臨時報告書

【提出】
2021/04/28 15:57
【資料】
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提出理由

シキボウ株式会社(以下「シキボウ」といいます。)は、2021年4月28日開催の取締役会において、シキボウを株式交換完全親会社、新内外綿株式会社(以下「新内外綿」といいます。)を株式交換完全子会社とする株式交換(以下「本株式交換」といいます。)を行うことを決議し、同日、両社の間で株式交換契約(以下「本株式交換契約」といいます。)を締結いたしましたので、金融商品取引法第24条の5第4項及び企業内容等の開示に関する内閣府令第19条第2項第6号の2の規定に基づき、臨時報告書を提出いたします。

株式交換の決定

(1) 本株式交換の相手会社に関する事項
① 商号、本店の所在地、代表者の氏名、資本金の額、純資産の額、総資産の額及び事業の内容
(2021年3月25日現在)
商号新内外綿株式会社
本店の所在地大阪市中央区備後町三丁目2番6号
代表者の氏名代表取締役 社長執行役員 長門 秀高
資本金の額731百万円
純資産の額(連結)1,647百万円
(単体)1,831百万円
総資産の額(連結)3,037百万円
(単体)3,317百万円
事業の内容1.紡績糸製造・販売
2.テキスタイル製造・販売
3.製品製造・販売

② 最近3年間に終了した各事業年度の売上高、営業利益、経常利益及び純利益
(連結)
(単位:百万円)
事業年度2019年3月期2020年3月期2021年3月期
売上高4,9614,0772,939
営業利益又は営業損失(△)0△85△230
経常利益又は経常損失(△)10△78△214
親会社株主に帰属する当期純利益又は当期純損失(△)0△213△851

(単体)
(単位:百万円)
事業年度2019年3月期2020年3月期2021年3月期
売上高3,7193,0452,294
営業利益又は営業損失(△)7△80△176
経常利益又は経常損失(△)16△74△174
当期純利益又は当期純損失(△)11△154△747

③ 大株主の氏名又は名称及び発行済株式の総数に占める大株主の持株数の割合
(2021年3月25日現在)
大株主の氏名又は名称発行済株式の総数に占める大株主の持株数の割合(%)
シキボウ株式会社52.04
株式会社SBI証券1.58
MSIP CLIENT SECURITIES(常任代理人 モルガン・スタンレーMUFG証券株式会社)1.44
酒井 一1.40
株式会社日本カストディ銀行(信託口4)1.31
長根 英寿1.22
高石 文夫1.04
福井 眞吾0.83
田中 義信0.82
宝天大同0.78

④ 提出会社との間の資本関係、人的関係及び取引関係
資本関係シキボウは、新内外綿の発行済株式数(1,959,800株)の52.0%に相当する1,020,061株の普通株式を保有しており、親会社です。
人的関係シキボウの執行役員1名が新内外綿の監査役を兼務しており、シキボウの出身者2名が新内外綿の取締役に就任しております。
取引関係新内外綿は、シキボウから原糸及び生地の一部を購入しており、また、シキボウに対して原糸及び生地の一部を販売しております。

(2)本株式交換の目的
シキボウは、1892年、大阪市此花区において、綿紡績業を行う有限責任伝法紡績会社として設立されました。その後中小の紡績会社との合併により、1944年、敷島紡績株式会社(後に現在のシキボウ株式会社と改称)となりました。第二次世界大戦後は、綿紡績、織布を中心に国内12工場の生産を再開し復興期に拡大いたしました。高度経済成長下においては、積極的な投資を行い、事業領域を拡大してまいりました。
シキボウの祖業である繊維事業は、綿糸生産販売から織・編みの生地、それらの染色をはじめテキスタイル化を図り、さらに、アパレルメーカー、大手量販店等からのOEM(注1)の製品分野にも展開を進めてまいりました。また、近年では、繊維製品の加工技術を活かした、抗ウイルスに代表される衛生加工等、繊維の機能向上による付加価値の創造に努めてまいりました。また、海外にも生産拠点を設け、コスト競争力の増強と海外市場への販路の拡大も行っております。
さらに、シキボウは、現在、伝統ある繊維事業の枠組みを超えて、製紙用ドライヤーカンバス、フィルタークロスの製造開発を行う産業資材分野、化学品・食品分野の化成品事業や航空機部材の生産を行う複合材料事業を含む機能材料分野、商業施設賃貸事業を中心とした不動産・サービス分野へと事業領域を広げてまいりました。
シキボウは、「ものづくりによる新たな価値創造」を基本理念とし、他社には真似の出来ない独自の機能や技術力を活かし、顧客ニーズに沿った商品提案やサービスの向上に取り組んでおります。また、シキボウは、2018年度から中期経営計画「Challenge to the Growth final stage 2018-2020」(以下「本中期経営計画」といいます。)を実行しております。本中期経営計画では、次の革新的な成長に向け、積極的な設備投資、研究開発投資、人材育成を大きな主題として設定し、繊維セグメントでは、「自らの得意とする市場に対し独自技術で独自の素材を供給」「企業間取引の強化(BtoB)」、産業材セグメントの産業資材部門では「国内基盤の維持・強化と海外販売の促進・拡大」、機能材料部門では「新中核事業に位置付ける化成品事業、複合材料事業のさらなる業容拡張と収益拡大」を事業戦略に掲げ、取り組んでまいりました。
本来であれば、2020年度が本中期経営計画の最終事業年度でありましたが、昨年来の新型コロナウイルス感染症の影響に鑑み、本中期経営計画を凍結し、代わりに、それに対応するための緊急経営計画「Revival Plan 2020-2021」を策定しました。1年目(2020年度)には、本中期経営計画の基本方針を継続しながらも、緊急対策として「止めること」「変えること」に取り組みました。具体的に「止めること」では、工場の一時休業、管理販売費等の経費の見直しによる支出の削減、今後の採算の改善が見込めなくなった繊維製品事業の見直しなどを行いました。一方で「変えること」では、WEBを使った商談やバーチャル展示会の開催など、新たな仕事のやり方・提案方法の実施、ウイズコロナの環境下での需要に対応した抗ウイルス加工等の衛生加工商材の拡販、また、コロナ禍により大きく影響を受けた航空機関連の複合材料事業については、今後の回復期に向けた生産体制の再構築に取り組みました。これらの取り組みにより、2020年度はコロナ禍の厳しい環境の下で、損失を最小限にとどめることができたものと考えております。また、2年目となる本年度(2021年度)には、現在取り組んでいる衛生加工商材やサステナブル商材等の拡販を通じて、新常態に対応することで成長を「加速すること」、そして、海外市場の開拓や同業他社との連携などにより、新たな事業やビジネスモデルを「創ること」に取り組んでまいります。急激な環境の変化、来るアフターコロナの新たな日常に対応し、本中期経営計画の最終年度及びその次の経営計画に繋げてまいりたいと考えております。
新内外綿は、1887年、大阪市北区で、有限責任内外綿会社として設立され、その後綿糸、織布の生産に転じ、生産拠点を綿花輸入で実績のある中国に展開し、日本式の工場管理によって順調に拡大成長し、日本紡績事業の海外進出の先駆けとして発展してまいりました。第二次世界大戦の影響により、国内外の全事業活動の停止に追い込まれましたが、国内に残る現在の株式会社ナイガイテキスタイル(岐阜県海津市)の地で、新内外綿株式会社として事業を再開しました。1967年、当時新内外綿の大株主であった住友商事株式会社から敷島紡績株式会社(現在のシキボウ)がその保有株式を譲り受け、シキボウとの提携関係が始まりました。
新内外綿の繊維事業は、紡績部門とテキスタイル・製品部門の2つの部門に分かれております。祖業である紡績部門は、高度な紡績技術を強みとしてきました。特に、一本の糸に白色と黒色の繊維が交じり合い灰色濃淡を作る「杢糸」では、国内トップメーカーのポジションを築いてきました。さらに世界的な潮流であるサステナビリティを軸とした戦略を打ち出しております。持続可能な綿花栽培の普及を目指している国際的なプログラムである「BCI(ベター・コットン・イニシアティブ)」に加盟し、また、米国の綿花業界が導入している米綿のサステナビリティ検証システムにも参加しています。「SDGs」に沿った形で新内外綿が貢献できる体制を作り上げ、世界のアパレル業界で「エコロジー」「環境保全」「サステナブル」が要求されつつある中、環境負荷軽減に配慮した商品を打ち出しております。
