訂正有価証券報告書-第73期(平成25年4月1日-平成26年3月31日)

【提出】
2014/07/01 11:45
【資料】
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【項目】
111項目

対処すべき課題

当社グループの対処すべき課題は次のとおりであります。
(1) 新規顧客の獲得と新しいサービスの提供
一人・二人世帯での食事の増加を捉えて商品開発を行い、食シーンに合わせた食事の提供、チャネルの開発を行って参ります。
① 開発のテーマを自然な香りと風味に置き、無添加調理だからできる本物の美味しい商品を発売して参ります。
② 発売40周年を迎えるミートボールをお客様の変化に合わせるため、商品開発とリニューアルを行って参ります。
③ 在宅介護食を千葉県内の介護ステーション及び製造メーカーと協力して、本格的に販売開始して参ります。
④ 災害時の食事として保存食を、企業、官公庁、学校、幼稚園、公共施設等に販売して参ります。
(2) 安心・安全な商品の提供
ISO9001、ISO14001、FSSC22000の3つのマネジメントシステムを運用し、安全・安心への取り組みを更に充実して参ります。
(3) 利益構造の改善
生産における一つ一つの工程を徹底的に分析し、あるべき姿と実績との差を明確にし、改善を進めることにより、生産性の向上を行います。生産工程毎に品質の合否判定を行う体制を整えることにより、利益構造の改善に努めて参ります。
また、全部門において従来からの業務工程を作業分析し、捨てるものを明確にし、ロス・ムダの改善を行います。
(4) 安定的な財務基盤の獲得
新しい分野、従来の分野を問わず、投資と成果のバランスを図り、キャッシュ・フロー重視の経営を行って参ります。
(5) 管理体制の充実
日々の変化を敏感に捉え、即対応することができる体制を作り、責任の所在を明確にし、関連法令遵守、環境保全の推進を図ります。このことにより内部統制の強化を図って参ります。
(6) 地球環境
認証取得しておりますISO14001の運用において、ISO9001、FSSC22000と一緒に考えて行動していくことにより、お客様に喜んで頂ける商品やサービスの提供とともに、食品廃棄物量、水の使用量、二酸化炭素(CO2)排出量の削減を積極的に進めて参ります。
(7) 企業の社会的責任への対応
当社グループは企業の社会的責任(CSR)に対する関心の高まりに応えるべく、金融商品取引法における内部統制システムの構築・整備・運用を行うとともに、ISO9001、ISO14001、FSSC22000のマネジメントシステムを業務に一体化させることで、お客様に喜んで頂けるサービスの提供と環境問題への貢献、災害時における食事で困っている方に援助することで社会への貢献ができると考えております。これらにより新たな社会的貢献事業や活動などを通じて、CSRの視点に立った経営を目指して参ります。
(8) 地震、放射性物質汚染、電力不足、水害、環境汚染に対する今後の対応
当社グループは、今後想定されている災害に対し、以下のことを検討しております。
① 災害が発生した場合、千葉県八千代市、京都府船井郡京丹波町、佐賀県唐津市の三地域に工場が分散している利点を生かし、生産が継続できる体制を準備して参ります。
② 原材料に関する仕入ルートの新規開拓を行います。
③ 電力不足に対応した生産体制の変更を行います。
④ 放射性物質汚染による原材料、水の自社基準を設けた検査を継続して参ります。
⑤ 備蓄している非常食を始めとする食品などの支援物質を、各自治体及び各種団体を通して提供をするなどの支援活動を行って参ります。また、食物アレルギーや塩分など食事に配慮が必要な方などへも、支援物資の提供を行って参ります。
以上のことを実施していくことにより、社会からより信頼される企業を目指して、経営体質改善の実現を継続的に図る所存であります。
(株式会社の支配に関する基本方針)
(1) 基本方針の内容
当社は、金融商品取引所に株式を上場している者として、市場における当社株式の自由な取引を尊重し、特定の者による当社株式の大規模買付行為であっても、当社グループの企業価値ひいては株主共同の利益の確保・向上に資するものである限り、これを一概に否定するものではありません。また、当社に対して大規模買付提案(買収提案)が行われた場合に、当該大規模買付提案を受け入れるか否かは、最終的には株主の皆様のご判断に委ねられるべきものであると考えます。
