有価証券報告書-第166期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)

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2021/06/30 16:14
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137項目
(1)【コーポレート・ガバナンスの概要】
① コーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方
当社グループは、「独創的な技術と製品により安心で豊かな社会の実現に貢献します」というグループ企業理念のもと、経営の透明性・公平性を確保し、コーポレートガバナンス体制のより一層の充実を図り、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を実現することを基本方針としております。
② 企業統治の体制
当社は、監査役会設置会社として、取締役による的確な意思決定と執行役員による業務執行を行う一方、適正な監督・監視が可能な経営体制により、コーポレート・ガバナンスの充実を図り、実効性を高める体制としております。
a.取締役会
取締役会は、2021年6月30日現在において、取締役7名(うち社外取締役3名)で構成しており、原則として毎月1回開催し、取締役会規則に従い重要事項を付議するとともに、業績の進捗について議論し対策等を検討しております。構成員については、「(2)役員の状況 ①役員一覧」に記載の役員であり、議長は代表取締役社長執行役員 寺田 健志であります。なお、2010年6月29日より、取締役の任期を1年とするとともに、執行役員制度を導入し、取締役会を経営の意思最高決定機能および執行監督機能に、執行役員を業務執行機能に分離し、効率的な企業経営と責任の明確化を図っております。
b.経営会議
取締役の職務執行上重要な事項については、代表取締役の諮問機関として取締役を中心に構成される経営会議に付議され、代表取締役の意思決定が的確に理解、実行される体制となっております。
c.監査役会
当社は監査役制度を採用しております。2021年6月30日現在において、監査役は3名(うち社外監査役2名)であり、取締役会に出席するとともに社内の重要な会議にも積極的に参加し、取締役の職務執行を十分に監視できる体制となっております。構成員については、「(2)役員の状況 ①役員一覧」に記載の監査役であり、議長は常勤監査役 瀬川 恭史であります。
(当該体制を採用する理由)
監査役会設置会社として、取締役による的確な意思決定と取締役会の活性化に努めるとともに、企業精神を体系的に整備したコンプライアンス・プログラムに則り、法令遵守、企業倫理に基づいた行動の徹底に取り組んでおります。社外取締役および社外監査役による専門的、客観的、中立的監視も行われており、経営の監視機能の体制が整備されていると判断しております。
当社のコーポレート・ガバナンス体制を図示すると次のようになります。
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③ 企業統治に関するその他の事項
a.内部統制システムの整備の状況
取締役会において、内部統制システムの構築に関する基本方針として、①取締役および使用人の職務の執行が法令および定款に適合することを確保するための体制、②取締役の職務の遂行に係る情報の保存および管理に関する体制、③損失の危険の管理に関する規定その他の体制、④取締役の職務の執行が効率的に行われることを確保するための体制、⑤企業集団における業務の適正を確保するための体制、⑥監査役の職務を補助すべき使用人に関する体制と当該使用人の取締役からの独立性に関する事項、⑦取締役および使用人が監査役に報告するための体制その他の監査役への報告に関する体制および監査役の監査が実効的に行われることを確保するための体制等について決議しました。代表取締役をはじめ担当の取締役が、基本方針に従って業務の適正を確保する体制の確立を図っております。
b.リスク管理体制の整備の状況
