有価証券報告書-第64期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)

【提出】
2021/06/17 13:39
【資料】
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【項目】
145項目

事業等のリスク

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、ここに記載した事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループがリスクとして判断したものでありますが、当社グループに関する全てのリスクを網羅したものではありません。
(1)新型コロナウイルス感染症および大規模な自然災害等の異常事態リスク
当社グループは、国内外において複数の事業拠点、物流施設等を使用し事業運営をしております。新型コロナのパンデミックや大規模な自然災害等の異常事態が当社の想定を超える規模で発生し、事業運営が困難になった場合、当社グループの財政状態及び経営成績等に大きな影響を与える可能性があります。 当社グループでは、事業運営が休止に追い込まれる事態を想定し、その場合に事業復旧の早期化を図るため、有事の際には対策本部の設置と従業員への発信により、テレワーク等勤務体制の変更、従業員の行動基準の策定、異常事態発生時の対応マニュアル発動等、BCPの策定や事業リスクの最小化に向けた施策を推進します。 また、感染症および自然災害等によるお取引先様や自社直営の実店舗の営業休止等による販売機会のロスに対応すべく、Eコマース事業も拡大し実店舗以外での販売機会維持に努めます。
(2)地政学的リスク
当社は、海外売上比率が半分以上を占めており、貿易摩擦や地域における紛争等により、当該国・地域での生産、販売が困難になった場合、当社の財政状態及び経営成績等に影響を与える可能性があります。 「D-Summit 2023」の重点戦略の一つである日本・韓国・中国 地域別戦略の実行により、バランスのとれた収益体質に変えることで地政学的リスクを分散させ、収益の安定を強化していきます。
(3)商品の安全性に関するリスク
当社グループが提供する商品において、品質不良や欠陥による重大なトラブルが発生した場合には、該当の商品の直接的な影響はもとより、当社グループへの信頼低下により、財政状態及び経営成績等に影響を与える可能性があります。
当社グループでは、独自の品質基準を設け商品の品質・安全性の向上に取り組むとともに、関連法規の遵守に努めております。また、商品の欠陥等による万が一の重大なトラブルの発生に備え、製造物賠償責任保険へ加入しリスクの低減を図っております。
(4)在庫のリスク
異常気象や天候不順、海外の法改正を含めたマーケットの急激な環境変化などの不測の事態等により、想定を上回って需要が減少した場合、仕入商品が不稼働在庫となり、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を与える可能性があります。 当社グループでは、暖冬等、昨今の異常気象を考慮に入れたマーチャンダイジング、シューズ・雑貨等の季節性が比較的低い商品展開の拡大、仕入先との連携強化による生産リードタイムの短縮、受注予測による発注量調整等の対策を推進しております。
(5)事業投資に係るリスク
当社は、連結子会社および持分法適用関連会社での事業展開をしています。当事業年度においては、中国における合弁会社の再編に伴い、追加取得したDCH株式の時価と持分法簿価との差額を投資有価証券(のれん相当額)として計上しております(当事業年度の期末残高5,021百万円)。事業投資については事前に収益性や投資回収の可能性について様々な観点から検討を行っておりますが、市況及び事業環境の急変等により、予期せぬ状況変化や当初想定していた事業計画からの大幅な乖離が生じた場合、損失等が発生し、当社の業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。このリスクに対応するため、2021年3月期より事業投資基準を導入し、連結子会社や持分法適用関連会社への投資の決定や、レビューの仕組みを整備しました。今後の新規投資についてはこの基準に基づく意思決定を行い、既存の投資に対しては定期的レビューを行うことで、不調事業の早期課題解決や撤退の意思決定のスピードを速めます。
(6)固定資産の減損リスク
当社グループは、有形固定資産、商標権などの固定資産を保有しております。当該資産又は資産グループが属する事業の経営環境の著しい変化や収益状況の悪化等により、固定資産の減損損失を計上する必要が生じた場合には、財政状態及び経営成績等に影響を与える可能性があります。
(7)システムリスク