しかし、株式の大規模買付提案の中には、その目的等から見て、当社が蓄積してきました多くのノウハウ・知識・経験について理解のないもの、ステークホルダーとの良好な関係を保ち続けることができない可能性があるもの、当社グループの企業価値ひいては株主共同の利益を損なう恐れのあるもの、株主の皆様に株式の売却を事実上強制する恐れのあるもの、当社グループの価値を十分に反映しているとは言えないもの、あるいは株主の皆様が最終的な決定をされるために必要な情報が十分に提供されないもの等、当社の企業価値・株主共同の利益に資さないものもありえます。
そこで、そのような提案に対しては、当社は、買収者に株主の皆様のご判断に必要かつ十分な情報を提供させること、更に買収者の提案が当社の企業価値及び株主共同の利益に及ぼす影響について当社取締役会が評価・検討した結果を株主の皆様に当該提案をご判断いただく際の参考として提供すること、場合によっては当社取締役会が大量買付行為または当社の経営方針等に関し買収者と交渉または協議を行うことが、当社取締役会としての務めであると考えております。
以上のような見解に基づき、当社取締役会は、当社に対する買収行為が、一定の合理的なルールに従って行われることが、当社及び当社株主全体の利益に合致すると考え、事前の情報提供等に関する一定のルール(以下、「大規模買付ルール」といいます。)を設定することとしました。
(2) 基本方針の実現に資する特別な取組み
当社は、創業以来、食の安心・安全を第一に考えて、おいしい良質な調理済食品の製造販売を行ってきております。また、品質管理方法においても、品質管理番号システムを採用することで品質管理を徹底し、原材料の履歴と製造工程の管理状況がわかる独自のシステムを導入しております。また、同時に検査体制も充実させることで、食の安心・安全の実現を担保しております。
そうした中、当社は、他社では真似のできない、無添加調理方法、品質管理方法、厳選素材の入手ルート等、数多くのノウハウ・知識・経験を蓄積してきており、これらのノウハウ等から生み出される安心・安全かつおいしい良質な食品を製造販売することで、数多くのお客様および取引先等のステークホルダーとの間に信頼関係を築き上げて参りました。
当社は、これからも当社独自の品質管理方法、無添加調理方法、厳選素材の入手ルート等の当社が有するすべての技術・ノウハウをベースとして、これら技術・ノウハウの質を日々たゆまぬ努力により一層向上させながら、お客様に満足していただける安心、安全かつおいしい良質な食品の提供を提案し続けて参ります。当社の企業価値は、このような技術力・提案力により確保、向上されるべきであり、また、これを支えるお客様、取引先、従業員等のステークホルダーとの一体性こそが、当社の企業価値の源泉であると考えております。
当社は、このような経営姿勢を当社の企業理念である「地球にやさしく、おいしさと安全の一体化を図りお客様満足に全力を傾ける。」というメッセージに込め、すべてのステークホルダーの利益を追求し、当社の企業価値ひいては株主共同の利益の向上を図って参ります。
(3) 基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組み
当社は、平成25年6月26日開催の第72回定時株主総会において、「大規模買付行為に関する対応方針導入の件」について、承認を得ております。
大規模買付ルールは、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を確保・向上させることを目的として、上記(1)に記載の基本方針に沿うものであり、当社株式等の大規模買付行為を行おうとする者が遵守すべきルールを明確にし、株主の皆様が適切な判断をするために必要かつ十分な情報及び時間、並びに大規模買付行為を行おうとする者との交渉の機会を確保することを目的としています。
大規模買付ルールは、当社株式等の大規模買付行為を行おうとする者が遵守すべきルールを策定するとともに、一定の場合には当社が対抗措置をとることによって大規模買付行為を行おうとする者に損害が発生する可能性があることを明らかにし、これらを適切に開示することにより、当社の企業価値ひいては株主共同の利益に資さない当社株式等の大規模買付行為を行おうとする者に対して、警告を行うものです。
また、大規模買付ルールでは、対抗措置の発動にあたって、当社取締役会の恣意的判断を排除し、取締役会の判断及び対応の客観性、合理性を確保するための機関として特別委員会を設置し、発動の是非について当社取締役会への勧告を行う仕組みとしています。
この大規模買付ルールは一般的なものであり、特定の大量保有者のみを意識したものではありませんが、現在の大量保有者にも、この大規模買付ルールは適用されます。