当社の業務活動に伴い広範囲にわたって発生するリスクに適切に対応するため、危機管理基本規定を定め、リスク管理体制を確立しております。ほかにも危機管理基本規定の関連規定として、RC(レスポンシブル・ケア)委員会規定や危機対応規定などを定め、リスク管理体制の整備については十全を期するべく努めております。また、2005年4月から施行された個人情報保護法の施行に伴い、情報管理委員会を設置し情報管理体制を構築しております。
④ 自己株式の取得
当社は、機動的な資本政策の遂行を可能とするため、会社法第165条第2項の規定により、取締役会の決議によって市場取引等により自己の株式を取得することができる旨を定款に定めております。
⑤ 取締役の責任免除
当社は、取締役会の決議によって、取締役(取締役であったものを含む。)の会社法第423条第1項の損害賠償責任について法令に定める要件に該当する場合には、賠償責任額から法令の定める最低責任限度額を控除して得た額を限度として免除することができる旨を定款に定めております。
⑥ 監査役の責任免除
当社は、取締役会の決議によって、監査役(監査役であったものを含む。)の会社法第423条第1項の賠償責任について法令に定める要件に該当する場合には、賠償責任額から法令の定める最低責任限度額を控除して得た額を限度として免除することができる旨を定款に定めております。
⑦ 剰余金の配当等
当社は、剰余金の配当等会社法第459条第1項各号に定める事項については、法令に別段の定めがある場合を除き、取締役会の決議によって定める旨を定款に定めております。また、当社は、株主への機動的な利益還元を行うため、取締役会の決議によって、毎年9月30日を基準として、会社法第454条第5項に定める金銭の分配をすることができる旨を定款に定めております。
⑧ 株主総会の特別決議要件
当社は、株主総会の円滑な運営を行なうため、会社法第309条第2項の規定によるべき決議は、議決権を行使することができる株主の議決権の3分の1以上を有する株主が出席し、その議決権の3分の2以上をもって行なう旨を定款に定めております。
⑨ 取締役の選任の決議要件
当社は、取締役の選任決議は、議決権を行使することができる株主の議決権の3分の1以上を有する株主が出席し、その議決権の過半数をもって行う旨を定款に定めております。また、取締役の選任決議は、累積投票によらない旨を定款に定めております。
⑩ 取締役の定数
当社の取締役は8名以内とする旨を定款に定めております。
⑪ 取締役の解任の決議要件
当社は、取締役の解任決議は、議決権を行使することができる株主の議決権の3分の1以上を有する株主が出席し、その議決権の3分の2以上をもって行う旨を定款に定めております。
⑫ 当社株式の大規模な買付行為に関する対応方針
当社は、第153回定時株主総会において「当社株式の大規模な買付行為に関する対応方針(買収防衛策)」を導入しました。その後も当社第156回、第159回および第162回定時株主総会の決議により、それぞれ所要の変更を行った上で、継続しました。(以下、継続後の対応方針を「現プラン」といいます。)
当社は、当社の企業価値を安定的かつ継続的に維持・向上させることにより株主共同の利益を確保・向上させるため、現プラン導入以後の法令および金融商品取引所規則の改正、コーポレートガバナンス・コードの趣旨、買収防衛策に関する議論の動向等を踏まえ、現プランについて慎重に検討してまいりました。その結果、当社第165回定時株主総会において、当社株主総会の決議に基づいて具体的対抗措置の発動ができる場合を定める等、現プランを一部変更の上、継続(以下、新たに継続する対応方針を「本プラン」といいます。)することを決議しました。
1.本プランの必要性
当社取締役会は、大規模買付行為に応じて当社株式を売却されるかは、最終的には、当社株主のみなさまの判断に委ねられるべきものであると考えております。
当社は、創業以来一貫して研究開発型の化学会社を志向しており、事業分野も創業時から取り扱っている基礎化学品事業、市場シェアの高い高付加価値を有する機能化学品事業ならびに住宅設備等の事業など、製造から販売に至るまで多岐にわたっております。また、当社の経営においては、当社グループの企業価値の源泉である研究開発の成果やノウハウならびに創業以来蓄積された国内外の顧客および取引先等のステークホルダーとの間に築かれた関係等へ理解が不可欠であります。
