有価証券報告書-第138期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)

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2019/06/21 15:35
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事業等のリスク

当社グループの経営成績、株価および財政状態等に影響を及ぼす主要なリスクには以下のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、全ての事業等のリスクを網羅したものではなく、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性があります。
1.市場や供給に係るリスク
当社グループは、総合化学メーカーとして様々な事業を行っており、事業に関わるリスクは多種多様であります。事業に係る市場リスクや供給リスクについては、主に以下のようなものがあります。
・当社グループの事業は価格競争に晒されております。海外企業の国内市場参入、関税引き下げなどによる輸入品の流入、ジェネリック品の台頭など、様々な理由により当社グループの製品群は今後も厳しい価格競争に晒されるものと予想されます。当社グループはコストの低減に努めておりますが、価格競争を克服できない場合、当社グループの経営成績ならびに財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
・当社グループの海外売上収益は売上収益の6割以上を占め、石油化学部門などの製品は特にアジア市場での販売が多い状況です。また、情報電子化学部門は、中国や韓国、台湾の特定顧客向けの販売が大きな比重を占め、アジア市場での経済情勢の悪化、あるいは顧客企業の業績状況の変化などによる値下げ要求が発生した場合、当社グループの経営成績ならびに財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
・石油化学部門の主要原料であるナフサは、中東地域の治安や世界の経済情勢に多大な影響を受け、時に急激な価格変動を起こすことがあります。ナフサの価格が急激に上昇した場合、製品価格への転嫁が遅れることなどにより、当社グループの経営成績ならびに財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
・ナフサやその他の原料品の一部については、特定の地域や購入先に依存しております。購入先を複数にするなど、主要原料が購入できないリスクを低減するように努めておりますが、時に主要原料の不足が生じないという保証はありません。必要な主要原料が確保できない場合には、当社グループの経営成績ならびに財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
・情報電子化学部門の製品は、技術革新のスピードが速く、タイムリーに新製品を開発・提供していく必要があります。当社グループが顧客ニーズを満足させる新規製品を有効に開発できない場合、また他社において画期的な技術革新がなされた場合、当社グループの経営成績ならびに財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
・健康・農業関連事業部門の農薬や家庭用殺虫剤の出荷は、世界各地域における異常気象等の理由による作物の育成状況や病害虫の発生状況に左右されます。また、飼料添加物は急激な価格変動を起こすことがあります。作物の育成状況が悪くなった場合、病害虫の発生が少なくなった場合、あるいは急激な価格変動が起こった場合、当社グループの経営成績ならびに財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
・医薬品部門では、国内において、急速に進展する少子高齢化等により医療保険財政が悪化する中、先発医薬品の価格抑制や後発医薬品の使用促進などの医療費抑制策が図られ、さらなる医療制度改革の議論が続けられております。医療制度改革はその方向性によっては当社グループの経営成績ならびに財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。また、海外においても医薬品は各種の規制を受けており、米国の医療保険制度改革等の行政施策の動向によっては、重要な影響を受ける可能性があります。
2.為替レート変動に係るリスク
当社グループは、国内で製造した製品を海外に輸出するとともに海外から原料品を輸入しておりますが、製品輸出高は原料品輸入高を上回っております。外国通貨に対して円高が進行した場合、海外で生産された製品に対する価格競争力が低下することに加え、輸出手取額の減少が輸入支払額の減少を上回ることになります。このようなリスクに対しては、為替予約や円建輸出取引を行うことによりリスクを最小限にするように努めておりますが、中長期的な為替レートの変動によるリスク等を完全にヘッジすることは出来ないため、円高の進行は当社グループの経営成績ならびに財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、海外の関係会社の経営成績は、連結財務諸表作成のために円換算されております。換算時の為替レートにより、円換算後の価値が影響を受ける可能性があり、当社グループの経営成績ならびに財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
3.金利変動に係るリスク
当社グループは、資金需要に対してその内容や財政状態および金融環境を考慮し、調達の金額・期間・方法等を判断しております。今後の金利の変動に備え、固定金利・変動金利を適宜組み合わせて調達を行っておりますが、金利が上昇した場合には支払利息が増加し、当社グループの経営成績ならびに財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
4.株式相場変動に係るリスク
当社グループが保有する有価証券の多くは、市場性のある有価証券であるため、株式相場が大幅に下落した場合、当社グループの財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
5.固定資産の減損に係るリスク
当社グループが保有する固定資産について、経営環境の著しい悪化等による収益性の低下や市場価格の下落等により、減損損失が発生し、当社グループの経営成績ならびに財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
6.繰延税金資産の取崩しに係るリスク
