有価証券報告書-第109期(平成29年1月1日-平成29年12月31日)

【提出】
2018/03/29 14:48
【資料】
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【項目】
135項目

業績等の概要

(1)業績
① 業績全般
当連結会計年度のわが国経済は、堅調な海外経済を背景に輸出が増加し、高水準の生産が続くと共に、好調な雇用環境を背景に個人消費も緩やかに持ち直すなど、景気は緩やかな回復基調が続いた。対米ドル円レートは安定的に推移し企業収益は改善した。海外経済は、米国では景気の回復が続き、欧州も緩やかに回復した。中国及びASEAN諸国では景気の持ち直しの動きが見られた。ロシア、ブラジル等の資源国・新興国では、景気は底を打ち改善が見られた。
石油化学業界においては、エチレン及び誘導品の国内生産は、中国など東アジアの旺盛な需要を背景に高稼働が続いた。電子部品・材料業界は、スマートフォン・産業機器等の需要拡大を受けた半導体の生産増に対応し、高水準の生産が続いた。
このような情勢下、当社グループは平成28年より推進中の連結中期経営計画「Project 2020+」において、当社グループの持続的成長に向け、「個性派事業」の拡大・強化を図ると共に、事業構造の変革を進め収益基盤の強靭化を推進し、企業価値の向上を図ってきた。
当連結会計年度の連結営業成績については、売上高は、石油化学セグメントが製品市況の上昇に加え前年下期のサンアロマー㈱の連結子会社化により増収となり、無機セグメントは、黒鉛電極事業の数量増、下期の中国市況の改善に加え、第4四半期連結会計期間の同事業の事業統合に伴う新規連結により増収となるなど、全てのセグメントにおいて増収となり、総じて7,803億87百万円(前連結会計年度比16.3%増)となった。
営業利益は、石油化学セグメントは東アジアでの需給逼迫を背景に製品市況が改善し、無機セグメントは黒鉛電極のコストダウン効果に加え事業統合による数量増と中国市況の改善も寄与したため、それぞれ増益となった。また、エレクトロニクス、化学品、アルミニウムの各セグメントも増益となり、総じて大幅増益となる778億18百万円(同85.0%増)となった。
経常利益は、持分法適用会社であるPT.インドネシア・ケミカル・アルミナ(以下、ICA)に関して持分法による投資損失を計上したものの、大幅増益となる639億62百万円(同65.3%増)となった。
親会社株主に帰属する当期純利益は、ICAに関する貸倒引当金繰入額及び横浜事業所の有効活用に向け特別損失等を計上したが、総じて大幅増益となる334億70百万円(同172.0%増)となった。
② セグメントの業績
(石油化学)
当セグメントでは、エチレンの生産は前連結会計年度に比べ増加した。
オレフィン事業は、原料ナフサ価格の上昇や需要が堅調に推移したことを受け製品価格が上昇したことにより増収となった。有機化学品事業は、酢酸エチル、酢酸ビニル等の出荷増と市況改善により増収となった。また、前年下期よりサンアロマー㈱を連結子会社としたことにより増収となった。
この結果、当セグメントの売上高は2,511億28百万円(前連結会計年度比35.2%増)となり、営業利益は333億57百万円(同61.2%増)となった。
(化学品)
当セグメントでは、液化アンモニアの生産は前連結会計年度に比べ増加し、電子材料用高純度ガスの生産も増加した。
基礎化学品事業は、液化アンモニアは出荷が増加し、クロロプレンゴムは高水準の出荷に加え市況も堅調に推移し、アクリロニトリルは市況が上昇し、それぞれ増収となった。情報電子化学品事業は、半導体・ディスプレイ業界の増産に伴い電子材料用高純度ガスの出荷が増加し増収となった。機能性化学品事業は、国内自動車向け出荷増で増収となった。産業ガス事業は小幅に減収となった。
この結果、当セグメントの売上高は1,487億58百万円(前連結会計年度比10.6%増)となり、営業利益は164億74百万円(同19.2%増)となった。
(エレクトロニクス)
当セグメントでは、ハードディスクの生産は、データセンター向け出荷増により前連結会計年度に比べ増加し、ハードディスク事業はこれにより増収となった。
レアアース磁石合金・化合物半導体はそれぞれ出荷が増加し増収となった。当連結会計年度よりその他セグメントから移管したリチウムイオン電池材料事業は、中国における電気自動車向け補助金政策の変更の影響を受け出荷が減少したため減収となった。
この結果、当セグメントの売上高は1,230億64百万円(前連結会計年度比2.2%増)となり、営業利益は219億25百万円(同46.0%増)となった。
(無機)
当セグメントでは、黒鉛電極の生産は、顧客である電炉鋼業界の改善基調を受け前連結会計年度に比べ増加した。
黒鉛電極事業は、販売数量の増加、下期の中国市場での価格上昇に加え、SGL GE Holding GmbHを買収し昭和電工カーボン・ホールディングGmbH(SHOWA DENKO CARBON Holding GmbH)として第4四半期連結会計期間から連結子会社としたことにより増収となった。セラミックス事業は、電子材料向け出荷が増加し増収となった。
この結果、当セグメントの売上高は734億42百万円(前連結会計年度比44.4%増)となり、営業利益は、主に黒鉛電極事業の増益により70億89百万円(同128億48百万円増益)となった。
(アルミニウム)
当セグメントでは、アルミ電解コンデンサー用高純度箔の生産は前連結会計年度に比べ増加した。
アルミ圧延品事業は産業機器・車載向けアルミ電解コンデンサー用高純度箔の出荷が増加し増収となった。アルミ機能部材事業は大型押出品及びレーザービームプリンター向けの出荷増等により増収となった。アルミ缶事業はハナキャン・ジョイント・ストック・カンパニー(ベトナム)の数量増により増収となった。
この結果、当セグメントの売上高は1,054億39百万円(前連結会計年度比7.0%増)となり、営業利益は66億97百万円(同51.6%増)となった。
(その他)
当セグメントでは、昭光通商㈱は増収となり、売上高は1,336億24百万円(前連結会計年度比3.8%増)となった。営業利益は6億33百万円(同1.6%増)となった。
(2)キャッシュ・フローの状況
営業活動によるキャッシュ・フローは、営業利益は増加したが運転資金の増加等により、前連結会計年度に比べ、16億66百万円の収入減少となり、672億84百万円の収入となった。
投資活動によるキャッシュ・フローは、定期預金の減少や投資有価証券の売却等により、前連結会計年度に比べ、238億40百万円の支出減少となり、299億14百万円の支出となった。
この結果、フリー・キャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ、221億74百万円の収入増加となり、373億69百万円の収入となった。
財務活動によるキャッシュ・フローは、有利子負債(借入金、コマーシャル・ペーパー及び社債)の削減を進め前連結会計年度に比べ、51億51百万円の支出増加となり、183億70百万円の支出となった。
この結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、為替変動の影響等も含め、前連結会計年度末に比べ、206億48百万円増加し、768億33百万円となった。