有価証券報告書-第163期(平成27年4月1日-平成28年3月31日)

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2016/06/27 11:02
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コーポレート・ガバナンスの状況

(1) 【コーポレート・ガバナンスの状況】
[1] コーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方
当社は企業理念として新聞の社会的、文化的使命の達成を目指しており、株主、従業員、グループ企業、取引先との良好な関係の維持に努めながら、経営の安定的な拡大を追求している。このためには、経営の透明性、健全性を確保することが重要課題であると捉え、内部統制システム体制の整備、情報開示の推進等を通じて、コーポレート・ガバナンス機能の強化に努めている。
[2] 経営管理組織その他のコーポレート・ガバナンス体制の状況
① 会社の機関の内容
当社は取締役会並びに監査役会制度を採用しており、取締役会による代表取締役の業務執行状況の監督、監査役及び会計監査人による監査を軸に経営監視の体制を構築している。2016年6月27日現在、取締役は13名で、うち1名は会社法第2条第15号に定める社外取締役である。監査役は5名、うち3名は会社法第2条第16号及び第335条第3項に定める社外監査役である。
なお、社外取締役は、取締役会の経営監督機能の強化等を図る目的で、16年6月24日開催の定時株主総会で選任した。
② 内部統制システムの整備の状況
当社の内部統制システムは、06年5月の臨時取締役会で決議し、14年2月の取締役会などで一部改定した「内部統制システム構築の基本方針」に基づき、社長が委員長を務めるコンプライアンス委員会とリスクマネジメント委員会を中心に各部門の責任者が協力する体制をとってきた。14年4月からは、より迅速な統制システムを確立するため、リスクマネジメント委員会を経営会議の場に移し、内部監査室とコンプライアンス委員会事務局との連携・協力関係をさらに強めて、内部統制機能の強化を図っている。
15年4月24日の取締役会では当社の「内部統制システム構築の基本方針」を改定することを決議した。会社法及び同法施行規則の改正にあわせたもので、グループ企業を含めた業務の適正を確保するための体制、監査役への報告体制、内部報告者の保護に関する体制、監査役の職務執行に係る費用等の処理などについて改めて明示しており、15年5月1日から実施している。
③ リスク管理体制の整備の状況
当社のリスク管理は、07年3月1日付でリスクマネジメント委員会を設置し、全社的なリスクの洗い出し調査をして事業活動に伴うリスクについて各部門から報告を受け、重大なリスクの識別・評価及び対応を決定、必要な施策を実施する体制をとってきた。14年4月からは、リスクマネジメント委員会事務局のリスク調査業務を内部監査室が継承し、事業上のリスクの評価や対応検討の場をリスクマネジメント委員会から経営会議に移して、ボード全体で取り組む体制に強化した。経営に関する重大な危機が発生した場合には、「危機管理規定」に則り、管理本部などを中心に適切な対応をとる体制にしている。
④ 役員報酬の内容
取締役の年間報酬総額 338百万円
監査役の年間報酬総額 71百万円(うち社外監査役21百万円)
⑤ 内部監査
ⅰ)組織・人員
社長の下に内部監査室を置き、同室は、16年6月27日現在、室長、室長補佐及び専従の主査15名、合計17名で構成されている。
ⅱ)監査の手続
内部監査は、内部監査規定に則り、予め定めた監査計画に基づいて実施する。監査計画は当該事業年度の「年度監査計画」及び「監査実施計画」からなる。「年度監査計画」は内部監査室長が当該事業年度の監査方針・目標・対象・時期・その他の必要事項により策定し、社長の承認を得る。「監査実施計画」は監査実施にあたり、「年度監査計画」に基づいて作成する。
監査実施後、内部監査室長は監査結果を社長に報告している。
ⅲ)内部統制報告制度
当社は株式上場企業ではないので、金融商品取引法に定める「内部統制報告制度」の対象とはなっていないが、同法に準じた方法により「財務報告に係る内部統制」を整備・運用している。内部監査室は、経営者を補助して「財務報告に係る内部統制」の整備・運用状況の評価作業を監査業務の一環として行っている。
⑥ 監査役監査
ⅰ)組織・人員
監査役会は16年6月27日現在、常勤監査役2名、社外監査役3名で構成しており、事務局として監査役付若干名を置いている。
ⅱ)監査の手続
監査役監査は、監査役監査基準の規定のもと、年度毎に定める監査方針、監査計画に基づいて実施する。監査役会は、各年度の監査計画、及びその実施状況を取締役会に報告する。取締役の業務執行の聴取、子会社への往査にあたっては、全体の監査計画に沿って毎月の監査役会で具体的な実施方法を検討し、実施した監査役が監査結果を報告する。
会計監査人監査については、各年度の会計監査人の監査計画書を受領し、実査並びに子会社監査に監査役または監査役付が立ち会い、期中・期末の監査報告を聴取する。