当社グループは、将来の課税所得に関する予測・仮定に基づき、繰延税金資産の回収可能性の判断を行っておりますが、将来の課税所得の予測・仮定が変更され、繰延税金資産の一部ないしは全部が回収できないと判断された場合、繰延税金資産は減額され、当社グループの経営成績ならびに財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
7.退職給付関係に係るリスク
当社グループの従業員退職給付費用および債務は、割引率などの数理計算上の前提に基づいて算出されております。制度資産運用環境の悪化により前提と実績に乖離が生じた場合や退職金・年金制度が変更された場合などは、退職給付費用および債務が増加し、当社グループの経営成績ならびに財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
8.その他経営全般に係るリスク
(海外事業展開)
当社グループは、中東やアジアなど海外での事業活動を今後一層拡大していくこととしております。海外における事業活動には法律や規制の変更、労務環境の違いによる争議等の発生、人材の採用と確保の難しさ、テロ・戦争・その他の要因による社会的混乱などのリスクが内在しており、これらのリスクが顕在化した場合は、当社グループの経営成績ならびに財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社とサウジアラビアン オイル カンパニー(サウジ・アラムコ社)が共同で設立したラービグ リファイニング アンド ペトロケミカル カンパニー(ペトロ・ラービグ社)は、サウジアラビアのラービグにおいて、石油精製・石油化学の統合コンプレックス事業(「ラービグ第1期計画」)を運営しております。当社は、プロジェクト総投資額に対し、不測の事態による損害に備え、独立行政法人日本貿易保険の規約・限度額に従い、海外投資保険等に加入しております。
ペトロ・ラービグ社は、既存の「ラービグ第1期計画」の拡張計画(「ラービグ第2期計画」)に関し、銀行団との間で、融資契約上のプロジェクト・コスト約81億米ドルの6割強にあたる約52億米ドルのプロジェクト・ファイナンス契約を締結し銀行借入を行っており、当社はその50%について完工保証を差入れております。また、ペトロ・ラービグ社の行っているその他の一部の借入に対して、当社は債務保証を行っております。当該保証の履行により、当社の経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当社は、「ラービグ第1期計画」と同様に「ラービグ第2期計画」についても、独立行政法人日本貿易保険の規約・限度額に従い、海外投資保険等に加入しております。
(企業買収・資本提携)
当社グループは、事業拡大や競争力強化等を目的として、国内外において企業買収・資本提携等を実施しておりますが、当社グループおよび出資先企業を取り巻く事業環境の変化等により、当初期待していたシナジー効果を得られない可能性があります。また、出資先企業の経営成績、財政状態の悪化による企業価値の低下等により、当社グループの経営成績ならびに財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(研究開発)
当社グループは、需要家のニーズに合わせた新技術・新製品をスピーディーに上市するため、積極的に研究開発を行っております。当社グループの研究開発は、次世代事業の創生のための探索研究を含んでいるため研究開発期間が長期間にわたる場合があり、また、研究開発テーマが実用化されず、新製品の開発が著しく遅延または断念される場合には、競争力が低下し、当社グループの経営成績ならびに財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(知的財産権)
当社グループは、他社と差別化できる技術とノウハウを蓄積し事業の競争力を強化してきましたが、当社グループ独自の技術・製品とノウハウの一部は、厳正な管理を行っているものの、予期せぬ事態により外部に流出する可能性があり、また、特定の地域ではこれらの知的財産の完全な保護が不可能なため、第三者が当社グループの知的財産を使用して類似製品を製造することを効果的に防止できない可能性があります。また将来、知的財産に係る紛争が生じ、当社グループに不利な判断がなされる可能性があります。
(製品の品質)
当社グループは、世界的に認められている厳格な品質管理基準に従って、各種製品を製造しておりますが、すべての製品について欠陥が無く、将来にわたってリコールが発生しないという保証はありません。大規模な製品事故は、多額のコストや当社グループの評価に重大な影響を与え、当社グループの経営成績ならびに財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、農薬や医薬品等は各国の厳しい審査を受けて承認されておりますが、科学技術の進歩や市販成績が蓄積された結果から、新たに品質問題や副作用が見つかることもあります。このように上市後予期せぬ品質問題や副作用が発見された場合には、当社グループの経営成績ならびに財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(事故・災害)
当社グループは、製造設備の停止や製造設備に起因する事故などによる潜在的なマイナス要因を最小化するため、すべての製造設備において定期的な点検を実施しております。しかしながら、製造設備で発生する事故、自然災害等による影響を完全に防止・軽減できる保証はありません。また、当社グループの事業活動におけるシステム・ネットワークへの依存度は年々拡大しており、セキュリティの高度化などによりシステムやデータの保護に努めておりますが、停電、自然災害やコンピューターウィルス、ハッカー等のシステム犯罪などにより、システム・ネットワーク障害が生じる可能性があります。
事故等により、工場周辺に物的・人的被害を及ぼした場合、あるいは、システム・ネットワーク障害が発生した場合、事業活動に支障をきたすほか多額のコストや当社グループの評価に重大な影響を与え、当社グループの経営成績ならびに財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(規制変更)
当社グループは、事業展開する各国の規制に従い、業務を遂行しております。将来における法律、規則、政策、実務慣行、解釈およびその他の政策変更ならびにそれらによって発生する事態が、当社グループの業務遂行や経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。また、将来的に環境および化学品安全等に対する法的規制が強化され、新たな対策コストが発生する可能性があります。
(訴訟)
当社グループは、国内および海外事業に関連して、訴訟、係争、その他の法律的手続きの対象となるリスクがあり、将来重要な訴訟等が提起された場合には、当社グループの経営成績ならびに財政状態に重要な悪影響を及ぼす可能性があります。