また、テキスタイル・製品部門では、紡績部門における技術を活用し、ニット生地や最終製品の製造を行ってまいりました。主力商品の杢糸を使用した自社製品ブランド「moc T」や、自然の植物から抽出した染料を使って染める製法である「ボタニカルダイ」で作った抗ウイルス布製品マスクのECサイトでの販売など新たな取り組みにも挑戦しています。紡績部門と合わせて、環境に配慮した商品開発の取り組みについては、今後の社会においても付加価値の高い商品の提供ができるものと考えております。
新内外綿は、「柔軟な技術やソフトによる革新的なもの作りをもって、健康に配慮し地球環境への貢献を目指し、衣料文化を育み生活を豊かにして、利益成長を継続しながら社会につくす」ことを経営方針としてきました。新内外綿グループとしては、2018年を起点とする中期経営計画≪持続可能な成長≫「構造的利益体質への追及」を策定し、経営戦略として、下記の5項目を重点施策として取り組んでまいりました。
① 環境(エコロジー)に配慮した生産活動と商品展開
再生糸を作るプロジェクト「彩生」で、製品や生地を回収し、反毛工程に通し再び糸にするという新しい仕組み作りに挑戦しています。
② コア部分(紡績)を共通認識とし、そのシナジー効果の極大化
紡績部の糸販売と製品部のOEM/ODM(注2)受注で、シナジー効果の拡大を進めています。
③ 流通チャンネル(顧客の更に先の市場)を意識した販売活動
糸の産地への販売活動だけでなく、産地の購買決定を促す東京を中心とする企画部門へのアプローチに注力し、消費者に近いマーケットを見通した販売活動を推進しています。
④ 海外生産・海外販売の更なる発展・拡大
製品部においては、世界の最新トレンドを反映した製品提案に力を入れ、アメリカ・アセアン地域を中心に営業活動の強化を図ります。
⑤ 紡績糸生産体系の根本的な見直しによる大幅な省力化の達成
生産子会社である株式会社ナイガイテキスタイルの工場レイアウトを大幅に変更し、機械の配置・更新を進め、生産効率を上げることにより、生産量が変化しても利益を確保できる強い体質を目指しています。
具体的には上記の施策の実行を進めてまいりました。しかし、施策の一部は効果が出ているものの市場のトレンドがスポーツ衣料へと売れ筋が変わり、またイージーケアへの要望により、綿から合繊への流れが続き、主力商品である杢糸の販売が減少傾向であったところ、さらに新型コロナウイルス感染症の影響が重なり、計画数値からは大幅に乖離した状況にありました。2020年度の計画値では、売上高70億円、営業利益2.4億円を目指してまいりましたが、本日の決算短信において売上高29億円、営業利益△2.3億円の連結経営成績を開示しています。
ここ数年の売上高は、市場の流れが機能性素材へ移行し、新内外綿の得意とする天然繊維である綿製品の需要が伸び悩んでいるのと同調し、苦戦を強いられています。綿本来の特徴である「肌触りが良い、清涼感がある」といったメリットが受け入れられず、合繊の特徴である「丈夫でシワになりづらい、高い機能性がある」という面が消費者に好まれています。また、百貨店の販売不振による売場面積の縮小や、最近では、消費者による中古衣料への抵抗感もなくなってきていることから、リユース市場の活況やファッション衣料販売減少で国内産地の稼働率も低下し、業績に大きく影響を及ぼしております。そのような中で、新型コロナウイルス感染症の影響による経済活動の制限が続いていることから、新内外綿は親会社であるシキボウと同様、中期経営計画の一時凍結とそれに代わる緊急経営計画「Revival Plan 2020-2021」を策定し、基本方針は継続しながら現在の置かれた状況での施策や一般管理販売費の経費削減、また、生産子会社である株式会社ナイガイテキスタイルの一時帰休制度を利用しての生産計画、さらには販売戦略の再構築等の検討を進めました。しかしながら、新型コロナウイルス禍での売上高減少に歯止めが掛からず、土地・工場等の固定資産のうち一部に収益性の低下が認められたことから、固定資産の減損損失の計上(8.4億円)という処理を行いました。
前述のとおり、シキボウは、緊急経営計画「Revival Plan 2020-2021」を策定し、グループとしてコロナ禍における危機対応にあたっております。これは本中期経営計画の基本的な方針を踏襲しており、「既存組織の部分最適でなく、戦略を共有する戦略的事業単位(SBU(注3))での全体最適を図る」という戦略を打ち出しております。すなわち、従来の部署、子会社などの部分的な利益にとらわれることなく、SBU全体としての収益の拡大を図るという考え方です。
シキボウ及び新内外綿の繊維事業は、好不況の波を乗り越えて現在まで継続しておりますが、国内市場においては、人口減少と高齢化による市場規模の縮小、加えて、国際調達を前提とした製造小売業の台頭により、従来のアパレル業を取り巻く環境は厳しい状況にあります。このような市場背景のなかで、シキボウの繊維部門と新内外綿が従来どおりにそれぞれの狭い事業領域で運営を行っていくことは不合理であります。生産、販売において、情報を共有し、原材料の調達などにおいては、両社で共有して行っていくことによりスケールメリットなどを享受することが可能となり、それぞれの持つ調達拠点、生産拠点を効率的に活用し全体最適を図る戦略をとることで、SBU全体として利益の最大化を図るという戦略の転換を企図しております。
上述の戦略の転換により、両社には以下のような相乗効果が期待できます。まずは、商品開発や技術開発における相乗効果です。新内外綿は、異種の原綿を混合して製糸する技術に強みがあります。一方、シキボウは、織・編みの設備、加工の設備を持ちます。代表例として、シキボウの子会社である株式会社シキボウ江南が保有する糸の連続シルケット(注4)設備は、日本では唯一、世界でも数少ない設備です。シキボウが連続シルケット加工糸を、市場のターゲットプライスに合った価格で新内外綿に供給することで、新内外綿の得意とする高級アパレル市場に展開することも期待できます。こういった生産ノウハウを巧みに組み合わせることによって、他社にはない製品づくりの可能性が広がると考えております。
次に、それぞれの生産拠点の活用においても効率化と事業機会拡大の相乗効果が期待できます。綿糸製造において、シキボウは富山工場、P.T.MERTEX(インドネシア)、ベトナムの提携工場等を、新内外綿は、株式会社ナイガイテキスタイル、J.P.BOSCO(タイ)の提携工場、中国の提携工場等を生産背景としています。短期的には、直営工場の生産量の安定化を図り、原糸販売量を確保するよう調整の仕組みを設けるといった取り組みが考えられます。また、中期的には、シキボウと新内外綿の有する生産背景を俯瞰した原綿調達計画、生産計画、在庫管理等においてITを活用した一元管理を行うことで、迅速な対応が可能となり、ビジネスチャンスが広がってくるものと考えております。これにより、新たな市場への参入、市場占有率の向上など、収益拡大の仕組みを構築することも可能になります。
このような取り組みを可能にするためには、シキボウと新内外綿の繊維事業を一つのSBUとして総合的一体的にとらえ、利益最大化を企図し、それをコントロールする組織を速やかに作るべきであると考えています。シキボウと新内外綿の開発・製造・販売を統括する仕組み、さらに将来的には一体的事業運営組織をつくることも検討いたします。
しかし、現在、支配株主であるシキボウと新内外綿の少数株主の間において構造的な利益相反関係が存在しており、新内外綿の少数株主の利益にも配慮する必要があります。少数株主の利益に配慮し、公正性を確保するためには、相応の手続きが必要であります。これが、機動的な意思決定の阻害、また、相互のリソースを活用する場合においても公正な取引という面が一定の制約となっていることは、不可避の課題であります。