このような当社の特色からすれば、株主のみなさまが、短期間で、当社グループの研究開発成果やノウハウの事業化の可能性、グループ企業の活動の有機的結合や事業間の技術シナジーなどを適切に把握し、当社の内在的価値を適時に的確に評価することは、容易でないものと思われます。そのため、大規模買付行為が行われようとする場合に、当社株主のみなさまに適切な判断をしていただくためには、当社取締役会を通じ、株主のみなさまに大規模買付行為に関する十分な情報を提供させていただく必要があると考えております。株主のみなさまに大規模買付行為に関する情報が十分に提供されることは、株主のみなさまが、大規模買付者が当社の経営に参画した際の経営方針や事業計画の内容および大規模買付行為における対価の妥当性等を判断される上で有益であると考えております。また、当社取締役会は、株主のみなさまの判断のために、大規模買付行為に関する情報が大規模買付者から提供された後、これを評価検討し、取締役会としての意見を取りまとめて開示し、必要に応じて、大規模買付者と交渉し、株主のみなさまへ代替案を提示することも予定しております。
株主のみなさまは、大規模買付行為に関する十分な情報の提供を受け、また,大規模買付行為に当社取締役会の意見や代替案の提示を受け、これらを十分検討されることにより、大規模買付行為に応じるか否かにつき判断することが可能になると考えております。
以上のような観点から、当社は、2008年6月27日開催の当社第153回定時株主総会において、株主のみなさまのご承認をいただき、「当社株式の大規模な買付行為に関する対応方針(買収防衛策)」を導入しました。その後も当社第156回、第159回および第162回定時株主総会の決議により、所要の変更を行った上で、現プランとして継続しました。
そして、今後も、現プランの適用可能性があるような大規模買付者が現れる可能性は否定できないので、2020年6月26日開催の当社第165回定時株主総会において、当社株主総会の決議に基づいて具体的対抗措置の発動ができる場合を定める等、現プランを一部変更の上、継続しました。
2.本プランの概要
本プランは、特定株主グループ(注1)の議決権割合(注2)を20%以上とすることを目的とする当社株券等(注3)の大規模な買付行為または結果として特定株主グループの議決権割合が20%以上となる当社株券等の大規模な買付行為(以下、「大規模買付行為」といい、かかる買付行為を行う者を「大規模買付者」といいます。)に対して適用されるものとします。
注1:特定株主グループとは、
① 当社の株券等(金融商品取引法第27条の23第1項に規定する株券等をいいます。)の保有者(同法第27条の23第1項に規定する保有者をいい、同条第3項に基づき保有者とみなされる者を含みます。)およびその共同保有者(同法第27条の23第5項に規定する共同保有者をいい、同条第6項に基づき共同保有者とみなされる者を含みます。)、または、
② 当社の株券等(同法第27条の2第1項に規定する株券等をいいます。)の買付け等(同法第27条の2第1項に規定する買付け等をいい、取引所金融商品市場において行われるものを含みます。)を行う者およびその特別関係者(同法第27条の2第7項に規定する特別関係者をいいます。)を意味します。
注2:議決権割合とは、特定株主グループが①記載の場合は、当該保有者の株券等保有割合(同法第27条の23第4項に規定する株券等保有割合をいいます。この場合においては、当該保有者の共同保有者の保有株券等の数も加算するものとします。)、②記載の場合は、当該買付者および当該特別関係者の株券等所有割合(同法第27条の2第8項に規定する株券等所有割合をいいます。)の合計をいいます。
なお、議決権割合の計算において分母となる総議決権数は、当社のその時点での発行済株式の総数から、有価証券報告書、四半期報告書および自己株券買付状況報告書のうち直近に提出されたものに記載された数の保有自己株式を除いた株式にかかる議決権数とします。
