有価証券報告書-第110期(平成27年1月1日-平成27年12月31日)

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2016/03/25 15:04
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【項目】
129項目

業績等の概要

(1) 業績
売上高営業利益経常利益当期
純利益
1株当たり
当期
純利益
潜在株式調整後
1株当たり
当期純利益
(億円)(億円)(億円)(億円)(円)(円)
27年12月期14,7181,6441,693989197.19196.92
26年12月期14,0171,3331,388796156.46156.24
増減率5.0%23.3%22.0%24.2%26.0%26.0%

当社グループは、商品の高付加価値化による持続的な“利益ある成長”と、事業活動を通じた社会的課題の解決への提案や社会貢献活動による“社会のサステナビリティへの貢献”との両立を図り、グローバルで存在感のある会社を目指して、平成25年度を初年度とする、花王グループ中期3カ年計画 K15(Kao Group Mid-term Plan 2015)の達成に取り組んできました。その結果、最終年度である当期までに全ての目標を達成することができました。
(参考)
花王グループ中期3カ年計画 K15
目標(1)過去最高の売上高・利益の突破
目標(2)2015年度経営数値目標の達成
・連結売上高 1兆4,000億円
・連結営業利益 1,500億円
・海外売上高比率※ 30%以上
※連結売上高に占める海外に所在する顧客への売上高の割合
当連結会計年度(平成27年1月1日から平成27年12月31日まで)の世界の景気は、アジアの新興国等において弱さがみられるものの、緩やかに回復しています。日本の景気も、緩やかな回復基調が続いています。当社グループの主要市場である日本のトイレタリー(化粧品を除くコンシューマープロダクツ)市場は、前期に対し金額では3%伸長し、消費者購入価格は、前期を上回りました。また、日本のインバウンド(訪日外国人)需要を除いた化粧品市場は、前期の消費税率引上げの影響により金額では2%縮小しました。
このような状況の下、当社グループは、研究開発を重視し消費者や顧客の立場にたった“よきモノづくり”に基づき、消費者ニーズの変化に対応した高付加価値商品の発売や育成などに努めるとともに、コストダウン活動などに取り組んできました。
売上高は、前期に対して5.0%増の1兆4,718億円(為替変動の影響を除く実質2.8%増)となりました。コンシューマープロダクツ事業では、日本において、市場の伸長、新製品の発売及び販売促進活動のさらなる強化などにより、シェアが拡大し、売り上げは伸長しました。海外においては、アジアが大きく伸長しました。ケミカル事業では、原料価格変動に伴う販売価格の改定及び一部の対象業界での需要減の影響を受け、為替変動の影響を除く実質では減収となりました。
利益面では、主に日本のヒューマンヘルスケア事業及びアジアのコンシューマープロダクツ事業の増収効果と、天然油脂や石化原料を中心とした原材料価格の低下などにより、営業利益は1,644億円(対前期311億円増)となり、経常利益は1,693億円(対前期305億円増)となりました。当期純利益は989億円(対前期193億円増)となりました。
なお、買収に係るのれん等の減価償却費控除前営業利益(EBITA)は1,907億円(対前期287億円増 売上高比率13.0%)でした。
1株当たり当期純利益は197.19円となり、前期の156.46円より40.73円増加(前期比26.0%増)しました。
当社が経営指標としているEVA(経済付加価値)は、NOPAT(税引後営業利益)の増加により前期を大きく上回りました。
当期の海外連結子会社等の財務諸表項目(収益及び費用)の主な為替の換算レートは、次のとおりです。
第1四半期
(1-3月)
第2四半期
(4-6月)
第3四半期
(7-9月)
第4四半期
(10-12月)
米ドル119.15円(102.87円)121.33円(102.16円)122.23円(103.92円)121.43円(114.43円)
ユーロ134.43円(140.94円)134.14円(140.13円)135.91円(137.78円)132.99円(142.88円)

注:( )内は前年同期の換算レート
セグメントの業績
売上高セグメント利益(営業利益)
通期増減率通期増 減
26年
12月期
27年
12月期
補正後※26年
12月期
27年
12月期
(億円)(億円)(%)(%)(億円)(億円)(億円)
ビューティケア事業5,8996,0773.00.528429410
ヒューマンヘルスケア事業2,4012,80716.914.3219355137
ファブリック&ホームケア事業3,2453,3443.12.161069283
コンシューマープロダクツ事業計11,54512,2285.93.81,1131,342229
ケミカル事業2,8802,8850.2△2.322130181
小 計14,42515,1134.82.61,3331,643310
調整(消去)△408△395--△111
合 計14,01714,7185.02.81,3331,644311

