有価証券報告書-第138期(平成27年4月1日-平成28年3月31日)

【提出】
2016/06/29 11:58
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【項目】
132項目

事業等のリスク

当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあります。ただし、すべてのリスクを網羅したものではなく、現時点では予見出来ない又は重要と見なされていないリスクの影響を将来的に受ける可能性があります。当社グループではこのような経営及び事業リスクを最小化するための様々な対応及び仕組み作りを行っております。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1)経営環境に関するリスク
1.為替変動の影響
当社グループは、グローバルな生産供給体制の確立と強化を図っており、日本を含め全世界で27の国・地域に拠点を持ち、そのうち22の国・地域の119工場で生産活動を展開し、海外の比重が高くなっています。
前連結会計年度及び当連結会計年度において、日本以外の地域(アジア、米州及び欧州)での外部顧客に対する売上高は5,462億円及び6,293億円(連結売上高に占める割合は54.3%及び53.1%)、営業利益は
448億円及び526億円(連結営業利益に占める割合は60.2%及び57.8%)でありました。連結財務諸表は、海外グループ会社の現地通貨建て財務諸表を円に換算することにより、換算為替レートの変動を受けます。また、当社グループでは、外貨建て取引に伴う債権及び債務につき、為替予約等によるリスクヘッジを行っておりますが、その業績は為替変動の影響を受ける可能性があります。
2.天変地異等の影響
当社グループは、日本国内での事業展開はもとより、海外市場の開拓を積極的に進めております。これらの事業展開地域においては、次のようなリスクがあります。これらの事象が発生した場合は当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
① 気候変動等に伴う水資源の不足による生産量減少等
② 地震、台風・ハリケーン・サイクロン、洪水等の天変地異の発生
③ 大規模停電等による中断事象の発生
④ 感染性疾病の流行等による社会的混乱
3.予期しない不利な経済的又は政治的要因の発生
当社グループは、グローバルに事業を展開しておりますが、海外ではテロ又は紛争等による政情不安、経済動向の不確実性、宗教や文化の相違並びに商習慣に関する障害、投資、海外送金、輸出入、外国為替などの規制の変更、さらには接収など様々な経済的、政治的若しくは法的な障害を伴う可能性があり、当社グループの業績が悪影響を受ける可能性があります。
4.原燃料価格変動の影響
当社グループの使用する主要な原材料並びに重油等のエネルギー原料には、その価格が市場の状況により変動するものがあります。地球温暖化に伴う天候不順による農作物の不作やエタノール需要拡大による穀物価格の上昇などに加えて、これらが投機的取引の対象となることもあり、従来に比べて原燃料価格変動要因が増加してきております。これら原燃料の価格が高騰した場合には製造コストの上昇につながり、この上昇が新技術導入や各種活動等によるコストダウンで吸収しきれない場合、また市場の状況によって販売価格に転嫁することができない場合には、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(2)事業活動に関するリスク
1.製品市況の変動の影響
当社グループがライフサポート事業において取り扱っている飼料用アミノ酸は、穀物市況と飼料用アミノ酸の需給動向によって販売価格が変動する傾向があります。当社グループでは、複数の種類のアミノ酸(リジン、スレオニン及びトリプトファン等)を取り扱うことでリスクの低減・分散を図るとともに、乳牛用リジン製剤「AjiPro®―L」等の高付加価値素材による「スペシャリティ」化をはかり、またアミノ酸の発酵生産技術に関するコストダウンを通じて収益性の安定と向上を図ることを目指していますが、穀物市況の変動の影響及び飼料用アミノ酸の需給動向によって当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。
2.食の安全性に影響を与える事項
当社グループは、独自の厳しい品質保証システムを一層強化するとともに、グループ横断の品質監査の実施、トレーサビリティシステム(商品の生産、加工、流通等の各段階における情報を追跡するためのシステム)の構築に注力する等、全事業の存立基盤となる「安心と安全」を確保するため、万全の体制で臨んでおります。
とりわけ、昨今日本で発生した食の安全に関する事件を受けて、労働・人権課題を含む良好な組織風土を要として、製造設備などのハード面と、品質基準やガイドラインなどのソフト面の見直しや強化により、サプライチェーン全体の、リスクの極小化、グループの食の安全体制の一層の強化を図っております。
その一方で、社会全般にわたる新たな品質問題等、上記の取り組みの範囲を超えた事象が発生した場合、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
3.情報の漏洩等の影響
