有価証券報告書-第97期(平成27年4月1日-平成28年3月31日)

【提出】
2016/06/17 13:48
【資料】
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【項目】
125項目

業績等の概要

(1) 業績
当連結会計年度におけるグローバル経済情勢を振り返りますと、米国では個人消費の増加や設備投資の持ち直しによって景気の回復が続き、欧州では景気は緩やかに回復しました。一方、中国をはじめとするアジア新興国の景気は一部で持ち直しの動きもみられましたが緩やかに減速しました。わが国の経済については、足元では弱さもみられるものの、企業収益は改善傾向にあり、景気は緩やかな回復基調を続けております。
このような状況のもと、当社グループにおいては、主力のディバイス事業は需要変動に適応したリーンな生産体制を確立するとともに生産効率の改善に努め、全社の利益を牽引しました。産業資材事業は安定的な成長が見込める自動車向け製品を拡販するなど事業ポートフォリオの組み換えを促進しました。
これらの結果、当連結会計年度の連結業績は、売上高は1,192億22百万円(前期比0.4%増)、利益面では営業利益は105億41百万円(前期比20.5%増)、経常利益は92億37百万円(前期比26.1%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は68億98百万円(前期比38.7%減)となりました。
セグメントの業績を示すと、次のとおりであります。
産業資材
産業資材は、さまざまな素材の表面を美しく彩る独自技術を有するセグメントであります。プラスチックの成形と同時に転写を行うIMDは、グローバル市場で自動車(内装)、家電製品、スマートフォンなどに広く採用されております。また、2015年8月6日には、高級ラベルやパッケージ向けの蒸着紙を手がける世界最大手のAR Metallizingグループを買収・子会社化し、印刷の近接・川上領域で蒸着紙の生産・販売を事業ポートフォリオに取り込むとともに、グローバル市場における飲料品、食品、日用品などの商圏を獲得することとなりました。また、2015年12月にはAR Metallizingグループが地理的な拡大を目指し、ブラジルの蒸着紙メーカー、Málaga Produtos Metalizadosを買収しました。これにより当社は、欧州・北米に加え、成長著しい南米の商圏と現地における生産体制を獲得しました。
当連結会計年度は、主力の自動車(内装)向けの製品需要が堅調に推移したほか、蒸着紙分野の業績貢献などにより事業規模が拡大しましたが、利益面では買収関連費用の計上などにより当初の想定を下回りました。
その結果、当連結会計年度の連結売上高は390億95百万円(前期比32.7%増)となり、セグメント損失(営業損失)は5億93百万円(前期は2億35百万円のセグメント損失(営業損失))となりました。
ディバイス
ディバイスは、タッチ入力ディバイスFineTouchを中心とし、精密で機能性を追求したディバイスを提供していくセグメントであります。グローバル市場でタブレット端末、スマートフォン、携帯ゲーム機、自動車などに採用されております。
当連結会計年度は、タブレット端末向け静電容量方式タッチパネルの製品需要が想定を下回って推移したものの、利益面では需要変動に適応した生産体制の構築や生産効率の改善などが奏功し、当初の想定を大きく上回りました。
その結果、当連結会計年度の連結売上高は619億12百万円(前期比11.9%減)となり、セグメント利益(営業利益)は146億77百万円(前期比8.0%増)となりました。
情報コミュニケーション
情報コミュニケーションは、出版印刷、商業印刷、セールスプロモーション、Webソリューション、デジタルアーカイブなど、さまざまな製品・サービスを提供し、お客さま企業のマーケティング戦略や広告宣伝・販売促進などのコミュニケーション戦略全般をサポートしております。
当連結会計年度は、主力の商業印刷分野で情報メディアの多様化による印刷物の減少などの影響がありましたが、2015年7月1日の分社化以降、事業のコスト構造改革を加速するとともに変動費の削減に取り組みました。
その結果、当連結会計年度の連結売上高は167億9百万円(前期比6.6%減)となり、セグメント利益(営業利益)は81百万円(前期は6億57百万円のセグメント損失(営業損失))となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ122億4百万円増加し、416億88百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は148億15百万円(前期比31.4%減)となりました。これは主にたな卸資産の増加額として36億88百万円計上した一方、税金等調整前当期純利益として78億83百万円、減価償却費として78億47百万円、仕入債務の増加額として25億78百万円計上したこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は214億76百万円(前期比418.6%増)となりました。これは主に連結の範囲の変更を伴う子会社株式等の取得として156億72百万円、有形固定資産の取得として41億54百万円支出したこと等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は196億33百万円(前期は110億63百万円の使用)となりました。これは主に社債の発行による収入として199億86百万円計上したこと等によるものであります。