訂正有価証券報告書-第206期(平成27年4月1日-平成28年3月31日)

【提出】
2016/07/05 11:57
【資料】
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【項目】
123項目

業績等の概要

(1)業績
当連結会計年度におけるわが国経済は、政府の経済政策や日銀による金融緩和及びインバウンド需要の拡大などを背景に、企業収益や雇用情勢の改善が見られ、緩やかな景気回復基調が続いた。しかしながら、中国の景気減速や米国の利上げ懸念、原油安の長期化などを背景に、年明け以降は世界的な株安や円高の動きも見られるなど、先行き不透明な状況で推移した。
このような状況の下、当社グループは、平成26年5月からスタートした中期経営計画に掲げる成長戦略の早期実現に向け、高分子事業を中心とする機能素材メーカーとしての基盤強化及び低採算事業の構造改革に努めてきた。なお、当連結会計年度には、当社連結子会社の株式会社ユニチカエステートなどの株式譲渡、当社グループが所有する豊橋事業所などの不動産の譲渡を完了したほか、当社連結子会社である尤尼吉可高分子科技(中国)有限公司(ユニチカエンブレムチャイナ)の解散などの施策を進め、当年度にて中期経営計画に基づく事業ポートフォリオ改革を概ね完了した。
この結果、当連結会計年度の売上高は146,474百万円(前期比8.0%減)、営業利益は10,450百万円(同17.2%増)、経常利益は6,821百万円(同11.2%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は6,933百万円(前期は27,033百万円の純損失)となった。
セグメント別の状況は次のとおりである。
なお、当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更し、以下の前期比較については、前期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較している。詳細は、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 注記事項(セグメント情報等)」に記載している。
[高分子事業]
フィルム事業では、包装分野は、海外では東南アジアや中国の景気減速の影響を受け、低調に推移したが、国内では市況の回復に加え、インバウンド需要の効果もあり、販売数量は増加した。特に、高いガスバリア性能を持つ新バリアナイロンフィルム「エンブレムHG」については、順調に売上を伸ばした。工業分野は、情報端末機器用途などで需要が減少したが、耐熱ポリアミドフィルム「ユニアミド」やシリコーンフリー離型ポリエステルフィルム「ユニピール」などの高付加価値品の販売が拡大したこともあり、売上が増加した。この結果、事業全体で増収増益となった。
樹脂事業では、ナイロン樹脂は、自動車産業の低迷や中国の景気減速などの影響を受けたが、熱可塑性飽和共重合ポリエステル樹脂「エリーテル」や環境配慮型の水性エマルション「アローベース」は、太陽電池用途などでの販売が好調に推移し、また熱可塑性ポリエステルシート「ユニレート」も電気・電子機器用途などで伸長した。当社独自のポリアリレート樹脂「Uポリマー」は、情報端末機器用途で堅調に推移した。当社独自技術により開発した高耐熱ポリアミド樹脂「ゼコット」は、電気・電子機器用途などで採用が更に進みつつある。この結果、事業全体で減収増益となった。
不織布事業では、ポリエステルスパンボンドは、国内の生活資材用途で堅調に推移したが、農業用途や建築用途などを中心に売上が減少し、低調に推移した。海外では、アジアや北米向けを中心に堅調に推移した。コットンスパンレースは、インバウンド需要の拡大を背景にスキンケア用品などの生活資材用途で売上を伸ばした。この結果、事業全体で減収増益となった。
以上の結果、高分子事業の売上高は56,313百万円(前期比1.2%増)、営業利益は8,002百万円(同25.4%増)となった。
[機能材事業]
ガラス繊維事業では、産業資材分野は、建築用途や環境関連用途では堅調であったが、土木用途で低調に推移した。電子材料分野のICクロスは、情報端末機器用途での需要が伸びず、低調に推移した。ガラスビーズ事業では、ロードマーキング用途で売上が回復し、工業用途や反射材用途では売上は減少したが、商品構成の改善や生産性の向上に努めた結果、収益は増加した。また、活性炭繊維事業では、液相分野は、工業用途で期後半から需要が減少したが、主力の浄水器用途で期後半から需要が回復したことや、気相分野でも期後半になり需要が上向いてきたことにより、事業全体としては堅調に推移した。
以上の結果、機能材事業の売上高は11,914百万円(同4.0%減)、営業利益は1,447百万円(同3.4%増)となった。
[繊維事業]
産業繊維事業では、ポリエステル高強力糸は、主力の土木用途で販売数量が引き続き低調に推移したが、複合繊維など高採算製品の販売が拡大し、収益は増加した。ポリエステル短繊維は、事業構造改革に伴う低採算製品の事業縮小が完了し、高付加価値品への転換が進んだため、収益は大きく改善した。
衣料繊維事業では、ユニフォーム分野やスポーツ分野は、販売数量の減少や海外調達コストの増加に伴い採算が悪化したが、レディス分野は、市況低迷の中、二次製品の拡販に努め前年並みの収益を確保した。海外では、デニムの輸出が期後半は伸び悩んだが、高採算製品の販売が増加し、堅調に推移した。
以上の結果、繊維事業の売上高は65,431百万円(同12.9%減)、営業利益は1,586百万円(同40.2%増)となった。
[その他]
その他の事業については、事業ポートフォリオ改革に伴う株式譲渡や事業譲渡などの影響により、売上高は12,814百万円(同19.6%減)、営業損失は630百万円(前期は4百万円の損失)となった。
(2)キャッシュ・フロー
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ10,315百万円増加し、当連結会計年度末には42,023百万円となった。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりである。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益に減価償却費などを加えたキャッシュ・イン・フロー、たな卸資産の減少などにより、11,661百万円の資金の増加(前期比91.8%増)となった。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは、設備投資に伴う支出を計上したが、事業ポートフォリオ改革に伴う資産の売却による収入などにより、4,124百万円の資金の増加(前期は145百万円の資金の減少)となった。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは、借入金の返済などにより、5,010百万円の資金の減少(前期は5,870百万円の資金の増加)となった。