注3:株券等とは、金融商品取引法第27条の23第1項に規定する株券等を意味します。
当社取締役会としては、大規模買付行為は、以下に定めるルール(以下、「大規模買付ルール」といいます。)に従って行われることが、当社の企業価値および株主共同の利益に合致すると考えます。
(1)情報提供
まず、大規模買付者には、当社取締役会に対して、当社株主のみなさまの判断および取締役会としての意見形成のために十分な情報(以下、「大規模買付情報」といいます。)を提供していただきます。
大規模買付情報の項目は、以下のとおりです。
1)大規模買付者およびそのグループの概要(具体的名称、資本構成等を含みます。)
2)大規模買付行為の目的、方法および内容(大規模買付行為の対価の額・内容・算定根拠、大規模買付行為に要する資金の裏付け、時期、取引の仕組み等を含みます。)
3)大規模買付者に対する資金供与者の概要(具体的名称、資本構成等を含みます。)
4)大規模買付行為後5年間に想定している当社グループの経営方針および事業計画、財務計画、資本政策、配当政策、資産活用策等(以下、「大規模買付行為後の経営方針等」といいます。)
5)大規模買付行為後の経営方針等が当社グループの企業価値を向上させることの根拠
6)その他上記4)に関連し、当社取締役会および独立委員会が適切な判断をするために必要とする情報
大規模買付情報の具体的内容は、大規模買付行為の内容によって異なることもあり得るため、大規模買付者が大規模買付行為を行おうとする場合には、まず当社宛に、本プランに従う旨の意向表明書をご提出いただくこととします。意向表明書には、大規模買付者の名称、住所、設立準拠法、代表者の氏名、国内連絡先および提案する大規模買付行為の概要を明示していただきます。当社は、この意向表明書の受領後原則として10営業日以内に、当初提供していただくべき大規模買付情報の一覧を大規模買付者に交付し、大規模買付者は受領日より10営業日以内に当社宛ご提出いただくこととします。なお、当初提供していただいた情報だけでは大規模買付情報として不足していると考えられる場合、適宜合理的な回答期限を設けた上で(最初に大規模買付情報を受領した日から起算して60日を上限とします。)、十分な大規模買付情報が揃うまで追加的に情報提供をしていただくことがあります。大規模買付行為の提案があった事実および当社取締役会に提供された大規模買付情報については、当社株主のみなさまの判断のために、その全部または一部を開示します。
なお、当社取締役会は、大規模買付者から十分な大規模買付情報が提出されたと判断した場合には、その旨の通知を大規模買付者に発送するとともに、その旨を公表します。
(2)大規模買付情報の検討、大規模買付者との交渉、代替案の提示
次に、当社取締役会は、大規模買付行為の評価等の難易度に応じ、十分な大規模買付情報の提供が完了した旨公表した後、60日間(対価を現金(円貨)のみとする公開買付けによる当社全株式の買付の場合)または90日間(その他の大規模買付行為の場合)を取締役会による評価、検討、交渉、意見形成、代替案立案のための期間(以下、「取締役会評価期間」といいます。)として与えられるべきものと考えます。
従って、大規模買付行為は、取締役会評価期間の経過後にのみ開始されるものとします。取締役会評価期間中、当社取締役会は必要に応じてファイナンシャルアドバイザー、公認会計士、弁護士等の社外の専門家の助言を受け、また独立委員会の意見を聴取しながら、提供された大規模買付情報を十分に評価・検討し、取締役会としての意見を慎重にとりまとめ、開示します。また、必要に応じ、大規模買付者との間で大規模買付行為に関する条件改善について交渉し、当社取締役会として株主のみなさまへ代替案を提示することもあります。
3.大規模買付行為がなされた場合の対応方針
(1)大規模買付者が大規模買付ルールを遵守しなかったと判断される場合
大規模買付者が大規模買付ルールを遵守しなかったと判断される場合には、具体的な買付方法の如何にかかわらず、当社取締役会は、当社の企業価値および株主共同の利益を守るため、具体的対抗措置として新株予約権の無償割当てを行うことがあります。実際に新株予約権の無償割当てを行う場合には、一定割合以上の当社株券等を保有する特定株主グループに属さないことを行使条件とするなど、対抗措置としての効果を勘案した行使期間および行使条件を設けることがあります。
