有価証券報告書-第105期(平成27年4月1日-平成28年3月31日)

【提出】
2016/06/29 13:43
【資料】
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【項目】
120項目

研究開発活動

当社グループ(当社及び連結子会社)は、中期経営計画「イノベーション21」第二次計画のもと、情報機能を高めた構想力により、ヒト・モノ・カネの経営資源を駆使して、時代に適合した商品開発や事業モデルを創出し、事業領域の拡大と連結収益力の強化に努めている。また、当社グループの素材から製品までの一貫生産を強みとした独自の技術領域を深化・拡大させ、事業戦略、知的財産戦略との連携にて研究開発活動に取り組んでいる。なお、事業部門毎の取り組みは以下のとおりである。
繊維事業における研究開発費は744百万円であり、各部門の取り組みは以下のとおりである。
化合繊部門では、「健康、長寿」「エネルギー、省エネ」「インフラ整備」分野を中心として、「素材からの差別化」をキーワードに特長ある素材開発に注力している。市場ニーズの高いテーマについてはグループ協業のもと研究開発を行っている。また、大学との共同研究も進めながら事業領域の拡大を図っている。
「健康、長寿」分野においては、衛生材料用の素材開発を中心に行っており、今後需要が伸びることが予想される大人用、介護用オムツ、吸収材料については、子供用のオムツで培った素材を水平展開していく。風合いだけではなく、吸収性能等の機能を高め、介護する側、される側のニーズに合わせた素材の開発に注力している。また、コスメティックマスク、制汗シートや除菌シートなど、対人用ワイパーの素材開発にも注力し、国内外において多くの支持を得ている。「エネルギー、省エネ」分野については、ポリプロピレン繊維の特長を活かした軽量で断熱性のある素材を、衣料分野をはじめ、産業資材などの幅広い分野に展開している。「インフラ整備」分野については、繊維補強コンクリート(FRC)で培った技術を応用し、コンクリートの爆裂防止、ひび割れ自己治癒繊維「マーキュリーC」など、新たな機能を持った土木用繊維材料を開発し、コンクリート構造物の老朽化や災害に対応した素材提案を進めている。
レーヨン部門では、ユーザーとの取り組みの中で、各種機能剤を練りこんだ付加価値素材の開発及び販売に注力している。その販売活動を、衣料分野のみならず不織布製品分野へ展開中である。また、その流れとして、付加価値素材を用いた製品化や国際展開をさらに推進していく。
産業資材部門では、成長が見込める新規分野への販売拡大の為に使用用途に適した付加価値のあるカートリッジフィルターの開発・販売に取り組んでいる。また、土木資材では、拡大する土木需要を取り込む為に土木資材の新規商品開発を進めている。
衣料製品部門では、グループ協業によりコア技術であるポリプロピレン、紙糸、機能レーヨン及びフタロシアニンを中心に開発を進め、独自性のある差別化素材の市場での展開をめざし開発を進めている。ポリプロピレンを活用した素材の展開については、統一ブランド「DURON/デューロン」として展開しており、機能性を重視したスポーツ系衣料品の開発を進めると共に、中綿向けでは産学連携による機能評価を行い、素材の優位性を確認した。紙糸素材では協業先との取り組みを強化し、商品開発を進め、特殊用途衣料品での展開を始めた。機能レーヨンでは当社の独自加工技術との組合せを検討し、多機能素材としての量産化の確立を行う一方、特許権利化による技術保護を行った。フタロシアニンでは高い消臭効果を新規用途に活用すべく商品開発を行い、寝装分野での拡大に寄与した。医療介護分野においては、医療介護従事者の作業負担軽減から医療介護費を抑えるための材料、製品開発に積極的に取り組んでいる。
工作・自動機械事業における研究開発費は239百万円であり、事業の取り組みは以下のとおりである。
工作・自動機械事業において、ユーザーニーズに直結したジャストフィットの製品とサービスの提供を基本理念として、急激な技術革新と市場環境の変化に伴うユーザーニーズに即応した研究開発を実施している。工作機械部門では、立旋盤について、航空機業界の要求に応じた小型立旋盤の開発、超高圧クーラント仕様による付加価値向上を行った。また、新型立旋盤の開発に取り組み、日本国際工作機械見本市での展示を予定している。周辺機器では、グループ協業としてカメラ画像を用いての「切粉検知システム」の開発を引き続き進めている。一方、自動機械部門では、既存のカートナーの高機能、低価格化、また、自動供給装置の改善を進めており、見本市での展示を予定している。さらに、製品へのIoT関連の実現に向けて調査を始めている。
その他の事業における研究開発費は32百万円であり、事業毎の取り組みは以下のとおりである。
ゴム部門のスポンジでは、自動車用途の新規開発商品が採用され、販売を拡大している。タイヤでは、ロードタイヤやハンドルグリップの新規商品を開発し、販売している。
なお、上記に係る当連結会計年度の研究開発費総額は1,016百万円である。