有価証券報告書-第64期(平成27年4月1日-平成28年3月31日)

【提出】
2016/06/23 9:56
【資料】
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【項目】
103項目

業績等の概要

(1) 業績
当連結会計年度におけるわが国経済は、企業収益や雇用情勢等に改善の兆しがみられるなど緩やかな回復基調で推移したものの、消費者の節約志向は根強く、また中国をはじめとした海外経済の減速懸念など先行き不透明な状況で推移しました。
コーヒー業界におきましては、サードウェーブコーヒーへの関心の高まりやコンビニエンスストアにおけるカウンターコーヒーが市場に定着したことなどを受け、国内におけるコーヒー消費量は3年連続で過去最高を更新し、暮らしの中でのコーヒーの持つ存在感はますます大きなものとなっております。また、業績に大きな影響を及ぼすコーヒー生豆相場は落着きを取り戻しましたが、円安に伴う輸入商材のコスト上昇など厳しい状況にありました。
このような状況の下、当社グループはコーヒーの持つ魅力を生活者にお届けし続けるという企業使命を果たすため、「品質第一主義」の経営理念に基づいて、「ブランド強化」、「収益力の強化」及び「グループ連携強化」を3つの柱とし、新たな事業領域の開拓、生活者のニーズにお応えする新商品の開発やお取引先との絆を深める企画提案型の営業活動を継続して行いました。
最重要課題である「ブランド強化」については、「ドリップしよう。Shall we drip?」をコミュニケーションテーマとし、生活者においしいコーヒーをドリップする楽しみを提案するキャンペーンを行う一方、差別性のある新商品開発や付加価値の高い商品の拡販に注力しました。
「収益力の強化」については、コーヒー生豆の安定調達への取組み、製品統廃合の推進、工場間における最適製造体制の確立、製造能力の向上と効率化が図れる設備投資を行うなどコスト低減化を推進しました。
海外では、インドネシアにおいて市場開拓の取組みを強化し、日本で培ってきたノウハウを活かした営業活動の展開や簡易抽出コーヒー商品の現地製造に着手するなど、業容拡大に注力しました。
業績につきましては、コーヒー関連事業が好調だったことにより当社グループの当連結会計年度の売上高は、649億6百万円(前連結会計年度比15.2%増)となりました。利益面では、営業利益は10億54百万円(同24.6%増)、経常利益は13億73百万円(同1.1%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は7億51百万円(同7.0%減)となりました。
セグメントの営業概況は次のとおりであります。
(コーヒー関連事業)
業務用市場では、「トアルコ トラジャ コーヒー」や「氷温熟成珈琲」、世界各地の選りすぐりのコーヒー農園産スペシャリティーコーヒーシリーズなど差別性の高いプレミアムコーヒーの拡販活動を推進しました。お取引先への支援策としては、「カレーフェア」などの販促策を実施しました。また、海外からの観光客増加に伴うインバウンド需要に対する施策として、ホテルの客室向け商品に日・英・中・韓の4ヶ国語表記を行うとともにラインアップの充実を図り販売を強化する一方、都市型ホテルを中心にillyブランド商品の配荷を推進しました。伸張しておりますコンビニエンスストア向けカウンター用コーヒーの売上は、前年実績を大幅に上回るなど引き続き好調でありました。
家庭用市場では、大容量コーヒーで「グランドテイスト」シリーズの配荷拠点拡大と積極的な販促活動を展開し、簡易抽出コーヒーでは「ドリップオン バラエティパック」を中心に拡販を行った結果、両分野とも大幅な売上増を達成しました。真空パック製品及び缶製品でもシェアの向上を図り、トップシェアを維持しました。レギュラーコーヒー以外の飲料商品やインスタントコーヒーなども前年を上回る販売実績となりました。
ギフト商品では、中元期には「天然水プリズマ飲料ギフト」、「氷温熟成珈琲アイスコーヒーギフト」など人気の飲料ギフトを中心に全35アイテムをラインアップし、歳暮期にはモンドセレクション金賞を6年連続受賞した「ドリップオンギフトシリーズ」など、多様な飲用シーンにあわせた全24アイテムをラインアップし、前年並みの販売実績を確保しました。
カフェ開業支援の施策として提案しております、さまざまな立地条件に適応するパッケージカフェ「KEY'S CAFE」は出店速度を加速させ、大型商業施設、書店、病院、駅構内など多様なロケーションに20店舗を出店し、導入店舗数は39店舗となり前年と比べ倍増となりました。
また、独占販売契約を結んでおりますイタリアのillycaffe S.p.A.(イリカフェ社)については、illyブランド商品の市場導入を促進する一方、本場のエスプレッソ文化の啓蒙を行うための「イリー大学」をスタートさせました。
業績につきましては、積極的な営業活動が奏効し、業務用、家庭用、原料用の各市場とも前年実績を上回り、特に原料用市場の売上が大幅に伸張しました。
この結果、コーヒー関連事業の売上高は559億61百万円(前連結会計年度比20.5%増)、営業利益は16億58百万円(同11.1%増)となりました。
(飲食関連事業)
株式会社イタリアントマトでは、「COLD PASTA FAIR」や「マロンフェア」などの季節ごとのメニューフェアを実施しました。また、「国内は充実」「海外は拡大」の方針に加え新業態店舗の開発を促進することとし、国内では「イタリアントマト カフェ とうめい厚木クリニック店」など3店、海外では中国に「夢見屋 上海アピタ店」など5店を出店する一方、不採算店の閉鎖を進め店舗数は270店(直営店56店、FC店214店)となりました。
業績につきましては、株式会社イタリアントマトにおける売上が前年を下回る結果となりましたが、原材料価格や人件費の高騰に対し、付加価値の高いメニューの投入や効率的な販管費の活用を図るなど利益面の改善に努めました。
この結果、株式会社アマンドを含めた飲食関連事業の売上高は51億1百万円(前連結会計年度比12.3%減)、営業損失は1億29百万円(前連結会計年度は1億74百万円の営業損失)となりました。
(その他)
ニック食品株式会社は、自社ブランド商品の積極的な販売活動を行いました。honu加藤珈琲店株式会社は通販事業を営んでおり、「楽天市場 ショップ・オブ・ザ・イヤー」を13年連続で受賞するなど、積極的な販促活動を行いました。
この結果、他の6社を加えた当連結会計年度におけるその他事業の売上高は38億43百万円(前連結会計年度比5.1%減)、営業利益は1億50百万円(同2.8%増)となりました。