(2)大規模買付者が大規模買付ルールを遵守したと判断される場合
大規模買付者が大規模買付ルールを遵守したと判断される場合には、当社取締役会は仮に当該大規模買付行為に反対であったとしても、原則として具体的対抗措置を発動しません。大規模買付行為に応じるか否かは、当社株主のみなさまにおいて、当社取締役会の意見、代替案等をご考慮の上、ご判断いただくことになります。
ただし、大規模買付ルールが遵守されていると判断される場合であっても、①当該大規模買付行為がいわゆる東京高裁四類型もしくは強圧的二段階買付(以下、「濫用的買収」といいます。4.(1)ご参照)に該当し、当社の企業価値および株主共同の利益を著しく損なうと認められる場合、具体的対抗措置として新株予約権の無償割当てを行うことがあります。当該大規模買付行為が濫用的買収に該当するか否かの検討および判断については、その客観性および合理性を担保するため、当社取締役会は、大規模買付者の提供する大規模買付行為後の経営方針等を含む必要情報に基づいて、社外取締役、社外監査役等から構成される独立委員会の意見を最大限尊重しつつ当該大規模買付者および大規模買付行為の具体的内容(目的、方法、対象、取得対価の種類・金額等)や当該大規模買付行為が当社の企業価値および株主共同の利益に与える影響を検討し、当社社外監査役を含む監査役の過半数の賛同を得た上で、当該大規模買付行為が濫用的買収に該当するか否かを決定することとします。また、②当社取締役会は、大規模買付行為が当社の企業価値および株主共同の利益を著しく損なうと認められる場合(濫用的買収に該当する場合を除きます。)に該当すると判断する場合には、実務上可能な限り最短の期間で、速やかに株主総会を開催し、大規模買付行為への対抗措置の発動に関する議案を当社株主総会に上程するものとします。
(3)取締役会の決議
当社取締役会は、上記(1)または(2)①において対抗措置の発動の是非について判断を行う場合は、独立委員会の意見を最大限尊重し、対抗措置の必要性、相当性等を十分検討した上で対抗措置の発動または不発動等に関する会社法上の機関としての決議を行うものとします。
当社取締役会が具体的対抗措置として、実際に新株予約権の無償割当をする場合には、議決権割合が一定割合以上の特定株主グループに属さないことを新株予約権の行使条件とする等、対抗措置としての効果を勘案した行使期間および行使条件を設けることがあります。
(4)株主総会の開催
当社取締役会は、上記(2)②において大規模買付行為への対抗措置の発動に関する議案を株主総会に上程する場合は、株主のみなさまに本プランによる対抗措置を発動することの可否を十分にご検討いただくための期間(以下、「株主検討期間」といいます。)として最長60日間の期間を設定し、原則として当該株主検討期間中に当社株主総会を開催するものとします。ただし、事務手続上の理由から60日以内に開催することができない場合は、事務手続上可能な最も早い日において開催するものとします。
当社取締役会において、株主総会の開催および基準日の決定を決議した場合は、取締役会評価期間はその日をもって終了し、直ちに株主検討期間へ移行することとします。当社株主総会の開催に際しては、当社取締役会は、大規模買付者が提供した必要情報、必要情報に対する当社取締役会の意見、当社取締役会の代替案その他当社取締役会が適切と判断する事項を記載した書面を、株主のみなさまに対し、株主総会招集通知とともに送付し、適時・適切に開示します。
当社株主総会において対抗措置の発動または不発動について決議された場合、当社取締役会は、当社株主総会の決議に従うものとします。従って、当社株主総会が対抗措置を発動することを否決する決議をした場合には、当社取締役会は対抗措置を発動しません。また、当該株主総会の終結をもって株主検討期間は終了することとし、当該株主総会の結果は、決議後、適時・適切に開示します。
(5)大規模買付行為待機期間