当社グループは、通信販売や販促キャンペーン等により多くのお客様の個人情報を保持しております。当社グループは、これらの個人情報を含む重要な情報の漏洩等を防ぐために、「味の素グループ情報セキュリティポリシー」を定め、「情報取扱ガイドブック」の社内配布や研修等を実施することにより、システムを含め情報管理に対して適切なセキュリティ対策を実施しております。しかしながら、現在予期し得ない不正アクセス等により情報が漏洩、改ざんされるリスクがあります。また、コンピューターウイルスの感染等によって情報システムが一定期間使用できないリスクも考えられます。このような事態が発生した場合、事業活動に支障をきたし、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
4.資金の調達
金融市場の混乱又は停止、信用格付機関による当社格付けの引下げ、金融機関等の融資判断及び方針の変更が、当社グループの資金調達に影響を与えるとともに、資金調達コストを増加させ、流動性の悪化、すなわち資金を必要なときに必要な額を調達できない可能性があります。
5.得意先の経営破綻
当社グループは、得意先に対する債権の回収不能という事態を未然に防ぐべく、情報収集・与信管理等、債権保全に注力しておりますが、今後海外を含め予期せぬ得意先の経営破綻が発生した場合には、当社グループの財政状態及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
6.高度な専門性を有した人材の獲得及び継続雇用
当社グループの事業運営は、各国及び各職種において高度な専門性を有した人材が担っており、将来の成長を達成するため、その様な人材の獲得・育成が欠かせません。次期経営人材の育成を加速するための制度を整備し、海外法人における現地社員の役員への登用、女性のマネージャーへの登用等により多様性を高め、分厚い人材層を造ってまいりますが、人材の獲得競争が激しいなか、高度な専門性を有した人材の獲得及び継続雇用が出来ない可能性があります。
(3)法的規制及び訴訟等
1.法的規制等の影響
当社グループは、グローバルに事業を展開しておりますので、国内外において、食品衛生、薬事、知的財産、環境・リサイクル、事業・投資の許認可、輸出入、外国為替管理、及び種々の税金にかかわる法の規制等の適用を受けています。このような中、当社グループとしては、法的手続きによる権利の保全にも万全を期しております。しかしながら、将来において、現在予期し得ない法的規制等が設けられる可能性があり、また法解釈の多様性によるリスクにさらされる可能性もあります。これらの法的規制等に係る適用を受けた場合、当社グループの事業活動が制限される可能性があり、業績に影響を及ぼす可能性があります。
2.訴訟等の影響
当社グループは、日本国内外で訴訟等の事件に関わっています。また、多くの国で多岐にわたる事業を展開している関係から、新たに不測の訴訟や請求等を受ける可能性があります。重大な訴訟が提起された場合には、当社グループの業績及び評判が悪影響を受ける可能性があります。
3.租税制度に関する影響
新たな租税制度の導入又は改廃によって、当社グループの経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当社グループは味の素グループ行動規範及び味の素グローバル・タックス・ポリシーに基づき、世界各国で適用される税法を遵守し事業活動を行っていますが、特に日本国外における頻繁な租税制度の改正、税務行政の変更や税務申告における税務当局との見解の相違により、当社グループに予想以上の税負担が生じる可能性があります。
4.環境法令等
当社グループは、大気汚染、排水等に伴う水質汚染、騒音、アスベストなどの有害物質、廃棄物、及び土壌又は地下水の汚染などに関する様々な環境法令等の適用を受けています。この様な環境法令等は、現在の当社グループの事業活動だけでなく、過去の事業活動や企業買収などで他社から引き継いだ事業の過去の活動にも適用される可能性があります。さらに、サプライチェーン上での法令違反も当社グループの事業におけるリスクとなります。そこで「CSR調達ガイドライン」を策定し、サプライチェーン全体で環境や人権に配慮した調達を実践して参ります。当社グループでは、ISO 14001に準拠した環境マネジメントシステムを国内外グループ各サイトで適用しており、国や地域に応じた環境法令等への対応や、環境トラブルの防止を図るとともに、環境改善の取り組みを進めています。このマネジメントシステムのもと、法改正の動向を注視するとともに、当社グループは、当社グループとサプライチェーン全体にわたって法令等を確実に遵守する体制を強化しておりますが、将来の環境法令等の遵守や環境改善取組みの強化などにより、環境に関連する費用負担が当社グループの業績に悪影響を与える可能性があります。
(4)その他のリスク
1.減損会計適用の影響
当社グループは、事業用の設備、不動産や企業買収などにより取得したのれんをはじめとする様々な有形・無形の固定資産を所有しております。こうした資産は、時価の下落や、期待通りのキャッシュ・フローを生み出さない状況になるなど、その収益性の低下により投資額の回収が見込めなくなることにより、減損処理が必要となる場合があり、減損損失が発生した場合、当社グループの財政状態及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
2.繰延税金資産等
当社グループでは、将来の課税所得等に関する予測及び仮定に基づき回収可能性を慎重に検討した上で繰延税金資産等を計上しております。しかし、今後の業績動向等により、一部ないし全部について回収可能性が低いと判断された場合、繰延税金資産等の計上額が修正され、当社グループの財政状態及び業績に影響を与える可能性があります。