上述のような相乗効果を発現させていくためには、新内外綿が上場を維持したままでは両社の一体化は困難であり、シキボウとしては、このような課題について新内外綿を完全子会社とすることにより解決が可能であると考えております。両社のノウハウの共有、製造拠点の活用等をはじめとする事業の一体的運営を実現し、利益の最大化を図ることで、両社の企業価値の向上、ひいてはシキボウグループ全体の企業価値の向上を実現できるとの判断に至り、2021年3月に新内外綿に対して、完全子会社化に向けて初期的な申入れを行いました。
新内外綿としては、前述のとおり、新型コロナウイルス感染症の影響の長期化が想定される中で、いまだ回復の途上にあり、新内外綿が目指す「構造的利益体質」への単独での転換には想定以上に時間がかかると思われます。そのため、シキボウと同様に中期経営計画を凍結し、代わりに、緊急経営計画「Revival Plan 2020-2021」を策定し、基本方針は継続しながらも現在の置かれた状況での施策、一般管理販売費の経費削減、生産子会社である株式会社ナイガイテキスタイルの一時帰休制度を利用しての生産計画、さらには販売戦略の再構築等の施策を進めました。また、仮に、新型コロナウイルス感染症の影響が落ち着き、景気の回復が見込まれた場合にも、アフターコロナにおける環境の変化や、従前からのアパレル業界の市場縮小も引き続き予想されることから、シキボウ及びシキボウグループ全体でノウハウを共有し、製造拠点を活用することで、この厳しい環境を乗り越えていくことができると考えました。このような状況をふまえ、新内外綿は、シキボウからの初期的な申入れに関して、前向きに検討すべく、協議を継続するという判断に至りました。
その後、新内外綿は、社外取締役と社外監査役からなる特別委員会を組成し、また、シキボウ及び新内外綿は、それぞれ外部の独立した専門家を起用する等の検討体制を整えた上で、本株式交換に関する検討、協議を行いました。
その結果、シキボウとしては、本株式交換による新内外綿の完全子会社化を通じて、新内外綿の少数株主との構造的な利益相反関係が解消され、新内外綿との一体的事業運営の制約を取り除き、両社の持つ調達拠点、生産拠点の効率的な活用、生産ノウハウを巧みに組み合わせることによる新たな製品開発、在庫・生産・販売情報の一元化による効率な管理といった取り組みが可能となります。これらの取り組みを進めることで、グループ全体で利益の最大化を図り、この困難を乗り越えていくことができると考えております。
また、新内外綿は意匠糸、杢糸など比較的太い番手の分野で多品種少量生産しており、近年ではその設備を活かしてサステナブルな商品企画も進めております。一方、シキボウは細番の糸とそれを使った薄地の生地を得意とし、その生地に抗ウイルス加工等の機能加工を付与して差別化し、市場分野を伸長してまいりました。シキボウグループ、新内外綿グループが両社の生産拠点を活用して強みを活かし、技術力を組み合わせることで、天然由来染料染めの「ボタニカルダイ」の生地に抗ウイルス加工を施したマスクなどに代表されるような、サステナブルで高機能な製品を社会に提供していくことができると考えております。そして、それが両社及びシキボウグループ全体の企業価値の向上に資すると確信いたしました。
一方で、新内外綿としては、シキボウの完全子会社となり、上述のとおり両社の強みや技術力を活かすことにより、単独で取り組むよりも、より早期に「構造的利益体質」への転換が期待できます。また、従前より課題となっていた市場の縮小や事業環境の変化に対して、少数株主の存在に起因する利益相反の問題が解消されることで、より中長期的な視野に立った経営戦略を構築することが可能となります。加えて、上場維持に要するコストの削減や、シキボウを通じての資金調達による効率化、共通する管理部門の業務効率化、これまでシキボウから一方向での技術者の派遣にとどまっていたものが、あらゆる職種や階層で双方向での人材交流が可能となる等によりメリットを享受することができると考えられます。
これらのことから、新内外綿としても、中期経営計画で目指してきた「構造的利益体質」への転換を目指し、より実効性のある戦略を打ち出すことができるとの考えに至りました。
以上に関して、シキボウ及び新内外綿は相互に認識を共有し、本日の取締役会で、本株式交換を行うことを決議し、本日、両社の間で本株式交換契約を締結いたしました。
(注1)OEMは、Original Equipment Manufacturingの略で、メーカーが、委託者ブランドの製品を委託者仕様で製造することです。
(注2)ODMは、Original Design Manufacturingの略で、メーカーが、委託者ブランドの製品を設計から製造まで請け負うことです。
(注3)SBUは、Strategic Business Unitの略です。
(注4)シルケット加工は、通常扁平で縮れた綿の繊維を膨潤させることにより光沢を与える加工方法です。
(3) 本株式交換の方法、本株式交換に係る割当ての内容、その他の本株式交換契約の内容
① 本株式交換の方法
本株式交換は、シキボウを株式交換完全親会社、新内外綿を株式交換完全子会社とする株式交換です。シキボウは、会社法第796条第2項本文の規定に基づく簡易株式交換の手続により株主総会の承認を受けることなく、また、新内外綿は、2021年6月22日開催予定の定時株主総会(以下「本定時株主総会」といいます。)において本株式交換契約の承認を受けた上で、2021年7月26日を効力発生日として本株式交換を行う予定です。
② 本株式交換に係る割当ての内容
会社名シキボウ
(株式交換完全親会社)
新内外綿
(株式交換完全子会社)
本株式交換に係る
割当比率
10.64
本株式交換により
交付する株式数
シキボウの普通株式:598,684株(予定)

(注1)株式の割当比率
シキボウは、新内外綿の普通株式(以下「新内外綿株式」といいます。)1株に対して、シキボウの普通株式(以下「シキボウ株式」といいます。)0.64株を割当交付いたします。ただし、シキボウが保有する新内外綿株式(2021年4月28日現在1,020,061株)については、本株式交換による株式の割当ては行いません。なお、上記表の本株式交換に係る割当比率(以下「本株式交換比率」といいます。)は、算定の基礎となる諸条件に重大な変更が生じた場合、シキボウ及び新内外綿が協議し合意の上、変更することがあります。
(注2)本株式交換により交付するシキボウ株式の数
シキボウは、本株式交換に際して、シキボウが新内外綿の発行済株式の全部(ただし、シキボウが保有する新内外綿株式を除きます。)を取得する時点の直前時(以下「基準時」といいます。)の新内外綿の株主の皆様(ただし、下記の自己株式の消却が行われた後の株主をいうものとし、シキボウを除きます。)に対して、その保有する新内外綿株式に代えて、本株式交換比率に基づいて算出した数のシキボウ株式を割当交付いたします。
なお、新内外綿は、本株式交換の効力発生日の前日までに開催する取締役会の決議により、本定時株主総会において本株式交換契約が承認され、本株式交換契約が解除されておらず、かつ、本株式交換契約の効力を失わせる事由が生じていないことを条件として、新内外綿が基準時の直前の時点において保有している自己株式(本株式交換に際して会社法第785条第1項の規定に基づいて行使される株式買取請求に係る株式の買取りによって新内外綿が取得する自己株式を含みます。)の全部を、基準時の直前の時点をもって消却する予定です。本株式交換により割当交付するシキボウ株式の総数については、新内外綿による自己株式の取得・消却等の理由により、今後修正される可能性があります。
また、本株式交換に際して交付するシキボウ株式は、全てシキボウが保有する自己株式(2021年3月31日現在944,454株)を充当する予定であり、シキボウが新たに株式を発行することは予定しておりません。
(注3)単元未満株式の取扱い
本株式交換に伴い、シキボウの単元未満株式(1単元(100株)未満の株式)を保有することとなる新内外綿の株主の皆様におかれましては、シキボウ株式に関する下記の制度をご利用いただくことができます。なお、金融商品取引所市場において単元未満株式を売却することはできません。
