有価証券報告書-第120期(平成25年4月1日-平成26年3月31日)

【提出】
2014/06/27 16:40
【資料】
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【項目】
125項目

事業等のリスク

DNPの業績などは、今後起こりうるさまざまな要因により、大きな影響を受ける可能性がある。これらのリスク発生の可能性を認識した上で、その影響を最小限にとどめるよう努めていく。
有価証券報告書提出日現在で、DNPがリスクと判断した主な事項は、次の通りである。
(1) 国内外の景気と消費動向
DNPは、幅広い業種の、非常に多くの顧客企業と取引を行っており、特定の顧客に偏らない事業基盤のもとで安定的な事業活動を展開している。その市場の多くは日本国内であるが、世界経済の動向とも連動して国内景気が変動し、個人消費などの内需が低迷した場合には、受注量の減少や受注単価の下落など、業績等に影響が生じる可能性がある。
また、国内外における各業界の市場動向の影響を直接、間接に受ける可能性もある。特に、エレクトロニクス関連の業界では、新興国での生産の拡大や需要の変化、世界規模での単価の下落などが起きやすく、大幅な市場動向の変化によってDNPの業績に影響を与える可能性がある。
(2) 海外での事業活動
DNPが、米州や欧州、東南アジア地域などで行う海外の事業活動には、法律や規制の予期しない変更、産業基盤の脆弱性、人材の採用や確保の困難さなどの経済的要因のほか、テロや戦争、その他の要因による社会的、政治的混乱などのリスクが存在する。こうしたリスクが顕在化することによって、海外での事業活動に支障が生じ、業績等に影響を与える可能性がある。
(3) 新しい製品・サービスの開発
DNPは、印刷技術や情報技術を応用して企業や生活者、社会の課題を解決する製品・サービスを開発し、幅広い分野へ提供している。これらの開発においては、技術革新のスピードが速まっており、ニーズの多様化も進んでいる。今後、国内外での開発競争が激化すると思われ、予想を上回る商品サイクルの短期化や市場動向の変化によって、業績が大きく変動する可能性がある。
(4) 戦略的な事業提携・資本提携および企業買収
DNPが実施する戦略的な事業・資本提携や企業買収について、提携先や買収先の企業や対象事業などを取り巻く事業環境が悪化し、当初想定していた成果や相乗効果を得られない場合、DNPの業績等に影響を与える可能性がある。
(5) 原材料調達の変動
原材料の調達については、国内外の複数のメーカーから印刷用紙やフィルム材料を購入するなど、安定的な数量の確保と最適な調達価格の維持に努めている。しかしながら、石油価格の大幅な変動や新興国市場での急激な需要増加、大規模災害の影響などにより需給バランスが崩れる懸念もある。その際は、当社の顧客企業や取引先との交渉を通じて対応していくが、原材料調達がきわめて困難になった場合や購入価格が著しく上昇した場合は、業績に影響を与える可能性がある。
(6) 為替の変動
生活・産業部門やエレクトロニクス部門を中心に海外顧客との取引が拡大しており、為替の影響は、次第にその比重が増してくると予想される。為替予約などにより相場の変動リスクをヘッジしているが、急激な為替変動があった場合には、業績への影響が大きくなる可能性がある。
(7) 環境保全及び環境関連の規制の強化
DNPは、省エネルギー対策、温室効果ガスの排出量削減などの気候変動対策、有害物質の使用削減、大気汚染防止、水質保全、廃棄物処理、製品リサイクルなどに関して国内外の法的な規制を受けており、今後これらの規制は強化、変更される可能性がある。また、例えば有害物質による土壌汚染が発生した際に、その調査と浄化の責任を負うことが求められるなど、万一このような事態に直面した場合は、経営に大きな影響を及ぼす可能性がある。
(8) 情報セキュリティ及び個人情報保護
事業活動においてコンピュータネットワークや情報システムが不可欠となるなかで、ソフトウェアやハードウェアの不具合、コンピュータウィルスへの感染、個人情報の漏えいなどの発生リスクが高まっている。DNPは、情報セキュリティ及び個人情報保護を経営の最重要課題のひとつとして捉え、体制の強化や社員教育などを通じてシステムとデータの保守・管理に万全を尽くしているが、万一これらの事故が発生した場合には、事業活動に影響を及ぼす可能性がある。
(9) 法的規制の変化への対応
法と社会倫理の遵守を基本として事業を進めるなかで、製造物責任、独占禁止法、個人情報保護法、特許法、税制、輸出入関連など、国内外のさまざまな法的規制等を受けており、今後その規制が強化されることも考えられる。一方で、規制緩和によって市場や業界の動向などが大きく変化することも予想される。そのような場合、事業活動に対する制約の拡大、規制の変化に対応するための負荷やコストの増加も予想され、DNPの事業活動に影響を及ぼす可能性がある。
(10) 災害の発生
製造設備をはじめとした主要施設に防火・耐震対策などを施すとともに、製造拠点の分散化を図り、災害などによる生産活動の停止や製品供給の混乱を最小限とするよう努めている。また、各種保険によるリスク移転も図っている。しかしながら、大地震や気候変動にともなう暴風雨・洪水などの自然災害、感染症の流行など、社会インフラの大規模な損壊や機能低下、生産活動の停止にもつながるような予想を超える事態が発生した場合は、業績に大きな影響を及ぼす可能性がある。
(11) 訴訟や罰金等の発生
DNPは、事業活動において、社員一人ひとりが法令を守るだけでなく、社会が求める以上の高い倫理観を持ち、常に公正・公平な態度で秩序ある自由な競争市場の維持・発展に寄与することで、社会からの信頼を得るべく努め、グループ全体で企業倫理の浸透を図っている。しかしながら、国内外で訴訟が提起され、その結果罰金などを科される場合などにおいては、業績等に影響を及ぼす可能性がある。