半期報告書-第125期(平成27年10月1日-平成28年9月30日)

【提出】
2016/06/15 10:08
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59項目

業績等の概要

(1)業績
当2016年度上半期(2015年10月~2016年3月)における経済環境は、中国経済の成長鈍化傾向が強まり、世界的に厳しい状況へと流れが変わりました。当期のはじめは各国中央銀行の超金融緩和策の維持・強化によって一応の平穏を保ち、日経平均株価も9月26日の安値1万6901円から12月1日には2万円にのせましたが、年明け早々から中国の景気後退が明らかになり、上海株式市場が混乱。続けて原油安、円高進行、北朝鮮の水爆実験と悪材料が次々に出て、東京株式市場でも株価が大きく下落しました。1月29日に決定された日本銀行のマイナス金利政策も効き目がなく、日本経済は苦しい局面に入りつつあります。
一方、当社が依拠する出版市場は、スマートフォンなどのデジタルメディアに押され、2015年の市場規模は前期比5.3%減の1兆5220億円へと縮小しました(出版科学研究所調べ)。特に秋口から週刊誌の下落が目立つようになり、当社の事業にも暗い影を投げかけています。
こうした事業環境の中、当社は出版物を主体とする既存事業の維持を図る一方で、デジタルメディア等の新規事業の育成に努めました。特に、「東洋経済オンライン」はページビューが引き続き伸長し、経済・ビジネス情報系サイトとして断トツ№1の地位を守り、ユニークユーザーは2000万人に達しました。これにより、ネット広告収入の増加につながるなど、着実に新規事業の拡大となりました。一方で、これらの新事業推進のための投資を活発化させるとともに、新しい知見や経験を有する人材を積極的に採用しました。
この結果、当中間会計期間の売上高は54億5,019万円(前年同期比105.1%)、経常利益5億6,128万円(前年同期比96.4%)、中間純利益3億1,173万円(前年同期比80.9%)となりました。
なお、当社は2015年11月に創立120周年を迎え、数々の記念事業を実施しました。11月と3月に記念シンポジウムを開催したほか、『週刊東洋経済』の創刊号(当時は『東洋経済新報』)から1945年までに発行された号をすべてデジタル化した「東洋経済デジタルアーカイブズ」を発売。また『湛山読本』『大震災に学ぶ社会科学』(全8巻)などの記念出版を行いました。
(出版事業)
雑誌部門では、『週刊東洋経済』が企画の精度向上に努めたものの、市場全体の収縮傾向もあり減退しましたが、電子雑誌は着実に伸びました。一方、株価の動きに左右される『会社四季報』や『会社四季報プロ500』は、年明けの株価下落によってやはり減少を余儀なくされました。他方、『就職四季報』シリーズは新卒学生の採用選考開始時期の後ろ倒しに合わせ、発売を従来の11月から1月に変更しましたが、順調な動きを示しています。『会社四季報 業界地図』は、コンビニなど新たな販路開拓の効果もあって部数が増加し、トップシェアを維持しています。
書籍部門は、『マイナス金利』が時機を得た刊行となり、翻訳本の『21世紀の不平等』『地政学で読む世界覇権2030』が話題となりました。また、前期に刊行した『ワーク・ルールズ!』や『たった1日で声まで良くなる話し方の教科書』、『新・観光立国論』が引き続いて版を重ねました。電子書籍も紙版との同時発売を進めることで、成長を持続しました。書籍はSNSでの話題拡散や書店イベントなど、きめ細かなキャンペーンを展開する体制が整い、その成果が現れています。
データ部門は、前期に大口の解約がありましたが、投資関連データの国内市場が成熟するなか、国外への直接販売を広げました。また、非財務データによる企業評価やコーポレート・ガバナンスへの関心の高まりに対し、「ESGオンライン」を3月にリリースしました。
ビジネスプロモーション部門では、雑誌広告が純広告を中心に引き続き減退しましたが、ネット広告が「東洋経済オンライン」のページビュー拡大や、それに伴う引き合いの増加、クライアントの広がりなどにより、大幅に拡大しました。また、スポンサーに向けたセミナー事業や、社史や会社案内などの作成を請け負うカスタム出版も順調に伸びました。
この結果、売上高は53億4,603万円(前年同期比105.2%)、営業利益4億9,806万円(前年同期比94.6%)となりました。
(賃貸事業)
不動産部門では、賃料収入は前期並みでしたが、前期に本町ビルの空調機器更新により一時的に増加した維持管理費が当期は通常の水準に戻り、営業利益が増加しました。
この結果、売上高は1億416万円(前年同期比99.7%)、営業利益6,310万円(前年同期比137.3%)となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況
当中間会計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前中間会計期間末に比べ5億4,285万円増加し、21億5,929万円となりました。
当中間会計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、1億8,480万円となりました。主な理由は税引前中間純利益、減価償却費、未払債務の減少、法人税等の支払です。この結果、前中間会計期間と比べ収入が2億1,888万円増加しました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、△8,590万円となりました。主な理由は有形固定資産の取得による支出、無形固定資産の取得による支出です。この結果、前中間会計期間に比べ支出が586万円減少しました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動キャッシュ・フローは、△2,409万円となりました。理由は短期借入金の借入による収入、短期借入金の返済による支出、配当金の支払です。この結果、前中間会計期間に比べ支出が9,311万円減少しました。