有価証券報告書-第104期(令和3年4月1日-令和4年3月31日)

【提出】
2022/06/24 14:45
【資料】
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【項目】
153項目

研究開発活動

当社グループは、市場の変化に対応した新商品及び新技術の開発並びに新規事業の育成を目指した研究開発活動を行っております。
当連結会計年度の研究開発費は1,939百万円で前期に比べ463百万円減少しました。セグメント別の内訳は、加工食品事業では1,182百万円、低温物流事業は199百万円、その他の事業は337百万円、全社(共通)は220百万円となりました。
セグメント別の研究開発活動の状況は次のとおりであります。
(1) 加工食品事業
当連結会計年度は、近畿大学(大阪府東大阪市)と昨年度共同開発した「アセロラぶり」に続き「アセロラ真鯛™」の開発に取り組みました。「アセロラ真鯛™」は、当社アセロラ商品の生産過程で生成される副産物のアセロラの搾りかす粉末を配合した餌で養成した養殖魚で、アセロラ由来のポリフェノールとビタミン類の抗酸化作用による品質保持力と後味の良さが特徴です。また、人工種苗による持続可能な養殖業による生産物であることを証明する第三者認証「SCSA認証」を受けております。この技術で食品ロスの軽減とサステナブルな養殖業の推進を目指します。
(2) 低温物流事業
物流事業における労働力不足の対策として、作業の省人化、簡易化に資する技術検証、システム開発に取り組んでおります。
作業の省人化では、無人フォークリフトによる庫内作業の実証実験として、冷蔵(+7℃)・冷凍(-25℃)環境下における稼働実験、冷蔵と冷凍ゾーン間の移動実験、有人フォークリフトとの共存実験を進めております。また、様々な用途に合わせた最適な無人搬送機(AGV)の導入検討を行っております。作業の簡易化では、タブレットを利用した検品、ピッキングシステムの開発、人工知能を利用した作業タスクマネジメントシステムの研究・開発を進めており、スマートグラスやウェアラブル端末、遠隔ロボットを利用した物流作業の実証実験にも取り組んでおります。
(3) その他の事業(バイオサイエンス事業)
分子診断薬、イムノクロマト製品の開発を行っております。分子診断薬ではALK融合タンパクキット「ヒストファイン ALK iAEP® キット」の使用目的に、「セリチニブ」、「ブリグチニブ」、「ロルラチニブ」の適応判定を追加する一部変更承認を取得しました。イムノクロマト製品では海外メーカーからの導入品である新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)抗原及びインフルエンザウイルス抗原を同時に検出する迅速診断キットや自社開発した新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)抗原を検出する迅速診断キットを体外診断用医薬品として販売を開始しました。
(4) 全社(共通)
短期的視点で各事業の利益に貢献できる技術支援を行うとともに、中長期視点での新商品やサービス、新事業創出に資する研究を実施しております。
技術支援については、各事業の技術的課題の解決に向けた情報提供や分析技術の提供、技術開発の支援を幅広く行っております。中長期的な研究では、競争優位性の源泉となる基盤技術の深化と創出に関する取組みを進めております。具体例としては、不凍タンパク質の実用化や新たな保存技術の開発を目指す冷凍技術研究、当社独自技術の香り分析装置MS Nose®を活用した「おいしさ研究」、超高齢社会における生活者のニーズを満たす「食と健康」の取組みとそれに向けた自社素材の応用研究、生活者の深層心理を探るサイコメトリクスの事業への活用といった取組みを、社外の研究機関との連携を通して行っております。当連結会計年度の取組みとしては、筑波大学との共同で温度を可変できるMRI装置を開発し、本装置が食品の凍結解凍過程や凍結前後の品質変化を把握し、新たな保存技術の開発を進める上で非常に有用であることを確認しました。この内容は2021年8月に開催された「第25回NMRマイクロイメージング研究会」にて発表しております。また、不凍タンパク質につきましては、新たな製品開発と研究用試薬としての販売を継続するとともに、新たな用途開発も引き続き行っております。