有価証券報告書-第90期(平成26年4月1日-平成27年3月31日)

【提出】
2015/06/30 9:00
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【項目】
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業績等の概要

(1) 業績
当連結会計年度におけるわが国経済は、政府・日銀による経済・金融政策を背景とした株価上昇、円安傾向継続により、緩やかな景気回復基調にはありましたが、消費税増税前の駆け込み需要の反動減や、海外現地生産の進展による輸出の伸び悩みに加え、原油安ではあるものの円安に伴う輸入物価の上昇や、消費税増税に伴う実質所得の減少を背景とした個人消費の低迷、中国経済の不透明感や欧州の景気低迷等による停滞もあり、依然として本格的な実体経済の回復までには至らない状況が続きました。
このような状況のもと、当社グループは、新製品や新規用途開発品を中心とした販売・生産数量の確保・拡大、海外も含めての新規ユーザー開拓、タイの海外子会社における新製品の安定生産・販路拡大を目指すとともに、価格競争力を増すための全社挙げての低コスト体質強化および二次電池用正極材に関わる新規案件立上げへの迅速な対応に努めてまいりました。その結果、当連結会計年度の当社グループ全体の売上高は、前期比で581百万円 3.0%増の19,671百万円となりましたが、利益面では、建材事業の消費税増税前の駆け込み需要の反動減等の影響が長期化したことにより、営業利益が前期比163百万円 8.5%減の1,761百万円、経常利益が前期比105百万円 5.1%減の1,956百万円となりました。また、当期純利益は、前期比456百万円 31.8%減の977百万円と大幅な低下となりました。これは、前期に東京電力福島原子力発電所事故に伴う損害補償金252百万円を特別利益に計上しましたが、当連結会計年度では福島工場生産品が回復したことにより東京電力からの損害補償金が141百万円となり、さらに平成27年3月27日に既に東京証券取引所にて適時開示しておりますとおり、タイの海外子会社のネクサス・エレケミック社がパソコン関連需要の落ち込みや複数購買化・仕様変更等の影響が長期化し、同社の業績が低迷した結果、「固定資産の減損に係る会計基準」に基づく減損の兆候が認められたことで、当期末において413百万円の減損損失を特別損失として計上し、さらに同社の繰延税金資産の内、52百万円を取り崩し、法人税等調整額に計上したことによります。
セグメントの業績を示すと以下のとおりであります。
① 薬品事業
主力の薬品事業は、国内においては、納入先の複数購買化や生産拠点の海外シフトの影響等により伸び悩みましたが、前期に比して、非鉄金属相場上昇や円安により販売単価がアップしたこと、および海外においてはタイの海外子会社のサイアム・エヌケーエス社における新製品が軌道に乗り始めたことから、売上高は前期比817百万円 5.2%増の16,412 百万円となりました。
利益面では、国内においては採算に影響のある電池用薬品等の主力製品の伸び悩みと夏場まで続いた原油価格高騰による一部原材料単価の上昇や電力費等経費の上昇を売価に全面的に反映しえず微増となり、タイの海外子会社においてもネクサス・エレケミック社が前述の影響により営業損失が拡大したものの、サイアム・エヌケーエス社の新製品の生産・販売が軌道に乗り始めたことから、子会社全体では営業損失が縮小し、全体的には利益面で若干改善したことから営業利益は前期比45百万円 3.7%増の1,280百万円になりました。
なお、平成26年11月5日に適時開示いたしました福島第一工場における二次電池用正極材の受託加工および福島第二工場の賃貸借契約につきましては、ほぼ計画通りに推移しております。受託加工に関しては、要員および生産設備増強等の体制が整ったことから平成27年4月以降本格稼働となり、賃貸借契約に関しても正式契約を締結しております。
② 建材事業
前期まで堅調な伸びを示していた建材事業は、工作機械向け制御盤用熱交換器が前期比で伸びたものの、消費税増税前の駆け込み需要の反動減の影響で新設住宅着工戸数が依然として低調に推移したことにより、住宅関係において主力製品である防火通気見切り縁が減少したことや新製品の伸び悩みがあり、売上高は前期比236百万円 6.8%減の3,258百万円となり、利益面でも、前述のように採算面で影響の大きい主力製品の防火通気見切り縁の減少等により、営業利益は前期比190百万円 17.2%減の920百万円という結果となりました。

(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、営業活動によるキャッシュ・フローで1,806百万円増加、投資活動によるキャッシュ・フローで1,311百万円減少、財務活動によるキャッシュ・フローで429百万円減少し、この結果、換算差額による影響なども含めると、当連結会計年度末は、前連結会計年度末に比べ124百万円増加し、10,414百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動による資金は、1,806百万円の増加(前連結会計年度は2,442百万円の資金の増加)となりました。この主な要因は、法人税等の支払額875百万円、売上債権の増加額652百万円等による減少があったものの、税金等調整前当期純利益が1,670百万円、減価償却費773百万円、減損損失413百万円、棚卸資産の減少額215百万円等により資金が増加したことであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動による資金は、1,311百万円の減少(前連結会計年度は814百万円の資金の減少)となりました。この主な要因は、定期預金の純増額171百万円、有形固定資産の取得による支出959百万円および、投資有価証券の取得による支出100百万円等があったことであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動による資金は、429百万円の減少(前連結会計年度は314百万円の資金の減少)となりました。この主な要因は配当金の支払額357百万円等があったことであります。