有価証券報告書-第18期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)

【提出】
2021/06/28 17:13
【資料】
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【項目】
128項目

事業等のリスク

以下においては、当社グループの事業展開その他に関する事項のうち、リスク要因となる可能性が考えられる主な事項及びその他投資家の判断に重要な影響を及ぼすと考えられる事項を記載しております。当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針でありますが、当社の株式に関する投資判断は、本項及び本項以外の記載内容も併せて、慎重に検討した上で、行われる必要があるものと考えております。
なお、文中の将来に関する事項は、本報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)当社特有のリスクについて
① 特定人物への依存
当社設立の中心人物であり事業の推進者である代表取締役社長瀬戸健は、経営方針や経営戦略等、当社グループの事業活動全般において重要な役割を果たしております。当社は、同氏に対して過度に依存しない経営体制の構築を目指し、経験豊富な社外取締役の起用、執行役員制度の導入による監督と執行の分離及び業務遂行に優れた社外の人材の起用、社内の人材の育成を実施しております。これらにより、従前と比べ相対的に同氏への依存度は低くなっておりますが、何らかの理由で同氏の業務の遂行が困難になった場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
② 当社の持株会社としてのリスク
当社は2016年7月1日付で持株会社制へ移行いたしました。これにより当社の果たす役割は、主にグループ全体戦略の立案と実行、グループシナジーの最大化、グループ全体の最適なリソース配分、M&Aを含む機動的な事業再編、コーポレート・ガバナンスの強化推進となりました。当社は、安定的な収益を確保するため、子会社からの配当金及び適正な経営支援料を得ておりますが、子会社の収益動向によっては、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(2)法務に関するリスクについて
① 法規制について
当社グループが営む事業においては、各関係法令によって規制を受けております。
各種商品の製造・品質管理においては、品質・有効性・安全性確保のために必要な規定をした「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」、食品・添加物・器具容器の規格等を定める「食品衛生法」の規制を受けております。
各種商品・サービスの広告や表示においては、主に「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」「食品衛生法」「健康増進法」「農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律(JAS法)」「食品表示法」「不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法)」「著作権法」「商標法」「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律(男女雇用機会均等法)」「職業安定法」等の規制を受けており、虚偽または誇大な表示・広告の禁止等、適正な広告・表示が求められております。
消費者との取引においては、「消費者契約法」、販売形態によっては、禁止行為、解約事項等を規定した「特定商取引に関する法律」等の規制を受けることがあります。
また、住宅事業については、「建築基準法」「住宅の品質確保の促進に関する法律(住宅品質確保促進法)」「宅地建物取引業法」「国土利用計画法」「都市計画法」「建設業法」「建築士法」等の法的規制を、アパレル関連事業については、「製造物責任法」「農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律(JAS法)」等、リユース事業については、「古物営業法」「犯罪収益移転防止法」等による規制を受けております。
その他、特許権、商標権、意匠権等の知的財産権により、当社グループの各種商品・サービスの自社権益の保護に努める一方、他社の権利を侵害することがないよう、各種商品・サービス開発にあたっては十分な注意を払っております。
当社グループでは、関係諸法令のチェック体制を整備しておりますが、予期せぬ法律規制強化があった場合や何らかの法規制に抵触する行為を行った場合等においては、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
② 商品・サービスの安全性について
当社グループの主力事業であるパーソナルトレーニングサービス「RIZAP」及び子会社で運営するスポーツジム等の各種トレーニングに関連するサービスにおいては、顧客にパーソナルトレーニングやトレーニングの場の提供を行っております。サービスの提供を行うにあたり、顧客の安全性には十分に配慮しておりますが、運営する施設内で事故が発生した場合、当社グループは賠償請求を受ける可能性があります。
各種商品の製造・品質管理においては、製造工程、仕入先及び梱包作業委託先に対する厳正な管理体制を整備し、安全性を確保できるようにトレーサビリティの推進に努めております。しかし、要件を満たさない商品の製造過程、原材料の使用や異物混入等を防止できなかった場合には、「製造物責任法(PL法)」に基づき損害賠償請求の対象となる可能性があります。
