有価証券報告書-第105期(平成27年4月1日-平成28年3月31日)

【提出】
2016/06/30 15:02
【資料】
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【項目】
127項目

業績等の概要

(1) 業績
当連結会計年度における世界経済は、米国経済では雇用の回復が続きましたが、中国経済をはじめとするアジア新興国経済に減速の動きが見られました。国内経済においては、輸出・生産は上向きつつあるものの、個人消費は賃金が伸びず弱含みとなり、景気の先行きは不透明な状況です。
紙パルプ業界においても、板紙の内需は堅調に推移しているものの、新聞用紙・印刷用紙をはじめとする紙の内需は減少しており、さらに古紙価格や円安に伴いチップ及びパルプの価格が上昇したことから、引き続き厳しい事業環境となりました。
このような状況の中で、当社グループの各工場で全員参加によるコスト低減を推し進めるとともに、洋紙事業では、塗工紙から非塗工紙・包装用紙へのシフト、平判販売比率アップ等市場動向に対応した生産・販売品種へのシフトを進めています。板紙・段ボール事業では、平成26年10月に稼動したいわき大王製紙株式会社の新マシンによる増産と品揃え効果が通年で寄与したことに加え、大王パッケージ株式会社を1社13工場体制としたことによる統合効果発現と戦略的設備投資による段ボールの生産・販売体制の強化を推進しています。
また、ホーム&パーソナルケア事業の国内市場においては、衛生用紙では、平成27年9月に可児工場のティシュー生産設備の増設が完了し、ファーストブランドであるエリエールティシューや付加価値品の増産・拡販が順調に進んでいます。加工品では、平成27年春にリニューアルしたベビー用紙おむつ・軽失禁商品の拡販及び平成27年秋に上市したウェット新商品の販売が好調であることに加え、平成27年12月にエリエールプロダクト株式会社の新工場(福島県いわき市)が稼動し、拡販が進みました。
海外市場においては、「大王(南通)生活用品有限公司」ではベビー用紙おむつのプレミアムゾーンでの販売拡大に向け、生産ラインを増設し、「エリエールインターナショナルタイランドCo.,LTD」では、工場倉庫の増築により、物流費の削減に繋がっています。内需拡大が著しいインドネシアの生産子会社「PT.エリエールインターナショナルマニュファクチャリングインドネシア」では、平成27年12月にベビー用紙おむつの新工場が完成した後、平成28年3月から販売を開始しました。また、韓国・中国・台湾を中心に大人用紙おむつ「アテント」の本格販売を開始する等、アジアを中心にさらなる販路の拡大を図っています。
当連結会計年度の連結業績は、以下のとおりとなりました。
連結売上高474,077百万円(前年同期比5.3%増)
連結営業利益24,323百万円(前年同期比11.6%増)
連結経常利益21,259百万円(前年同期比2.4%減)
親会社株主に帰属する連結当期純利益14,594百万円(前年同期比10.5%増)

セグメントの業績は、次のとおりです。
なお、各事業セグメントの業績をより適切に把握するため、当連結会計年度より全社費用を各事業セグメントに配賦することとしました。この変更に伴い、前連結会計年度のセグメント利益についても、変更後の利益の算定方法により作成しています。
① 紙・板紙
売上高299,962百万円(前年同期比3.4%増)
セグメント利益10,473百万円(前年同期比4.0%増)

新聞用紙については、新聞の頁数は横ばいとなりましたが、発行部数減少の影響により、販売数量・金額ともに前年同期を下回りました。
印刷用紙の国内需要は縮小しましたが、高付加価値品の拡販及び品種構成改善により、販売数量は前年同期を上回りました。また、販売金額についても販売数量増加及び前期の価格修正を推し進めたことで前年同期を上回りました。
板紙・段ボールは、通販や加工食品分野の伸長に加え、いわき大王製紙株式会社の新マシン稼動が通年で寄与したことで、販売数量・金額ともに前年同期を上回りました。
② ホーム&パーソナルケア
売上高158,904百万円(前年同期比8.2%増)
セグメント利益10,365百万円(前年同期比12.6%増)

衛生用紙は、国内市場における付加価値品への販売シフトに加え、平成27年秋にリニューアルした主力商品「エリエールティシュー」が好調に推移したことが寄与し、販売数量・金額ともに前年同期を上回りました。
大人用紙おむつは、夜用を中心とした高機能パッドの拡販に加え、「アテントさらさらパンツシリーズ」のリニューアルが寄与し、販売数量・金額ともに前年同期を上回りました。
ベビー用紙おむつは、平成27年春の『肌へのやさしさ』に拘った全面リニューアルの効果と、適正価格での販売実現に取り組んだ結果、販売数量・金額ともに前年同期を大きく上回りました。
フェミニンケア用品は、夜用ナプキン「elis 朝まで超安心」を軸に店頭露出拡大と、主力商品「新・素肌感」の適正価格での販売実現への取組みに加え、軽失禁商品「ナチュラ さら肌さらり」の配荷拡大を進めた結果、販売数量・金額ともに前年同期を上回りました。
ウェットワイプは、平成27年秋に発売した新商品トイレクリーナー「キレキラ!」の配荷及び販売が好調だったことに加え、連続して投入した企画品も好調に推移し、販売数量・金額ともに前年同期を大きく上回りました。
海外事業は、ルーブル安に伴う現地景気停滞の影響により、ロシアへの輸出販売が前年同期を下回りましたが、現地に拠点を有する韓国、中国、タイ、インドネシアのベビー用紙おむつの販売が順調に推移し、海外売上全体で販売数量・金額ともに前年同期を上回りました。特に韓国、台湾での販売は前年同期を大きく上回り、中国でもパンツタイプやスーパープレミアムゾーンの「GOO.N 天使シリーズ」が伸長しました。またタイ及び周辺国においてもエコノミーゾーンをターゲットにしたセカンドブランド「GOO.N FRIEND」が伸長しました。さらに、平成28年1月には需要が大きいベトナム・マレーシアにエリエールインターナショナルタイランドCO.,LTDの駐在事務所を開設し、4月には複合的な商品展開を進めていくため、台湾に当社の出張所を開設しました。
③ その他
売上高15,211百万円(前年同期比13.8%増)
セグメント利益3,153百万円(前年同期比52.2%増)

主に売電事業、機械事業、木材事業であり、当期は売電、チップ販売の増加により、販売金額・セグメント利益は前年同期を上回りました。
(2) キャッシュ・フロー
当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、前連結会計年度末と比較して3,096百万円増加し、72,169百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、47,011百万円の収入(前連結会計年度比2,271百万円の増加)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益21,997百万円及び減価償却費26,988百万円によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、26,073百万円の支出(前連結会計年度比2,508百万円の増加)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出33,958百万円及び投資有価証券の売却による収入5,155百万円によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、17,475百万円の支出(前連結会計年度比11,954百万円の増加)となりました。これは主に、転換社債型新株予約権付社債の発行による収入30,150百万円、長期借入れによる収入73,137百万円、長期借入金の返済による支出97,118百万円、社債の償還による支出15,020百万円及び利息の支払額5,200百万円によるものです。