(i)単元未満株式の買増制度(1単元(100株)への買増し)
会社法第194条第1項及びシキボウの定款第9条の規定に基づき、シキボウの単元未満株式を保有する株主の皆様が、シキボウに対して、その保有する単元未満株式の数と併せて1単元(100株)となる数のシキボウ株式を売り渡すことを請求し、これをシキボウから買い増すことができる制度です。
(ii)単元未満株式の買取制度(1単元(100株)未満株式の売却)
会社法第192条第1項の規定に基づき、シキボウの単元未満株式を保有する株主の皆様が、シキボウに対して、その保有する単元未満株式を買い取ることを請求することができる制度です。
(注4)1株に満たない端数の処理
本株式交換に伴い、シキボウ株式1株に満たない端数の割当交付を受けることとなる新内外綿の株主の皆様に対しては、会社法第234条その他の関連法令の規定に基づき、その端数の合計数(合計数に1株に満たない端数がある場合は、これを切り捨てるものとします。)に相当する数のシキボウ株式を売却し、かかる売却代金をその端数に応じて当該株主の皆様に交付いたします。
③ 本株式交換契約の内容
シキボウが、新内外綿との間で2021年4月28日に締結した本株式交換契約の内容は次のとおりです。
株式交換契約書
シキボウ株式会社(以下「甲」という。)と新内外綿株式会社(以下「乙」という。)は、以下のとおり株式交換契約(以下「本契約」という。)を締結する。
第1条(株式交換の方法)
甲及び乙は、本契約の定めるところに従い、甲を株式交換完全親会社、乙を株式交換完全子会社とする株式交換(以下「本株式交換」という。)を行い、甲は、本株式交換により乙の発行済株式(但し、甲が有する乙の普通株式を除く。以下同じ。)の全部を取得する。
第2条(当事者の商号及び住所)
甲及び乙の商号及び住所は、以下のとおりである。
(1) 甲(株式交換完全親会社)
商号:シキボウ株式会社
住所:大阪市中央区備後町三丁目2番6号
(2) 乙(株式交換完全子会社)
商号:新内外綿株式会社
住所:大阪市中央区備後町三丁目2番6号
第3条(効力発生日)
本株式交換がその効力を生ずる日(以下「効力発生日」という。)は、2021年7月26日とする。但し、本株式交換に係る手続進行上の必要性その他の事由により必要な場合には、甲及び乙が協議し合意の上、これを変更することができる。
第4条(本株式交換に際して交付する株式及びその割当て等に関する事項)
1 甲は、本株式交換に際して、本株式交換により甲が乙の発行済株式の全部を取得する時点の直前時(以下「基準時」という。)における乙の株主名簿に記載又は記録された株主(但し、第7条に定める乙の自己株式の消却が行われた後の株主であって、甲を除く。以下「本割当対象株主」という。)に対して、その保有する乙の普通株式に代わり、その保有する乙の普通株式の合計数に0.64を乗じた数の甲の普通株式を交付する。
2 甲は、本株式交換に際して、各本割当対象株主に対して、その保有する乙の普通株式1株につき、甲の普通株式0.64株の割合をもって甲の普通株式を割り当てる。
3 前二項の規定に従って本割当対象株主のそれぞれに対して割り当てる甲の普通株式の数に、1株に満たない端数がある場合には、甲は、会社法第234条その他の関係法令の規定に基づき処理する。
第5条(甲の資本金及び準備金の額)
本株式交換に際して増加する甲の資本金及び準備金の額は、次のとおりとする。
(1)資本金 金0円
(2)資本準備金 金0円
第6条(株式交換承認決議等)
1 甲は、会社法第796条第2項本文の規定により、本契約につき会社法第795条第1項に定める株主総会の承認を得ることなく、本株式交換を行う。但し、会社法796条第3項の規定により、本契約につき株主総会の承認が必要となった場合、甲は、効力発生日の前日までに、本契約につき株主総会の承認を求める。また、本株式交換に係る手続進行上の必要性その他の事由により必要な場合には、甲及び乙が協議し合意の上、これを変更することができる。
2 乙は、効力発生日の前日までに、株主総会における本契約の承認その他関係法令により必要となる手続を行うものとする。但し、本株式交換に係る手続進行上の必要性その他の事由により必要な場合には、甲及び乙が協議し合意の上、これを変更することができる。
第7条(自己株式の消却)
乙は、効力発生日の前日までに開催する取締役会の決議により、基準時までに保有することとなる自己株式(本株式交換に関して行使される反対株主の株式買取請求に係る株式の買取りによって取得する自己株式を含む。)の全部を消却するものとする。
第8条(剰余金の配当)
1 甲は、2021年3月31日の最終の甲の株主名簿に記載又は記録された普通株式を有する株主又は普通株式に係る登録株式質権者に対し、1株当たり40円又は甲及び乙が別途書面で合意する金額を限度として、剰余金の配当を行うことができる。
2 甲及び乙は、前項に定める場合を除き、本契約締結後、効力発生日よりも前の日を基準日とする剰余金の配当を行ってはならない。
第9条(会社財産の管理等)
甲及び乙は、本契約締結後効力発生日まで、それぞれ善良なる管理者の注意をもってその業務の執行及び財産の管理、運営を行い、本株式交換に重大な影響を及ぼす行為については、あらかじめ甲及び乙が協議し合意の上、これを行うものとする。
第10条(本株式交換の条件の変更及び本契約の解除)
本契約締結後効力発生日までの間において、天災地変その他の事由により甲又は乙の財産状態又は経営状態に重大な変動が生じた場合、本株式交換の実行に重大な支障となる事態が生じた場合その他本株式交換の目的の達成が困難となった場合には、甲乙協議し合意の上、本株式交換の条件を変更し、又は本契約を解除することができる。
第11条(本契約の効力)
本契約は、効力発生日の前日までに本契約について第6条各項に定める甲の株主総会又は乙の株主総会の承認が得られなかったとき(但し、甲については株主総会の承認が必要となった場合に限る。)、法令に定める関係官庁の認可若しくは承認を得られなかったとき、又は第10条に基づき本契約が解除されたときは、その効力を失うものとする。
第12条(管轄裁判所)
本契約に関する一切の紛争については、大阪地方裁判所を第一審の専属的合意管轄裁判所とする。
第13条(印紙税)
本契約書にかかる印紙税は、甲乙折半して各自負担する。
第14条(協議事項)
本契約に定める事項のほか、本株式交換に関し必要な事項は、本契約の趣旨に従い、甲乙協議の上でこれを定める。
本契約締結の証として本書2通を作成し、甲及び乙が記名押印の上、各1通を保有する。
2021年4月28日
甲: 大阪市中央区備後町三丁目2番6号
シキボウ株式会社
代表取締役 社長執行役員 清 原 幹 夫
乙: 大阪市中央区備後町三丁目2番6号
新内外綿株式会社
代表取締役 社長執行役員 長 門 秀 高
(4) 本株式交換に係る割当ての内容の算定根拠
① 割当の内容の根拠及び理由
シキボウ及び新内外綿は、上記(2)「本株式交換の目的」に記載のとおり、2021年3月に、シキボウから新内外綿に対して本株式交換の初期的な申入れが行われ、両社の間で真摯に協議・交渉を重ねた結果、シキボウが新内外綿を完全子会社とすることが、両社の企業価値向上にとって最善の判断と考えるに至りました。
シキボウ及び新内外綿は、本株式交換比率の決定に当たって公正性・妥当性を確保するため、それぞれ別個に両社から独立した第三者算定機関に株式交換比率の算定を依頼することとし、シキボウはファイナンシャル・アドバイザーとして株式会社りそな銀行を、第三者算定機関としてアドバンスト・ビジネス・ダイレクションズ株式会社(以下「ABD」といいます。)を、新内外綿は株式会社プルータス・コンサルティング(以下「プルータス」といいます。)をファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関に選定いたしました。
シキボウにおいては、下記④「公正性を担保するための措置」に記載のとおり、第三者算定機関であるABDから2021年4月27日付で受領した株式交換比率に関する算定書、リーガル・アドバイザーである弁護士法人淀屋橋・山上合同からの助言等を踏まえて慎重に交渉・協議を重ねた結果、本株式交換比率は妥当であり、シキボウの株主の皆様の利益に資するものであるとの判断に至ったため、本株式交換比率により本株式交換を行うことが妥当であると判断いたしました。
