有価証券報告書-第91期(平成26年11月1日-平成27年10月31日)

【提出】
2016/01/22 13:40
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107項目

業績等の概要

(1)業績
当連結会計年度におけるわが国経済は、政府による財政出動や日銀による金融緩和の継続効果により、企業業績の向上や雇用情勢の改善の動きなどの緩やかな回復が見られました。さらに大都市部では、資産効果による富裕層の高額品への旺盛な購買や訪日外国人によるインバウンド効果による消費が顕著に増加する一方で、地方での個人消費は低調に推移するという二極化の様相を呈しました。さらに当連結会計年度後半においては、中国や新興国経済の減速による企業生産活動の悪化と原油をはじめとする国際商品相場の下落や海外リスクの高まりから、多くの企業が設備投資に慎重な姿勢を示しております。また、外需の伸長の低下のみならず個人消費においても平成26年4月の消費税増税と円安による食料品の価格高騰の影響は家計を圧追し、節約志向が顕著となっております。このような状況から国内総生産(GDP)も2四半期連続のマイナス成長となるなか政府の成長戦略も下振れが鮮明となり、平成27年10月に発表された月例報告においても景気判断を一年ぶりに下方修正するという不確実な景況感となっております。
繊維業界におきましては、産業資材用途や機能性衣料向け生産は好調が続いておりますが、ファッション衣料分野では、急激に進行した円安による仕入原価の高騰や消費税増税の影響に伴う消費低迷からアパレル業界の経営環境は厳しい状況で推移いたしました。特に大手アパレルでは、ブランドの廃止や店舗の閉鎖等のリストラに着手する企業もあり、ボリュームゾーンである中価格帯の衣料品の購買動向は停滞感が色濃く残っております。
このような経営環境のなか、当社グループは当連結会計年度からの3ヵ年中期経営計画を策定し、さらなる事業収益、財務体質、情報力強化を目指すとともに、経営効率化と変化に即応できる事業体制の確立に努めてまいりました。その結果、当連結会計年度の業績は、売上高894,963千円(前連結会計年度1,065,832千円)、営業利益14,717千円(前連結会計年度63,056千円)、経常損失1,545千円(前連結会計年度経常利益38,326千円)となりました。
なお、特別損失として再開発に伴う固定資産除却損15,532千円を計上しております。さらに今後の見通しなどを踏まえて繰延税金資産の回収可能性を慎重に検討し、繰延税金資産および法人税等調整額36,923千円を計上いたしました。その結果、当期純利益は23,007千円(前連結会計年度37,135千円)となりました。
また、当社グループは前連結会計年度より決算期を9月30日から10月31日に変更しております。この変更に伴い前連結会計年度は13ヶ月の変則決算となっております。そのため対前連結会計年度との増減額・比率等については記載しておりませんが、参考のため前連結会計年度実績を括弧書きとして表示しております。
セグメントの業績は、次のとおりであります。
①繊維事業
当社グループの売上高の約75%を占める主力事業であります。
当連結会計年度における事業環境は、ファッション衣料市場においては円安によるコスト上昇と消費税増税後の市況不振が想定以上に影響を残すという厳しい状況が続きました。特に百貨店においては訪日観光客と富裕層の購買意欲は高いものの、主力商品である衣料品の回復ペースは上がらないままにありました。さらに羊毛やカシミヤなどの獣毛原料価格は、前年に続き高水準で推移したことも収益面に大きな影響を与えました。
このような環境のなか、当部門は素材の共有化と業務連携の強化に努めるとともに、既存取引先への取扱品、取扱高拡大と新規顧客の開拓に注力してまいりました。その結果、受注高661,389千円(前連結会計年度831,577千円)、売上高675,299千円(前連結会計年度815,474千円)、営業利益714千円(前連結会計年度32,319千円)、在庫高230,751千円(前連結会計年度248,402千円)となりました。また、平成27年7月に宜興太陽毛紡織有限公司との合弁契約期間の終了をもって、出資金全部の譲渡を完了いたし、当連結会計年度より持分法の適用範囲から除外しております。
②賃貸事業
当連結会計年度における事業環境は、前連結会計年度と同様に安定した事業収益となりました。また、再開発事業に関しましては、平成27年7月に貸店舗等の建設を完了し、同年8月より賃貸を開始しております。その結果、売上高176,870千円(前連結会計年度182,781千円)、営業利益103,619千円(前連結会計年度114,424千円)となりました。
③物流事業
当連結会計年度における事業環境は、再開発による一部物流事業の縮小に加え円安による輸入価格高騰とファッション市場の不振が重なるという非常に厳しい状況が続きました。このような環境のなか、当事業においては衣料品のみならず雑貨、身の回り品、靴の取扱いも拡充するとともに経費の削減にも注力しました。その結果、売上高42,793千円(前連結会計年度67,575千円)、営業損失6,591千円(前連結会計年度営業利益3,225千円)となりました。
(2)キャッシュ・フロー
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、営業活動および財務活動によって生じた資金を投資活動で使用しました結果65,809千円(前連結会計年度74,787千円)となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は118,072千円(前連結会計年度104,465千円)となりました。
これは主に減価償却費、売上債権の減少、預り敷金及び保証金の増加などによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は263,558千円(前連結会計年度21,720千円)となりました。
これは主に有形固定資産の取得などによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は137,618千円(前連結会計年度△60,281千円)となりました。
これは主に短期借入金の借入および建設協力金の受入による収入などによるものであります。