株主検討期間を設けない場合は取締役会評価期間を、また株主検討期間を設ける場合には取締役会評価期間と株主検討期間を合わせた期間を大規模買付行為待機期間とします。従って、大規模買付行為は、大規模買付行為待機期間の経過後にのみ開始できるものとします。
(6)対抗措置発動の停止等について
上記(3)または(4)において、当社取締役会または株主総会において具体的対抗措置を講ずることを決定した後に、当該大規模買付者が大規模買付行為の撤回または変更を行った場合など当該対抗措置の発動が適切でないと当社取締役会が判断した場合には、独立委員会の意見を最大限尊重した上で、当該対抗措置の発動の停止等を行うことがあります。対抗措置として新株予約権の無償割当を行う場合、当社取締役会において、新株予約権の無償割当てを決議した場合であっても、例えば、大規模買付者が大規模買付行為を撤回した等の事情により、当該対抗措置の発動が適切でないと当社取締役会が判断した場合には、独立委員会の意見を最大限尊重した上で、新株予約権の無償割当ての効力発生日までに新株予約権の無償割当てを中止し、または新株予約権の無償割当ての効力発生日後新株予約権の行使期間の初日の前日までに新株予約権者に当社株式を交付することなく無償にて新株予約権を取得する方法により当該対抗措置の発動の停止等を行うことができるものとします。このような対抗措置の発動の停止等を行う場合は、法令および当社が上場する金融商品取引所の上場規則等に従い、当該決定について適時・適切に開示します。
4.当社取締役会判断の客観性および合理性担保のための措置
(1)ガイドラインの制定
当社は、本プランの運用において恣意的な判断や処理がなされることを防止し、手続の透明性を確保すべく、客観的な要件を織り込んだ内部基準として、ガイドラインを設けております(以下、「本ガイドライン」といいます。)。当社取締役会および独立委員会は、それに基づいて本プラン所定の手続を進めなければならないこととしております。本ガイドラインの制定により、濫用的買収者の認定、対応等の際に拠るべき基準が透明となり、本プランに十分な予測可能性を与えております。
なお、本ガイドラインの中では、濫用的買収の定義として、
1)真に会社経営に参加する意思がないにもかかわらず、株価をつり上げて高値で株式を当社に引き取らせる目的で株式の買収を行っている場合(いわゆるグリーンメーラー)
2)当社の会社経営への参加の目的が、主として当社の事業経営上必要な企業秘密情報、重要資産、主要取引先や顧客等を当該大規模買付者またはそのグループ会社等に移譲させることにある場合
3)当社の資産を当該大規模買付者またはそのグループ会社等の債務の担保や弁済の原資として流用する予定で、当社の株式の取得を行っている場合
4)当社の会社経営への参加の目的が、主として、会社経営を一時的に支配して、当社の事業に当面関係していない有価証券等の高額資産等を売却等処分させ、その処分利益をもって一時的な高配当をさせるかあるいは一時的高配当による株価の急上昇の機会を狙って株式の高価売り抜けをする目的である場合
5)大規模買付者の提案する買収の方法が、最初の買付条件を有利に、二段階目の買付条件を不利に設定するような、株主の判断の機会または自由を奪う構造上強圧的な方法による買付である場合(強圧的二段階買付)
と定めております
(2)独立委員会の設置
新株予約権の無償割当てによる対抗措置の発動の是非に関する最終的判断は当社取締役会が行うことから、その判断の客観性および合理性を担保するため、当社は、社外取締役、社外監査役等で構成される独立委員会を設置します。
同委員会は、当社取締役会から諮問を受けた各事項および独立委員会が必要と判断する事項について当社取締役会に意見を述べます。当社取締役会の決定に際しては独立委員会による意見を最大限尊重し、かつ、必ずこのような独立委員会の意見聴取の手続を経なければならないものとすることにより、当社取締役会の判断の客観性および合理性を確保する手段として機能するよう位置付けております。また、独立委員会の招集権限は、当社代表取締役、監査役のほか、各委員も有し、その招集が確実に行われるよう配慮しております。
5.当社株主、投資家のみなさまに与える影響への配慮
(1)本プランが株主・投資家のみなさまに与える影響等
