野への展開や生産性向上の取組みにより、売上高、利益面ともに前期に比べ改善いたしました。
これらの結果、当セグメントの売上高は前期に比べ9.9%増加の137億24百万円となり、営業利益は5億80百万円と前期に比べ45.3%増加しました。
[大豆食品素材事業]
大豆食品素材事業につきましては、大豆たん白において主要顧客の生産量伸び悩みや中国からの廉価な輸入品の増加などを背景に販売数量は前期をやや下回りましたが、原料コストに見合った適正な販売価格の形成などに努め、売上高は前期並みの水準を維持しました。食品大豆では需給のタイト感や円安の影響を受けて商売が活発に動いたこともあり、販売数量、売上高ともに前期を上回りました。
これらの結果、当セグメントの売上高は前期に比べ9.5%増加の57億88百万円となり、営業利益は62百万円と前期に比べ39.5%増加しました。
[その他]
情報システム事業をはじめその他の事業の売上高は、前期に比べ14.5%増加の37億33百万円となり、営業利益は4億78百万円と前期に比べ30.5%増加しました。
[地域別売上高]
中国、マレーシアなどのアジア向け売上高は、大連日清製油有限公司の売上高減少の影響等により、前期に比べ5.1%減少の456億16百万円となりました。また、欧州、米国などのその他地域への売上高は、為替の影響などもあり前期に比べ13.9%増加の282億29百万円となりました。なお、連結売上高に占める海外売上高の割合につきましては、前期に比べ1.6ポイント減少し21.9%となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に対して、107億34百万円減少し、57億17百万円となりました。
[営業活動によるキャッシュ・フロー]
営業活動によるキャッシュ・フローは、127億11百万円の増加となりました。増加要因としては税金等調整前当期純利益58億53百万円、減価償却費56億7百万円、たな卸資産の減少66億57百万円、減少要因としては、仕入債務の減少70億39百万円であります。
[投資活動によるキャッシュ・フロー]
投資活動によるキャッシュ・フローは、89億34百万円の減少となりました。主な内訳は、投資有価証券の売却による収入8億21百万円、関係会社出資金の売却による支出29億14百万円、有形固定資産の取得による支出69億17百万円であります。
[財務活動によるキャッシュ・フロー]
財務活動によるキャッシュ・フローは、157億51百万円の減少となりました。短期借入金の純減少29億35百万円、長期借入金の返済による支出58億14百万円、社債の償還による支出50億円、配当金の支払額16億62百万円が主な内訳であります。
前連結会計年度
(百万円)
当連結会計年度
(百万円)
営業活動によるキャッシュ・フロー1,36912,711
投資活動によるキャッシュ・フロー△4,945△8,934
財務活動によるキャッシュ・フロー△7,793△15,751
現金及び現金同等物の増減額(△減少)△10,526△10,834
現金及び現金同等物の期末残高16,4525,717