また、住宅事業においては、施工した物件に重大な瑕疵があるとされた場合には、直接的な原因が当社子会社以外の責任によるものであったとしても、施工主として瑕疵担保責任を負う可能性があります。
さらに、これら商品・サービスの事故が発生した場合には、安全性に関する悪い風評が発生する可能性もあります。このような場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
③ 個人情報の保護について
当社グループは様々な事業において、顧客の個人情報を取り扱っております。個人情報保護においては、「個人情報の保護に関する法律」の遵守は勿論のこと、個人情報の取扱いを定めた社内規程やルールの策定及び運用徹底、従業員教育の実施、情報システムのセキュリティ強化等を行っております。
このように当社グループは、個人情報を厳正かつ慎重に管理しておりますが、万一、外部からの不正アクセス等により個人情報が社外に漏洩した場合、損害賠償請求や社会的な信用失墜により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(3)財務に関するリスクについて
① 減損・評価減等のリスクについて
当社グループは様々な商品を販売しております。また、店舗の運営を行う事業もあります。
商品につきましては、流行や顧客の嗜好の変化、競合による画期的な新商品の発売等、様々な要因により需要動向を見誤った場合には、販売が難しい余分な在庫を抱える可能性があり、基準に照らし必要な場合は評価減を実施いたします。
店舗につきましては、人口動態の変化や近隣への競合の出店等、様々な要因により、店舗の損益状況が計画を大きく下回った場合には、基準に照らし必要な場合は固定資産等の減損処理を実施いたします。
また、当社は、連結財務諸表について国際財務報告基準(IFRS)を任意適用し決算を行っております。IFRSにおいては、日本において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準と異なりのれんの定額償却が不要となります。一方、のれんの対象会社における経営成績悪化等により減損の兆候が認められる等、回収可能価額がのれんの帳簿価額を下回る場合、減損処理を行う必要が生じます。
このように評価減や減損処理を行い、その金額が大きい場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
② 継続企業の前提に関する重要事象について
当期は、第1四半期において新型コロナウイルス感染拡大に伴う店舗の臨時休業などの影響がありましたが、店舗の営業再開後は多くのグループ傘下店舗でいち早く客足が戻り第2四半期以降、売上が順調に回復しました。また、2019年3月期から続けてきた構造改革により収益構造が改善したことや、第2四半期以降売上が回復する中でも、「新型コロナウイルス感染拡大に伴う経営対策」として前期末から行っているグループ横断的なコスト削減を継続したことが功を奏し、通期で営業利益および親会社の所有者に帰属する当期利益の黒字化を達成しております。
一方で、2021年4月に3回目となる緊急事態宣言が発出されるなど、新型コロナウイルス感染拡大の収束時期は依然として不透明であるため、当社では新型コロナウイルス感染拡大のさらなる長期化に備えて不採算店舗の閉鎖や収益性の低い店舗等の固定資産や在庫等に係る評価を今期末に実施した結果、一過性の損失約32億円を計上したことにより、前期に引き続き税引前損益が損失となったことから、金融機関との間で締結した金銭消費貸借契約における財務制限条項に抵触している状況にあります。その結果、継続企業の前提に関する重要な疑義を生じさせるような事象等が存在する状況となっておりますが、主な取引銀行からは、当社の事業計画を遂行していく限り、期限の利益喪失請求権の権利行使は行わないという方針について了承を得ております。具体的には、財務制限条項への抵触状況のみで判断するのではなく、当社の構造改革の一環として、短期的な収益改善が難しい事業や当初想定していたグループシナジーが見込めない事業の売却、コロナ危機克服に向けた当社グループ全体のコスト最適化、非対面事業等の新たな収益源の創出等を含めた当社グループ全体の事業計画の遂行状況を多面的・総合的に考慮する中で、当社への継続支援の具体的な内容や条件についての協議を行ってまいります。
当社では、引き続き持続的成長に向けた経営基盤の強化のための構造改革施策を実施していくとともに、2022年3月期も引き続き新型コロナウイルス感染拡大に伴う経営対策に注力いたします。具体的には、グループ横断的なコスト最適化や業務合理化、在宅勤務常態化による本社家賃の低減をはじめとする固定費の削減、不採算店舗の統廃合などを進め、収益力の向上を目指してまいります。加えて、事業売却やグループ資金の活用等により事業活動に必要な資金を確保するための施策を講じており、当面の資金状況は安定して推移する見通しです。
以上のことから、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないものと判断しております。
③ 契約管理システムについて
当社グループの主力事業であるパーソナルトレーニングサービス「RIZAP」及び子会社で運営するスポーツジム等の各種トレーニングに関するサービスにおいては、顧客との契約において、契約管理システムを使用しております。
RIZAP株式会社は、契約管理システムから、会計システムに情報を取り込む際に、RIZAPが提供している多種多様なサービス・物販に対応するため、売掛金残高や前受金残高を抽出する条件が広範に設定されております。また、抽出したデータから財務会計に基づくデータへ転換するため、前受金や売掛金に対して必要な調整を実施しており、調整項目は重要かつ多岐にわたっております。また、上記抽出データ及び調整データの多くは、外部業者を利用して抽出しております。