⑦ 内部監査、監査役監査及び会計監査人監査の相互連携
監査役と内部監査部門による定期会合を2~3ヵ月毎に実施して、それぞれの監査状況を報告する。監査役と会計監査人は、監査計画での事前協議、監査報告での意見交換とあわせて、棚卸資産の実地棚卸への立ち会いなどを行う。また各本支社・子会社での会計監査人監査に、監査役または監査役付が立ち会う。それ以外にも、常勤監査役は内部監査部門、会計監査人との情報交換及び協議を随時実施する。
⑧ 社外取締役及び社外監査役
当社の社外取締役は藤ノ木正哉氏1名であり、同氏と当社の間に、特別の利害関係はない。同氏は、当社の持分法適用関連会社・㈱テレビ朝日ホールディングスの常務取締役であり、マスコミ業界での豊富な経験に基づき、当社の更なる事業展開のための助言・提言を含む経営全般に対する助言・提言をしていただくため選任している。
当社の社外監査役3名と当社の間に、特別の利害関係はない。社外監査役・安田隆二氏はコンサルタント、企業経営等の幅広い経歴を通じて培われた知見に基づき、業務執行状況について監査を行っている。社外監査役・金子圭子氏は、弁護士として企業経営等に関する助言を行ってきた経験を生かして、業務執行状況について監査を行っている。社外監査役・足立直樹氏は、凸版印刷㈱の代表取締役会長であり、企業経営者としての豊富な経験に基づき、業務執行状況について監査を行う予定である。
当社は、社外取締役及び社外監査役を選任するにあたっての独立性に関する基準又は方針は定めていない。
⑨ 社外取締役及び社外監査役との間で締結している責任限定契約の概要
当社は、社外取締役と会社法第427条第1項の規定に基づく定款第26条による損害賠償責任を限定する契約を締結しており、当該契約に基づく損害賠償責任限度額は、あらかじめ定めた金額または法令が規定する額のいずれか高い金額となっている。
当社は、社外監査役全員と会社法第427条第1項の規定に基づく定款第33条により、会社法第423条第1項の損害賠償責任を限定する契約を締結しており、当該契約に基づく損害賠償責任限度額は、法令の定める最低責任限度額となっている。
⑩ 会計監査人の状況
ⅰ)公認会計士の氏名及び所属する監査法人名
山田雄一(有限責任 あずさ監査法人)
井上智由(有限責任 あずさ監査法人)
佐藤和充(有限責任 あずさ監査法人)
ⅱ)監査業務に係る主な補助者の構成
公認会計士 11名
その他 15名
⑪ 取締役の定数、資格制限及び選任の決議要件
当社の取締役は20名以内とし、株主総会において新聞事業に経験ある者または選任時に本会社の法人株主の取締役である者のうちから選任する旨を定款で定めている。また当社は、取締役選任の決議は累積投票によらないものとし、議決権を行使することができる株主の議決権の3分の1以上を有する株主が出席し、その議決権の過半数をもって行う旨を定款で定めている。
⑫ 株主総会決議事項のうち取締役会で決議することができる事項
中間配当に関する事項
当社は、株主への安定的な利益還元を行うため、会社法第454条第5項の規定に基づき、取締役会の決議によって中間配当をすることができる旨を定款で定めている。
[3] 会社のコーポレート・ガバナンス充実に向けた取り組みの最近1年間における実施状況
内部監査強化の一環で07年6月に発足した内部監査室は、当社各部門と関連子会社などを対象に、10件の業務監査を実施した。
社外を含む全監査役による代表取締役社長と代表取締役会長へのヒアリングを各3回(15年8月、12月、16年3月)実施し、経営に関する基本方針および取り組むべき課題、朝日新聞グループ全体の経営戦略とガバナンスなどについて意見を交わした。また、常勤監査役、監査役付、内部監査室、財務本部グループ財務部、コンプライアンス委員会事務局、広報部による「監査連絡会」を4回実施し、それぞれの監査状況や活動状況などを報告した。「子会社監査実施要領」に従い、常勤監査役による子会社等往査を㈱朝日マリオン21、朝日建物管理㈱など10社、(社会福祉)朝日新聞厚生文化事業団など3団体を対象に実施した。また、会計監査人による連結子会社8社に対する会計監査の講評に常勤監査役または監査役付が立ち会った。16年1月に東京と大阪で「グループ会社監査役連絡会」を開き、意見を交換した。そのほか随時、財務本部から決算説明、会計監査人から監査・決算講評を受けた。
リスク調査は、07年度にリスクの洗い出しを行い、継続的に追加、評価替えを行っている。15年度も新規リスクの追加や既存リスクの評価替えなどの見直し作業をした。
09年2月に制定した「情報セキュリティー管理規定」並びに「文書管理規定」に基づく「文書の作成・管理に関するガイドライン」を09年4月から実施している。
06年5月の会社法施行を受け、同年5月16日の臨時取締役会で制定した「内部統制システム構築の基本方針」は、こうした体制整備の進展に合わせて07年9月27日、08年3月28日、09年8月28日、14年2月26日、15年4月24日の取締役会で改定を再決議した。当社は株式上場企業ではないため、金融商品取引法に定める「内部統制報告制度」の対象とはなっていないが、以上のように、同法に準じた方法により内部統制システムの運用、整備を実施している。