大規模買付ルールの対象となる者は、特定株主グループ(注)の議決権割合を20%以上とすることを目的とする当社株券等の買付行為、または結果として特定株主グループの議決権割合が20%以上となる行為(いずれについても当社取締役会が同意したものを除くものとし、また市場取引、公開買付等の具体的な買付方法の如何を問いません。)を行おうとする者です。
(注) 特定株主グループとは、当社の株券等(金融商品取引法第27条の23第1項に規定する株券等をいいます。)の保有者(同法第27条の23第1項に規定する保有者をいい、同条第3項に基づき保有者に含まれる者を含みます。)及びその共同保有者(同法第27条の23第5項に規定する共同保有者をいい、同条第6項に基づき共同保有者とみなされる者を含みます。)並びに当社の株券等(同法第27条の2第1項に規定する株券等をいいます。)の買付等(同法第27条の2第1項に規定する買付等をいい、取引所有価証券市場において行われるものを含みます。)を行う者及びその特別関係者(同法第27条の2第7項に規定する特別関係者をいいます。)を意味します。
なお、この大規模買付ルールの詳細につきましては、当社ホームページのIR情報に記載の「当社株式の大量取得行為に関する対応策について」(平成25年6月27日付)をご参照下さい。
(http://www.ishiifood.co.jp/)
(4) 不適切な支配の防止のための取組みについての取締役会の判断
当社を取巻く昨今の国内の食品市場は、少子高齢化の影響による人口減少により、国内の食品消費量は頭打ちの状況にあり、厳しい環境にあります。そうした中、食品会社各社は新たな需要を開拓するべく、自社による新商品開発にとどまらず、他社を買収することによりその会社が有する技術力を用いて商品開発等を行い、自身の業務を拡大しようとする動きが近年加速している状況にあります。
当社は、かかる認識のもと、自身が培ってきた独自の無添加調理方法、品質管理方法を軸とした高度な技術力に基づく食品業界固有のブランドと市場を開拓し、また、生産体制の効率化と製品競争力の強化を中心とした収益構造の確立を図りつつ、財務面では借入金に頼らない堅実な経営を推進することにより、持続的成長可能な食品会社となることを経営の基本方針として、企業価値及び株主共同の利益の向上に努めてきておりますが、当社を取巻く経営環境等の変化を背景に、以前に増して、当社の卓越した技術力や財務健全性に着目した、当社の支配権取得を目的とした大量買付行為が行われることも予想される状況になってきております。
当社取締役会は、上記(1)に記載の基本方針で謳っているように、大規模買付行為であっても、当社の企業価値及び株主共同の利益に資する買収提案であれば、これを一概に否定するものではありません。また、当社の株主構成は、現時点では当社の創業者親族等の株主が保有割合の上位を占めており、現段階で具体的に差し迫った買収のリスクが存在している訳ではありません。しかしながら、上記のような当社を取巻く経営環境等の変化を鑑みると、将来的に、当社の事業やビジネス・モデルに関する理解が十分ではない者による当社に対する大規模買付行為が行われた場合、当社の顧客・取引先等を含む重要なステークホルダーとの関係が崩壊し、当社の企業価値・株主共同の利益が著しく毀損されかねないこと、同時に、こうした状況に便乗した、当社の経営には関心のない、当社の技術力や健全な財務力の取得だけを目的とした買収者が現れる可能性も否定できません。更に、当社の株主構成に関しても、当社の創業者親族等の株主の中には高齢の株主もおり、各々の事情に応じた譲渡、相続等の処分が行われる状況が具体的に予想され、今後一層当社の株式の分散化が進んでいく可能性は否定できず、将来的に現在のような安定した株主構成が維持されるとは限りません。また、当社の経営に直接関与していない創業者親族等による当社株式に関する権利行使については、それぞれ株主個人の判断のもとに行われており、当社がそれら権利行使について関与・コンロールするものではないことから、当社の経営権の取得等を目的
とした大規模買付提案に際しても、大規模買付行為者に当社の経営を委ねるべきか否か等の一株主としての判断が、当社取締役会の判断とは異なる場合もありえます。したがって、当社取締役会は、今から当社の企業価値及び株主共同の利益を著しく害するような大規模な買収行為に備えた対応策を準備しておくことが、当社の企業価値及び株主共同の利益を守るためにも必要であると判断しました。また、その内容をあらかじめ定めておくことは、手続の透明性や関係者の予見可能性を向上させる意味でも適切なものであると考え、大規模買付ルールの内容を開示することとしております。