有価証券報告書-第159期(平成28年4月1日-平成29年3月31日)

【提出】
2017/06/28 14:06
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業績等の概要

(1)業績
当連結会計年度における当社グループを取り巻く事業環境は、世界経済においては、米国では内需主導のゆるやかな景気拡大が続きましたが、中国は景気減速の局面にあり、また欧州では英国のEU離脱問題の影響が懸念されるなど、先行き不透明な状況が続きました。一方、国内では、雇用・所得環境の改善を背景に、景気はゆるやかに回復しました。
このような環境のもと、当社グループは、「環境、ヘルスケア、高機能で、社会に貢献する価値を、創りつづけるカテゴリー・リーダー」をめざし、特長のある製品を、国内外の市場へ展開しております。当連結会計年度においても、平成30年3月期までの4年間の中期計画で掲げた「海外展開の加速」、「新製品の拡大・新事業の創出」、「国内事業の競争力強化」、「資産効率の改善」、「グローバル経営機能の強化」の5つのアクションプランに沿って、事業活動を進めました。
「海外展開の加速」においては、エンジニアリングプラスチック事業で、海外市場における販売拡大に努める中、新たにインドに販売拠点を置くことを決定しました。また、エアバッグ用基布事業では、タイ・中国・米国における生産拠点の整備と新たなユーザーへの拡販に注力しました。
「新製品の拡大・新事業の創出」では、液晶偏光子保護フィルムとして展開する“コスモシャイン SRF”の販売を大幅に伸ばしつつ、今後のさらなる拡大を視野に生産能力の増強を進めました。また、神経再生誘導チューブ“ナーブリッジ”については、国内で適用症例数を伸ばす一方、米国では米国食品医薬品局(FDA)の承認を受け、販売の準備を進めました。
一方、「資産効率の改善」として、ブラジルにおける繊維事業を休止しました。また、在外子会社の統廃合に伴い為替換算調整勘定の取崩が生じました。なお、休止に伴う費用および為替換算調整勘定取崩損は特別損失として計上しております。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は前年度比183億円(5.3%)減の3,295億円となり、営業利益は同2億円(0.9%)増の233億円、経常利益は同3億円(1.3%)増の207億円、親会社株主に帰属する当期純利益は同7億円(6.9%)減の94億円となりました。
セグメント別の概況は、次のとおりであります。
(フィルム・機能樹脂事業)
当事業は、フィルム新製品が販売を伸ばし、また、一部の機能樹脂製品でも拡販が進んだものの、原料価格下落などの影響を受け、前年度に比べ、減収増益となりました。
フィルム事業では、包装用フィルムは、原料価格の影響を受け、減収となりました。一方、工業用フィルムは、“コスモシャイン SRF”が大手偏光板メーカー向けの出荷を軸に販売を伸ばし、増収となりました。
機能樹脂事業では、ポリオレフィン用接着性付与剤“ハードレン”が、自動車塗料用途で好調に推移しました。エンジニアリングプラスチックは、国内では自動車生産の海外シフトに伴い苦戦しましたが、海外では拡販により販売数量を伸ばしました。
この結果、当事業の売上高は前年度比48億円(3.4%)減の1,386億円、営業利益は同28億円(28.5%)増の127億円となりました。
(産業マテリアル事業)
当事業は、スーパー繊維の一部は堅調に推移したものの、生活・産業資材が苦戦し、前年度に比べ、減収減益となりました。
エアバッグ用基布は、国内では、自動車メーカーの需要回復に伴い、販売を伸ばしました。スーパー繊維は、“イザナス”がロープ・ネット用途で堅調に推移しましたが、“ザイロン”は販売が伸び悩みました。生活・産業資材は、バグフィルター用PPS繊維“プロコン”が、市況悪化の影響を受け苦戦しました。機能フィルターは、VOC処理装置がアジア市場で販売を伸ばしました。
この結果、当事業の売上高は前年度比13億円(1.9%)減の692億円、営業利益は同15億円(23.1%)減の48億円となりました。
(ヘルスケア事業)
当事業は、バイオ事業と機能膜事業が為替の影響を受け、前年度に比べ、減収減益となりました。
バイオ事業では、主力の診断薬用酵素は販売が堅調に推移する中、為替の影響を受けましたが、診断システムやライフサイエンス用試薬は販売を伸ばしました。メディカル事業では、医薬品製造受託が受託案件獲得に苦戦しました。機能膜事業では、海水淡水化用逆浸透膜が為替の影響を受けました。
この結果、当事業の売上高は前年度比6億円(2.1%)減の271億円、営業利益は同4億円(9.4%)減の43億円となりました。
(繊維・商事事業)
当事業は、テキスタイルが為替の影響を受け、また、アクリル繊維が苦戦し、前年度に比べ、減収減益となりました。
スポーツ衣料製品は、順調に販売を伸ばしましたが、輸出向けナイロン織物はやや不振でした。インナー用途は量販店向けが低調でしたが、ユニフォーム用途は販売が堅調に推移しました。
テキスタイルは、中東向け特化生地が為替の影響を受けました。アクリル繊維は、中国向け輸出でアンチダンピング政策の影響を受け苦戦しました。
ブラジルで行ってきた繊維事業は市況低迷で業績が悪化、回復の目途が立たないと判断し当該事業を休止いたしました。
この結果、当事業の売上高は前年度比79億円(9.3%)減の776億円、営業利益は同14億円(57.4%)減の11億円となりました。
(不動産事業、その他事業)
当事業では、不動産、エンジニアリング、情報処理サービス、物流サービス等のインフラ事業は、それぞれ概ね計画どおりに推移しました。
この結果、当事業の売上高は、前年度比36億円(17.6%)減の170億円となり、営業利益は同5億円(17.7%)増の33億円となりました。
(2)キャッシュ・フロー
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、前年度比55億円(16.9%)収入が減少し、269億円の収入となりました。主な内容は、税金等調整前当期純利益139億円および減価償却費149億円です。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、前年度比35億円(32.9%)支出が増加し、141億円の支出となりました。主な内容は、有形及び無形固定資産の取得による支出172億円です。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、前年度比211億円(98.5%)支出が減少し、3億円の支出となりました。主な内容は、長期借入金の返済による支出203億円、配当金の支払額31億円および社債の発行による収入150億円です。
この結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は、前年度末比121億円増の322億円となりました。