新内外綿においては、下記④「公正性を担保するための措置」に記載のとおり、第三者算定機関であるプルータスから2021年4月27日付で受領した株式交換比率に関する算定書、リーガル・アドバイザーである弁護士法人御堂筋法律事務所からの助言、支配株主であるシキボウとの間で利害関係を有しない独立した委員から構成される特別委員会(以下「本特別委員会」といい、詳細については、下記⑤「利益相反を回避するための措置」に記載のとおりです。)からの指示、助言及び答申書等を踏まえて慎重に交渉・協議を重ねた結果、本株式交換比率は妥当であり、新内外綿の株主の皆様の利益に資するものであるとの判断に至ったため、本株式交換比率により本株式交換を行うことが妥当であると判断いたしました。
上記のほか、両社は、それぞれが相手方に対して実施したデュー・ディリジェンスの結果等を踏まえて慎重に検討し、また、相手方の財務状況、業績動向、株価動向等を勘案し、交渉・協議を重ねてまいりました。その結果、本株式交換比率が妥当であり、それぞれの株主の利益に資するものであるとの判断に至り、本株式交換比率により本株式交換を行うことに合意いたしました。
なお、本株式交換比率は、算定の基礎となる諸条件に重大な変更が生じた場合には、両社間で協議し合意の上、変更することがあります。
② 算定に関する事項
イ. 算定機関との関係
シキボウの第三者算定機関であるABD及び新内外綿の第三者算定機関であるプルータスはいずれも、シキボウ及び新内外綿からは独立した算定機関であり、シキボウ及び新内外綿の関連当事者には該当せず、本株式交換に関して記載すべき重要な利害関係を有しません。
ロ. 算定の概要
ABDは、シキボウについては、同社が東京証券取引所市場第一部に上場しており、市場株価が存在することから、市場株価平均法(算定基準日である2021年4月27日を基準日として、算定基準日及び算定基準日以前の1か月間、3か月間及び6か月間の株価終値の平均値を採用しております。)を、また将来の事業活動の状況を評価に反映するためディスカウンテッド・キャッシュ・フロー法(以下「DCF法」といいます。)を採用して算定を行いました。
新内外綿については、同社が東京証券取引所市場第二部に上場しており、市場株価が存在することから、市場株価平均法(算定基準日である2021年4月27日を基準日として、算定基準日及び算定基準日以前の1か月間、3か月間及び6か月間の株価終値の平均値を採用しております。)を、また将来の事業活動の状況を評価に反映するためDCF法を採用して算定を行いました。
各評価方法におけるシキボウの1株当たりの株式価値を1とした場合の新内外綿株式の評価レンジは、下記のとおりとなります。
採用手法株式交換比率の評価レンジ
市場株価平均法0.503~0.575
DCF法0.348~0.682

ABDは、株式交換比率の算定に際して、公開情報及びABDに提供された一切の情報が正確かつ完全であることを前提としており、独自にそれらの正確性及び完全性についての検証は行っておりません。両社及びその関係会社の資産又は負債(金融派生商品、簿外資産及び負債、その他の偶発債務を含みます。)について、個別の資産及び負債の分析及び評価を含め、独自に評価、鑑定又は査定を行っておらず、第三者機関への鑑定又は査定の依頼も行っておりません。新内外綿の財務予測(利益計画その他の情報を含みます。)については、新内外綿の経営陣により現時点で得られる最善かつ誠実な予測及び判断に基づき合理的に検討又は作成されたことを前提としております。ABDの算定は、2021年4月27日までにABDが入手した情報及び経済条件を反映したものです。なお、ABDの算定は、シキボウの取締役会が株式交換比率を検討するための参考に資することを唯一の目的としております。
なお、ABDがDCF法による算定の前提とした両社の利益計画において、大幅な増減益が見込まれている事業年度が含まれております。具体的に、シキボウにおいては、2021年3月期では新型コロナウイルス感染症による経済の減速、消費マインドの低下などの影響を受けたことにより、売上は減少し、利益水準は低下しております。翌年度以降の計画については、新型コロナウイルス感染症が収束に向かうとの前提で計画を立てており、コロナ以前の売上及び利益水準に戻るとの計画であるため、現在の状況からは増益が見込まれております。また、当該事業計画は、本株式交換の実施を前提としておりません。
新内外綿においては、近年の市場の流れが合繊を材料とする機能性素材へと移行し、新内外綿の主力製品である杢糸の販売が落ち込んでいることに加え、新型コロナウイルス感染症の拡大による影響が重なり、2021年3月期において大幅な減益を余儀なくされております。しかし、2022年3月期には新型コロナウイルス感染症の影響から脱却することを前提とし、紡績部門におけるサステナブルな取り組みやテキスタイル・製品部門における積極的なOEM/ODM企画の提案、綿100%速乾糸などの高利益率開発商品の投入、J.P.BOSCOにおける海外売上の拡大といった施策の効果によって更なる営業利益の回復を想定しています。また、本株式交換の実施により実現することが期待されるシナジー効果については、上場維持コストの削減を除き、現時点において具体的に見積もることが困難であるため、当該事業計画は、本株式交換の実施を前提としておりません。
プルータスは、シキボウについては、同社が東京証券取引所市場第一部に上場しており、新内外綿については、同社が東京証券取引所市場第二部に上場しており、両社に市場株価が存在することから、市場株価法を、また、将来の事業活動の状況を評価に反映するため、DCF法を採用して算定を行いました。
市場株価法では、両社について2021年4月27日を算定基準日として、証券取引所市場における両社の株式の基準日終値、直近1か月間、3か月間及び6か月間の終値の単純平均値を採用しております。
DCF法においては、シキボウについて、シキボウが作成した2022年3月期から2025年3月期までの事業計画に基づく将来のフリー・キャッシュ・フローを、事業リスクに応じた一定の割引率で現在価値に割り引くことによって企業価値や株式価値を算出しております。割引率は加重平均資本コストを採用し、4.582%~5.301%としています。継続価値の算定にあたっては永久成長率法を採用し、永久成長率は0%としております。新内外綿については、新内外綿が作成した2022年3月期から2025年3月期までの事業計画に基づく将来のフリー・キャッシュ・フローを、事業リスクに応じた一定の割引率で現在価値に割り引くことによって企業価値や株式価値を算出しております。割引率は加重平均資本コストを採用し、4.582%~6.537%としています。継続価値の算定にあたっては永久成長率法を採用し、永久成長率は0%としております。
なお、プルータスがDCF法による算定の前提とした両社の事業計画において、大幅な増益が見込まれている事業年度が含まれております。具体的には、シキボウにおいては、2021年3月期では新型コロナウイルス感染症による経済の減速、消費マインドの低下などの影響を受けたことにより、売上は減少し、利益水準は低下しております。翌年度以降の計画については、新型コロナウイルス感染症が収束に向かうとの前提で計画を立てており、コロナ以前の売上及び利益水準に戻るとの計画であるため、現在の状況からは増益が見込まれております。また、当該事業計画は、本株式交換の実施を前提としたものではございません。
新内外綿においては、近年の市場の流れが合繊を材料とする機能性素材へと移行し、新内外綿の主力製品である杢糸の販売が落ち込んでいることに加え、新型コロナウイルス感染症の拡大による影響が重なり、2021年3月期において大幅な減益を余儀なくされております。しかし、2022年3月期には新型コロナウイルス感染症の影響から脱却することを前提とし、紡績部門におけるサステナブルな取り組みやテキスタイル・製品部門における積極的なOEM/ODM企画の提案、綿100%速乾糸などの高利益率開発商品の投入、J.P.BOSCOにおける海外売上の拡大といった施策の効果によって更なる営業利益の回復を想定しています。また、本株式交換の実施により実現することが期待されるシナジー効果については、上場維持コストの削減を除き、現時点において具体的に見積もることが困難であるため、当該事業計画は、本株式交換の実施を前提としたものではございません。
