有価証券報告書-第91期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)

【提出】
2021/06/17 9:14
【資料】
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【項目】
129項目

事業等のリスク

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)特定品目への依存について
高い市場シェアを有している主力のアルミ電解コンデンサ用セパレータの売上が、当連結会計年度の売上高全体に占める割合は約8割であり、世界の需要動向が当社グループの業績に影響を与える可能性があります。需要拡大が見込まれる電池用セパレータを拡販することで、業績の安定に努めてまいります。
(2)設備投資による影響について
コンデンサ用セパレータにおいて高い市場シェアを有している当社グループでは、ユーザーへの安定供給体制を確保していくため、需要予測にもとづく生産能力増強のための設備投資を計画的に実施いたします。製造設備の新設・増設には多額の設備投資を必要とする業態のため、多額の投資を実施した直後の年度においては、売上高に対する減価償却費の比率が比較的高くなる傾向があり、一時的にグループの業績に影響を与える可能性があります。
(3)自然災害および火災による影響について
当社グループは、南海トラフ地震などの地震、台風や大雨などの風水害による自然災害および火災発生によるリスクを軽減するため、同時被災防止の観点で、高知県内の3工場に加え、抄造工程を受け持つ米子工場を稼働させ、裁断工程を受け持つ子会社をマレーシアに設立するなど、安定供給体制の構築をはかっております。生産拠点の分散をはじめ、様々な災害を想定した対策を実施しておりますが、災害が発生した場合には、従業員の安全の確保や原材料の確保、生産の継続などに支障をきたし、グループの業績および財政状態に影響を与える可能性があります。
当社グループでは、全社組織である「BCM推進会議」の運営を通じて、「従業員の安全確保」および「お客様への安定供給」のより全社的な推進・浸透をはかっております。こうした当社の取り組みは、2014年に日本政策投資銀行(DBJ)の「BCM格付融資」において、最高ランクで認定されるなど、しっかりと評価されているものと認識しております。
今後も、災害を想定した訓練や早期復旧につながる保険付保などの対策に加え、グループ全体での生産体制の構築、サプライチェーンの強化に向けてBCMの実効性・実用性について評価・改善に取り組んでおります。
(4)感染症によるリスクについて
当社グループでは、マレーシアの現地子会社を含めた各事業所において感染症が発生した場合、事業所の閉鎖や操業停止などにより製品の供給に支障をきたし、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
当社グループは、従来から顧客への製品の安定供給責任を果たすためにBCM活動に取り組んでおり、今般の新型コロナウイルス感染拡大に際しても、原材料および製品在庫の確保に加え、不測の事態に備えた手元資金の積み増しなどの対策をおこなっております。「安全・健康はすべてに優先する」という経営方針のもと、「感染しない・させない、ウイルスを持ち込まない」ために、手洗い、消毒、マスク着用、適度な換気およびソーシャルディスタンス確保などの基本的対策も継続・徹底してまいります。
(5)価格競争について
当社グループは、これまで顧客と築いてきた信頼関係をもとに、高品質・高信頼性製品を安定供給できることが大きな強みであり、成長市場での拡販に努めております。アルミ電解コンデンサにつきましては、コンデンサメーカーにおけるグローバルでの競争が激しくなっており、将来的に当社のコンデンサ用セパレータ販売価格への下落圧力が強まる可能性があります。電池におきましては、リチウムイオン電池市場が成長しているものの、激しい価格競争の影響を受け、使用する部材の低価格化が進んでおります。今後も、他社と差別化できる高品質・高信頼性製品の開発・安定供給をもって事業を運営してまいりますが、価格競争リスクが当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(6)原材料調達リスクについて
当社グループは、製品の主要原材料であるパルプの多くを海外から輸入しております。気候変動や政情不安による供給不足が発生した場合に備えて原則2社購買とするとともに、供給不安が少ない原材料に切り替えるなど安定調達に努めておりますが、品質、供給能力の問題から調達が困難となり、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(7)為替レートの変動による影響について
当社グループの製品販売および原材料仕入は、一部外貨建ての取引となっているため、為替相場の変動は、外貨建て取引により発生する資産・負債に影響を与える可能性があります。為替相場の変動リスクを軽減するために、為替変動リスク管理規定を設け、為替予約や外貨建て借入を実行できる体制となっておりますが、完全に排除できるものではなく、為替変動リスクが当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(8)エネルギー価格変動による影響について
当社グループは、セパレータの製造において電力、重油、LNGを使用しております。省エネ効果が得られる設備投資や省エネ活動の推進によりエネルギー使用量の削減に努めておりますが、電力、重油およびLNG価格の変動が当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(9)人材確保におけるリスクについて
当社グループの競争力を維持、向上させるためには、製品開発および製造などに必要な人材を安定して採用、確保し続ける必要があります。計画的な新卒採用や中途採用に加え、「安全・健康はすべてに優先する」という経営方針のもと、働きやすい職場づくりに努め、人材の定着をはかっておりますが、少子高齢化にともなう労働人口の減少などにより優秀な人材の確保が困難となり、当社グループの事業展開などに影響を与える可能性があります。
(10)海外展開におけるリスクについて
当社は、海外に子会社を保有しています。グループ間で常に情報を共有し対応できる体制を整備しておりますが、進出国において、法規制の改正や変更、政治情勢および経済状況の変化、戦争やテロによる社会的混乱、労働争議などが発生した場合は、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(11)企業の社会的責任に関するリスクについて
当社グループは、持続可能な社会の実現のため、地球環境への配慮・労働環境の整備・人権の尊重などに代表される企業の社会的責任を重要な経営課題と認識し、取り組んでおります。事業活動において、環境汚染、労働災害の発生などの労働安全衛生に関する問題、または、サプライチェーンにおける児童労働、強制労働などの人権に関する問題が生じた場合、当社グループの社会的な信用が低下し、顧客からの取引停止、または、事業からの一部撤退などにより、業績に影響を与える可能性があります。
(12)気候変動に関するリスク
当社グループでは、気候変動に対する国内外の政策および法規制を踏まえ、重油と比較して温室効果ガス排出量が少ないLNGへのボイラー燃料転換の取り組みなどを進めておりますが、世界的な脱炭素社会の実現の流れを受けた日本政府の規制強化や温室効果ガスの排出に関する新たな税負担などが生じた場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(13)情報セキュリティに関するリスクについて
当社グループは、技術情報などの機密情報や顧客などに関する情報を保有しております。外部への情報流出を防止するためのセキュリティシステム強化、定期的な社内教育の実施などの対策をおこなっておりますが、コンピュータウイルス感染やサイバー攻撃などにより情報が流出した場合、当社グループの社会的信用の失墜による企業価値の低下、情報流出により被害を受けた顧客などへの補償等により、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。