有価証券報告書-第152期(平成27年4月1日-平成28年3月31日)

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2016/06/24 16:02
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125項目

業績等の概要

(1)業績
当連結会計年度(平成27年4月~平成28年3月)のわが国経済は、雇用情勢が改善し設備投資も増加するなど、緩やかな回復基調が続いております。一方で、資源国や中国を始めとするアジア新興国の景気減速など、海外の懸
念材料が景気を下押しするリスクも存在しております。
化学業界におきましては、基礎原料ナフサ価格は低水準で推移していますが、中東情勢の混迷、資源国や新興国
経済の減速懸念など、先行き不透明な状況が続いております。
このような状況のもと、当社グループは、平成27年4月1日から5ヵ年となる新中期経営計画「REACT1000
-飛躍への行動を-」をスタートさせました。国内の新拠点として、四日市第三コンビナート内に新たに建設した
霞工場が12月に本格稼動し、電子材料、土木用薬剤を中心に増産体制が整いました。今後はマーケットの動きを見
ながら充実を図り、当社グループの母なるマザー工場、あるいは、考えるスマート工場と位置づけ、生産、研究開
発、営業を連携させる重要な拠点に仕上げてまいります。また、海外の新拠点として、増収に向け海外売上高比率
を高めるため、10月にはシンガポールに現地法人を設立しました。さらに、霞工場の竣工の日から「第三の創業期
」が始まったと捉え、新素材の早期事業化や異業種との連携を進め、資金と時間の効率化を図り、安定した成長の
いしずえを築いてまいります。
当連結会計年度の業績といたしましては、夏場以降、中国を始めとするアジア新興国の景気の減速感が強まり、また、『電子デバイス材料』の主力商品である太陽電池用途の導電性ペーストは、国内の需要が激減するなど、当
連結会計年度の売上高は527億82百万円(前年同期比5.1%減)となりました。
損益面につきましては、営業経費は増加しましたが、『界面活性剤』、『機能材料』のIT・電子用途の新たな
高付加価値品の売上高が大幅に伸長しましたことに加え、原材料価格が低水準で推移しましたことから、営業利益
は34億39百万円(前年同期比16.8%増)となりました。また、持分法による投資利益の増加はありましたが、支払
利息の増加や為替差益の減少などにより営業外収支が悪化し、経常利益は32億円(前年同期比17.8%増)となりま
した。これに固定資産の減損損失や税金費用を差し引きました結果、親会社株主に帰属する当期純利益は21億98百
万円(前年同期比23.4%増)となりました。なお、各利益ともいずれも2期連続で過去最高益となりました。
セグメントの業績は次のとおりであります。
[界面活性剤]
界面活性剤の売上高は、総じてやや低迷しました。
国内では、IT・電子用途の活性剤は大幅に伸長し、トイレタリー用途の活性剤は好調に推移しましたが、ナフ
サ価格の下落の影響を受けゴム・プラスチック用途の活性剤はやや低迷し、機械・金属用途の活性剤は低迷しまし
た。石鹸・洗剤用途の活性剤は顕著に落ち込みました。
海外では、繊維用途の活性剤は順調に推移しました。
その結果、当セグメントの売上高は207億79百万円(前年同期比3.7%減)、営業利益は21億90百万円(前年同期
比36.3%増)となりました。
[アメニティ材料]
アメニティ材料の売上高は、総じて伸長しました。
国内では、ショ糖脂肪酸エステルは食品用途がやや低調に推移しましたが、医薬品用途は堅調に推移しました。
セルロース系高分子材料は飼料用途及び食品用途が低調に推移しましたが、医薬品用途は好調に推移しました。
海外では、ショ糖脂肪酸エステルは香粧品用途及び食品用途が順調に推移しました。
その結果、当セグメントの売上高は72億8百万円(前年同期比5.1%増)、営業利益は4億9百万円(前年同期
比126.4%増)となりました。
[ウレタン材料]
ウレタン材料の売上高は、総じて低迷しました。
フロン規制に関連する環境配慮型の合成潤滑油は、販売数量は伸長しましたが、売上高がナフサ価格の下落の影
響を受け低調に推移し、土木用薬剤は公共工事の減少により大きく落ち込みました。
その結果、当セグメントの売上高は89億34百万円(前年同期比5.4%減)、営業利益は2億30百万円(前年同期
比21.5%減)となりました。
[機能材料]
機能材料の売上高は、総じて堅調に推移しました。
国内では、難燃剤はゴム・プラスチック用途が大きく落ち込みましたが、水系ウレタン樹脂は繊維用途が好調に
推移し、光硬化樹脂用材料はIT・電子用途が大幅に伸長しました。
海外では、水系ウレタン樹脂はIT・電子用途が低迷しました。
その結果、当セグメントの売上高は112億59百万円(前年同期比0.4%増)、営業利益は6億73百万円(前年同期比12.2%減)となりました。
[電子デバイス材料]
電子デバイス材料の売上高は、総じて顕著に落ち込みました。
射出成形用ペレットは伸長しましたが、太陽電池用途の導電性ペーストは顕著に落ち込みました。
その結果、当セグメントの売上高は46億円(前年同期比29.3%減)、営業損失は65百万円(前年同期は94百万円
の利益)となりました。
(2)キャッシュ・フロー
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末と比べて23億81百
万円減少し、94億1百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
[営業活動によるキャッシュ・フロー]
営業活動の結果、得られた資金は、41億97百万円(前年同期は23億22百万円)となりました。これは、仕入債務の減少11億3百万円(前年同期は1億65百万円の減少)、法人税等の支払5億59百万円(前年同期は8億2百万円)などにより資金が減少したのに対し、税金等調整前当期純利益30億54百万円(前年同期は27億13百万円)、減価償却費20億87百万円(前年同期は21億53百万円)などにより資金が増加したことによるものです。
[投資活動によるキャッシュ・フロー]
投資活動の結果、使用した資金は、76億87百万円(前年同期は32億29百万円)となりました。これは、台湾の連結子会社である晋一化工股份有限公司における新たな工業用地の取得や四日市霞工場の建設など有形固定資産の取得78億29百万円(前年同期は30億45百万円)などにより資金が減少したことによるものです。
[財務活動によるキャッシュ・フロー]
財務活動の結果、調達した資金は、11億54百万円(前年同期は34億8百万円)となりました。これは、長期借入金の返済36億4百万円(前年同期は34億17百万円)、配当金の支払4億74百万円(前年同期は2億98百万円)などにより資金が減少したことに対し、長期借入金の新規借入50億円(前年同期は73億円)、短期借入金の純増加額6億20百万円などにより資金が増加したことによるものです。