※売上高増減率の「補正後」の数値は、為替変動の影響を除く実質増減率
販売実績
通期増減率
(%)
26年12月期
(億円)
27年12月期
(億円)
ビューティケア事業4,1554,123△0.8
ヒューマンヘルスケア事業1,9872,21911.7
ファブリック&ホームケア事業2,8582,8881.1
日本計9,0009,2302.6
アジア1,4051,79527.7
米 州79989712.4
欧 州8428996.7
内部売上消去等△501△593-
コンシューマープロダクツ事業 計11,54512,2285.9
日 本1,3191,300△1.4
アジア1,0881,057△2.8
米 州4454828.3
欧 州681648△4.9
内部売上消去等△653△602-
ケミカル事業 計2,8802,8850.2
小 計14,42515,1134.8
調整(消去)△408△395-
合 計14,01714,7185.0

参考:所在地別の業績
参考情報として所在地別の業績を以下のとおり開示します。
売上高営業利益
通期増減率通期増 減
26年
12月期
27年
12月期
補正後※26年
12月期
27年
12月期
(億円)(億円)(%)(%)(億円)(億円)(億円)
日 本9,97310,1902.22.21,1141,286171
ア ジ ア2,4492,81515.06.111320086
米 州1,2421,37811.0△0.161709
欧 州1,5211,5441.52.8399960
小 計15,18515,9274.92.71,3281,654326
調整(消去)△1,168△1,209--5△10△15
合 計14,01714,7185.02.81,3331,644311

