有価証券報告書-第61期(平成26年4月1日-平成27年3月31日)

【提出】
2015/06/26 13:56
【資料】
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【項目】
116項目

業績等の概要

(1) 業績
当連結会計年度におけるわが国経済は、消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動減による景気の押し下げがあったものの、雇用・所得環境の改善や政府の各種政策の効果、企業収益の改善などを背景に緩やかに回復してきました。海外につきましては一部で景気の持ち直しの動きがみられるものの、中国経済の減速懸念など下振れリスクもあり、不安定な状況で推移しました。
ビジネスフォーム業界におきましては、企業の経費削減の徹底による価格低下やIT化・ネットワーク化の進展に加えて、原材料価格や物流コストの上昇などにより、引き続き厳しい経営環境となりました。
また、個人情報漏えい事件などの影響もあり、情報セキュリティ対策の重要性がさらに高まりました。
このような状況のなか、当社グループは価値創造型企業への変革を基本方針として掲げ、データ・プリント・サービス(DPS)を核としたビジネスプロセスアウトソーシング(BPO)の受託拡大や、今後の成長領域と位置付けている情報通信技術(ICT)分野の取り組みに加え、香港・シンガポールなどの海外市場の深耕に注力しました。また、生産性の向上や事業継続計画(BCP)対応を目指して進めてきた40拠点から26拠点への製造拠点の集約・再編が、大阪桜井工場の竣工により完了しました。
成長に向けた戦略投資としては、ASEAN地域における事業拡大の戦略的重要拠点とするために、タイの関連会社であったデータ・プロダクツ・トッパン・フォームズ社との連携を強化するとともに追加出資を実施し、連結子会社化しました。
これらの結果、前連結会計年度に比べ売上高は1.7%増の2,658億円、営業利益は2.7%増の126億円、経常利益は0.9%増の134億円、当期純利益は7.0%増の78億円となりました。
セグメントの業績を示すと、次のとおりであります。
印 刷 事 業 売 上 高 2,042億円(対前連結会計年度 2.7%増)
セグメント利益(営業利益) 141億円(対前連結会計年度 2.4%増)
ビジネスフォームでは、利用者にとっての分かりやすさ、伝わりやすさを追求するユニバーサルデザインや、帳票を中心とする印刷物の調達業務を一括受託する企画・提案を推進しました。また、企業のシステム変更に伴う帳票改訂や、周辺印刷物の取り込みを図りましたが、電子化に伴う需要量の減少や、消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動減の影響などにより、前年から減収となりました。
データ・プリント・サービス(DPS)は、企業の経費削減に伴う単価ダウンや、販売促進用ダイレクトメールの需要減はあったものの、自治体や金融機関などからのBPO受託が堅調に増加したことに加え、プリント業務一括アウトソーシングや、デジタルプリンターを活用したパーソナル印刷物需要の取り込みなども進め、前年から増収となりました。
ICTは、ポイントカード、電子マネーカードや、セキュリティニーズの高まりに伴う社員証などのIDカード需要を取り込むとともに、RFID技術を活用したICタグやカードなどの情報媒体とリーダーなどの機器・システムを組み合わせたソリューションや、スマートフォンを活用したウェブサービスの拡販などにより、前年から増収となりました。
なお、新工場建設やデータセンターへの戦略的投資による一時的な費用の増加などもありましたが、売上増加に伴う利益増の他、製造拠点の集約・再編効果の取り込みや生産効率の改善など、製造コストを中心とした徹底したコスト削減を図り、営業利益における収益性を維持しました。
以上の結果、印刷事業は前年と比べて増収増益となりました。
商 品 事 業 売 上 高 615億円(対前連結会計年度 1.5%減)
セグメント利益(営業利益) 30億円(対前連結会計年度 13.0%増)
サプライ品は、事務用品などのサプライ品の調達機能に加えて印刷物の在庫管理機能なども備えた独自のウェブ購買システム「オータスカリ」を活用した顧客の囲い込みや、運輸・流通業界をターゲットとした高機能保冷材などの開発商品の販売を推進いたしましたが、トナー販売の減少などにより、前年から減収となりました。
事務機器関連では、アウトソーシング化の進展によるメーリング関連機器の需要の減少や、消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動減の影響はあったものの、通販企業向けの事務機器需要の取り込み、物流企業向けスキャナー・入力機器類の拡販、香港市場におけるIT関連機器の拡販などにより、前年から増収となりました。
システム運用受託事業につきましては、金融機関やIT企業からのシステム運用受託の拡大、新規案件の取り込み、運用から開発への受託領域の拡大などにより、前年から増収となりました。
なお、システム運用受託の伸びや付加価値の高い商品の拡販に加え、低差益受注の見直しなどにより営業利益における収益性は向上しました。
以上の結果、商品事業では前年に比べて減収増益となりました。
なお、当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しており、前連結会計年度との比較は変更後の区分により作成した情報に基づいて記載しております。
(2) キャッシュ・フロー
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度に比べ158億円増加し、534億円となりました。
営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動により得られた資金は、前連結会計年度に比べ125億円増加し264億円となりました。これは主に収入では税金等調整前当期純利益131億円、減価償却費86億円、仕入債務の増加額50億円、支出においては法人税等の支払額41億円、退職給付に係る負債の減少額12億円によるものであります。
投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動の結果支出した資金は、前連結会計年度に比べ81億円減少し77億円となりました。これは主に収入では投資有価証券の売却及び償還による収入61億円、支出においては有形固定資産の取得による支出64億円、投資有価証券の取得による支出51億円によるものであります。
財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動の結果支出した資金は、29億円となりました。これは主に配当金の支払額27億円によるものであります。