(コーヒー相場:ニューヨークコーヒー先物相場)
(2) キャッシュ・フロー
単位:百万円
前連結会計年度
(平成27年3月期)
当連結会計年度
(平成28年3月期)
増減
営業活動によるキャッシュ・フロー2,643△6,477△9,121
投資活動によるキャッシュ・フロー△7935,1515,945
財務活動によるキャッシュ・フロー△528△1,330△801
現金及び現金同等物の増減額1,328△2,663△3,992
現金及び現金同等物の期首残高7,1388,4671,328
現金及び現金同等物の期末残高8,4675,803△2,663

営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益13億円、減価償却費13億43百万円などを計上する一方、たな卸資産の増加49億90百万円、売上債権の増加30億81百万円、法人税等の支払い3億45百万円などがありました。この結果、64億77百万円の支出となり、前連結会計年度と比べ91億21百万円減少しました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出9億52百万円などがありましたが、有価証券の償還48億円、投資有価証券の売却による収入8億75百万円などの結果、前連結会計年度と比べ59億45百万円増加し、51億51百万円の収入となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、自己株式の取得による支出8億77百万円、配当金の支払い3億62百万円など13億30百万円の支出となりました。
以上の結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は58億3百万円となり、前連結会計年度末より26億63百万円の減少となりました。