プルータスは、株式交換比率の算定を行うに際して、両社から提供を受けた基礎資料及び一般に公開されている資料、並びに両社から聴取した情報が正確かつ完全であること、株式交換比率の分析・算定に重大な影響を与える可能性がある事実でプルータスに対して未開示の事実はないことを前提としてこれらに依拠しており、独自に調査、検証を行っておらず、その調査、検証を実施する義務も負っておりません。両社の事業見通し及び財務予測については、両社の経営陣により現時点で得られる最善の予測と判断に基づき合理的かつ適切な手段に従って準備・作成されていることを前提としております。また、プルータスは、個別の資産及び負債の分析及び評価を含め、両社及びその関係会社の資産及び負債(簿外資産及び負債、その他の偶発債務を含みます。)に関して独自の評価又は鑑定を行っておらず、新内外綿はこれらに関していかなる評価書や鑑定書の提出も受けておりません。また、プルータスは、倒産、支払停止又はそれらに類似する事項に関する適用法令の下での両社及びその関係会社の信用力についての評価も行っておりません。
各評価方法による新内外綿株式1株に対するシキボウ株式の割当株数の範囲に関する算定結果は、下記のとおりとなります。
採用手法株式交換比率の評価レンジ
市場株価法0.52~0.55
DCF法0.38~0.78

③ 上場廃止となる見込み及びその事由
本株式交換により、その効力発生日である2021年7月26日をもって、シキボウは新内外綿の完全親会社となり、完全子会社となる新内外綿株式は東京証券取引所市場第二部の上場廃止基準に従って、2021年7月20日付で上場廃止(最終売買日は2021年7月19日)となる予定です。上場廃止後は、新内外綿株式を東京証券取引所市場第二部において取引することができなくなります。新内外綿株式が上場廃止になった後も、本株式交換の対価として交付されるシキボウ株式は、東京証券取引所市場第一部に上場しており、本株式交換の効力発生日以降も、東京証券取引所市場第一部において取引が可能であることから、基準時において新内外綿株式を157株以上保有し、本株式交換によりシキボウの単元株式数である100株以上のシキボウ株式の割当てを受ける株主の皆様は、株式の保有数に応じて一部単元未満株式の割当てを受ける可能性はあるものの、1単元以上の株式については引き続き東京証券取引所市場第一部において取引が可能であり、株式の流動性を確保できるものと考えております。
ただし、基準時において157株未満の新内外綿株式を保有する株主の皆様には、単元株式数に満たないシキボウ株式が割り当てられます。単元未満株式については、東京証券取引所市場第一部において売却することはできませんが、株主の皆様のご希望によりシキボウの単元未満株式の買取制度又は買増制度をご利用いただくことが可能です。これらの取扱いの詳細については、上記(3)「本株式交換の方法、本株式交換に係る割当ての内容、その他の本株式交換契約の内容」の②「本株式交換に係る割当ての内容」の(注3)「単元未満株式の取扱い」をご参照ください。
また、本株式交換に伴い、1株に満たない端数が生じた場合における取扱いの詳細については、上記(3)「本株式交換の方法、本株式交換に係る割当ての内容、その他の本株式交換契約の内容」の②「本株式交換に係る割当ての内容」の(注4)「1株に満たない端数の処理」をご参照ください。
なお、新内外綿の株主の皆様は、最終売買日である2021年7月19日(予定)までは、東京証券取引所市場第二部において、その保有する新内外綿株式を従来どおり取引することができるほか、基準時まで会社法その他関係法令に定める適法な権利を行使することができます。
④ 公正性を担保するための措置
シキボウ及び新内外綿は、本株式交換の検討にあたって、シキボウが既に新内外綿株式1,020,061株(2021年4月28日現在、発行済株式総数1,959,800株に占める割合にして52.0%(小数点以下第三位を四捨五入。以下、保有割合の計算において同じです。))を保有し、新内外綿はシキボウの連結子会社に該当すること及びシキボウ出身の取締役が存在すること等から、本株式交換について利益相反の疑義を回避する観点に基づき、本株式交換の公正性を担保する必要があると判断して、下記の措置を実施しております。
イ. 独立した第三者算定機関からの算定書の取得
シキボウは、シキボウ及び新内外綿から独立した第三者算定機関であるABDから、本株式交換における株式交換比率の公正性・妥当性を確保するため、2021年4月27日付で、株式交換比率に関する算定書の提出を受けております。算定書の概要は、上記②「算定に関する事項」のロ.「算定の概要」をご参照ください。なお、シキボウは、ABDから、本株式交換比率が財務的見地から妥当又は公正である旨の意見書(フェアネス・オピニオン)を取得しておりません。
他方、新内外綿は、シキボウ及び新内外綿から独立した第三者算定機関であるプルータスから、本株式交換における株式交換比率の公正性・妥当性を確保するため、2021年4月27日付で、株式交換比率に関する算定書の提出を受けております。算定書の概要は上記②「算定に関する事項」のロ.「算定の概要」をご参照ください。なお、新内外綿は、プルータスがシキボウ及び本株式交換の成否から独立しており、かつ、高度な専門性を有していること、その算定結果及び算定過程においても特に不合理な点は認められないこと、最終的な株式交換比率が上記第三者機関から提出された算定結果の中央値より相応に高い比率で妥結されたこと、他に独立した本特別委員会への諮問その他公正性を担保する措置が複数講じられていること、本特別委員会からも同様の理由でフェアネス・オピニオンを取得する必要性は認められない旨の意見を得ていることから、プルータスより、本株式交換比率が財務的見地から妥当又は公正である旨の意見書(フェアネス・オピニオン)を取得しておりません。
ロ. 独立した法律事務所からの助言
シキボウは、弁護士法人淀屋橋・山上合同を本株式交換のリーガル・アドバイザーとして選任し、本株式交換の諸手続を含む取締役会の意思決定の方法・過程等について、法的な観点から助言を受けております。
なお、弁護士法人淀屋橋・山上合同は、シキボウ及び新内外綿から独立しており、両社との間に重要な利害関係を有しません。
他方、新内外綿は、弁護士法人御堂筋法律事務所を本株式交換のリーガル・アドバイザーとして選任し、本株式交換の諸手続を含む取締役会の意思決定の方法・過程等について、法的な観点から助言を受けております。
なお、弁護士法人御堂筋法律事務所は、シキボウ及び新内外綿から独立しており、両社との間に重要な利害関係を有しません。
⑤ 利益相反を回避するための措置
新内外綿は、シキボウが既に新内外綿株式1,020,061株(2021年4月28日現在、発行済株式総数1,959,800株に占める割合にして52.0%)を保有している支配株主であること及びシキボウ出身の取締役が存在すること等から、本株式交換について利益相反の疑義を回避する観点に基づき、下記の措置を講じております。
イ. 新内外綿における、利害関係を有しない特別委員会からの答申書の取得
(ⅰ)設置の経緯
新内外綿は、2021年3月12日、本株式交換に係る新内外綿の意思決定に慎重を期し、また、新内外綿取締役会の意思決定過程における恣意性及び利益相反のおそれを排除し、その公正性を担保するとともに、当該取締役会において本株式交換を行う旨の決定をすることが新内外綿の少数株主にとって不利益なものでないことを確認することを目的として、いずれも、シキボウと利害関係を有しておらず、新内外綿の社外取締役であり東京証券取引所に独立役員として届け出ている田淵義文氏、及び社外監査役である中山宣幸氏(弁護士、西野・中山法律事務所)並びに社外監査役である辻本誠氏(公認会計士、辻本公認会計士事務所)の3名により構成される本特別委員会を設置し、本株式交換を検討するにあたって、本特別委員会に対し、(A)本株式交換が新内外綿の企業価値を向上させるものと判断できるか、(B)本株式交換の条件(株式交換比率を含みます。)の公正性が確保されているか、(C)本株式交換に係る手続が株主の利益に配慮し、株主にとって公正な手続を通じて行われていると認められるかを踏まえて、総合的に検討して、本株式交換が少数株主にとって不利益でないものと言えるか(以下、これらの諮問事項を総称して「本諮問事項」といいます。)について諮問いたしました。
