有価証券報告書-第98期(平成28年4月1日-平成29年3月31日)

【提出】
2017/06/16 12:13
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【項目】
126項目

業績等の概要

(1) 業績
当連結会計年度におけるグローバル経済情勢を振り返りますと、アメリカでは個人消費の増加や雇用情勢の改善などにより景気の回復が継続しました。欧州ではイギリスのEU離脱問題などに伴い、先行きに不透明感があるものの、景気は緩やかに回復しました。中国をはじめとするアジア新興国の景気は一部で持ち直しの動きがみられました。わが国の経済については、景気は緩やかな回復基調を続けていますが、海外経済の不確実性や為替変動リスクなどによって先行きに不透明感が増しています。
当社グループでは、2015年4月1日から運用を開始した第5次中期経営計画において事業ポートフォリオの組み換えによる成長を志向しており、バランス経営の観点から変化の激しいコンシューマー・エレクトロニクス分野への依存から脱却するとともに、為替変動への耐性を確保するべく海外生産比率を高めるなど、持続的かつ安定的に収益を確保することのできる事業基盤の確立を急いでいます。当連結会計年度は、前期の蒸着紙分野に続き、自動車の内装部品や医療機器分野での企業買収により、事業領域の拡大に大きな進展がありましたが、為替の変動や既存分野における製品需要の低迷、新規受注に伴う先行費用や買収関連の一時費用の計上などにより、想定を下回りました。
これらの結果、当連結会計年度の連結業績は、売上高は1,158億2百万円(前期比3.3%減)、利益面では営業損失は39億4百万円(前期は105億46百万円の営業利益)、経常損失は49億14百万円(前期は92億38百万円の経常利益)、親会社株主に帰属する当期純損失は74億8百万円(前期は68億96百万円の親会社株主に帰属する当期純利益)となりました。
セグメントの業績を示すと、次のとおりです。
なお、当社グループは、当連結会計年度においてアメリカの医療機器メーカーGraphic Controls Holdings, Inc.およびそのグループ会社を買収し、連結範囲に含めたことにより、メディカル市場で事業を展開する同社グループを「ライフイノベーション」として新たな報告セグメントとしました。また、従来、報告セグメントの「その他」の区分に含めていましたガスセンサーの生産・販売に係る事業は、規模を一層拡大するための組織変更を行った結果、当連結会計年度より「ディバイス」に変更しています。
そのため、当連結会計年度の比較・分析は変更後の区分に基づいています。
産業資材
産業資材は、さまざまな素材の表面に付加価値を与える独自技術を有するセグメントです。プラスチックの成形と同時に加飾を行うIMDおよびIMLは、グローバル市場で自動車(内装)、家電製品、スマートフォンなどに広く採用されています。また、金属光沢と印刷適性を兼ね備えた蒸着紙は、飲料品や食品向けのパッケージ資材としてグローバルベースで業界トップのマーケットシェアを有しています。
当連結会計年度は、主力の自動車(内装)分野の需要は概ね想定通りに推移しましたが、その他の分野の需要は想定を下回りました。
その結果、当連結会計年度の連結売上高は479億71百万円(前期比21.0%増)となり、セグメント利益(営業利益)は6億20百万円(前期は5億90百万円のセグメント損失(営業損失))となりました。
ディバイス
ディバイスは、タッチ入力ディバイスFineTouchを中心とし、精密で機能性を追求したディバイスを提供するセグメントです。FineTouchはグローバル市場でタブレット端末、携帯ゲーム機、産業用機器、自動車などに採用されています。このほか、空気やガスの状態を検知・特定するガスセンサーなどを提供しています。
当連結会計年度は、携帯ゲーム機向けの製品需要は堅調に推移しましたが、主力のタブレット端末向けの製品需要は想定を下回りました。また、第3四半期連結会計期間以降は、次期の新規受注のための開発費用が増加しました。
その結果、当連結会計年度の連結売上高は478億35百万円(前期比24.4%減)となり、セグメント損失(営業損失)は1億57百万円(前期は143億41百万円のセグメント利益(営業利益))となりました。
ライフイノベーション
ライフイノベーションは、アメリカに本拠地を置く医療機器メーカーGraphic Controlsグループを中心に、医療機器やその関連分野において高品質で付加価値の高い製品を提供し、人々の健康で豊かな生活に貢献することを目指す新たなセグメントです。Graphic Controlsグループは、医療機関向けのディスポーザブル電極や手術用器具などを主力製品としており、現在は欧米市場において自社ブランド品を生産・販売するとともに、大手医療機器メーカー向けの受託生産を展開しています。
当連結会計年度は、第3四半期連結会計期間より当社グループへの売上貢献が始まりましたが、買収関連費用の計上などにより利益面での貢献はありませんでした。
その結果、当連結会計年度の連結売上高は53億91百万円となり、セグメント損失(営業損失)は13億11百万円となりました。
なお、当セグメントは、当連結会計年度よりGraphic Controlsグループを連結範囲に含めたことにより新設した報告セグメントであるため、前期との比較・分析はありません。
情報コミュニケーション
情報コミュニケーションは、出版印刷、商業印刷、セールスプロモーション、Webソリューション、デジタルアーカイブなど、さまざまな製品・サービスを提供し、お客さま企業のマーケティング戦略や広告宣伝・販売促進などのコミュニケーション戦略全般をサポートしています。
当連結会計年度は、主力の商業印刷分野で情報メディアの多様化における印刷物の減少などの影響があり、事業環境は厳しいものとなりました。
その結果、当連結会計年度の連結売上高は143億54百万円(前期比14.1%減)となり、セグメント損失(営業損失)は93百万円(前期は81百万円のセグメント利益(営業利益))となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ195億98百万円減少し、220億90百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果使用した資金は25億70百万円(前期は148億11百万円の獲得)となりました。これは主に減価償却費として83億51百万円計上した一方、税金等調整前当期純損失として61億30百万円、売上債権の増加額として47億27百万円計上したこと等によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は232億90百万円(前期比8.3%増)となりました。これは主に連結の範囲の変更を伴う子会社株式等の取得として153億66百万円、有形固定資産の取得として71億19百万円支出したこと等によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は68億26百万円(前期比65.3%減)となりました。これは主に短期借入金の純増額として79億33百万円計上したこと等によるものです。