上記のデータの抽出過程を検証するため、以下の対応を行っております。
まず、売掛金残高や前受金残高を抽出する条件が広範であることに対応すべく、前月残高と当月フロー情報との整合性を検証することにより、当月残高の妥当性を検証しております。
また、財務会計に基づくデータへ転換するための多岐にわたる調整項目に対応すべく、定型的な作業手順に従い金額を集計し、月次で調整項目の金額が契約の実態を反映しているか検討しております。加えて、調整項目の明細より、相当数のサンプルを抽出し契約単位で調整内容の適切性を確認しております。
さらに、これら一連の作業工程の正確性を検証すべく、会計システムに反映される調整後の売掛金残高および前受金残高明細より、相当数のサンプルを抽出し、契約書等との整合性を確認しております。
これらにより、会計システムへ取り込む情報の正確性は確保されていると考えておりますが、外部環境の急激な変化により、事業内容に大幅な変更が生じ、上記の一連の作業工程の見直しが必要になったにもかかわらず、速やかに対応できない場合には、決算スケジュールに遅延が生じ、決算発表を適時に実施できない可能性があります。
(4)事業に関するリスクについて
① 業界及び市場環境に関するリスク
当社グループの商品・サービスは、一般消費者を顧客とするものが多く、様々な要因により、需要動向が変化いたします。当社グループはそのような業界・市場環境に左右されないよう、常に顧客の要求に応えることのできる商品・サービスの開発や改良に努めておりますが、景気の動向、流行や顧客の嗜好の変化、技術革新による画期的な新商品及び代替品の発売や、競合企業との激しい競争等により業界・市場環境に急激な変化があり、当社グループの商品・サービスが陳腐化する事態となった場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
② 店舗出店に関するリスク
当社グループは事業により、店舗を出店し商品の販売、サービスの提供を行っております。
よって、店舗出店は当社グループの各事業の戦略上、非常に重要でありますが、希望するエリア、施設等に出店条件に適う物件がなく、出店が滞る場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループの店舗の多くが賃貸物件となりますが、店舗賃貸のための保証金や敷金を貸主に差し入れております。貸主により異なりますが、基本的には保証金や敷金は契約期間が満了しなければ返還されず、倒産やその他貸主の事由により、返還されるべき保証金や敷金の一部もしくは全部が回収出来なくなることで、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
③ 海外での生産・事業展開に伴う為替や政情等に関するリスク
当社グループの商品の中には、主にアジアを中心に海外で生産し輸入しているものがあります。また、主にアジアで展開している商品・サービスもあります。
そのため、為替の動向による円換算での仕入価格の上昇又は販売価格の低下、また、現地で調達される原材料費や人件費等が当社グループの想定を超えて上昇した場合に仕入価格が上昇する等、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、各国における政治・経済状況の変化、法律・税制の改正、貿易問題の発生、自然災害や戦争等の発生等により、当社グループの商品仕入及びビジネス展開に悪影響が発生した場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす場合があります。
④ 情報セキュリティに関するリスク
当社グループは、多くのITシステムを使用しておりますが、予期できない情報システム障害や情報セキュリティ事故により、情報システム基盤や通信回線の重大な障害、或いは経営に係る機密情報の漏洩等が発生する可能性を完全に排除することはできず、そのような事態が発生した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 災害の発生に関するリスク
当社グループの各事業は、日本全国各地に店舗を展開しており、また、取引先も全国に点在しております。
大地震や集中豪雨等の自然災害や、テロ、大規模な事故の発生等により、当社グループの各事業が運営する店舗の休業、仕入先の生産停止、配送網の寸断、データセンターの停止等が発生した場合は、当社グループの事業運営に支障をきたし、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 新型コロナウイルス感染症に関するリスク
2021年3月期は新型コロナウイルス感染拡大に伴う店舗の臨時休業や時短営業などの影響がありました。また、コロナ禍で消費者の購買意欲が低下したほか、海外からの渡航自粛によるインバウンド需要の消失などの影響も重なり、グループ全体としては厳しい経営環境となりました。2022年3月期連結会計年度についても、2021年2月からワクチン接種が開始されたものの、4月には3回目となる緊急事態宣言が発出されるなど、新型コロナウイルス感染拡大の収束時期は依然不透明であると認識しています。
そのような状況の中、当社では、引き続き「グループ各社の共通機能の統合」、「グループ全体のコスト最適化」、「非対面・非接触事業の開発」の3つを柱とする「新型コロナウイルス危機対応」に注力し、新たな収益源の確保およびさらに安定した財務運営を目指してまいります。しかし、今後新型コロナウイルス感染症の影響が長期化した場合、当社グループの事業運営に支障をきたし、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。