(ⅱ)検討の経緯
本特別委員会は、2021年3月12日から2021年4月27日までに、会合を合計9回、合計約20時間にわたって開催したほか、会合外においても電子メール等を通じて、意見表明や情報交換、情報収集等を行い、必要に応じて随時協議を行う等して、本諮問事項に関し、慎重に検討を行いました。
具体的には、まず第1回特別委員会において、各委員の独立性を改めて確認した上で、委員長として田淵義文氏が選定され、新内外綿が選任したファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関であるプルータス並びにリーガル・アドバイザーである弁護士法人御堂筋法律事務所につき、いずれも独立性及び専門性に問題がないことを確認した上で、それぞれを新内外綿の第三者算定機関及びリーガル・アドバイザーとして承認するとともに、本特別委員会としても必要に応じて専門的助言を受けることができる旨を確認し、シキボウの役職員を現に兼任する役職員については、本株式交換の検討、意思決定、交渉等に参加させないことを確認した上で、社内担当者の独立性を確認しました。なお、上記社内担当者のうち、長門秀高氏(代表取締役)、石田仁紀氏(取締役)については、シキボウの出身者ですが、それぞれ約10年前、約3年前にシキボウの役職員から離れており、また、本株式交換に関して、シキボウ側で一切の関与をしておらず、またそれができる立場にもないことから、本株式交換における新内外綿の意思決定に関して利益相反のおそれはないものと判断しました。加えて、両名は、新内外綿の事業及び技術領域に精通しているため、その知見を本株式交換に係る検討に活用する必要性が高いことも踏まえ、上記社内担当者として、本株式交換の検討、意思決定、交渉等に参加しております。
第2回特別委員会では、新内外綿より現時点の事業計画に関する説明が行われるとともに、適宜、本特別委員会から事業計画内容に関する質疑応答を経た上で、その後、新内外綿の経営陣に対する本株式交換に関するインタビューを行う際のインタビュー事項について協議・検討が行われました。第3回特別委員会では、新内外綿の経営陣より、改めて事業計画内容の説明を受けた上で、本株式交換に対する新内外綿経営陣の認識等に関するインタビュー及び質疑応答を行うとともに、その後、シキボウの経営陣に対する本株式交換に関するインタビューを行う際のインタビュー事項について協議・検討が行われ、加えて、本株式交換に関する公正性を担保するための措置について協議が行われました。第4回特別委員会では、シキボウの経営陣に対して、本株式交換に対するシキボウ経営陣の認識等に関するインタビュー及び質疑応答を行うとともに、その後、弁護士法人御堂筋法律事務所からは、法務デュー・ディリジェンスに関する概要の報告を受け、プルータスからは、本株式交換比率に関する協議状況に関する報告を受けました。その後、第5回特別委員会では、弁護士法人御堂筋法律事務所より法務デュー・ディリジェンスの結果報告を受け、プルータスより初期的な本株式交換比率算定に関する説明を受けた上で、シキボウとの本株式交換比率に関する交渉方針を協議、検討し、社内担当者に対する交渉方法の助言内容を決定し、あわせて答申書の内容に関する検討・協議を行いました。第6回特別委員会では、第5回特別委員会で決定した方針に基づいて、シキボウとの間で本株式交換比率に関する交渉を行った結果、シキボウ側から提示された質問書の報告、説明を受けた上で、当該質問書に対する回答内容を検討するとともに、プレスリリースの内容に関する検討・協議を行いました。第7回特別委員会では、プルータスより、さらに検討を進めた結果としての本株式交換比率に関する算定状況の説明を受けたうえで、必要な質疑応答を行い、シキボウとの交渉方法の助言内容を決定し、あわせて答申書の内容に関する検討・協議を行いました。第8回特別委員会では、プルータスから株式交換比率に関する算定報告書の説明を受けて、適宜質疑応答が行われた後、答申書及びプレスリリースの内容について確認・検討・協議が行われました。以上の各委員会を経て、最終回である第9回特別委員会では、答申書及びプレスリリースの最終版が確認され、特別委員会として答申書の内容が決定されました。
本特別委員会は、かかる経緯の下、これらの説明、算定結果その他の検討資料を前提として、本諮問事項について慎重に審議及び検討を行い、本株式交換は、新内外綿の少数株主にとって不利益なものとは認められない旨の答申書を、2021年4月27日付で、新内外綿の取締役会に対して提出しております。
(ⅲ)答申書の概要
(A) 本株式交換が新内外綿の企業価値を向上させるものと判断できるか
シキボウの経営陣が説明する戦略転換(人口減少と高齢化による市場規模の縮小、市場背景のなかで、新内外綿とシキボウの生産拠点、調達拠点を効率的に活用し全体最適を図る戦略がとられるべき)は非常に合理的な方針であり、(a)新内外綿の経営課題(杢糸頼みの販売から脱却し、混紡糸素材・別注商品・顧客との取り組み商材の販売強化を図ること、ニットにおける新規売り先の増大と既存客へ新規企画を提案すること)の解決にもつながり、また、(b)一定量の生産量を確保しつつ、新内外綿の持つ環境配慮製品群、シキボウの持つ機能加工技術及びそれぞれの海外拠点を相互に活用することにより、持続可能な社会への貢献と両社の企業価値のさらなる拡大ができること、(c)戦略的事業単位(SBU)として「協力体制」を超えて「一体化」した組織運営により、商品開発や技術開発の分野において、新内外綿とシキボウの持つノウハウ、独自の技術を、何ら障害もなく一体的に活用することで、他社にない、他社にできない商品づくりの可能性が広がり、市場のターゲットプライスに合わせて供給し新内外綿の有力ユーザーであるセレクトアパレルなどの市場への展開拡大を期待できること、(d)上場を維持するためにかかっている費用(上場費用、監査費用、株主総会等の費用、これらに要する人件費等)は、本株式交換が行われることによって縮減が可能であること、(e)総務、経理、財務、税務、そして、中期的な観点で見た場合にはITシステム等についても、シキボウとのシェアや同一のITシステムを用いた一元管理により、新内外綿単社で構築維持するよりも合理化・高度化できること、(f)業務に携わる人員の効率化とその活用が可能となること等を中心に、本株式交換の効果を総合的に検討すれば、本株式交換は新内外綿の企業価値向上に資するものといえる。
他方、本株式交換のデメリットとして考えうることとすれば、新内外綿の従業員が本株式交換後に新内外綿がどうなるのか不安に感じ、従業員からの信頼を損ね、あるいは、新内外綿の独創性や個性と活力を重んじる良い企業文化が損なわれるのではないかと誤解されてしまうと、キーパーソンが退職したり、従業員の活力、モチベーションが低下したりするリスクも懸念されるが、新内外綿としては、従業員に対しては非常に丁寧に説明するとのことであり、シキボウも良い企業文化は将来も守っていくべきと考えており、新内外綿の企業価値の向上を妨げるものにはならないと考える。
(B) 本株式交換の条件(株式交換比率を含む。)の公正性が確保されているか
本株式交換では、新内外綿株主に対する対価としてシキボウ株式が選択されているところ、本株式交換の対価であるシキボウ株式の継続保有を希望しない場合でも、シキボウ株式の流動性は高いため、当該株主は市場で売却し、あるいは、単元未満株式の買取制度を利用することにより、現金化することが可能であり、シキボウ株式を継続保有したい単元未満株主については買増制度も利用可能なこと、特に新内外綿が単独で今後上場を維持して業績向上を果たしていくことは困難と言わざるを得ない現状に鑑みれば、本株式交換により、シキボウグループの現在の企業価値と完全子会社化によって新内外綿の上場維持コスト削減や実現可能なシナジー効果を反映し、継続的な成長による安定的な利益を将来にわたり期待できることから、本株式交換の対価として、シキボウ株式が選択されていることは合理的と言える。
