有価証券報告書-第162期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)

【提出】
2021/06/25 13:12
【資料】
PDFをみる
【項目】
147項目

研究開発活動

当社グループ(当社及び連結子会社)では、多様化する社会の要請に即応し、開発活動を効率的、かつ効果的に運営するために、「全員参加の開発型企業」をスローガンとして、各開発部門が密接な連携を保ちつつ、将来に向けた新製品、新技術の開発に精力的に取り組んでおります。当連結会計年度における当社グループの研究開発体制は、機能紙事業部、電子材料事業部及び旧事業開発本部の4つの開発グループ(機能紙開発グループ、電子材料開発グループ、光学粘着開発グループ、新規技術推進グループ)を、新設されたiCasカンパニー下の「開発本部」に統合し、人材交流を推進し、各開発部門が保有する技術、知見の融合を進めることにより、効率的かつ高い生産性の開発を実現し、新製品開発の加速を図ってまいります。一方、旧事業開発本部に所属しておりました要素技術開発機能、評価技術開発機能は技術本部の所属とし、プロセス開発、設備開発との連携を進め、知的財産グループと共に技術蓄積を進める体制としました。パウダーテクノロジーカンパニー(旧画像材料事業部)では「ファンクショナルパウダー開発室」を新設し既存のトナーに関わらず、新たな粉体に関わる新規技術の開発を進めてまいります。各連結子会社では、其々の開発部門において開発を進めるとともに、新製品開発の機能拡充を目指して、当社の開発部門と各連結子会社間で緊密な連携を進めております。
当社グループでは、こうした体制の下、重点分野である熱・電気・電磁波コントロール材料(iCas=Insulation Conduction Absorption Sheet/絶縁・伝導・吸収シートの略)、そして環境制御材料(GREEN CHIP)の全社・連結子会社開発横串での連携活動を進めております。
当社グループの研究開発要員総数は、119名であり、当連結会計年度における研究開発に要した費用は1,469百万円となり、試作品や受託研究等の収入(701百万円)控除後の研究開発費用は771百万円(連結売上高比2.5%)であります。
当連結会計年度における研究開発活動の状況及び研究開発費をセグメントごとに示すと次のとおりであります。なお、「その他の事業」においては研究開発活動を行っていないため省略しております。また、各セグメントに配分することが出来ない研究開発活動については、(その他)としております。
(トナー事業)
当社パウダーテクノロジーカンパニー開発グループが、粉体技術をベースとした複合機・プリンター用トナーの製品開発及び技術開発を行っております。
当連結会計年度の主な成果は、モノクロトナー及びカラートナーの商品ラインナップの拡充、生産技術確立などであります。
当事業に係わる研究開発費は、224百万円であります。
(電子材料事業)
当社iCasカンパニー開発本部電子材料開発グループ、同光学粘着開発グループが、粘・接着技術、塗工技術、及び特殊加工技術をベースとした電子部品や材料、ディスプレイ用材料、光ファイバーシステムにおける接続材料及び周辺材料等の製品開発及び技術開発を行っております。
当連結会計年度の主な成果は、半導体パッケージ用高機能テープのリリース、ディスプレイ用材料、電子部品関連接着剤の商品拡充であります。
当事業に係わる研究開発費は、463百万円であります。
(機能紙事業)
当社iCasカンパニー開発本部機能紙開発グループ、日本理化製紙㈱、三和紙工㈱が、抄紙技術及び塗工技術をベースとした各種特殊紙、機能性シート製品等の開発を行っております。
当連結会計年度の主な成果は、無機繊維材料を中心とした多孔質機能性シート、機能性粉体高担持シートの開発、情報記録用シート材料、絶縁紙の商品拡充などであります。
当事業に係わる研究開発費は、195百万円であります。
(セキュリティメディア事業)
連結子会社の昌栄印刷㈱及び日本カード㈱が、特殊印刷技術及び情報加工技術をベースとしたICカードやプリペイドカード等の製品開発を行っております。
当連結会計年度の主な成果は、当社の要素技術を組み入れた電子回路基板を内蔵した指紋認証カードやアミューズメントカード等の商品拡充であります。
当事業に係る研究開発費は、3百万円であります。
(新規開発事業)
当社iCasカンパニー開発本部新規技術推進グループでは、これまで培った要素技術を展開した電気電子部品、高機能性シートの開発などに加え、熱・電気・電磁波及び環境対策関連のiCas製品の開発を、各事業部門との協力体制の下で取り組んでおります。
当連結会計年度の主な成果は、湿式抄紙技術を用いたメタル繊維シートを応用した高性能ヒートシンクの開発、機能性粉体担持シートの各種応用開発、新規電気電子部品の商品化検討などであり、今後の市場投入に備え、技術本部、各事業部の製造部門、品質管理部門との協働による活動が進展しております。
当事業に係わる研究開発費は、391百万円であります。
(その他)
技術本部分析センターでは、グループ内の事業、研究開発の支援強化を主軸としながらも、社外からの分析受託サービスを実施しており、お客様の要望に応じた新たな分析メニューを立ち上げるなど、その技術的レベルアップに取り組んでおります。表面あるいは断面に関わる微細な分析、解析、電気物性評価、電磁波特性評価等、各種分析における幅広い技術蓄積と信頼性の向上を図っております。
これらコーポレート開発における研究開発費は、190百万円であります。