※売上高増減率の「補正後」の数値は、為替変動の影響を除く実質増減率
なお、売上高に占める海外に所在する顧客への売上高の割合は、前期の33.1%から35.0%となりました。
コンシューマープロダクツ事業
売上高は、前期に対して5.9%増の1兆2,228億円(為替変動の影響を除く実質3.8%増)となりました。
日本の売上高は、前期に対して2.6%増の9,230億円(花王ソフィーナ販売制度改定の影響額を除く増減率3.4%増)となりました。消費者の生活スタイルの変化や、環境、健康、高齢化、衛生などの社会的課題への対応、数多くの高付加価値商品の発売、提案型販売活動の強化などに取り組み、サニタリー製品を中心に売り上げが伸長しましたが、化粧品は前期を下回りました。
アジアの売上高は、27.7%増の1,795億円(為替変動の影響を除く実質18.1%増)となりました。中間所得層向け製品の販売・育成、販売店との協働取組・卸チャネルの活用や販売地域の拡大などに努め、伸長が続いています。
米州の売上高は、12.4%増の897億円(為替変動の影響を除く実質0.1%減)となりました。スキンケア製品及びサロン向け製品が伸長しましたが、ヘアケア製品は、前期を下回りました。
欧州の売上高は、6.7%増の899億円(為替変動の影響を除く実質5.7%増)となりました。ヘアケア製品及びサロン向け製品が伸長しました。
営業利益は、日本のヒューマンヘルスケア事業及びアジアでの増収効果の影響などもあり、1,342億円(対前期229億円増)となりました。
当社は、[ビューティケア事業]、[ヒューマンヘルスケア事業]、[ファブリック&ホームケア事業]を総称して、コンシューマープロダクツ事業としております。
[ビューティケア事業]
売上高は、前期に対して3.0%増の6,077億円(為替変動の影響を除く実質0.5%増)となりました。
化粧品の売り上げは、前期に対し2.3%減の2,547億円(為替変動の影響を除く実質3.0%減)となりました。花王ソフィーナ販売制度改定の影響額を除いた増減率は、前期に対し0.6%増(為替変動の影響を除く実質0.2%減)となりました。日本では、引き続き重点ブランドの強化を図りましたが、厳しい市場競争の影響を受け、売り上げは前期を下回りました。疲れやストレスなど、過酷な環境下でも「美しくあり続けたい」と思う女性のための化粧品「SOFINA iP」を11月から銀座の旗艦店で先行発売し、ソフィーナの改革に着手しました。セルフ化粧品では、「KATE TOKYO」の売り上げが伸長し、「suisai」は、インバウンド需要により好調に推移しました。海外では、構造改革が終了した中国を始めとするアジアが好調で、特に「KATE TOKYO」は好調に推移し、為替変動の影響を除く実質の売り上げは、前期を上回りました。
スキンケア製品の売り上げは、前期を上回りました。日本では、「ビオレ」のUVケア製品及び洗顔料、乾燥性敏感肌を考えた「キュレル」が好調に推移し、前期を上回りました。アジアでも、「ビオレ」が順調に推移し、為替変動の影響を除く実質の売り上げを伸ばしました。米州では、新しい提案によるアイテム追加をした「ビオレ」が順調に推移し、為替変動の影響を除く実質の売り上げを伸ばしました。
ヘアケア製品の売り上げは、前期を上回りました。日本では、シャンプー・リンスの新製品が順調に推移しシェアが伸長したこともあり、売り上げは前期を上回りました。アジアでは、ブランドの絞り込みにより、為替変動の影響を除く実質の売り上げは、前期を下回りました。米州では、為替変動の影響を除く実質の売り上げは、ほぼ横ばいとなりました。欧州では、「ジョン・フリーダ」及びサロン向け製品が堅調に推移したことにより、為替変動の影響を除く実質の売り上げは、前期を上回りました。
営業利益は、主に増収効果と費用の効率化により、294億円(対前期10億円増)となりました。また、買収に係るのれん等の減価償却費控除前営業利益(EBITA)は、558億円(対前期15億円減 売上高比率9.2%)でした。
[ヒューマンヘルスケア事業]
売上高は、前期に対して16.9%増の2,807億円(為替変動の影響を除く実質14.3%増)となりました。
フード&ビバレッジ製品の売り上げは、前期を下回りました。脂肪を消費しやすくする健康機能飲料「ヘルシア」は、緑茶では脂肪の燃焼力を高める高濃度茶カテキンの機能訴求を強化しましたが、コーヒーとともに市場競争激化の影響を受けました。
サニタリー製品の売り上げは、前期を大きく上回りました。生理用品「ロリエ」は、日本では、ムレがこもらず肌にやさしい「ロリエ エフ しあわせ素肌」、高い吸収力と快適なつけ心地を実現する「ロリエ スリムガード」などの高付加価値商品の売り上げ伸長によりシェアを拡大し、アジアでも、順調に売り上げを伸ばしました。ベビー用紙おむつ「メリーズ」は、日本では、売り上げが引き続き好調に推移し、生産設備の増強を行っています。中国では、日本からの輸入品及び中間所得層向けの現地生産品の売り上げが伸長しました。また、インドネシアでは、平成26年9月に発売した中間所得層向けの現地生産品の売り上げが、販路の拡張を含め順調に推移しています。
パーソナルヘルス製品の売り上げは、前期を上回りました。オーラルケアの売り上げは、高付加価値商品を発売し、前期を上回りました。入浴剤の売り上げは、順調に推移しました。蒸気の温熱シート「めぐりズム」の売り上げは、「蒸気でホットアイマスク」を中心にインバウンド需要を取り込み大きく伸長しました。
営業利益は、主に増収効果により355億円(対前期137億円増)となりました。
[ファブリック&ホームケア事業]
売上高は、前期に対して3.1%増の3,344億円(為替変動の影響を除く実質2.1%増)となりました。
ファブリックケア製品の売り上げは、前期を上回りました。日本の売り上げは、粉末洗剤市場の縮小や市場競争の影響を受け、前期に対してほぼ横ばいに推移しました。衣料用洗剤では、濃縮液体洗剤「ウルトラアタックNeo」を、洗浄成分ウルトラクエン酸C配合で、未体験の白さを実感できるように改良し、さらに、抗菌クリア成分を高配合した液体洗剤「アタック 抗菌EX スーパークリアジェル」を発売しました。柔軟仕上げ剤では、「ハミング」を刷新し、やわらかさとすばやい吸水性の両立を可能としました。「ハミングファイン」は、24時間防臭に初めてドライ効果を付加した改良を行いました。また、水分・汗に反応する香りセンサーの発香力が約2倍に強化された「フレア フレグランス」は、シェアを伸ばしました。アジアでは、売り上げは前期を上回りました。衣料用洗剤「アタック」は、インドネシアで平成26年6月に発売した、中間所得層向け手洗い用粉末洗剤「アタックJaz1(ジャズワン)」の貢献もあり、売り上げが伸長しました。
ホームケア製品の売り上げは、前期を上回りました。日本では、食器用洗剤「キュキュット」が、引き続き好調に推移しました。全面改良した住居用洗剤「マジックリン」や住居用掃除シート「クイックル」の売り上げは、順調に推移しました。改良した衣料用消臭剤「リセッシュ」は、市場を活性化し、売り上げは好調に推移しました。また、ファブリックケア製品及びホームケア製品で、介護現場のニオイの悩みに応え生活の質向上を目指した「消臭ストロング」シリーズを発売し、消費者の支持を得ました。
営業利益は、高付加価値商品の増収効果と原材料価格の低下により、692億円(対前期83億円増)となりました。
[ケミカル事業]
売上高は、前期に対して0.2%増の2,885億円(為替変動の影響を除く実質2.3%減)となりました。
日本の対象業界では、一部に需要の弱さが続いています。海外では、対象業界の需要減や一部で公共投資の減少がありましたが、ユーロ安に伴う輸出需要の伸びもみられました。
油脂製品では、原料価格変動に伴う販売価格の改定と対象業界の需要減の影響を受けました。機能材料製品では、公共投資の減少等に伴う需要の停滞がみられる中でも、環境負荷の低減に対応した高付加価値製品の開発と販売の拡大に努めました。スペシャルティケミカルズ製品では、パソコン市場の構造変化の影響を受けたものの、顧客ニーズに即した製品対応を行い、高付加価値製品の売り上げが伸長しました。
営業利益は、高付加価値製品の増収効果とコストダウン活動により、301億円(対前期81億円増)となりました。
(2) キャッシュ・フロー
当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ808億円増加し、3,094億円となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、1,809億円となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、△740億円となりました。
以上の結果、フリー・キャッシュ・フローは、1,068億円となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、△206億円となりました。
なお、キャッシュ・フローの詳細は、「7 財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2)財政状態の分析」に記載しております。