プルータスから受けた株式交換比率の算定結果に加えて、新内外綿及びシキボウの経営陣に対するインタビュー並びにシキボウに対する法務デュー・ディリジェンスの結果、2021年3月12日に公表した減損の根拠となる客観的資料等の開示内容及び説明内容等を踏まえると、プルータスの株式交換比率の算定の方法及び過程等に不合理な点は見当たらないこと、本株式交換における株式交換比率は、新内外綿が選任した第三者算定機関であるプルータスによる株式交換比率の算定結果における市場株価法の算定レンジ及び本特別委員会で算出した2020年4月から2021年3月末までの一年間の市場株価法による算出結果をいずれも上回っていること、プルータスのDCF法の算定レンジの範囲内であり、かつ、当該レンジの中央値を上回る水準であり、直近の新内外綿の業績からみれば相応のプレミアムが考慮されているといえることからすれば、株式交換比率の公平性も確保されているといえる。また、締結予定の株式交換契約書の内容は、いずれも一般的なものであり、不公平なものは見当たらない。
以上から、株式交換比率を含む本株式交換の条件は、いずれも公平性が確保されていると考えられる。
(C) 本株式交換に係る手続が株主の利益に配慮し、株主にとって公正な手続を通じて行われていると認められるか
(a)新内外綿の取締役会は、特別委員会の設置に際し、結果のいかんに関わらず本特別委員会の結論を尊重し、本特別委員会が妥当でないとの結論に至った場合は株式交換に賛同しない旨を取締役会で決議していること、(b)本特別委員会の委員は、シキボウ及び本株式交換の成否からの独立性を有する社外取締役1名(15年以上の会社経営経験を有する者)及び社外監査役2名の委員(弁護士及び公認会計士)で構成されており、各委員の独立性、専門性について疑義を差し挟むべき事由は認められないこと、(c)各委員は、会社法所定の手続きに従って既に決められていた社外取締役及び社外監査役の報酬以外に、成功報酬を含む本特別委員会の委員の職務についての報酬は受け取っていないこと、(d)本特別委員会は、シキボウとの本取引の取引条件に関する交渉について、交渉自体は新内外綿の担当役員や社内担当者が行うが、交渉について事前に新内外綿の交渉方針の共有を受けるとともに適時に交渉状況に関する報告を受け、重要な局面で意見を述べ、指示や要請を行うこと等により、取引条件に関する交渉過程に実質的に関与する権限を有しており、本特別委員会の実効性が高められていること、(e)本特別委員会は、新内外綿及びシキボウの経営陣に対するインタビュー内容を独自に検討し、直接各社経営陣に対するインタビューを実施したこと、(f)本特別委員会は、シキボウとの交換比率に関する交渉方針として、少数株主にとってより有利な比率に引き上げるための具体的な内容を決定して経営陣に助言し、実際にも交換比率が引き上げられるに至ったこと、(g)新内外綿の社内担当者のシキボウからの独立性を確認していること(比較的近年にシキボウを退職した取締役1名については、社内担当者として本株式交換の手続に関与することは認めるが、本株式交換についての取締役会における決議への参加については、特別利害関係人とまでは言えないものと考えるものの、より公正性を確実に担保するため、本特別委員会として念のため当該決議には参加しないよう求め、同取締役も了解している。)、(h)新内外綿が起用した専門家である弁護士法人御堂筋法律事務所及びプルータスは、いずれもシキボウからの独立性、本株式交換に関する専門性が認められ、本特別委員会としても必要に応じて専門的助言を受けていること、(i)本株式交換にかかる適時開示書類においては、本特別委員会に関する情報、株式交換比率の算定結果の内容に関する情報、その他本株式交換を実施するに至った経緯等に関する情報等について、それぞれ一定の開示が予定されており、新内外綿の少数株主による取引条件の妥当性等についての判断のために相当な情報が開示される予定であることが認められる。
他方、本特別委員会として採否を検討した他の公正性担保措置として、(j)マーケット・チェックについては、シキボウと新内外綿との間で潜在的な買収者による対抗提案を制限するような合意等は存在せず、本株式交換が、親会社による子会社の完全子会社化の場面であり、また、シキボウは本特別委員会からのインタビューに対して、もし他の株主から買収提案等がなされた場合でも、それに応じて新内外綿の株式を売却することは決してない旨回答していることから、本株式交換において積極的なマーケット・チェックを実施する必要性はないと判断し、(k)フェアネス・オピニオンについては、プルータスがシキボウ及び本株式交換の成否から独立しており、かつ、高度な専門性を有していること、その算定結果及び算定過程においても特に不合理な点は認められないこと、最終的な株式交換比率が上記第三者機関から提出された算定結果の中央値より相応に高い比率で妥結されたこと、他に独立した本特別委員会への諮問その他公正性を担保する措置が複数講じられていることから、フェアネス・オピニオンを取得する必要性はないと判断し、(l)マジョリティ・オブ・マイノリティ条項については、他に公平性担保措置は十分にとられていること、本株式交換のような支配株主によるM&A事案においては、少数株主が保有する株式保有割合が低く、場合によっては極めて少数の株主の反対によって、企業価値を高めるM&Aが阻害されるといった弊害の側面が強くなる傾向にあること、新内外綿の例年の議決権行使割合が70%前後であり、支配株主であるシキボウの株式保有割合が約52%であることを踏まえれば、本株式交換においてマジョリティ・オブ・マイノリティを設けることは、全株主の76%を超える賛成の議決権行使が必要となる条件を設定することとなり、現実的な措置であるとは思われず、上記弊害の側面が強くなる懸念が高いことから、マジョリティ・オブ・マイノリティの設定については採用する必要はないと判断した。
以上から、本株式交換に係る手続は、少数株主の利益に配慮し、少数株主にとって公正な手続を通じて行われていると認められる。
ロ. 新内外綿における、利害関係を有しない取締役の承認及び利害関係を有しない監査役全員の異議がない旨の意見
2021年4月28日現在、新内外綿においてシキボウの役職を兼任している取締役はおらず、長門秀高氏(代表取締役)、石田仁紀氏(取締役)については、シキボウの出身者ですが、それぞれ約10年前、約3年前にシキボウの役職員から離れていることなどから、本株式交換における新内外綿の意思決定に関して利益相反のおそれはないものと判断しています。
石田仁紀氏についてはシキボウの役職員を離れたのが約3年前と比較的近時であり、特別委員会からも審議及び決議に参加すべきでない旨の提言がありました。
これを受け、2021年4月28日開催の取締役会では、石田仁紀氏を除く3名の取締役(長門秀高氏、田邉謙太朗氏、田淵義文氏)が参加して審議及び決議を行うこととし、全員の承認を得ております。
なお、上記の取締役会には、シキボウ執行役員兼務者を除く監査役 3名(社外監査役含みます。)が参加し、いずれも上記決議に異議がない旨の意見を述べております。
(5) 本株式交換の後の株式交換完全親会社となる会社の商号、本店の所在地、代表者の氏名、資本金の額、純資産の額、総資産の額及び事業の内容
商号シキボウ株式会社
本店の所在地大阪市中央区備後町三丁目2番6号
代表者の氏名代表取締役 社長執行役員 清原 幹夫
資本金の額11,336百万円(2021年3月31日現在)
純資産の額現時点では確定しておりません。
総資産の額現時点では確定しておりません。
事業の内容1.各種繊維工業品の製造・加工および販売(紡績糸、加工糸、 織
物生地・製品、ニット生地・製品、寝装生地・製品など)
2.各種化学工業品の製造・加工および販売(工業用糊剤、食品添
加物など)
3.産業用資材の製造・販売(製紙用ドライヤーカンバス、フィル
タークロスなど)
4.複合材料の製造・販売
5.都市開発をはじめとする不動産開発

以上