本プランは、当社株主のみなさまが大規模買付行為に応じるか否かを判断するために必要な情報や、現に当社の経営を担っている当社取締役会の意見を提供し、さらには、当社株主のみなさまが代替案の提示を受ける機会を保障することを目的としております。これにより、当社株主のみなさまは、十分な情報および提案のもとで、大規模買付行為に応じるか否かについての適切な判断をすることが可能となり、そのことが、当社の企業価値および株主共同の利益の保護につながるものと考えます。
従い、本プランを設定することは、当社株主および投資家のみなさまの利益に資するものであると考えております。
なお、上記3.において述べたとおり、大規模買付者が大規模買付ルールを遵守したと判断されるか否かによって大規模買付行為に対する当社の対応方針が異なるため、当社の株主および投資家のみなさまにおいては、大規模買付者の動向にご注意ください。
(2)対抗措置発動時に株主・投資家に与える影響等
大規模買付者が大規模買付ルールを遵守しなかった場合には、当社取締役会は、当社の企業価値および株主共同の利益を守るため、具体的対抗措置として新株予約権の無償割当てを行うことがありますが、具体的対抗措置の仕組上、大規模買付ルールに違反した大規模買付者を除く当社株主のみなさまが法的権利または経済的側面において格別の損失を被るような事態が生じることは想定しておりません。当社の取締役会が具体的対抗措置を取ることを決定した場合には、当社株主および投資家のみなさまならびにその他の関係者に不測の損害が生じることのないよう、適時・適切に開示を行う等、適切な方法で対処する予定です。
一方、具体的対抗措置として新株予約権の無償割当てを行うこととなった場合、割当期日における当社株主のみなさまは引受けの申込みをすることなく新株予約権の無償割当てを受けますが、その後、新株予約権を行使して新株を取得するためには所定の期間内に一定の金額の払込をしていただく必要がある場合もあります。かかる手続の詳細については、実際に新株予約権の無償割当てを行うことになった際に、法令に基づき別途お知らせします。ただし、名義書換未了の当社株主のみなさまについては、新株予約権の無償割当てを受けるためには、別途当社の取締役会が決定し公告する新株予約権の割当期日までに、名義書換を完了していただく必要があります。
なお、いったん新株予約権の無償割当てを決議した場合であっても、例えば、大規模買付者が大規模買付行為を撤回した等の事情により、当社は、新株予約権の無償割当ての効力発生日までに新株予約権の無償割当てを中止し、または新株予約権の無償割当ての効力発生日後新株予約権の行使期間の初日の前日までに新株予約権者に当社株式を交付することなく無償にて新株予約権を取得する場合があります。これらの場合には、1株あたりの株式の価値の希釈化は生じないので、1株あたりの株式の価値の希釈化が生じることを前提にして売付け等を行った株主および投資家のみなさまは、株価の変動により損害を被るおそれがあります。
6.本プランの有効期間および変更・廃止およびそれに伴う開示
(1)本プランの有効期間
本プランの有効期間は、2020年6月26日開催の当社第165回定時株主総会終結の時から3年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会(2023年6月開催予定の第168回定時株主総会)終結の時までとします。
(2)本プランの廃止
本プラン導入後、有効期間の満了前であっても以下の場合には、本プランはその時点で廃止されるものとします。
1)当社取締役会により本プランを廃止する旨の決議が行われた場合
2)当社株主総会において本プランを廃止する旨の議案が承認された場合
(3)本プランの変更
本プランの有効期間中であっても、関係法令の整備、株主総会の決議、独立委員会の意見等を踏まえ、当社の企業価値および株主共同の利益の確保・向上の観点から、随時、必要に応じて取締役会決議により本プランを変更する場合があります。
(4)本プランの廃止または変更に関する情報の開示
本プランが廃止または変更された場合には、株主および投資家のみなさまに対し、当該事実および当社取締役会または独立委員会が必要と判断する事項を適時に開示します。