当社グループは、基幹システムを導入しての業務運営を行っており、個々のサービスレベルの向上を目的としたシステムの改修や変更、機器の入替等を継続的に行っております。不正アクセス、大規模停電や大規模災害など予期せぬトラブルが発生し、復旧等に時間を要した場合、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を与える可能性があります。 当社グループでは、データのバックアップ、システムのクラウド化および、冗長構成の採用を含め、不測の事態による事業停止からの早期復旧に関して根本的な対策を講じております。
(8)税務リスク
当社グループは、主としてアジアに製造拠点・販売拠点を有しており、グループ会社間の国際取引も多く発生しております。グループ会社間の国際的な取引価格に関しては、適用される各国の移転価格税制や関税法の観点からも適切な取引価格となるよう細心の注意を払っておりますが、税務当局または税関当局との見解の相違等により、取引価格が不適切であるとの指摘を受け追加の税負担が生じる可能性があります。また、各国の租税法令またはその解釈運用の新たな導入や変更等により、当社グループに税負担増が生じる可能性があります。
上記のような事態により、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響が出る可能性があります。
(9)為替水準の変動リスク
当社グループは、商品および製品の輸出入において一部外貨建取引を行っております。為替相場の変動リスクを軽減するため不確実性回避を意図した為替予約によるヘッジを行っておりますが、外貨建の資産、負債を保有しておりますので、為替相場の大幅な変動があった場合は、財政状態及び経営成績等に影響を受ける可能性があります。また、各地域における現地通貨建の財務諸表を円換算して連結財務諸表を作成しており、換算時の為替レートにより、円換算後の価値に影響が出る可能性があります。
(10)サプライチェーン上のリスク
当社グループは、生産委託にあたり、委託先工場に対して工場所在国および国際的な労働基準を遵守し労働者に公正で安全な労働環境を提供するよう、契約締結時 にコードオブコンダクト(誓約書)の署名のほか、独自の自主監査シートの提出を必須としています。しかし、当社グループの生産委託先工場が、当局および人権NGO等から労働基準の非遵守を指摘された場合、事実関係に関わらず、当社グループの企業イメージが損なわれるリスクがあります。また、当社グループのサプライチェーンの拠点が所在する各国において暴動や大規模な自然災害が発生した場合、生産や物流のスケジュールに遅延が発生し、販売機会の損失から財政状態および経営成績等に悪影響を与える可能性があります。
(11)情報セキュリティリスク
当社グループは、経営企画室を主管部署として企業秘密の適切な管理及び活用を図ると共に、個人情報を適正に保護するための体制を整備しております。 しかし、サイバー攻撃やオペレーション不備により、これらの情報が万一漏洩・流出した場合には、取引先様・お客様などからの損害賠償請求、信用の失墜、販売機会のロス等により、財政状態および経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(12)知的財産に関するリスク
当社グループは、国内外において、多くの特許権・商標権等の知的財産権を所有しており、他社の知的財産権侵害回避および当社による新規出願を戦略的に行う体制を整えております。しかしながら、知的財産権に関する侵害事件の発生が起きた場合、商品開発への悪影響やブランドイメージの低下等を招く可能性があります。また、当社グループの商品が第三者に模倣され安価に販売された場合、当社の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。加えて、知的財産権に関する侵害訴訟は解決までに相当な時間と費用を要し、財政状態および経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(13)国内事業モデルのリスク
当社グループの日本国内事業を担うデサントジャパン株式会社では、卸売が、国内売上の約80%を占めております。しかしながら卸売を前提とした事業モデルでは消費者との直接的なコミュニケーションが十分に図れず、当社グループが展開する各ブランドの世界観やこだわりを十分に消費者にお届けできておりません。さらに消費者のニーズも捉え切れず、結果として収益性の低い非効率な事業が継続・拡大するリスクがあります。
このリスクに対応するため当社グループでは2021年5月に発表した新中期経営計画「D-Summit 2023」の重点戦略として「日本事業の収益改善」を掲げ、DTC事業の強化を主とする商品企画及び流通改革を図っています。韓国及び中国で成功している直営店事業のノウハウを活用することで日本でも直営店展開を進め、EC事業との両輪で消費者との相互コミュニケーションを強化し、2024年3月期には、DTC売上高として、直営店売上とEC売上で国内売上構成比50%を目指します。