有価証券報告書-第154期(平成29年4月1日-平成30年3月31日)

【提出】
2018/06/25 10:31
【資料】
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【項目】
130項目

研究開発活動

当社グループは「化学を通じて暮らしに役立つ価値を創造する」ことを基本とし、研究開発は、「ICT、ヘルスケア向けスペシャリティケミカル」を重点分野として、化学を基軸に各事業の拡大と発展を目指した研究開発を行っています。
研究開発部門は、各セグメントに所属する事業部門開発グループと協働して、事業部門・グループ会社の開発ポートフォリオ上で次世代テーマや既存事業関連テーマの技術開発を行っています。
平成29年7月に、責任体制を明確にして開発のスピードアップを図ること、顧客・市場ニーズと技術変化を先読みしてトクヤマグループが勝つ開発テーマを考えるマーケティング機能を付与することを目的として、従来の開発センターをつくば研究所と徳山研究所、新規事業推進グループの3つに分割し、これまでの分析・解析センター、知的財産部と合せて5部署体制としました。
つくば研究所、徳山研究所におきましては、従来から取り組んできた中性子線検出用シンチレータ材料開発、単結晶窒化アルミニウム基板開発、電池材料開発に加え、半導体周辺材料、有機無機複合材料、ナノ粒子材料、塩素化合物材料、医療材料、動物医療周辺材料の開発を新たな開発テーマとして立ち上げました。平成29年11月には、新体制での最初の製品として乳頭保護材「ティートナー」の国内販売を開始しました。
新規事業推進グループは、社内・社外と連携してマーケティングを行い、顧客起点で当社の事業戦略と特有技術を擦り合わせて、IoT及びライフサイエンス領域において新しいテーマを発掘することがその役割となります。
当連結会計年度における当社グループの研究開発費は79億3百万円(セグメント間の取引消去後)です。なお、研究開発費については各セグメントに配分できない基礎研究費用等15億64百万円が含まれております。
セグメント別の研究開発の状況及び研究開発費は次のとおりです。
<化成品セグメント>塩素関連製品の環境負荷低減ニーズに対応する技術開発、生産効率化によるコストダウン及び製品品質の維持・向上の技術改良開発を行っています。塩化ビニル樹脂では、顧客の要望に沿った製品を供給するために技術サービスを強化し、得られた知見を生かした新規グレード開発にも積極的に取り組みました。無機薬品の開発は、顧客評価による市場性の調査、物性改良、製造プロセス検討に注力しました。
当セグメントに係わる研究開発費は6億27百万円(セグメント間の取引消去後)です。
<特殊品セグメント>多結晶シリコンについては、半導体向け多結晶シリコンの高純度化・高品質化と生産効率化によるコストダウンを両立させるべく技術改良開発を行いました。シリカについては、既存の乾式シリカ製品の改良だけでなく、顧客の要求に対応した新規な原体シリカの開発を行いました。放熱材料については、パワー半導体やLEDなどの放熱用材料に用いられる窒化アルミニウム及び窒化ホウ素のフィラーに加え、窒化ケイ素の開発に着手しました。また、電子工業用高純度薬品については、引き続き不純物の低減化対応についての取組みを強化しました。
当セグメントに係わる研究開発費は19億58百万円(セグメント間の取引消去後)です。
<セメントセグメント>種々の廃棄物・副産物をセメント製造工程で活用するための開発を積極的に継続しています。なかでも、石炭の代替品の探索に重点的に取り組みました。廃棄物の更なる有効活用の観点から、セメント製造工程以外の用途にも着目し、石炭灰および廃石膏ボードの有効活用技術の開発に注力しました。セメントに関する基礎研究として、省エネルギーの観点からセメントクリンカーの焼成温度低減に関する検討を継続しました。セメント関連製品としては、セメント系固化材の各種グレード開発・改良、断面修復材などコンクリート構造物の補修・補強に適用される各種建材製品の開発・改良を進めました。
当セグメントに係わる研究開発費は7億12百万円(セグメント間の取引消去後)です。
<ライフアメニティーセグメント>プラスチックレンズ関連材料では次世代フォトクロミック材料の開発を進めました。医薬品原薬ではプロセス開発を進めました。医療分野、臨床検査分野では、臨床検査用の試薬や情報システム、検体検査に係わる装置や検査自動化システムの総合的な製品開発を進めました。歯科医療分野では、充填用コンポジットレジン、歯科用接着材料、金属代替歯冠用レジンブロックなどの製品開発を進めました。イオン交換膜では、高効率バイポーラ膜電気透析技術や高機能イオン交換膜等の開発を進めました。
当セグメントに係わる研究開発費は30億39百万円(セグメント間の取引消去後)です。