7.本プラン導入状況についての補足説明
本プラン導入を決定した当社取締役会には、当社監査役3名全員が出席し、いずれの監査役も本プランの具体的運用が適正に行われることを条件として、本プラン導入に賛成する旨の意見を述べております。
なお、当社は、適時・適切に開示を行っていく予定でありますが、当社株主および投資家のみなさまにおいても、当社株式に関する大規模買付行為が行われた場合には、その後の動向把握等に努めていただくようお願い申し上げます。今後、当社株主および投資家のみなさまに影響を与える具体的対抗措置を発動することを決定した場合には、その詳細について直ちに公表することとします。
8.本プランの合理性
(1)買収防衛策に関する指針等の要件を充足していること
本プランは、経済産業省および法務省が2005年5月27日に公表した「企業価値・株主共同の利益の確保または向上のための買収防衛策に関する指針」の定める3原則(企業価値・株主共同の利益の確保・向上の原則、事前開示・株主意思の原則、必要性・相当性確保の原則)を充足しております。また、経済産業省に設置された企業価値研究会が2008年6月30日に公表した「近時の諸環境の変化を踏まえた買収防衛策の在り方」、東京証券取引所が2015年6月1日に公表(2018年6月1日に改訂版公表)した「コーポレートガバナンス・コード」の「原則1-5 いわゆる買収防衛策」およびその他買収防衛策に関する実務・議論を勘案した内容となっております。さらに、本プランは、東京証券取引所の定める買収防衛策の導入に係る諸規則等の趣旨に合致しております。
(2)企業価値および株主共同の利益の向上を目的としていること
本プランは、当社株主のみなさまが大規模買付行為に応じるか否かを的確に判断するために必要な時間や情報、当社取締役会による意見や代替案の提示を受ける機会を保障すること等を可能とするものであります。これにより、当社株主のみなさまは、十分な情報および提案のもとで、大規模買付行為に応じるか否かについての適切な判断をすることが可能となるので、当社の企業価値および株主共同の利益の向上を目的とするものであります。
(3)株主意思を反映するものであること
本プランは、2020年6月26日開催の当社第165回定時株主総会における当社株主のみなさまのご承認を得て採用しており、また、有効期間満了前であっても、当社株主総会または当社株主総会において選任された取締役により構成される当社取締役会において本プランを廃止する旨の議案が承認された場合には、本プランはその時点で廃止されるものとしているので、株主のみなさまの意思が反映される仕組みとなっております。
さらに、上記3.(4)に記載のとおり、当社取締役会は、具体的対抗措置発動の是非について、一定の場合に、当社株主総会において株主のみなさまの意思を確認することとしております。
(4)取締役会判断の客観性・合理性が確保されていること
本プランにおいては、具体的対抗措置発動の是非は、当社の業務執行を行う経営陣から独立している複数の委員によって構成される独立委員会の意見を最大限尊重することになっているなど、取締役の恣意的判断を排除し、当社取締役会判断の客観性および合理性を担保する措置が確保されております。
(5)デッドハンド型やスローハンド型の買収防衛策ではないこと
本プランは、当社株主総会で選任された取締役で構成される取締役会の決議によっても廃止することができるとされております。従って、本プランは、いわゆるデッドハンド型の買収防衛策(株主総会で取締役会の過半数の交代が決議された場合においても、なお廃止または不発動とすることができない買収防衛策)ではありません。
また、当社取締役の任期は1年であることから、本プランは、いわゆるスローハンド型の買収防衛策(取締役会を構成する取締役を一度に交代させることができないため、大規模買付者にとって具体的対抗措置の発動を阻止するのに時間を要する買収防衛策)でもありません。
以上のとおり、本プランは、当社の企業価値および株主共同の利益に合致し、当社の会社役員の地位の維持を目的とするものではないので、十分な合理性を有しているものと考えます。