半期報告書-第92期(平成27年4月1日-平成28年3月31日)

【提出】
2015/11/30 14:11
【資料】
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【項目】
105項目

研究開発活動

「企業価値向上を目指して」を研究開発方針に掲げ、事業化及び事業推進に向けた研究開発を推進しています。当中間連結会計期間末における研究開発要員は当社グル-プ全体で367名、研究開発費は42億円でした。
セグメントごとの研究開発の概要は次のとおりです。
(1) 機能材料事業
当セグメントでは主に以下の研究開発に取り組んでいます。
a)液晶化合物・組成物の研究開発
b)液晶ディスプレイ関連材料の研究開発
液晶材料は、新たなTV向け高解像度、高速応答モード用組成物の開発を完成しました。中・小型ディスプレイ用の液晶組成物として新規組成シリーズの研究ステージがまもなく終了します。特に、車載用のディスプレイで優れた特性を示す単品の実用化に向けた検討を開始しました。配向膜材料では、新規材料についてワールドワイドでの展開を進めており、各社で良好な評価結果をいただいています。光学補償材料では自社材料の優位性を活かした用途開発を行っており、積極的に新規案件への展開を進めています。オーバーコート材料では新しい機能発現に向けた取り組みを進め、材料ラインナップの拡充に注力しています。
(2) 加工品事業
当セグメントでは主に以下の研究開発に取り組んでいます。
a)高機能複合繊維の開発及び不織布の開発
b)肥効調節型肥料の開発
繊維・不織布関連ではエレクトロスピニング法を用いたナノ繊維(商品名:Elfa/エルファ)は、新規用途でユーザー評価が進んでいます。肥料関連では新機能を付与した肥効調節型肥料の拡販に取り組んでいます。
(3) 化学品事業
当セグメントでは主に以下の研究開発に取り組んでいます。
a)高機能有機化学品の研究開発
b)シリコン化合物の開発及び生産技術開発
c)ライフケミカル材料の開発
有機化学品では、社内コア技術を活用し、電子情報材料をターゲットとした機能性化学品のユーザー評価が進んでいます。シリコン化合物では高機能新規シラン化合物や樹脂変性用の反応性シリコーンの開発を行っています。ライフケミカル材料では、動物培養、発酵液から医薬品原料を精製するクロマトグラフィー充填剤(商品名;セルファイン)が、抗体医薬、ワクチン等のバイオ医薬品の発展に伴い、使用量が増加しています。微生物検査シート(商品名:サニ太くん)では、海外販売が増加しており、新規グレードの開発を進めています。また診断薬では、これまでの動物診断に加えて人用診断薬の開発にも取り組んでいます。
(4) 新規分野
電子情報材料開発室、精密加工品開発室、バッテリー材料開発室では以下の事業開発に取り組んでいます。
a)電子情報材料の開発
b)精密加工材料の開発
c)バッテリー材料の開発
電子情報材料開発室では、有機EL材料とインクジェット用インクの開発を継続しています。有機EL材料では、継続的なユーザー採用と事業化を目的として、新規化合物の開発に注力しています。また、ユーザー評価をスタートし、量産化技術の確立を進めています。インクジェット用インクでは、インクジェット装置メーカーとの協業関係を強化し、電子部品テーマに取り組んでいます。タッチパネル用途ではユーザー採用が決まり量産を開始しました。
精密加工品開発室では、各種製品のパイロット設備による量産を開始しました。新しい機能性フィルムであるペイント・プロテクションフィルムでは、自動車や工業製品用部材の塗装表面の「汚れ防止、傷付き防止」用保護フィルムの試験販売を開始しました。放熱材料は、熱拡散シートに加え、放熱シート、放熱塗料でLCD周辺部材や工業製品用部材で、ユーザーと共に開発・評価を継続しています。バッテリー材料開発室では、車載用をターゲットにした次世代リチウムイオン2次電池部材の開発を継続しています。セパレータは、量産設備生産品への切替えの為、ユーザー認証作業を進めています。正極材は、ユーザー要求の高い、高容量ニッケル系正極材の開発を進めています。また、負極材は、開発品のユーザー紹介を進めています。
(5) コーポレートテーマ
電子情報分野、エネルギー・環境分野をターゲットとした新技術、新商品の開発を推進しています。エレクトロニクス製品の製造工程で使用する環境に優しい水系剥離・洗浄剤は、種々の分野でユーザーによる評価が進んでいます。シリコン系LED用封止材は拡販が進むと共に、新用途に向けた開発に取り組んでいます。有機系シリコンを用いた負極材の開発は、フランス原子力庁の新エネルギー技術研究部門(LITEN)と共同研究が終了しました。紡績可能な多層カーボンナノチューブは製造技術開発を国立大学法人静岡大学、浜松カーボニクス株式会社と共同開発を進めています。低環境負荷で高栄養価品の栽培を実現する新農業システム開発ではマザーハウスを建設し、大規模栽培のための実証試験を開始しました。
(6) 研究開発支援部門
事業化推進室、知的財産グル-プ及び市原研究所、水俣研究所の分析・基盤グループと共に以下の研究開発支援を推進しています。
a)マーケティング支援
b)知的財産支援
c)全社研究開発支援としての分析・基盤研究
事業化推進室では開発テーマの早期事業化を支援しています。特許出願件数は全社で50件でした。研究開発支援では、当社グループのコア事業である液晶化合物、液晶ディスプレイ関連材料及び有機EL等に対して高度な分析・解析技術を使って研究開発推進に貢献しています。